2023-09-10

ラグビーW杯2023 9月10日プール第1週 日本 vs チリ レビュー

9月9日開催国フランスニュージーランドの対戦で幕を開けた2023年ラグビーワールドカップ

今日日本代表の初戦となる。


おはようございますこんにちは、こんばんは、レビュー増田です。

みんなとまたラグビーW杯を観られて嬉しいです。

いろいろなことが大きく変わった今回のW杯、変わった点なども含めて、試合レビューしたいと思います


日本所属しているプールDには、もちろん世界で強豪とされるチームが所属しているものの、直近の戦績でランキング上位国が不調だったり、ティア2国の激しい追い上げなどで、突破チームどこになるかというのは予想が難しい。


そんな中で、突破本命と目される2チーム、イングランドアルゼンチンが今朝対戦し、不調に喘いでいたイングランドが9本のキックアルゼンチンを沈めて初戦を飾った。

この戦いでは勝ったイングランドも負けたアルゼンチン勝ち点ボーナスポイントを獲得することができず、強豪2国が他3国に対して最大のアドバンテージは得られない初戦となった。


日本としてはここでチリに勝った上で、4トライ以上取ることができれば、混戦が予測されるプールDに勝ち点5で頭ひとつ抜け出だしたスタートを切ることとなる。

計算上は、そういうことだし、もちろん、まずは取れる最大の結果を目指さなければギリギリ突破さえもおぼつかない、勝負ってそういうものだ。

しかし、そんなに簡単にいくものだろうか・・・


対戦相手チリは、情報が少なく、正直にいうと自分はどれほどのポテンシャルを秘めているかからない。

ただ、W杯に出るチームに簡単相手はいないし、プールDの最後の枠を争うプレーオフで、W杯常連カナダと成長著しいアメリカに得失点で競り勝って出場の椅子を射止めたことは注目しないといけない。

さら情報が少ないというのも勝負において大きなマイナスだ。

2015年大会で、日本南アフリカを破るなんて誰が想像した?


そして対する我らが日本はというと、コロナによる強化の遅れなどにより、4年前から戦力の上積みができているのかというと心許ないところがある。

完成度の荒さを象徴するのが「組んだ回数が強さに直結する」などと言われるスクラムで、直近のテストマッチをみると安定していない。

そのうえ、出場停止のラブスカフニと、コンディション不良の姫野というFW看板2枚を欠いている。

勝ち点5が浮ついた話に聞こえるほど視界不良の船出という感じだ。


1ヶ月に及ぶ予選を突破するため、日本アウェー開催のW杯初戦に、プレッシャーを跳ね除けて勝つだけでなく、少しでもチームの完成度を高め、可能であればうっすら見えるボーナスポイント獲得も視野に入れなくてはならない。

果たして日本は満足できる形で初戦を飾ることができるだろうか。


前半

アカペラ国歌斉唱ののち、トゥルーズ現地時間13:00、チリキックオフで試合が始まった。


コイントスで勝ったチームは勢いをつけるため、ボールを取るのが最近の主流だけど、日本太陽の向きを考え光を背にできるエリアをとった。この選択はどうでるか?

キックオフはエリアを大きく前進できるので、有利になることが多い。

前後半の初めに交代と、点を取られた側がキックオフ権があるので、お互いが機会を最大に活かした場合、交互に有利な状況が巡ってくることになり、他方、一方が相手有利のフェイズを抑え込めればその回数分、勝利を引き寄せることができる。

チリ最初キックオフ後の攻防を制することができなかった日本は6:00にトライを献上してしまった。

直後にその失点後のキックオフでヴァカタワのトライ切り返したが、この取って取られての螺旋はどこかで抜け出さないといけない。


均衡は興味深い、そしてチリにとって不幸な形で崩れた。

具智元の膝にタックルしたチリPRティアスがレイトタックルと見做されイエローカードで一時退出、さら新ルール、8分の審査レッドカード適用もありうるバンカー審査となる。

