2023-09-09

ラグビーW杯2023フランスグループリーグプールDの展望

みなさんお久しぶりです。4年ぶりですね、レビュー増田です。

はじめに、いま台風が来ていますので、激しい雨風がある地域に住んでいる方は、どうかお気をつけてください。

みなさんの身体安全や心の安寧は一番大事なことで、W杯といえど所詮スポーツラグビーとは、較べるレベルにもないことです。


さて。

2019年日本大会で日本代表は素晴らしい結果を残し、レビューをしていた自分もみんなと楽しめたことがとても嬉しかった。

そのあとの4年で世界あんなことになるとは思いもしていなかったけど、僕はまたW杯を見ることができるし、みんなもまた楽しめるような状況、心境であるならばいいと思っています

大会、前回のように逐一レビューできるかはわからないけど、みんなが観戦する際の手助けが少しでもできたら嬉しいです。


グループリーグ展望

予選リーグ日本が入ったのはプールD。

このプールオーストラリアウェールズフィジーなどが同居するプールCと並んで、何が起きるかわからない予測不能プールであり、後述するけど、初戦がどう転んでもDは縺れていくと思う。


配置されたのはイングランド日本アルゼンチンサモアチリ

最強豪と見做されるイングランドは、ここ数年不調が続いており、ブチ切れることでおなじみのエディー・ジョーンズHCが責を問われて解任、スティーブボーズウィック氏の元、再出発となった。

こういった交代劇は短期的にはプラスに働くショックとなることも珍しくはないのだが、今のところその兆候は出ていない。

チームを牽引するオーウェンファレルレッドカードペナルティで3戦目まで欠くのも気がかりだ。


もう1チーム、日本の厚い壁となりそうなアルゼンチンは組み合わせ抽選時のプール序列3位は明らかに過小評価で実力で言えばイングランドと同格に近い。

ランキングではイングランドより上位、直近の戦績でもオーストラリアを降し、南アと1点差ゲームを演じるなど、上り調子だ。

ひょっとしたら1位通過の本命アルゼンチンかもしれない。


サモア好調だ。

「チームとしてまとまりがなく反則しやすい」という長年の弱点があったのだが、ニュージーランドオーストラリアフィジー所属する国際プロリーグスーパーラグビーパシフィック代表クローンチームを結成して参加するという強化手法で宿痾を克服してきた。

これは前回大会直前まで日本がとってきた強化手法と一緒で、日本サンウルブズは戦績こそふるわなかったもの、チームの練度は確実に底上げされ、日本代表の前回の成果に一役かった。

今回のサモアは前回のような「罠に嵌めやすいチーム」ではない。


チリは正直なところ情報をあまりもっていないのだけど、アメリカカナダに競り勝って出場を勝ち取っており、これは「えっ」という感じ。

アメリカカナダは強豪でこそないものの弱いチームではないのだ。

チリは1勝をもって帰りたい立場なので、狙うのは日本サモアとなり、初戦の日本に最大限の集中とリソースで挑んでくるように思う。


前回グループリーグ突破の我らが日本はというと、コロナによる強化スタートの遅れ、スーパーラグビーからの除外で強化がうまく進んだとは言い難く、実際の試合をみてもスクラムキャッチパスなどの連携に明らかなほつれが見える。

