2022-09-24

anond:20220924123746

ザイオンス効果という言葉を初めて知った。wikiによると以下のことなんだそうだ。

単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか、英: mere exposure effect)は、(閾下であっても)繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果1968年アメリカ心理学者ロバート・ザイアンスが論文 Zajonc (1968) にまとめ、知られるようになった[1]。

ザイアンスの単純接触効果、ザイアンスの法則、ザイアンス効果などとも呼ばれる。対人関係については熟知性の原則と呼ばれる[2]。

概要

はじめのうちは興味がなかったものも何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果。たとえば、よく会う人や、何度も聞いている音楽は、好きになっていく。これは、見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価に誤って帰属されるという、知覚的流暢性誤帰属説(misattribution of perceptual fluency)で説明されている。また、潜在学習概念形成といったはたらきもかかわっているとされる。

図形や、漢字衣服、味やにおいなど、いろいろなものに対して起こる。広告効果も、単純接触効果によるところが大きい。CMでの露出が多いほど単純接触効果が起きて、よい商品だと思ったり欲しくなったりするのである



Z世代に顕著と元増田はいうのだが、上記定義をみると、広く言えば、むしろ日本集団主義的な組織風土ドライブするメカニズム関係しているように思えるね。単純接触効果組織内でうまくつかって「うちわ」の安心感を醸成してゆく、というか。

従来の日本組織というのは、年配者が半ば強引に、単純接触の機会(パワハラ指導、飲みにケーションが最たる例)をつくり、すでに組織内で支配している層に居心地のいい「うちわ」感を若者に覚えさせてゆくプロセスを通じて、世代間の組織風土の持続性が図られてきた。80年代上司室田日出男新人部下の中井貴一オルグして毎晩カラオケについていったように(ふぞろい世代)。

そういう見方をしてみると、要するに、ザイオンス効果をとらえて、Z世代の特徴かというと、よくわからない。

恐らく、ザイオンス効果自体は変わらないけれども、変わったのは環境なんじゃないかな。Z世代以前以後で。


Z世代以前と以後では、世の中の居場所選択肢が急速変化している。

80年代ティーンの居場所は、学校ゲーセンか、盛り場、塾だったし、学校が嫌になった場合の逃げ場が限られていた。

通信手段も、携帯電話存在しなかったから、友達からきた電話を親が先にとる時代だった。娯楽も限られていた。

消費者選択肢が少ないから、メーカープロダクトアウトな発想で、繰り返しCMを流し、消費者刷り込みをかけてマスな製品を作ってしまえば市場を席捲できた。ソニーウォークマン典型。これもザイオンス効果ひとつといえる。

マスな動きに取り込まれる(流行に乗る)ことが取り残されない条件だったし、会社でも上司に従うしか、居場所を見つけられない時代だった。

政治選好的にも、当時の自民党VS社会党というのは、絶対的安心感を与えていて、とにかくうちは自民党、うちは問答無用で、昔っからおたかさんみたいな時代

そして、学生から社会人など、環境が変わるたびに、通過儀礼的に「その空間での安心感はこれだ、こういうやり方してりゃいいんだよ」と新参者は叩き込まれる。

しかし、90年代以降の動きというのは、情報革新によって、ニッチな居場所環境が急激に増えた時代。あるいは気が付くことができるようになった。

ニッチ環境がどんどん増えて、自分で居場所を選べるようになった。

政治細川政権以降、離合を繰り返した。会社組織も働き方や仕事の仕方に、多様性を認めるようになってゆく。その最初きっかけは80年代転職というムーブメントだった(リクルート)。

しかし、自分転職したり、ニッチ空間をみつけて得られる安心感というのは、自分欲求ニーズジャストミートをするという意味では安心だが、例えば自民党を疑いもしない時代に比べると、寄る辺のなさを感じるものであり、かつてほど盤石ではなく流動的で、大きくもない。

そしてかつてのような大きな主体に取り込まれることの安心感が少なくなっているんだろうと思う。

昔だったら、そういう大主体自分から探すものではなく、人生ステージがあがると、会社上司象徴するように、待ち構えているものであって、

飲みにケーションの洗礼をあびて、数年で組織同化していった。同化過程最初は激烈でキツイんだけど、集団に慣れると逆に居心地がよくなるのだ。

ザイオンス効果という言葉をあえてつかって、前世代の特徴をいえば、オルグする、という意味で、プッシュ型のザイオンス効果。紙の新聞メディアもその典型で、世の中の標準的な考え方というものテレビ新聞などのメディアを通じて受け入れるプロセス存在した。