その後、これも新ルール松島の50:22タッチキック日本が陣地を大きく前進勝ち越しトライを挙げると、勢いに乗る日本攻撃チリは再びバンカー審査つきのイエローカード

日本は1トライを重ねて21-7で前半を折り返した。


展望エントリでも紹介した50:22のタッチキックは、ハーフウェイラインより自陣側で蹴った上で相手22mを越えてワンバウンドで出た正当なキックは、蹴った側のラインアウトで再開されるというもので、大なチャンスメイクができる反面、長距離キック力とそのレベルでの正確性が求められる難しい技術で、日本にはやや不利に働くと思ったが、まさかの大舞台松島が蹴ってきた。

新ルールも絡め前半だけで3トライボーナスポイント獲得した上での勝利にむけて視界が晴れてきた日本に対して、攻めやすい機会を2度逸失し、その上1人を欠いての相手キックオフで後半を迎えることとなったチリ

日本はこの差をさらに大きくできるか、それともチリがまずい状況を跳ね返してくるのか。


後半

時間経過とともに太陽は頂点近くにのぼり、選手の影が短くなる。

後半の太陽はどちらの敵でもなくなった。


キックオフから有利にスタートできる後半で、日本が今度はイエローカードで1人を欠いた上でトライを献上してチャンスを1つ逃すが、ここでまた新ルールが登場、今回からプレースキック時間厳格化され、クロック時間内でショットコンバージョンも蹴らなくてはいけない。

時間ギリギリに蹴ったチリコンバージョンはそれ、不利を跳ね返しかけたチリは2点を上積みできる機会を最大限に生かすことができなかった。


キックオフからあっとう間にリーチトライで取り返し、コンバージョンも取る日本、差はジリジリと開いていく。

自分不安視していた日本スクラムは安定しているし、直前までのテストマッチで以前よりはっきりと改善が見られていた日本ラインアウトも付け入るスキをチリに与えない。


初出場のチリは堂々たるパフォーマンスだ。

かつて「60分までは戦える」と言われていた日本に対し、65分で彼らの脚は動いている。

しかし70分、前を行く日本がついに見えなくなった。

日本に5本目のトライを献上すると、試合最終盤にも日本の新星、ワーナーディアンズにラインをこじ開けられた。

日本 42 - チリ 12


日本試合終了までにとったトライは6本。

初戦に突きつけられた難しい課題に、新ルール太陽の助けを借りて満点の回答を返し、日本勝ち点5でプールDの暫定トップに踊りでた。


素晴らしいアタックで迫り来るチリを退けた日本、次週はプール突破本命イングランドと対戦する。

司令塔オーウェンファレルを欠き、さらレッドカードFLトム・カリーさえ出場できなくなったイングランドはこの情報だけを見れば不利のようだ。

しかし、朝のゲームを見たみんなはそうは思えないのかもしれない。

自分だってそうだ、まさかSOジョージフォードが3本ものドロップゴールを放ち、その脚から得点だけで強豪アルゼンチン試合から蹴り出してしまうとは!

日本は後ろに必殺の飛び道具がチラつくを白い壁を越えて、グループリーグ突破さら勝ち点を上積みできるだろうか。

プールD、第二戦は日本時間9月18日の4:00にキックオフだ。


anond:20230909051354

記事への反応 -
  • みなさんお久しぶりです。4年ぶりですね、レビュー増田です。 はじめに、いま台風が来ていますので、激しい雨風がある地域に住んでいる方は、どうかお気をつけてください。 みなさ...

    • 9月9日に開催国フランスとニュージーランドの対戦で幕を開けた2023年ラグビーワールドカップ。 今日が日本代表の初戦となる。 日本が所属しているプールDには、もちろん世界で強豪と...

      • イエローが3枚も出る荒れたゲームだったけどボーナスポイント入りの勝利で良かった。初回のにもリプをつけたのでせっかくだから雑感。 ○チリは勝てるとしたら日本またはサモアと...

        • そうか、ディフェンスがかなり修正できてる印象だったけど、それはオープンだけで、ブラインドサイドまではまだ手が回ってないかもしれないですね・・・ 各国のスカウトも当然今夜...