おまけに初戦はFWの働き者、ピーター・”ラピース”・ラブスカフニをレッドカード出場停止で欠く。

かなり立場が揺らいでいると言えるだろう。


プールDの初戦、日本チリと戦うこととなるが、裏ではイングランドアルゼンチンがまみえる。

本命同士がいきなり潰し合う展開となり、負けたチームは突破のためにもう1敗もできない状況になる。

こうなってくるとサモアがどのチームに取っても厄介だ。

チリ以外の4チームはどこが抜けてもおかしくない混戦になりそうで、なんとしたらしたらチリがこのリーグをかき回す可能性すらある。

初戦と2戦目は特に目が離せない予選リーグとなりそうだ。


初戦のポイントと注目選手

未だ未完成日本代表が波にのれて完成度を高めていけるかは重要で、初戦の開始20分でバタバタと反則を起こさないか最初スクラムが安定するかが注目だ。

日本の注目選手では、リーグワンでの脅威の走力と決定力代表に選出されたCTB長田智希がリザーブで登場する。

FBに抜擢されたセミシ・マシレワも注目したい。

マジックフットと呼ばれる突破力をもつが、ディフェンスに難があると言われてきた。

直近改善されてきたように思うが、とはいえ最後の砦ポジションFB出場になったのは驚きだ。

少し心配もあるが、良さが出ればトライ後の「取って詰めてだす」エガちゃんパフォーマンスがみられるかもしれない。

熱戦を期待するし、できればもちろん日本代表には勝利してほしい。


新ルールについて

ところでラグビーは頻繁にルール改正がされるスポーツで、ここで前回大会から変わったところと影響について解説したい。


ハイタックル

選手安全性を高めるため、ハイタックルに関する審査は年々厳格化されており、今では肩より上に手がかかったと見做されるとペナルティを取られる。

安全性が高まることについて全く異論がないが、2人がかりのダブルタックル相手を止めたい日本にとっては厄介なことで、足元をとめるAと上半身相手の腕ごと殺してパスを出させないようにするB、縦に積まれるBのタックルはどうしても高くなりがちで、より高いタックルスキルと冷静さが求められる。


50:22

前回から全く変わったのがロングキックだ。

サイドのタッチラインから出すタッチキック原則は3つで

    なのだが、これに、

      になるルールが追加された。

      導入当初は「難易度が高すぎてどこまでのチームが戦術に組み込めるのか」と言われていたが、蓋を開けてみると欧州勢ニュージーランド普通に蹴ってくる。

      日本意識したルール改正とは思えないが、筋力に劣る日本にとっては結果として不利に働くルール改正と言えるだろう。

      ただ、非常にスキルフルでスリリングプレーなので、登場すればエキサイティングだ。

      みんなも注目してみてほしい。


      櫻井翔さんについて

      自分としてはみんなの観戦の手助けできればというのがモチベーションなので、この件に関する言及でもし耳目を集めることがあったとしたら、そこは本意ではないのだけれどもなあ、と思うけど、どんな思いのやつが書いてるのかわからない文書ではモヤがちらついてそっちに気がとられるよ、となるといけないなと思うので、櫻井翔さんがアンバサダーを務めることついても考えを少し話しておきたいと思います


      ラグビーは憲章において品位情熱・結束・規律尊重を掲げており、勝つだけでなく、どうあるべきかが重視されています

      性加害が事実認定されたあとも当事者名前を冠している事務所が、説明果たして世に価値観を示すべき態度であれているかどうか未だ疑問が残ります

      櫻井翔さんについてはラグビープレー経験者であり、アンバサダー仕事についてもしっかりとした情熱をもって勤めてくれていたのだと思っています

      そのことを自分は嬉しいです。

      櫻井さんが事象にどう関わりがあったのか自分は未だ一切わかりませんが、少なくとも事務所所属したままアンバサダーを務めることは憲章の価値観そぐわないのではないのかな、と自分は思います


      また、自分SNSタイムラインを追った時、櫻井さんのファンの方々が櫻井さんきっかけでラグビーを観戦してくれていたのも多く目にしました。

      みなさん楽しそうに声援を贈っていらっしゃいました。

      そのようなファンの方が、今どう感じていらっしゃるのかは分かりません。

      櫻井さんがファンを拡大したのは事実であるように思います

      しかし、ラグビーの人気拡大と、人権の加害の問題は、存在する次元が違いすぎて天秤にかけてどちらを取るかというような比較になるべき問題でもないと思います


      櫻井さんファンの方に、ラグビーについてどういう事を言ったりしたり、言わなかったりしなかったりしてほしいかというような事は、烏滸がましくて何もいう事はできません。

      ただ、今回のW杯を楽しんでもらえるなら、自分は嬉しいです。


      ラグビー界側を見ても、日本ラグビーフットボール協会がこの件に関して見解を出さなかったり、意思決定を下して説明をしないのであれば、それは違うのではないかなと思います


      みなさんが最良の選択をしていただけたら良いなと願っています


      さて

      現在9月9日4:49分、開幕戦フランスニュージーランドを観ながら自分はこの展望を書いている。

      フランスキックで逆転した!