しかし、情報通信革命がもたらしたニッチ空間、居場所への気づき、というのは、自分から自発的に、その時々で感じている不安ニーズを解消する場所へ向かえるようになった、という意味

自分から安心を探し出す、という意味ではプル型のザイオンス効果簡単に答えがみつかるからSNS依存を深めてしまう。自分の疑問や不安自分からググればなんとなしに答えが見つかる、という。Togetherは都合のいいようにあたか大勢の人が考えを共有しているかのような細工をして答えを提供してくれる。電子掲示板SNSの、自分と似た意見思想を持った人々が集まる場で、自分意見思想肯定されることで、それらが正解であるかのごとく勘違いする、いわゆるエコチェンバー効果議論されるようになったのも2000年代初頭。

こういう時代には、何が標準的な考え方で、支配的な考え方なのか、それを新聞などマスなものを通じて確認する、ということが難しくなっている。

SNSなどを通じて自分の求めている何かを見つけてしまえる安心感と引き換えに、いろいろな人がいろいろな場所安心を見出すようになって、マスなものにピントが合いにくくなってしまった。

だけれど、恐らくザイオンス効果がプッシュ型であれプル型であれ、本質的に、よりマスなものを求めて安心する、という傾向は変わってないんじゃないか

結局は何か安心できるものを探すということになる。

一方で、プッシュ型のオルグからうけるストレスに、自分で答えを探すことによってすぐにすり抜けてしまう、ここにZ世代の特徴があるかもしれない。

昔だったらほかに選択肢もないことからちょっと我慢して順応せざるを得なかった組織も、今ではそのストレスから逃れる手段選択肢豊富

ストレスから逃れた先に、当面の安心感はあるかもしれないが、マスなものに比べれば脆弱だ。

それはパーツパーツでちょっとした安心感を消費するものであって、全体として組織自分を傘のようにかばってくれるような安心感ではない。

それはむしろ自分で集めた安心時代キーワードを寄せ集め、組み合わせてコンセプトを自分なりに構成していかなければならない。

上司説教など、プッシュ型を避けてしまえた結果というのは、つまりそういうことだ。しかし、そういう構成力というのは、若者経験能力資質にどうしても依存してしまう。

自分自身をふりかえってみても、そういう試みというのは、一時しのぎになりがちだ。安心をみつけるのはほんとに安易になった時代だ。

ブログかいてみたりね。Twitterでつぶやいたりね。

しかし、だんだんわかってくる。マスなものも慣れてくる。経験を重ねるとみえてくるものが増えてくる。その経験値の差が今の時代に、なんとなく世代間の差のように映じているんじゃないだろうか。一昔前だったら、そんな個人的経験値など全くどうでもいいものだったと思う。

若年層の政治的な保守性というのは、保守理念への信頼ではなく、

寄る辺のなさからなんとなしに選択されているんだろうと思える。


もう一度繰り返すと、ザイオンス効果自体は、安心を求める日本社会において、Z世代を特徴づけるものというよりは、全世代通底するものかもしれない。

世代間で差が出てくるのは、プル型で得た経験値の差みたいなものなんじゃないかという、

それがむしろZ世代保守的な傾向はそのあたりにヒントがあるような気がする。

記事への反応 -
  • 増田が把握する限り、こんな傾向がある ザイオンス効果の塊である 頻繁に顔を出す人をとにかく信用する傾向がある。心理学的にはザイオンス効果と呼ばれるものであるが、その塊み...

    • Z世代って悟天・トランクスからだっけ?

    • eスポーツとかVtuberが人気あるのも 毎日毎日狂ったように長時間配信しまくってる接触効果が大きいだろうしな youtubeも人気出したければ身体ぶっ壊してでも毎日投稿しろみたいな感じだ...

