2021-07-11

さようなら、すべてのドラゴンクエスト

1を高校生時代リアルタイムでやったおっさん世代。8(PS2)までやってゲーム自体から距離ができてた。

生活に余裕もある事で、15年ぶり位にSteam版でドラクエXI遊んだけど、ものすごい進化集大成感、そして満足したって話を書く。

思いついた事だけつらつら書く。ネタバレ全開なので、少しでもやろうと思ってる人は読まない事をおすすめする。

震災復興メッセージがあるよね。

主人公の育った町が破壊され、やがては復興する。かつてのナンバリングでも同じように街が滅ぼされたり、街を発展させたりするエピソードはあったけど、皆で力を合わせて日常を取り戻そうとする描写とか、強くあろうとする普通の村の人々の声や態度とかが、一見するといつものドラクエなんだけど、震災経験してから見ると言葉に重さがあってなんかたまらくなる。

また、かつて有った国や町が滅んで、別の地域に移り住んだ人の8人目のあいつのエピソードや、滅んだ国やそこで亡くなった人に思いを馳せるシーンがさりげなく描かれていて、思わず涙した。

一回目のエンディングでのあのじいさんの行動とか表情とか、もう悲しくてたまらなかったな。

ジェンダー問題をすごく意識した作りだよね。

シルビア、もうシルビア良すぎだろ。彼と対話する人間が、彼が自認している性別ありのまま受け入れて、それを前提に会話している所でシビれた。仲間の台詞とか、対話相手言葉とか。厳格な父親でさえそうなの。普通だったら父親との確執性別に対する由来なんかを脚本に入れて来そうなもんだけど、それを一切入れない、これは性に関する問題脚本を避けているというより、そんな事はとっくに解決した世界ので出来事として扱われているのが凄かった。

昭和平成のノリならオネエネタで弄りに行く表現や、それって良くないよね的な表現メッセージを入れてしまいそうな所だけど、暗にそんな事はこの世界では既に解決してますよ。という状態だけにして物語を進めているんだよね。ちょっと滑り気味世直し隊のギャグもすべてそう。

多分脚本表現の至る所にそのコンセプトをきっちりマネージメントして最大限気を使っているのがひしひしと伝わりました。保守的ゲームなのにこういう所がしっかりしてるの凄く良い。

そのくせに奴は、特技で「レディファースト」とかいうのを持ってて、戦闘自分の番を女性キャラに譲り渡す。ってのがあって戦闘中にも関わらず「お先にどうぞ」とかめっちゃ紳士対応しててげらげら笑ってしまった。

エンディングが終わってからが本番開始。そしてタイトル回収

1回目のエンディングまではひたすら一本道のシナリオゲーム構成で、一つの問題解決しないと次には進めない構成を徹底してた。

かにリッチムービーとかシナリオは満足感高いんだけど、遊んでるというより、ひたすら一本道の簡単戦闘の合間に映画みてるというか、作業感があるんだよね。悪くはなんいんだけど、なんかヌルい。UIでも「次にこれをやれ」という記述が徹底していた。最初の方の戦闘とかヌル過ぎて、あードラクエもすっかり今風の作業ゲームなんだなあ、って思いながらやってた。

あと「過ぎ去りし時を求めて」ってサブタイトル、後ろ向きでノスタルジーだなって思ってた。

実際にエンディング後はノスタルジー便りの作りになっていた。でもあえてそれをやる潔さがあって逆にこれで良かった気がする。

そもそもドラクエって日本的文化に根差した凄く保守的ゲームで、要は水戸黄門だよね。

主人公達は様々な街を冒険して、そこでの問題解決をしたり、人々の悲喜こもごも出来事に遭遇しながら諸国漫遊をして

最終的にはボスを倒す。という作り。ゲームの内容もひたすら同じことを繰り返せば、だれでも強くなってクリアできるし反射神経や頭を使う作業はいらない。(但しウマレースを除く)

実際海外ではFF程売れてないらしい

https://www.masurao-channel.com/entry/2019/06/22/142149

オリンピック開会式でやるらしいけど世界的な知名度低そうなのに大丈夫か?