      ラグビーW杯は優勝候補同士のシーソーゲームで幕が開けた。

      そして日曜は日本チリ戦だ。

      みんなもどうかこの大会を楽しんでほしい。

      その手助けができればうれしい。

      • 元増田ではないが、ラグビーワールドカップ、イングランドvsアルゼンチンを見た。元増田の記事も楽しみにしている。 実力からすると日本を圧倒していると思われるこの2チームだが、...

        • ほんとにそうだと思います。 フランカーの位置でスクラムに入ったトゥイランギが本職がセンターと思えないくらいしっかり押してスクラムを安定させていたのは驚きましたw

      • 9月9日に開催国フランスとニュージーランドの対戦で幕を開けた2023年ラグビーワールドカップ。 今日が日本代表の初戦となる。 日本が所属しているプールDには、もちろん世界で強豪と...

        • イエローが3枚も出る荒れたゲームだったけどボーナスポイント入りの勝利で良かった。初回のにもリプをつけたのでせっかくだから雑感。 ○チリは勝てるとしたら日本またはサモアと...

          • そうか、ディフェンスがかなり修正できてる印象だったけど、それはオープンだけで、ブラインドサイドまではまだ手が回ってないかもしれないですね・・・ 各国のスカウトも当然今夜...

        • ラグビーなのにプールでやるんですか? 日本が所属しているプールD

        • W杯開幕の2日目、9月10日のチリ戦で日本代表は初戦を飾り、混戦が予想されるプールDの暫定トップに立った。 4年ぶりのW杯、みんなは楽しめただろうか。 おはようございます、こんにち...

          • さっきもいったとおり、中央付近で少しの侵入も許したくない。 ではどうするかといったら、ボールは1つしかないのだから、こっちに来た時に離さないで、相手の機会と時間を潰し...

            • これ、全然違うと思う。 確かにエディジャパンは「弱者の戦略」として徹底的なボールキープを掲げてたけど、 南ア戦ではむしろ積極的にフィールドキックをしていた。

          • ラグビーってルールが難しいからよくわからんわ    ノットリリースザボールとか倒れこみとかの反則って正常プレーと区別つかない ラインアウトでの担ぎ上げが反則じゃなくなった...

            • 野球だって、みんな、ルールはよくわかってないだろ。 盛り上がりどころさえわかっていれば、細かいことはいいんだよ。

          • おはようございます、こんにちは、こんばんは。 レビュー増田です。 みんな4年ぶりのW杯を楽しんでくれているだろうか。 見ているだけでエキサイティングなラグビーだが、このスポ...

            • ウェールズは自陣ゴール前でネガティブな反則やバレない反則しすぎ

            • 残暑もようやくその勢いを失いつつある9月半ばの初秋、月曜未明のキックオフは普通だったら観戦するのを躊躇する時間帯だが、幸いにも日本は今日、3連休の最終日だ。 おはようござ...

              • 正直勝てた試合だった。 それもイングランドと真っ向から組み合って。 日本代表というとハイパント処理が苦手でキックの蹴り合いというイメージが強かったがこの戦術でここまで戦...

                • 戦術には驚きましたよね、イングランドの戦術は、まあ信頼のメニューって感じだったけど、日本が真っ向で蹴るのは予想外だった。 僕はXのタイムラインとか、ヤフコメとか見てたんで...

              • クリリン(マシレワ)離脱で悟空(山中)遅ればせながらやってきて草 さすがスーパースター

                • 山中、追加で招集かかりましたね。 なんか巡り合わせがある人なんでしょうね。 今回、レメキがすごく良かったから、レメキが15の1本目の繰り上がりになるのか、あくまでフィニッシャ...

