特に悪いことをしたわけではないが
定時で上がる時は俯きながら逃げるように
会社を後にする。
「夕焼け小焼け」が垂れ流されていた。
退屈だ、大体のことに興味が持てない。
冷めた日常を押し流すように
強めのアルコールを喉に流し込めば
朝になるまでの数時間は気がまぎれる
そしてまた 現実を突きつけられる日々
後輩の冷ややかな目
を思い出すと憂鬱になる。
あげる
最低限の会話と最低限の仕事をこなして
終わりを告げるチャイムが鳴れば帰路につく。
しかし確実に歳はとり、 老ける。
シワが増え 記憶力と体力も低下していく
白髪が混じりの44歳。
考えたくもない。
上司に定時で上がることを告げた。
正直、気分が高揚していた。
リビングへと向かう。
夕食を広げると同時にテレビの電源をつけた。
映し出されるスタジアム。
誰にも言ってないが最近の楽しみがこれだ
点が決まると独りで雄叫びをあげる。
お酒が進む進む。
前半戦が終わりハーフタイムになって
一息ついた時、我に帰った、
「俺が応援したところで何があるのかな。」
「ただ1人で叫んでいるだけではないか。」
たまにあるのだ、
そんな時はアダルトビデオでも見ればいい
ひとりの時間は十分過ぎるほどあるんだ
そう思い、ブックマークしてあるエロサイトの中からDMMの文字をクリックした。
しばらくページを眺めるが
すぐに手が止まっていた。。
違うなぁ、何か違う、何かこうなんとなく虚しい 虚しくて涙が溢れてきた
泣いても 仕方がないのはわかっているが
こんな年にまでもなって、いつまでも同じことを繰り返している自分が情けない。。。
こんなはずじゃなかったなぁという思いが
込み上げて涙が次から次へと溢れて止まらない。 無理して住んでいる家賃が高いアパート。
無理して新車で買った車。
すべて偽物の願望で、空虚な心を埋める為に過ぎない。
顔を上げて洗面台に写る、幼いじじい どうしようもない。 声を上げ奇声を上げ咽び泣く。
疲れては果てて、感情を抑えきれなくなり
横になって体を震わせた
そして胎児のように丸くなった。
そこに写っているのは
まだ幼い頃の私と弟と父、母
あぁ、この頃に戻りたいなぁ。
意識が遠のく。やり直したいなぁ。
生まれ変わりたいなぁ。
しばらくして
隣の部屋に置いてあった携帯の着信音が珍しく鳴っていることに気づいた。
のそのそと音のなる方に近づき、なんなら出る前に切れてほしい思いとは裏腹に
着信音は鳴り続けた
また昔みたいに県外に泊まりでさ! 」
声に出してはみたが頭の中で
反射的に面倒という文字が浮かんだ。
思えば相手の要求に対してつい良い顔をしてしまうのが昔からの癖だ。
数年前、自分含め友人三人でスキー行ったのだが自分以外の二人はちょくちょく会っているようで
そこにどう入っていけばいいか分からず あんまりいい思い出はない。
翌日、
スキーの為になまった体に鞭を入れようと地元のフィットネスクラブに向かった。
土曜の昼過ぎと言うこともあり、閑散としている
受付と着替えを済ませ
鏡の前で、20代後半らしき女性がストレッチをしているのが見えた。
自分もとりあえずランニングマシーンの電源を入れペタペタと歩いてみる。
視界に入る女性のヨガか、太極拳かよくわからないがとにかく気になって悶々とする。
顔に出ないように心がけるが、むっつり顔になっているのが自分でもわかる。
30分くらい走っただろうか、顔と背中に汗が滴っているのが分かる。鏡に映る自分はいつもより爽やかに見えて
この際ストレッチをしている女性に声でもかけてやろうか!と考えた。
「おつかれさまです!! 体柔らかいですね!」
「よかったら一緒に走りませんか?」
いつのまにかおばさん達もいなくなって
あと一回り若ければチャンスだったかもしれない。
こっちに向かってくる男性が目にとまる。
私はすぐにマシンを降りて気付れないように二人の様子を伺った。
すぐに二人が親密な関係なのが見て取れた。
危ない危ない
まるでスーパーマンのようにきらきらと輝いていた。お似合いなのだ。
そう悟ったら一気に恥ずかしくなった。
着替えてジムを出てそのまま
また涙で視界がぼやけてきた。
どのくらい時間が経とうが構いやしなかった。
予定も何もない土曜の昼過ぎに汗だくのおじさんがただ独り、意味もなく命を消費している。
人としてこの世に生まれ 私は何を残せているだろうか?
