はてなキーワード: さしことは
実家の親が年とったのでときどき手伝いに行ってるんだが、百姓の成れの果てで小さな畑がある。家からはちょっと遠いので親はもう行けないから、たまに行って、草取りぐらいする。
というようなことを書くとずいぶん田舎のようだが、実はこの畑、住宅地の真ん中。住宅地に畑をつくったんでなく、もともと田んぼばっかりだったところがいつの間にか住宅地になって取り残された。資産運用とかうるさいけど、面倒だから放っておいたらそうなった。
今日、その畑に行く前に便所に行って「だいじょうぶ」と思ってたんだが、急にさしこみがきた。山の中の畑だったら迷わずそこでズボンを下ろすのだけれど、まわりは住宅地。向かいには保育園まである。ここでしゃがむわけにはいかない。中途半端な住宅地なので、コンビニとかもない。
最終的に納屋の中でどうにかしようと決断したときにはもう手遅れ。増田らしく漏らしてしまった。
この納屋、畳1畳分ぐらいしかないところに耕運機とかその他の農具や資材がつめ込まれていて、そもそも身体を入れることすらままならない。それでもそこに無理やりねじ込むとアクロバットのような姿勢で用を足した。
納屋の床は土のままなので、シャベルですくって外の畑の肥料に埋めた。
そこから、またアクロバットのような姿勢で、汚れをどうにかして、汚れたパンツを水道で洗って柿の木に干したところで、遠縁の親戚だかなんだか知らないけど、地元のあんちゃんがきた。
女子はごみを見るかのように口を歪め、男子は底意地悪くほくそ笑んでいた。
なぜ僕がいちごのへたなんか食べたのかというと、以前の調理実習で女子が僕の食べかすだけとても忌々しそうに摘みとっていたことがトラウマとなっていたからだ。
僕はなるべく残飯を出したくない達なのだけれど、それがどうも貧乏くさく見えたようだ。
大学時代、何となく参加した飲み会で手持ち無沙汰となったために黙々と手羽先を食べていたら、はるか向こうから僕を指さしこそこそと笑われた。
ただひたすらに青葉が好きなだけなのだが、
要らぬ世話を焼くことが生きがいとでも言いたげな女に「それは食べるものじゃないですよぅ」と諭された。
グリーンカレーに入ってるの食べて周囲が苦笑。
反対にナポリピッツァのバジルを残して「行儀が悪い」と陰で言われていたこともある。
そんな僕だが鮭の皮を食べる人だけはどうしても理解できない。
賃金は安いし、ノーといえない下請け仕事も多く、採算度外視で全力を注ぐ羽目になる業務がさしこまれ、
ひどい残業。
ビジョンも現場と上とが食い違っていて、どこに向かっていいのかわからないまま
みな目先の仕事で手一杯。
だれも経営してない、いつまで体力がもつかわからないっていう、
スペックの詳細は隠すけど、仮にAと呼ぶ。
こんな零細にそんな人、なんでこんな会社に応募してくんのか、
それを見抜く力のない社長は、
やたら高スペックのAをチャンス、とでも思ったのだろう。
Aはきりっとした様子で、晴れて入社日にやってきた。
零細に突如あらわれた高スペックのAを、みんながまぶしく思った。
なにより人当たりがよく、入ってすぐ古株の社員と打ち解けた。
Aは慣れないながらも、一つひとつ、
与えられた仕事を着実にこなしていたように思う。
少しクオリティは甘いかもしれないが頼んだ方も気持ちがよくなる、そんなタイプだった。
そんな彼が、あることをきっかけに、
突如、会社に来なくなった。
そういう日が何日か続いた。
電話をしても、つながらない。
何回かけても、かかってこない。
しばらくつながらない状態だったが、
ある日、Aから連絡が来た。
「体調が悪くて、出社できず申し訳ない。なんとか生きている」、といった内容だったようだ。
いったい全体、どんな体調なのか…
様子を見に家に行こう、という案が出た。
という連絡が来た。
なんだ、よかった、と上司はほっとした。
……
そこからどうなったかというと、彼は、もともとある病気を抱えていたとのことで、
今も休養中だ。
俺はIT系じゃないから良くわからないが、IT系(ウェブ系っていうの?)でその技術力がある会社ってのは、はてなやらDeNAやらクックパッドやらグリーやらLineやらってことらしいけど、その技術力でもってやっていることって大したことねぇよな。だって、つくってるのって、スマホのゲームやら料理のレシピサイトやらって、しょーもないもんばっかりじゃん。
じゃあ、どうあれば技術力があるか?ってのはたとえば、ロボットを作るとか、ホログラムを作るとか、脳味噌にプラグさしこんでハッキングするとか、そういうことやってほしいなぁと思うんだけど。それってやっているとこっていうか、研究しているとこあるんだろうけど、そっちが有名になってほしいなぁというか。
ランチで食べたおいしいサンドイッチのことなんか、もうとっくに頭にはなかった。
そろそろ日も入り方になるころ、俺はこの日の仕事を終わらすために、パソコンの画面に食いつきながら、エクセルにせっせと文字を打ち込んでいた。
昨日もおなじように頑張ったけれど、ついに定時までには終わらず、夜遅くまで残業した末にやっと家に帰って、先週借りたままだったDVDをぼうっとした頭でみたのだった。
