2014-12-13

バッタ

博士課程 Advent Calendar です(http://www.adventar.org/calendars/548)。これ書きました http://anond.hatelabo.jp/20141201200815

いくつかトラックバックが付いていたので、それに関してコメントを。


モチベーションの保ち方について

博士課程の学生はみんな三度の飯より研究大好きモチベーション維持できないやつは進学する資格なし!!!!と言われたりしますが、それは多分あまり正確な話ではないです(ちなみに私は三度の飯のほうがよっぽど好き)。モチベーションを含め、自分をちゃんとコントロールするのは難しいので、それを三年間で身につけたら良いのかなぁと思っています

まず、多分人間誰しもモチベーションが下がるときはあります(そうならない人は才能だと思うので大事にしてください)。そういう時に無理して研究しようとすると、研究は進まないし時間は浪費するし、かなり精神的にクるので、やめた方がいいです。私の場合は、事務的に出来る作業をやるとか、諦めて遊んだします。

ではモチベーションを下げないようにするにはどうしたらいいか、という話ですが、2つ実践していることがあります

1つは、短期的・中期的・長期的な目標自分で立てること。で、ちゃんとできたかできなかったかフィードバックをして計画を立て直します。

例えば長期的な目標(= grand goal)を、◯◯という論文誌 or 国際会議投稿する、という月単位目標として設定したとすると、中期的な目標は、いつまでに手法を考え、実験をし、論文の初稿を仕上げるか、という週単位目標として、短期的な目標は、この論文今日理解する、とかこのコード今日は書き上げるとかという日単位目標になるかと思います。((もちろんもっと長いスケールでも目標は建てます))

で、大事なのは、長期的な目標ほど死守する、ということだと思いますケツカッチンだと取捨選択がちゃんとできて個人的には良いです。逆にいつまでもグダグダ手法を考えたり論文を読んだりするのは得策ではありません。諦め(=取捨選択)が肝心です。

もう1つは、先に述べたことと関連していますが、研究テーマにあまりこだわりすぎないことです。一つの分野で何十年も研究を重ねるのが素晴らしくて、ころころ研究分野を変えるのはあまり好ましくないという先入観が(私には)ありますが、その美徳を全員に押し付けるのは酷なことだと思います。何十年も同じ研究分野で研究をできるのは才能だと思うので、それができない人は、諦めましょう。面白い研究分野に移りましょう(このように吹っ切れたのは最近のことで、チューリング賞授賞者と懇談会をしたときに、飽きたら研究分野変えたらいいじゃんアホかお前は、みたいなことを言われたのでそれに後押しされたのが大きいです)。ただ、移るだけ移って勉強をして終わりではあまりコスパが良くなくて、移ったからには何本か論文書くぞ、という気概を持つの大事だと思います


研究時間が少ない

基本的はいつでもどこでも研究ができるので、研究室に長時間いるということはありません。その点は情報系の利点だと思います(生の実験があるところだと、実験装置スケジューリングがあって、夜中に実験するはめになったりするらしいですね、つらい)。あと私の場合は、一日のうちで集中できる時間が限られているので、特に研究時間が少ないと思います。ヘタすると4時間くらい集中してやって終わり、ということもあります。長時間集中すると、翌日廃人になるので、継続的に良いパフォーマンス研究をしようと思うと、このくらいの時間がよいのかなと思って今はその生活リズム生活しています

研究時間の話は人それぞれなので、自分特性をきちんと把握するとよいと思います。長時間研究室にいる=すごい、短時間しかいない=クソ、という図式は、人間多様性無視しているので捨てたほうがいいです。自分特性を把握して、ベストパフォーマンスを出せるように生活したらよいのです。諦めが肝心です。


モラトリアムm9(^Д^)プギャー

24時間の使い方を自分裁量で決められるので、趣味時間とか取れていいですよ。このような生活を維持したいです。


学振貰ってる場合バイトは一切禁止。インターンとかもってのほか通報しますた

バイト、禁止です。TARAは頑張っても月数十時間くらいしかできないのも仰るとおりです。

実はインターンシップは、自分研究計画に資する研究を行う場合ならば、いくつか条件を満たせば参加可能なのです(http://www.jsps.go.jp/j-pd/data/tebiki/h26_tebiki.pdf の p.33)。

ただし手続きちょっと面倒臭いです。海外インターン場合は、まず学内インターン参加の許可を得る&海外長期滞在の許可を取る必要があります。うちの大学だと研究科レベル教授会にかける必要があるので、ヘタしたら数ヶ月待つ必要があります学内の許可を取ったあとは、それを学振に伝えてさら学振からも許可を取ります。こうして晴れて堂々とインターンに参加することができるようになります。このような手続きを踏んでいるので、少なくとも今回私が参加したインターンはlegalというわけ。

ちなみにインターン給料をもらうと自分確定申告しなければならないので、それもちょっと面倒です。外貨給料もらった場合どうしたらいいのかわからんぜ...。


博士課程修了後の予定はありますか?

