呉座勇一氏の騒動について、彼の雇用がどうなったかについて誤解があるようなのではてブに突っ込んでみます。
日文研の元助教に懲戒処分 長期にわたりSNSで不適切発言繰り返す|社会|地域のニュース|京都新聞
[B! 炎上] 日文研の元助教に懲戒処分 長期にわたりSNSで不適切発言繰り返す|社会|地域のニュース|京都新聞
shigak19 「10月から日文研の非常勤の機関研究員となっている」非常勤とはいえ雇用継続か/しかしここのコメントにもひどい二次加害のコメントが。一方的な誹謗中傷を受けても「被害者」じゃないのか
differential 少なくとも北村氏は明確に中傷の被害者だったよね…/研究者のポストは残ってよかった。己の中の黒い感情の手懐け方を身につけて、悪いおトモダチとネットで遊ぶのはほどほどにして笑、研究に邁進して欲しい
こういうのを「雇用継続」とか「ポストは残った」とは(言っちゃ駄目とは言わないけど)普通は言いません!
正社員の地位を解かれパートになるのを「雇用継続」とか「ポストは残った」って言います?
研究者の世界には「テニュアトラック」という制度があります。簡単に説明すると、「数年間は任期付の正社員として雇用し、その数年間の業績を評価して終身雇用の正社員にするかどうか決める」という制度です。
多くの場合、テニュアトラック期間中は「助教」という職位(assistant professorの訳)で、テニュア審査に通ると「准教授」という職位(associate professorの訳)になります(もちろん例外は多々あります)。
これはもともとアメリカの大学で採用されていた制度ですが、現在は日本でも一般的です。とはいえお国柄による違いというものはあり、アメリカではけっこうな割合でテニュア審査に落ちる(つまり終身雇用への移行が拒否される)ことがあるそうなのですが、日本でテニュア審査に落ちたという話はあまり聞きません。採用人事大変だし、数年間も一緒に仕事してるわけだから勝手もわかってるし、何より日本には定年制がありますからね。
(アメリカでは定年制は年齢差別となり違法なので、一度テニュアを手に入れたら死ぬか自発的に辞めるかしない限りは職に留まれます。一方、日本の大学には基本的に定年があるので、どんな偉い学者でも定年を迎えれば退職です。これを利用して、定年を迎えたノーベル賞級の偉い学者を教授として迎え入れ、受賞者が出たら「うちの先生がノーベル賞を獲りました!」と大々的に宣伝している私立大学というのもあります。選球眼がすごすぎる)
呉座さんはこのテニュアトラック枠で2016年秋に採用されていました。任期は5年だったので、何も問題がなければ今年の秋にテニュア審査を受けて助教から准教授になれた、すなわち国際日本文化研究センターに定年まで留まることができるようになっていたはずでした。
しかし、現在の彼の職位は非常勤の機関研究員。これは世間一般で言うところの「パート」「バイト」の身分です。ほぼフルタイムで勤務している場合もありますが、それは長時間パート勤務をしているというだけで、正社員という待遇ではありません。
つまり彼の地位は「数年間という期限つきの正社員」から「バイト」にまで落ちたということになります。
呉座さんの場合、博士号もあり、学術的・啓蒙的な著書を何冊も出しているので、今回の騒動がなければ准教授になれていた、つまり定年まで組織にいられる正社員としての身分を手に入れられていた可能性は非常に高いでしょう。逆に言うと絶妙のタイミングで告発が出てきたということで、人の恨みを買うのが一番怖いという話ですね(本人も「もうちょいで准教授になれるぜヒャッホウ!」と思っていたんだろうなぁ)。
10月付で肩書きが助教でなく研究員になってる模様( https://research.nichibun.ac.jp/sp1/ja/researcher/staff/s377/ )。謝罪もしたし処分も受けたという理解。 この件 https://b.hatena.ne.jp/entry/4699963914661886050/comment/Fuggi
10月付けで肩書が助教じゃなくなるのは上で書いたように既定路線でした。ただ変わった肩書が予想外すぎたという話で。
賃金は出てると思います。というのは、上で書いたように呉座さんは今後も日文研で仕事を続けることが見込まれていたので、10月以降も呉座さんがするはずだった仕事が残ってた可能性があるんですよね。ひょっとしたら外部の研究費を取ってきてたかもしれないし。仮にそれを処理するために非常勤で雇用されてるとすると、当然(具体的に「これこれこういう仕事をしろ」と指揮命令を受けているわけだから)賃金は払う必要があるはず。
なお、賃金が出ない研究員というのもたまにありますが、それは「就職先が見つからない院卒者に○○大学所属という肩書と学内施設へのアクセス権を与える」ための措置なので、具体的にどんな仕事をしろとか命じることはないです。
大学教授に他の大学に所属している研究者の雇用をどうこうするような権力はないです。処遇を決めたのはあくまでも日文研で、北村さんにはその決定に関わるなんの権限もないはず。
ただ、北村さんが一般向けの媒体とかにも寄稿している有名人だったからこそここまで問題になったというのはあると思います。無名の研究者にハラスメントしてたら雇用先に気づかれず逃げ切っていた可能性もある。とはいえ無名の研究者だったらここまでタゲられてなかった(有名だったからこそ粘着された)でしょうから、無意味な仮定ですが。
KKElichika 勤務時間外=使用者の管理外⇒本来懲戒処分権の範囲外&ほぼ業務とは無関係の行為ってこと考えると、結果的に法人の評価を貶めたとみても、停職1か月は相場より重い。訴えられたら負けそう。訴えないだろうけど。
これ、研究者の間では「SNSでの誹謗中傷」というよりも「アカハラ案件」だとみなされているんですよ。歴史学者が出した声明とかもその線に沿ってるので。それでハラスメント案件として重めの処分になっているんじゃないですかね。完全に憶測ですけど。
ただ、これどう考えてもアカハラじゃないんですよね。北村さんは呉座さんと面識がなく、タレコミがあるまで誹謗中傷のことも認識してなかった(それまでは彼女の研究活動その他に影響を与えてなかった)わけで、アカデミックな場で行われるハラスメントとは言いづらいものがあるというか。所属機関も所属学会も専門分野も違っていて、なおかつ面識がない相手に行われるアカハラって聞いたことあります?(同じ会社に勤めているわけでも取引先というわけでも同業他社ですらなく一度も会ったことない相手へのパワハラ、とか、私は聞いたことない……)ていうかそもそも、川上未映子さんや三浦義隆弁護士の悪口まで言ってたんでしょ。アカデミック関係なくない?
「アンチフェミ・アンチリベラルのツイ廃がフェミ・リベラル界隈の有名言論人の悪口言いまくってたら、たまたまどっちも博士号持ちの研究者だった」というのがことの本質だと思うので、「男性研究者が女性研究者にハラスメントしてた」というフレームは違う気がするんですよね。銀行員が帰宅途中の路上で強盗に襲われたのを銀行強盗と呼んでるみたいな感じ。もちろん強盗はよくないことだし罰せられるべきだけど、それを「銀行強盗」と呼んだり「銀行強盗をどう防ぐか」みたいな話に繋げたりするのはなんか違うというか……
呉座さんの問題は本人の問題としても、そういう人がアカデミックな場所に職を得たらダメでしょう。 せいぜい、アマゾンの倉庫かウーバーイーツの配達員が関の山。
ちゃんと覚えようね フェミ❌ フェミニスト❌ 笛民⭕️