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2018-01-13

EUモロッコ間で締結の漁業協定は……

EUモロッコは、1996年に提携合意を、2006年に漁業クタにおける協力合意(以下「漁業協定」という)を、そして2012年に農産物・加工農産物及び水産物・加工水産物に関する自由化協定を締結した。2016年12月21日に当司法裁判所は、欧州委員会に対しポリサリオ戦線が提起した訴訟における判決への控訴において、EUモロッコ間で締結された提携合意協定西サハラには適用されていないと判断した。しかし、この事件は同漁業協定に関するものではなく、それゆえ当裁判所判決において、その協定については何ら有効性の判断を行わなかった。

UKにおいて、西サハラキャンペーン(WSC)は、西サハラの人々の権利認定サポート目的とする独立ボランティア組織である。WSCは、高等法院(英国及びウェールズ)の女王座部(行政裁判所)にて、EUモロッコ間で締結した漁業協定と、同協定を首肯し施行する規則類は、同協定規則類が西サハラ地域水域適用される限りにおいて無効であると訴えている。WSCはそれゆえ、UK当局が同協定を履行すること、とりわけ西サハラ産品をモロッコ王国の産品と認めて特恵関税待遇を与えることを違法行為だとみなしている。さらに、WSCはUK当局西サハラ近海漁業ライセンスを発行する権限を有していることについても争っている(同協定で、EU漁船特定の条件の下でモロッコの漁場内で漁獲してよいと定めているため)。

高等法院は当裁判所に対し、まず、西サハラキャンペーンEU規則類の有効性について国際法を遵守していないとして争うことができるか、次に、EU法のもとで同漁業協定有効なのか、について確認を求めている。EUが締結した国際協定とその施行規則類の有効性の審査のための仮決定的手続のもとで請求が行われているのは、これが初めてである

 今日、メルキオール・ウォスレ法務官は、彼の見解のなかで、当裁判所は「EUが締結した国際合意適法性査定する裁判管轄を有しており、WSCのような団体は同漁業協定適法性を争うことができ、そして、同漁業協定西サハラ地域水域適用対象とするために無効である」と回答すべきである旨を主張している。EUが締結した国際合意適法審査する枠組みのなかで、国際法上のルール準拠することが自然人法人に開かれているかについて当法務官は、そのルールが無前提かつ充分明確であり、その性格と主要なロジック申し立てられた法の適法審査を妨げていないのであれば、EUが拘束されている国際法上のルール依拠して法的な手続きを行うことが可能でなければならない……と、みなしている。

 当法務官は、WSCの依拠する以下の国際法上の3規範に関して、こうした条件を満たしていると考えている。それは:(1)自己決定権、(2)天然資源にかかる永久主権原則~それが西サハラ人民利益のために当該資源の利用を要すかぎりにおいて~、そして(3)占領地域天然資源の利用にかかる国際合意の締結に適用される国際人道法のルールである。当法務官は、これらの規範EU締結国際合意適法審査の枠組みのなかにあり、これらに依拠することは可能である……と結論している。

 そして当法務官は、同漁業協定とこれを首肯し施行する規則類が、これらの3規範に適合しているか審査している。

 まず当法務官は、西サハラの人々が国連総会の設けた条件で自己決定権行使することすら、かくも永くの間、機会を奪われている……と、述べている。西サハラ併合によってモロッコ王国統合されたが、この地域の人々が自由意思表示をしたことによるものではなかった。モロッコ領土への西サハラ一方的統合と、当該地域にかかるモロッコ統治権主張を根拠として、モロッコが同漁業協定を締結して以来、西サハラの人々はその天然資源自由処分していない。それが、自己決定権によって求められているにもかかわらずである。したがって、申立ての規則類によって定められ行われる西サハラ近海でのEUによる漁獲は、西サハラ人民自己決定権尊重するものではない。

 モロッコによる西サハラ統治権の主張は西サハラ人民自己決定権を損なったことによるものであるから西サハラ人民自己決定権モロッコによる侵害の結果である違法な状況を是認せずその維持に援助を与えないようにする義務を、EUは怠っていた……と結論する。この理由のため、西サハラ地域とその近海への適用に限って、同漁業協定とそれを首肯し施行する規則類は、欧州連合に対し外事につき人権保護国際法を厳格に遵守しなければならないと要求する欧州連合条約の定めに適合していない。

 当法務官は、西サハラにおけるモロッコデファクト施政勢力もしくは占領勢力としての地位は、同漁業協定の締結を正当化できないと考えている。第一に、「デファクト施政勢力」の考え方は国際法存在していない。第二に、モロッコ西サハラ占領勢力であるが、同漁業協定の締結のされ方が、占領地域適用される国際合意占領勢力による締結に適用される国際人道法のルールに適合していない。