目を瞑り、お得意の答えのない答え探しの時間に入った。
それは蜂やハエやムカデだったり季節ごと様々だが、見つけたら容赦なくシューズで踏みつけ
その死骸をつまんで作業台の上に乗せる。
拡大鏡を取り出し、潰された虫の変わり果てた姿をまじまじと見つめていると段々気持ちが楽になる。
少し経って死骸に問いかける
「お前は何の為に生きていた?
私に殺された気分はどう?死んだら生まれ変わったりする?」
返事はないようだ。
鬱陶しければこの虫けらのように
いや既にされているのかもしれない。
目立たず大人しく弱々しく
誰にも見つからないように
生きてきたのに、存在自体が認識できなくなって今じゃまるで透明人間のようじゃないか
行き交う人はすり抜けるように私のことなど見てはいない。それは自分が望んだことでもあるが
そんな気持ちも心の片隅に顔を出している
これからどんな事をして、何を食べてどんな生活を送れば 世間からいいねを貰えるのか。
案外私と同じ悩みを抱えているの人も多いかも
しれんなぁ。」
なんだか前にも同じこと考えた気がする
びっくりするほど撫で肩になった。
指先がとても冷たい。帰ろう、
間接照明が照らすダイニングキッチンの隅に小さく丸くなり、ぼんやりと薄暗い部屋を眺める。
出てきた検索欄に「女性と話す方法」と入力したページを無表情で黙々とスクロールしていくうちに。ガールズバーに行こうと思い立った。
丸見えだし気が引ける
次の週
前より孤独感や焦燥感、不安で目眩と吐き気が増した気がしたがなんとか踏ん張った。
上司に「今日は体調が悪いんで定時で上がらせて下さい」と告げ会社を後にした。
いつもならまっすぐ、アパートに帰り
空いた時間をゲームとアダルトビデオで埋めるのだが、今日は久々に実家に帰りたくなった。
ドアを開けると空き家という感じはしなかった。
まだ生活感で溢れているせいか、つい最近来たようなそんな感じがした。
父も母も数年前に亡くなり、四つ離れている弟も
県外で暮らしている。
数年ぶりに二階にある
自分の部屋にも入ってみた。
しばらく、ぼんやりと立ち尽くしていたが、市の防災無線から流れる「夕焼け小焼け」
のメロディーが
部屋を出る前に押入れから家族写真を取り出してポケットに入れた。
早く戻ろう。悲しくなる前に。
※繰り返される日々
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小走りで駆け下りるの時点でセンスがない
つまらなかった。つまらないことが主題なのかもしれないが、それと文章がつまらないことは分けて考えたい。 例えば高級感のある絵を注文された画家が、ダイヤモンドで彩った絵を制...
anond:20181120075905
DMMまで読んで、いやFANZAだろって思って先が読めなかった。(旧DMM.R18はFANZAになりましたって、オモコロのヨッピーが何か書いてただろ)
アレンジして書き直したよ 夕焼け小焼けのメロディは今日も変わらない。 それだけじゃない、俺の日常は朝から晩まで何一つ変わらない。 今日も昨日と同じように、上司にビクつき...