      • ラグビーなのにプールでやるんですか? 日本が所属しているプールD

      • W杯開幕の2日目、9月10日のチリ戦で日本代表は初戦を飾り、混戦が予想されるプールDの暫定トップに立った。 4年ぶりのW杯、みんなは楽しめただろうか。 おはようございます、こんにち...

        • さっきもいったとおり、中央付近で少しの侵入も許したくない。 ではどうするかといったら、ボールは1つしかないのだから、こっちに来た時に離さないで、相手の機会と時間を潰し...

          • これ、全然違うと思う。 確かにエディジャパンは「弱者の戦略」として徹底的なボールキープを掲げてたけど、 南ア戦ではむしろ積極的にフィールドキックをしていた。

        • ラグビーってルールが難しいからよくわからんわ    ノットリリースザボールとか倒れこみとかの反則って正常プレーと区別つかない ラインアウトでの担ぎ上げが反則じゃなくなった...

          • 野球だって、みんな、ルールはよくわかってないだろ。 盛り上がりどころさえわかっていれば、細かいことはいいんだよ。

        • おはようございます、こんにちは、こんばんは。 レビュー増田です。 みんな4年ぶりのW杯を楽しんでくれているだろうか。 見ているだけでエキサイティングなラグビーだが、このスポ...

          • ウェールズは自陣ゴール前でネガティブな反則やバレない反則しすぎ

          • 残暑もようやくその勢いを失いつつある9月半ばの初秋、月曜未明のキックオフは普通だったら観戦するのを躊躇する時間帯だが、幸いにも日本は今日、3連休の最終日だ。 おはようござ...

            • 正直勝てた試合だった。 それもイングランドと真っ向から組み合って。 日本代表というとハイパント処理が苦手でキックの蹴り合いというイメージが強かったがこの戦術でここまで戦...

              • 戦術には驚きましたよね、イングランドの戦術は、まあ信頼のメニューって感じだったけど、日本が真っ向で蹴るのは予想外だった。 僕はXのタイムラインとか、ヤフコメとか見てたんで...

            • クリリン(マシレワ)離脱で悟空(山中)遅ればせながらやってきて草 さすがスーパースター

              • 山中、追加で招集かかりましたね。 なんか巡り合わせがある人なんでしょうね。 今回、レメキがすごく良かったから、レメキが15の1本目の繰り上がりになるのか、あくまでフィニッシャ...

            • アイルランドvs南アフリカを見た。 世界ランキング1位と2位、ともに優勝候補同士の戦いとなったが期待どおりの熱戦だった。 詳しい解説は元増田に任せるとして感想を。 ○双方ともに...

            • 5チームの総当たりを行うラグビーワールドカップのグループリーグは長い。 すでに9月末、日本の空にはすっかり秋の涼しい空気が流れてきた。 おはようございます、こんにちは、こん...

              • 良い試合だった。 攻撃面はほぼプラン通りのことができたんじゃないだろうか。 けどやはりチリ戦からの課題であるディフェンスはサモア相手には分かりやすく出てくる。 一人減った...

                • イタリアの勝利もあるぞと期待して観ましたが、意外な結果でした。 あそこまでの力の差は両国にはないはずですが、一度調子に乗ったABsを止めるのは難しいですね… 拮抗していた序盤...

                • アルゼンチンはサモアに比べて、キック受けた後のカウンターの選択肢が豊富なんですよね。 蹴ってよし、走って身体を当ててよし。 身体の当て方も、ただ正面からドーンとくるんでな...

                • 貴重な考察、いつもありがとうございます。 ラグビーは2019年にニワカファンになってフランス大会も楽しみです

              • Unbrave call あの選択がそのような名前で後世に残らないといいが。 後半最後の日本のスコアになったPG選択だ。4トライでのBPは取れず、おそらくチリに大勝するであろうアルゼンチンと...