 次に同法務官は、同漁業協定により提供された漁獲のほとんどが西サハラ近海限定的関係している(これらの海域で得られた漁獲は、同漁業協定で定められた漁業文脈で行われた総漁獲量の91.5%付近にのぼる)と認定する。同漁業協定に従ってモロッコ王国へ支払われた財政的貢献は、ほとんど西サハラ人民利益のためだけに使うべき…ということになる。当法務官の見解では、同漁業協定西サハラ人民利益のための漁獲となるために必要な法的セーフガードを含んでいない。この意味において、天然資源に係る永久主権原則占領地域天然資源の利用にかかる国際合意の締結に適用される国際人道法のルール、そして最後に、これらの原則ルール違反した結果である違法状態是認せずその維持のために援助を与えないEU義務を、同漁業協定及び他の申立ての規則類は遵守していない。

 これらの理由全てにより当法務官は、同漁業協定無効である結論する。

2016-09-17

何れの協定西サハラには適用されない。それゆえ…

第一に、当法務官は次のように記している。1963年以降、国連は非自治領域リスト…即ち植民地住民による自己決定権行使に基づき解決すべき対象へと、西サハラを入れている。非自治地域管理する国の締結する国際条約協定対象が、そのような領域まで拡張されるか?という問題に関しては、そういった国々における大多数の実務では、条約協定批准中のかかる拡張が明示的に規定されなければならない旨が示されている…と、当法務官は指摘する。上述の2協定には、それらの適用範囲西サハラ拡張することを求めるいかなる条項も何ら含まれておらず、それらの協定モロッコによって批准された際もかかる拡張は明示的に規定されていない。

第二に、欧州連合もその加盟国も、西サハラモロッコの一部であるとか、モロッコが当該地域の統治権を有していると、認めたことは一切ない…と当法務官は強調する。

第三に、西サハラには兎に角デファクト問題の2協定適用されるという理由で、それらの協定対象は当該領域を含んでいると認識すべきである…という議論を、当法務官は却下する。今回の事件で調べられた証拠は、関連する当事者の十分な理解を得て、これらの協定の当の文言、つまり協定対象モロッコ領域排他的限定する文言に反して、一般的かつ長期的に行われる実務の存在を立証するには不十分である。かかる実務は、上述の2協定地域対象拡張について当事者間の新しい協定によってのみ設けられ得る。

第四に、二者間条約における一方の当事者と関連のある第三者が当該協定構成要素となるような領域へ当該協定対象拡張することを、国際法原則として許していない…と、当法務官は語る。西サハラはまさに、EU及びモロッコと関連するそのような領域となっている。

上述の両協定西サハラへは適用されないことを理由として、当法務官は、当裁判所第一裁判所判決留保し、ポリサリオ戦線によって提起された本動議を容認できないとして却下することを提言する。後者は当該異議申立のある決定を無効とすることには最早利益がないためである

そしてさらに、この2協定西サハラ適用されるとしても、当該異議申立のある決定に直接的かつ独立利害関係ポリサリオ戦線は有しておらず、またそれ故にその動議は却下されねばならないとの見方を、当法務官はとる。ポリサリオ戦線国際社会から西サハラの住人の代表者として認められているのは、当該領域住人の自己決定にかかる問題解決する目的政治的プロセスにおいてのみであり、かかる住人の商業利益防衛する目的のためではない。さらにいえば、ポリサリオ戦線国際関係における西サハラ住民の唯一の代表であるようにはみえない。なぜなら、当該領域の前植民地保有であるスペインが、依然としてその関係における責任があるように思われるからである

にもかかわらず、仮に、問題協定西サハラ適用され、当該異議申立のある決定へ挑む権利ポリサリオ戦線にあると、当裁判所でも判断するのであれば、当法務官も、第一裁判所が行ったように、当該自由協定が結ばれた状況にかかる関連性のある証拠を全て調べるという義務を、委員会が全うしなかったことを認める。第一裁判所の決定とは逆に、委員会西サハラ天然資源搾取において当該協定締結の影響を評価することを要求されないが、当該領域における人権状況については特に、当該協定潜在的影響を含めて、委員会考慮すべきであった。本事件においては、当該自由協定西サハラへの適用が許される限り、当該異議申立のある決定を第一裁判所が一部無効としたことは正しかったのであり、それゆえ委員会控訴根拠のないものとして棄却されなければならない…との見方を、当法務官はとる。

 
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