かたい決心をもって根気よくパソコン画面に対していた。
陽気な上司がぽんぽんっと俺の右肩をたたいてくる。
妙なにやにや顔で、あすの会議についてながながしゃべり立てる。
今やっている仕事とはまったく関係のない話を聞かされたら、ふたたび仕事に取りかかるより前に、みずからのデスクへ戻る上司の背中の上にある、掛け時計の示す時間が、有無を言わさず俺の視界に入ってしまった。
ああ、きょうも終わらないや。
先週借りたもう一本の、新人さんのやつ、風呂上がりにゆっくり観るつもりだったのに。
きょうはきのうと同じで、また同じようなあしたへとつながっていくんだ。
はあ。
まさにそのときだったのだ。
若い女子社員が懸命に仕事をしているはずの、俺のはす交いのデスクから、ぐうぐうぐうと、大きい音なのに少しもいやな感じを起こさせない、きもちよさそうなイビキ声がきこえてくる。
この忙しいときに部下が寝てやがる。
でも俺は、怒るどころか、起こす気にもなれなかった。
まだお昼寝タイムになっていないのに眠ってしまった保育園児を、起こさずにほほえましく見つめている先生みたいに、いとおしい心地にひたりきって、ただただ彼女を見守るばかりだった。
ぐうーぐうーぐうーぐうー。
いつも鋭い目つきでばりばり仕事をする彼女からは想像もできない、とろんとしたお目目と、ちょっとよだれが垂れてる半びらきのかわいいお口。
おい、このやろう、寝やがって、ばかやろう、ばかやろう。
小声でつぶやいたら、なぜか笑いをこらえきれなくなったので、俺はもういちど真剣な目をつくり、よしっと気合いを入れてパソコンの画面に向き直った。
原作読んだこと無いし、もともと剛力彩芽にそんなに反感ないし、ていうかもうちょっと頬骨張ってたらアメリカあたりで絶世の美女扱いされてそうだなっていう感じだし(森理世的な)、自分は本好きだし、ドラマも好きだし、ネット評とは相反して意外と楽しめるんじゃいかと思って。
なにが無理なんだろうって考えたのね。
いや、考える必要もないんだけど、だって剛力さんが夢に出てきちゃうんだもの。たった10分間の映像でこの人はなんでこんなに自分にダメージ与えてるんだろう、みたいな。
で、思ったんだけど、中学とか高校ってスクールカーストがあるじゃない。人気者が一番上で、オタクが最下層。その間に細かい階層がピラミッド型に形成されてる、的な。だけど、実質このピラミッドは二つあると思うのね。陽のカーストと陰のカースト、みたいな。サクッといえば、体育会系と、文化系の違い。体育会系のピラミッドのほうがより高位にあるけど、文化系のピラミッドもそれはそれで成立している。たとえば、今で言えば栗原類とか高校にいたら陰のカーストの最上位なんだろうなって思うのね。
この二つのカーストは全然相容れないわけ。交わってはいけないの。体育会系は明るいところで、太陽浴びてボディアンドソウル踊りだせばいいし、文化系は暗いけど涼しい校舎で、ほんとの幸せ探してればいいんです。
自分はバリバリ陰のカースト側で、学校で一番好きなのはいつも図書室だった。ちょっと埃っぽくて薄暗い本棚の間をすり抜けて、本棚と本棚のすき間にある小さな机と椅子が、自分の特等席だった。教室だと、陰のカーストと陽のカーストがごちゃ混ぜでいつもうるさくて、気の休まる暇がなかったんだけど、図書室は陰のカーストのテリトリーだった。陽の側の人って、絶対図書室なんかこないでしょ?学校生活はストレスそのものだったけどなんとか切り抜けられたのは「図書室」っていう聖域があったからだと思う。あんまり人の手に取らない本から舞い上がった埃が、すこし視界を曇らせて、そこに後の窓から柔らかい光がさしこんで、ソフトフォーカスのセピア色の写真みたいに見えて、遠くの校庭から運動部の声が聞こえてくる、その声の遠さにまた少しほっとする。そんな癒しの場所だったのね。
だから、ビブリアの冒頭見たとき、「ああ、いいな」って思った。懐かしい、って。最後に誰が手にとったかわからない本が山積みになってその中に埋もれるような場所がある。ああ、なんて素敵な。
で、そこに座ってるのが剛力彩芽。
いやいやいや。
もう、なんていうか、輝いちゃってるのね。薄暗い場所で。陽の雰囲気を隠し切れない。私、ハツラツとしてます!活発です!運動神経いいです!校庭駆けまわってます!思ったことはなんでも言っちゃいます!ときどきそれで角も立つし、誤解されたりもするけど、それもまた魅力でしょ!っていう。どっからどうみても、陽のカーストのトップはっちゃってるわけ。アタックNo.1なの。
違う、違う、違う。あんたはそこに入っちゃいけない。そんな埃っぽくて薄暗い所は、あんたには似合わないからさ、お願いだから、はいってこないでって。そこはね、陰のカーストの人間の、数少ない聖域なんだよ。明るい方の人は、いいじゃん、居場所がいっぱいあってさ。教室も校庭も、体育館も、みんなあんたたちで埋め尽くされてる。でも、私の場所はそこしかないんだよ。たとえばそこに綿矢りさがいたら納得して譲るよ? でも、そこにアタックNo.1がいるのは無理だ、聖域の陵辱だ。