              • アイルランドvs南アフリカを見た。 世界ランキング1位と2位、ともに優勝候補同士の戦いとなったが期待どおりの熱戦だった。 詳しい解説は元増田に任せるとして感想を。 ○双方ともに...

              • 5チームの総当たりを行うラグビーワールドカップのグループリーグは長い。 すでに9月末、日本の空にはすっかり秋の涼しい空気が流れてきた。 おはようございます、こんにちは、こん...

                • 良い試合だった。 攻撃面はほぼプラン通りのことができたんじゃないだろうか。 けどやはりチリ戦からの課題であるディフェンスはサモア相手には分かりやすく出てくる。 一人減った...

                  • イタリアの勝利もあるぞと期待して観ましたが、意外な結果でした。 あそこまでの力の差は両国にはないはずですが、一度調子に乗ったABsを止めるのは難しいですね… 拮抗していた序盤...

                  • アルゼンチンはサモアに比べて、キック受けた後のカウンターの選択肢が豊富なんですよね。 蹴ってよし、走って身体を当ててよし。 身体の当て方も、ただ正面からドーンとくるんでな...

                  • 貴重な考察、いつもありがとうございます。 ラグビーは2019年にニワカファンになってフランス大会も楽しみです

                • Unbrave call あの選択がそのような名前で後世に残らないといいが。 後半最後の日本のスコアになったPG選択だ。4トライでのBPは取れず、おそらくチリに大勝するであろうアルゼンチンと...

                • ラグビーW杯2023 フランス大会が始まって早1ヶ月。 秋も深い10月の第1週に、日本は予選突破をかけて南米の強豪アルゼンチンと対戦する。 おはようございます、こんにちは、こん...

                  • ラグビーワールドカップ、日本vsアルゼンチン戦、良い試合だった。 贔屓目なしに、見ることが出来た中では今大会ここまででベストゲーム。 試合経過について細かい感想言い始めたら...

                  • ネトウヨブクマカ「ま…負けたけどいい試合だったから…😥」 🤭ぷぷぷ

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                  • (https://anond.hatelabo.jp/20231009025044)の元増田ではないが(https://anond.hatelabo.jp/20231009094539)で「時間があれば戦評を書きたい」と書いたフィジーvsポルトガルの感想を。 日本vsアルゼンチン...

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          • 前半終了 不用意なミス(ノッコン、ラインオフサイド)はやめたい レメキはいい、キックが器用 スクラムもいい(この1列後半も長く出さざるを得ないか) スチュワードの「前」に敢...

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            • そうなんですよ、これ日程の話をすると、日本は中10日なんですけど、サモアは来週土曜またやって、次が金曜なんで、中5日しかないんですよね。 あんま期待しすぎるのアレなんですけ...

        • やはりこうなってきた。 TMOの“発言権”が増すことで”映像上目立つ“危険なプレーが遡ってペナライズされるケースが激増し、 結果として選手たちがファウルプレーを受けたというア...

      • ラグビーワールドカップ、今更ながらにウェールズvsフィジーを見た。 いまだにフィジアンマジック健在で非常に面白い試合だったので解説を希望したい プールDではないけどね

        • 詳しそうだから聞くけど日本ってどう?ベスト8以上いけそうなの?

          • 下馬評からするとかなり苦しい。 プールDに入っているのはアルゼンチン(6位)、イングランド(8位)、サモア(12位)、日本(14位)、チリ(22位)。 うち2チームが決勝トーナメント...

        • レビュー増田です。 すごい試合だったともっぱら評判ですよね。 なかなか時間が取れず、見られていない試合の一つなんですけど、試合後のスタッツをみて「なんだこれ?」という驚き...

      • 元増田ではないがラグビーワールドカップ予選プールC、フィジーvsジョージアを見た。 どこにぶら下げるか迷ったがここで。 個人的に現時点で今大会ベストゲーム。 (予選プールCの...

        • レビューをポストしてくれて嬉しいです! 僕もこの試合みて声あげてしまった・・・ 隠れ推しがジョージアなんですよ。 ちょい最近バタバタしてて、試合も追いきれず・・・とはいえ...

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