考えている進路はあるのですが、あまりそれを書いても面白く無いので、一般論を書きます。ただし、私はまだ仕事経験していないので、だいたいは噂・妄想です。

進路はアカポス企業かに分かれると思いますアカポス志望の場合は、だいたいD3の夏過ぎ頃から助教ポスドク公募がでて、それに応募して次の4月から採用、というスケジュール一般的なようです。また学振からお金を貰うポスドク場合には学振と同じようにD34月だか5月に申請し、11月/12月に結果が出る(面接場合さらに遅い)ようです。優秀な方はポスドクを経ずに助教なるみたいですが、学振PDはかなり自由なので、これと迷う方もいらっしゃるようです。企業志望の場合は、一般的企業採用プロセスに則って就活をすることが多いようです。ちなみに、国外場合も、時期は日本半年ずれたりしますが、アカポス場合公募メーリングリストで回ってきますし、企業場合公募の形を取っているものが多いようです。国内場合は、学会などで顔を売りやすいので、就活はしやすいかと思いますが、海外場合はなかなか大変なようです。馬鹿正直に公募に応募しても、書類審査落ちすることが多いとか。なので、中の知り合いを作るのがよい、というのを聞いたことがあります

次にそれぞれの利点欠点を考えますアカポスの利点は、自分裁量が大きいということかなと。自分研究テーマを決めて予算を取ることができます。共同研究とか自由にできます企業だとそこまでの自由はないっぽいです。ただし、アカポス任期があったり、ポスト数が企業と比べると圧倒的に少なかったりします。なので、多分プレッシャーは大きいです。あと引っ越しとか多そうです(良さげなポストが空いていれば全国どこへでも引っ越す可能性がある?)。また大学企業ではアクセスできるリソースに違いがあると思いますアカポスだと好きな機器を買えたり、好きなシステムを作れたりしそうですが、全部一から作る必要がありそうな気がします。企業だと、例えばニュース配信アプリを作ってるようなベンチャーだと、たくさんのユーザアクセス可能な環境がすでに整っていたりします。

どちらが良い・悪いという話ではなく、どちらが自分に向いているか・向いていないかという話なのであしからず


情報系は金回り有利そう

他の分野は知りませんが、インターンとかあるし、就職の幅もそれなりにあるので野垂れ死ぬ可能性は低そうです。生の実験とかをすることがないので、研究予算がそんなになくても最低限研究できるのもいいところだなと思います


DC1は明らかに学校もしくは研究室名前で合否が決まる

DC1がよく通っている研究室は、そういう指導体制スケジューリングうまいんだと思います。申請書を先生や先輩がちゃんとアドバイスできたり、先生学振を見越して学生のケツを叩いてくれたり。通った人と知り合いになって、通った申請書を見せてもらったり、あわよくばアドバイスを貰ったりすると良いと思います。通ったらその分後輩の面倒を見て恩返しをしましょう。


情報系において民間ではなく大学からこその強みってなんでしょうか

このあたりはあまり自分でも結論が出ていないのですが、大学はカネにならないことをやってもいいところなので、そういうことを堂々とできるのが強みだと思います。例えば、理論研究を行って最終的に会社が儲かるというストーリーを考えるのは難しいので、それを仕事として行うのは難しいと思いますが(企業利益に全くつながらないことをやってる人間給料研究費はあげられないですよね)、大学だと論文を書いたりすれば良いので、堂々と理論研究できると思います。また、夢を語る系の研究(こんなことができたらいいよね、こんな世界になったら良いよね)というのも、企業よりは大学のほうが気兼ねなくできるのかなと思います


社会人ドクターってどう思います

特にポジティブネガティブ感情はなく、単純に大変そうだなと思います会社の業務に追われながら博士論文を書いたり大学博士課程学生に割り振られている仕事をこなしたりするみたいなので。ただ、博士号を取るパス博士課程に正規で入学するパスだけになってしまうのはなんとなく健全ではないような気がするので、そういうオプションを後世に残すためにも頑張ってください。

またなにかあれば。

記事への反応 -
  • 以下、国立情報系D2の場合の博士課程生活について。 Q1. 博士課程ってなんですか A1. 博士後期課程の略。学部4年、修士課程2年過ごしたあとに、さらに(通常)3年間大学に在籍して研究...

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