              • ラグビーW杯2023 フランス大会が始まって早1ヶ月。 秋も深い10月の第1週に、日本は予選突破をかけて南米の強豪アルゼンチンと対戦する。 おはようございます、こんにちは、こん...

                • ラグビーワールドカップ、日本vsアルゼンチン戦、良い試合だった。 贔屓目なしに、見ることが出来た中では今大会ここまででベストゲーム。 試合経過について細かい感想言い始めたら...

                • ネトウヨブクマカ「ま…負けたけどいい試合だったから…😥」 🤭ぷぷぷ

                • 結果に本気で思う怒ったり悔しがったりしてるファンって少ないのかな。 これだけは言える。 この4年間の強化は失敗だった。 もちろんコロナ禍は大きかった。特に欧州からも南半球か...

                  • この4年間の強化が見ていたものからしてもしっくりくるものではなかったのは確かですよね。 それはジェイミーや選手たちの問題と言うより、リーグの立て付けや代表スケジュールに...

                    • おっしゃることはその通りですね。 コロナとその後の混乱は日本にとってキツかった。   大学ラグビーについてもそうですね。 個人的には、トップ選手は高卒でどんどん海外へ行って...

                • (https://anond.hatelabo.jp/20231009025044)の元増田ではないが(https://anond.hatelabo.jp/20231009094539)で「時間があれば戦評を書きたい」と書いたフィジーvsポルトガルの感想を。 日本vsアルゼンチン...

                • これが最後のW杯になるかもしれないリーチ・マイケルが、日本の最終試合後に代表ジャージのまま夜の街に出て、カフェでファンとの交流を楽しんだ夜から1週間。 2023年大会は、フラン...

        • 前半終了 不用意なミス(ノッコン、ラインオフサイド)はやめたい レメキはいい、キックが器用 スクラムもいい(この1列後半も長く出さざるを得ないか) スチュワードの「前」に敢...

        • あー悔しい悔しい あのイージーミスがなければ あの偶然のバウンドがこちらに入っていれば で勝てたかもしれない試合 少なくともボーナスポイントをとれた試合 ただ、要所でしっか...

          • そうなんですよ、これ日程の話をすると、日本は中10日なんですけど、サモアは来週土曜またやって、次が金曜なんで、中5日しかないんですよね。 あんま期待しすぎるのアレなんですけ...

      • やはりこうなってきた。 TMOの“発言権”が増すことで”映像上目立つ“危険なプレーが遡ってペナライズされるケースが激増し、 結果として選手たちがファウルプレーを受けたというア...

    • 元増田ではないが、ラグビーワールドカップ、イングランドvsアルゼンチンを見た。元増田の記事も楽しみにしている。 実力からすると日本を圧倒していると思われるこの2チームだが、...

      • ほんとにそうだと思います。 フランカーの位置でスクラムに入ったトゥイランギが本職がセンターと思えないくらいしっかり押してスクラムを安定させていたのは驚きましたw

    • ラグビーワールドカップ、今更ながらにウェールズvsフィジーを見た。 いまだにフィジアンマジック健在で非常に面白い試合だったので解説を希望したい プールDではないけどね

      • 詳しそうだから聞くけど日本ってどう?ベスト8以上いけそうなの?

        • 下馬評からするとかなり苦しい。 プールDに入っているのはアルゼンチン(6位)、イングランド(8位)、サモア(12位)、日本(14位)、チリ(22位)。 うち2チームが決勝トーナメント...

      • レビュー増田です。 すごい試合だったともっぱら評判ですよね。 なかなか時間が取れず、見られていない試合の一つなんですけど、試合後のスタッツをみて「なんだこれ?」という驚き...

    • 元増田ではないがラグビーワールドカップ予選プールC、フィジーvsジョージアを見た。 どこにぶら下げるか迷ったがここで。 個人的に現時点で今大会ベストゲーム。 (予選プールCの...

      • レビューをポストしてくれて嬉しいです! 僕もこの試合みて声あげてしまった・・・ 隠れ推しがジョージアなんですよ。 ちょい最近バタバタしてて、試合も追いきれず・・・とはいえ...

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