はてなキーワード: 炒り豆とは
会社の卓上カレンダーで明日の日付を丸で囲んであった。自分でやったはずなのにそれがなんの日だったか思い出せない。隣の席の竹下さんに聞いたら、明日は電車が動く日らしかった。完全に忘れていた。
あれから2年も経とうとしているのだから、忘れるにきまっている。もう中野で2年も暮らしていたとは、あまり実感がない。
中野駅はもともと無駄に停車時間が長い駅で、総武線/中央線では最悪の駅として有名だった。最初は2分の停車時間だったのがだんだん長くなっていき、2時間になってから2日に伸びるまではあっという間だった気がする。新宿と自宅のある阿佐ヶ谷の間を通勤で往復するのに丸4日かかるようになった。
中野でこれから2年間停車するというアナウンスが車内で流れたときには、もちろんなんの準備もできていなかった。手持ちの現金もそんなになかったので、電車を降りて駅前のATMで引き出そうとしたら、カードが使えなくなっていた。少しでも節約しようとして駅の周辺で野宿をしたが、パンや牛丼を買っているうちにお金はすぐになくなってしまった。
駅の軒下で浮浪児に混じってしゃがんでいたら手配師らしいおじさんが来て、にいさんパンカワラやらんか、パンカワラと誘われた。何のことかわからなかったけれど、ほかに仕事のあてもないのでついて行った。
連れて行かれた先はコンクリートの建物で、ものすごく長い廊下みたいなところにゴザが敷いてあった。そのゴザの上が仕事場だった。上にあおむけに寝転がって、建物の壁から出ている紐を足の指にひっかけて、引っ張る。そうすると車輪が回って、部屋の中に吊り下げてある、のれんみたいな布がファサーっと揺れて、風が起こる。部屋の中にいる人は涼しくなる。これを1日10時間くらい交代でやる。同じ場所には他に4人のパンカワラが寝転がっていて、足で紐を引っ張る度にヒュゴゴゴゴ、みたいな音がしていた。
パンカワラの仕事をはじめて1か月くらいは腿の筋肉がパンパンになってきつかったが、だんだん慣れた。でも2か月で辞めた。研修を終えてもっと時給を上げたかったら鼓膜を破らなくてはいけないといわれたからだ。部屋の中にいる人の話が聞こえないように、パンカワラは耳を聞こえなくすることになっていた。
次に入ったのがいまの会社で、ファートというスタートアップだ。最近ようやくネットでも流行りはじめたように、自分のおならを保存する特殊な容器を提供して、あとで楽しめるようにするサービスだ。自分が入った当時は、おなら入りの容器を着払いで送ってもらって倉庫に保管するサブスクリプションサービスをはじめたところだった。人は自分のおならをあとで嗅ぐことにみんなこれほど興味があるとは、入社するまで知らなかった。サブスクリプションを利用しているのは男女比で4:6ぐらいだった。
自分が担当したのは他人のおならを購入できるマーケットプレイスのローンチだ。AV女優のおならが人気があったが、実際には会社で雇ったバイトの人に炒り豆を食べて出してもらったおならを採って送っていた。女優の事務所にはライセンス料を払っていた。グレーと言えばグレーなサービスだったけれど、これのおかげで自分は一文無しの状態からアパートを借りて今日まで中野で生活できたので、自分にとっては神サービスだった。
そんな経緯を思い出しながら、明日電車に乗ることをぼんやり考えているうちに、だるくなってきた。でも明日の電車を逃せばまた2年間待たなくてはいけないかもしれない。どうするかもうすこし考えようと思っている。
温かい飲み物をいつも保温水筒に入れておいて、のどを潤すためにちびちび飲んでる(おもにインフルエンザ予防のため)。
そんなとき、無印良品で黒豆茶のティーバッグを見つけて、飲んでみると香ばしくてよかった。
でもこれって、ひょっとしたら自作できるのではないの? と思って作ってみたら、わりと簡単にできた。
・黒豆(スーパーとかで売ってるやつでOK、自家栽培してるならそれを使う)
作り方
・洗い終わったらキッチンペーパーや新聞紙等の上にあけて乾かす
・10~15分くらい、弱火~中火で煎る、よい香りがしてくるまでやる(強火でやりすぎると焦げてしまうので注意)
・しばらく豆を冷ます
・豆が冷えたら適当な袋に入れて、細かく砕く(たまたま自宅に万力があったので、それでやっている。バキバキっと豆が砕けて気持ち良い。ない人はフードプロセッサーとかでいいと思う)
・砕いた豆をスプーンで好きな分量入れて、お湯を注いで飲む
*ネットで調べると、煎った黒豆を鍋で煮出して黒豆茶を作る方法が上位にヒットするけれど、豆を細かく砕くと、煮出さなくてもお湯を入れて1~3分で飲める。
**強火で加熱しすぎると、焦げの味しかしなくて飲めないので注意。炒り豆の香ばしい匂いがしたところで火を止めて豆を砕くと、内側が茶色くなっているくらいが頃合い。