でもシリーズ3作目までのドラクエって実は1本道感って薄くて、様々な謎やヒントが各所に散らばって並列して謎が提示されるんだよね。ある意味不親切。下手に見えない境界を越えると強すぎる敵に遠慮なく殺されて、痛い目見て学ばせたり、情報の整理や試みをユーザーに委ねる感じなの、HPMPアイテムリソース管理も厳しくて、それが逆に常に緊張感を生んでいた。だからふっかつのじゅもんと共に、街の人の言葉のヒントをメモしてて、その不便さを楽しんでいたというか。文章入力型のアドベンチャーゲーム系譜としての不便さや謎を解く楽しみを持ったゲーム感があったよね。

その昔の感じがゲームの後半からだんだんと強くなって行く感じが良かった。ある時から一気にできる事が増えて、突然理不尽に強い奴と戦う羽目になって全滅とかした。これは今は無理だな。とかちゃんと思わせる作りになっていたのが逆によかったなぁ。

それでもヒントの提示はしてくれたけど、世界での選択肢が多すぎるのであればアリだと思う。

勇者コンプレックス

ところでここ数年アニメ化される異世界転生ものが、ことごとくドラクエ世界観や「勇者」という概念下地にしたものばかりだけど、改めてその影響ってすげえな。と思った。「勇者」って言葉自体、確かシリーズ3が初出だと思うけど、今や「勇者」って完全に概念だよね。ドラクエ前には「勇者」って言葉には世界のを命運を握る意味合いも、特別な力を保持する意味もなかったけど、今やそれ込みの言葉になってしまった。

goo国語辞典で調べたらこうだった

勇者 勇気のある人。勇士

類語 勇士(ゆうし) 強者(きょうしゃ)

連語 豪傑(ごうけつ)

言葉本来意味は単なる「勇気あるもの」に近いんだよね。

なんかそんな今の流れを知ってか知らずか、ちょうどの現代ドラクエ自体が作り出した「勇者」って概念に1000%フォーカスした物語を今あえてやるってなんかすげえなと思った。

この先はもう無いよ、って位の最後感あるよね。

2回目のエンディングなんて特にファミコンリアルで遊んでいた時の思い出がぶわーっと出て来る感じが凄かったな。

世界名前が既にロトXXXXと付いているので、そこに繋がるんだろうなとは思っていて、途中で出て来る過去勇者の姿とか構成がどう見ても3で、たけど、どうつなげるんだろうと思いながら最後を迎えて、あーーーーそうくるかーーーーー!となった。

まだナンバリング時間の相関が把握しきれてないけど、前提として 3→1→2 でしょ。

11過去に3があって、11未来に1に繋がる事を示唆していたから 3→11→1→2 ってことか?

そもそも3→1 の間には結構時間が流れているって事だったけどMAPは同じだったから間に入る11マップとの整合性が付かないけど、その辺のこまけー話はいいんだろうな。

ドラクエの3やった時に1に繋がる事で、あーそうなるんだー!って強く思った経験が、後にスターウォーズのEP3でも感じられたけど、今回再度同じような感じを味わえたのは良かったなぁ。

ドラゴンクエストナンバリングは今後も続くのだろうけど、堀井雄二鳥山明すぎやまこういち構成は年齢的にももう厳しいかな。

この構成ならではの保守性を味わえるゲームなので、今後自分が楽しめるドラクエが出る事も無いのかな。という気もしていてる。それこそ過ぎ去りし時の中だけに留めたいと思った。

エヴァと同様に自分が楽しめるドラゴンクエストも、これで最後なんだろうと思う。

ありがとう、そしてさようならドラゴンクエスト

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