    • 試合数で言ったら競馬とか何レースやっとるかわからんやろ

    • 良く知らない人からのアドバイスは無条件で「クソバイス」扱い ワイ30代やけどこんなんみんなそうやろ。 知らんやつに偉そうに説教されてもなあ。

      • 言うこと聞かせたかったらスポンサー契約してくださいって話だわな

    • ゆとり教育以降は権力に反抗しない若者しか生まれてきてないよな

      • 反抗して出来た民主党政権が鳩ぽっぽだったからな…権力に反抗したら今より悪くなる、良くなった試しは無い、というのを彼らは見ている

    • 嘘でも堂々と言えば信じる人が出てくるって言う実験でもしてるのかな? ザイオンス効果は「たまに顔を出す人」が嫌われるなんてない 嫌われるとしたら「茶々」が正当でないと判断さ...

      • 辻本や蓮舫は恫喝調だから最初の印象がネガティブ その後も定期的に文句恫喝の繰り返しだから負のザイオンス効果が発動する 君はちょっと調べたみたいだが、ネガティブに倒れるパタ...

        • ネガティブに倒れるパターンもあることくらい分かるはずなんだがなあ いやだから 「茶々」が正当でないと判断されているだけ って言ってますやん・・・

          • ちょっと違うな 茶々の正当性ではなく、茶々入れてくること自体を拒絶している

            • そりゃ「芯のある批判」じゃなく「茶々」(と判断されている)からでしょ 茶々をいちいち真に受けてられるかいな

    • データ出してよぉ

    • けつなあな確定、な? 卑劣な歴史修正主義は断じて許してはならない。 だいたい坂本が何しようがパリーグとは関係ねーだろ。 清田とか山田とかならともかく。 anond:20220924123746

    • プロスポーツの1番人気はプロゲーマーだろ

    • Z世代って定義ブレブレで年代間広すぎて全く意味がない括りじゃね >概ね1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代のことである だぜ アホだろこの括り

      • スマホ時代になってから社会が停滞してるってことじゃない? 実際10年前と現在比べてもそんなに社会の価値観に変化なくない? 所詮当時からあった価値観とか社会問題とかが順当に進...

    • エコーチェンバーの次はザイオンス効果ですかw コンサル1年生の作文みたいだな

      • おまえみたいな奴はZ世代様に嫌われるんだぞ〜!!! どうだ、怖いだろ!

      • ザイオンスがエビデンスなんてナンセンスだよね

    • 「自分の頭で考えて情報を取捨選択するのが賢い」というのは、古い時代の生存戦略。 世に情報が溢れ、少し足を踏み外すとすぐにフィルターバブルに取り込まれてしまう今の時代にと...

    • テレビ見なくなっても日本人ってテレビが唯一の娯楽だった時代と変わらないんだな

    • 民主主義と資本主義経済は多数決なので数が少ないZ世代など基本的にはどうでもいい存在 メディアも民意も無意識ではそれを理解しているのでZ世代のことは報じないし知ろうとはしな...

    • 数が少ないからな。政治家もメディアもジジババの機嫌取りで忙しいんだよ。

    • 大相撲?嘘くせー

    • 中村憲剛がある大学に講演に行ったら自分のことを知らない学生がほとんどで知名度低下に危機感を覚えたという話があったな。大学生はJリーガーを知らない。 ベイスターズの嶺井のほ...

    • 相撲が何気に若者人気あるのはガチだよね。 試合テンポが速いからネット実況向きなんだよね。

    • オジサン世代ってなんで自分が他人より一段賢くて自分を理解できないのは相手が劣ってるからだって決めつけちゃうの?

      • なんでオバサンじゃなくてオジサンだと思ったんだい?セクシズムか?

    • 全編的外れなことを言っている。   「僕に賛成しない若者たちの馬鹿である理由」を捏造したいだけ。

    • anond:20220924123746 の続き。 前回は嗜好面の特徴を書いたが、ポリティカル的な特徴も書いておこう。なおサンプルは二けた以上とだけ言っておく。 非難・批判するシーンに対して嫌悪感...

      • そりゃお前が統一教会にどっぷり浸かってるからだろ。 むしろ統一教会が今まで長引いているのは「身内に霊感商法でめちゃくちゃになった人がいたり、自分が嘘をついて勧誘を受けた...

      • サンプルはどういう母集団で何人くらいなの? ざっくりでいいからもう少しだけ詳しく

    • こんなって列挙してる割に、一番はじめの仮説の具体例でかためてて、発見した気になってるの実質一個じゃん。母数どんだけあってそれなの。それとも母数がないの。

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