2015-02-13

Kについて

中学生の時Kという女の子と仲良くなりました。彼女は同じ小学校出身でした。

彼女一人っ子で、父親は転勤しており、母親共働き

祖母の家にも彼女の部屋がありいつも学校が終ると自分の家ではなく近くの祖母の家に帰って食事をしていました。

ゲームおもちゃも多く、私から見て彼女の家は裕福でした。

彼女勉強もでき真面目で料理上手でした。お菓子も上手でいつもパティシエになるのが夢だと言っていました。

彼女は今思えば寂しかったのでしょうか。彼女自分がこんなにもがんばった、こんなにもうれしかった、

こんなにも悲しかったという話を私にしてきました。私は彼女の話を興味深く聞いていました。

実際、彼女は私が読まない科学や、生物の本を沢山読んでおり、理解は出来なかったけど、それらの話を楽しんで話を聞きました。

彼女は「なかよし」をつくってその子しか遊ばないような子でした。

私はそれは嫌でしたし、世界の狭い奴だなと思っていました。

私は彼女と仲良くなるにつれ、私が他の友達と仲良いのをあまりよく思っていないのを感じていました。

しかし、気づいていない振りをしていました。

理由は忘れましたが、彼女と大きな喧嘩をして、私は一方的に絶好宣言を受けました。

私はショックでした。理由はわかりませんが、「理不尽だ」と思っていたような気がします。ずいぶん泣いたような気がします。

一年くらい経って、彼女のほうからまた連絡が来るようになり、私たちは仲直りしました。

しかし私は、彼女にまたひどいことを言われるのではないかと、彼女と心から仲良くなるのを避けました。

具体的には、自分から連絡を絶ち自分からまたやって着た自分勝手彼女を見下していました。

私は、彼女ははっきりと口では言わないけれど、いつも他人自分を比べているのを感じていました。

なぜなら、彼女と話すと、他人とのほほんと仲良くしているだけのそのままの自分では恥ずかしいような、

頑張らなくてはならないような、けれど本当のほんとうの自分の心は誰にも言えない、そのような気持ちになりました。

私はここで、人間関係における鏡の性質というものを身をもって知りました。

私たちはこのとき、二人でしかさないような事をお互いたくさん喋りましたし、

傍目からはまるで親友のようでしたが、自分彼女に、そして彼女も私の弱い部分をさらけ出す事も、心から共感し合う事もなかったなと思います

私は星空の感動を共有したくてすごいすごいと口にする彼女に、「黙ってれば良いのに」と思いました。

それは彼女のそういった言動が常に第三者意識したものでありつづけるからでした。

彼女は時には、比べる対象が私であることもありました。

彼女はある時言いました。「あなたのお母さんは私のお母さんと違い過ぎて嫌い。」

私は彼女はなんてぶしつけで失礼な奴だと思いました。

しかし「へえ、そう思うの。」と

返したのみでした。私はとことん彼女と同じ土俵に上がるのを避け続けました。

Kと私は同じ高校に行きました。

そこで一年を過ごし、Kが先生に進路相談の紙を渡している場面に出くわしました。

先生は紙に書いてある文を読んで、「そうか、お前は◯◯◯になりたいのか」とKに言いました。

◯◯◯とは、ある特殊職業で、私は◯◯◯になるのに有利な教科が得意だったため、

将来◯◯◯になるのかなあ、などとKにぼやいていました。(ただし、本当は漫画家になりたかった)

Kも昔からその教科は得意でしたが、クラスで一番、などと言われるのはいつも私でした。

Kは私に気づくと、顔を真っ赤にして、半泣きになりました。

私は、Kが私には◯◯◯になりたいと知ってほしくなかったんだと悟りました。

掃除に、悲しく、ああ、Kは、私をそんなことでKをバカにする人間だと思ったのか、

と思いました。中学の頃から、こういうことはたまにありました。

そのたび、私はいつもKに思っていました。「この人はいつも大きな勘違いをしている」と。

ある日私は、Kが友人と仲良くしているのを見て嫌な気持ちになったのを気づきました。

それは嫉妬ではありませんでした。嫉妬もあったでしょうがもっと醜い、お前は一人でいろよ。自由に友人を作るなんて許さない、

それなら床で這いずり回ってろという完全にKを見下した思考でした。

私は自己嫌悪に陥り、その日からKと一切喋れなくなりました。

Kは一度「私何かした?」と聞いてきましたが、「なにもない」と答えたっきり

高校生活でKと必要以上に会話する事はありませんでした。

私はそのまま高校卒業して、地元を離れました。

私は地元を離れて、自分自身人間に対して不信感にまみれていることを知りました。

生来明るいので友達はすぐに出来ました。

しかし、その友達というのが、自分の暗い部分を全く出してこないのです。

根っからのいい子たちでした。自分が、ジブリ世界に迷い込んでしまったような錯覚を本当に覚えました。

一番信用している友達にKの事を話すと、「え、なにその人めんどくさぁ〜い!それに真面目に答えちゃう△△ちゃんもめんどくさぁ〜い」と言われました。

最初はこの子とはそういう話が合わないんだなと思いました。しかし、色んな人と出会い、すぐに自分マイノリティである気づきました。

私はその時初めて、世間では「めんどくさい」と言われるもの自分価値を見いだしていた事、

Kのめんどくささ、ほの暗さに安心感を覚えていた自分気づきました。

しかしそれはおそらく、自意識自我オナニー排泄物と呼ばれるようなものであったのだと。

そして私はKを否定批判もしてきませんでした。

ただ自分は、高見から、Kを見ているという優越感のみで、Kを心底バカにしていたのでした。

私はそれから、「めんどくさい」と何度も言われました。

二面性がある、思っていた性格と違う、とも言われました。でも仲良くなった人にはなるべく思った事を言うようにしました。

普段本音を言わない分それが本当の自分だと思っていたので、自分さらけ出してめんどくさいと言われるのは恐怖でした、

ただ、自分自分が思っていた以上に顔や態度に出るタイプでした。

ずっと言えなかったと思っていた事を言うと「知ってる」「だと思った」と言われることもありました。

同時に、病んでいる友人が何人も出来ました。私は話を聞いているだけのつもりが、

つの間にか仲良くなっていました。私はそれでも自分はまともだと思っていました。

病んでいない友人たちは「△△ちゃんは優しいから、そう言う人に好かれる」と言っていたからです。

そういう人と付き合うたび、Kがちらつきました。

Kはその子たち同様病んでいた、と思います。突然泣きわめいたり、不安定になって電話をかけてきたり、

親の愛に飢えている所なども同じでした。ただ私は、その子たちの話を聞いていると、

Kのときには味わえなかった、不思議な満たされる気持ちがあるのを感じました。

彼女たちは、一様に「助けてほしい」と言いました。私に。

私は彼女たちを「素直で良い人達、でも自己不安定で問題対処の仕方に問題がある」

と思っていました。ちなみに当時病んでいて仲の良かった人で、今でも仲いい人は一人もいません。

Kとは社会人になって再開しました。Kは、◯◯◯の職業に就いていました。

Kは夢を叶えていました。田舎から出て一人暮らしをし、業界でも有名な会社に入っていました。

私も同じ職業でしたが、その仕事本来興味がなく、かけもちバイトのような物でした。

連絡をとったのは私でした。

私は正月地元でKに会うと、学生時代のことを謝罪しました。

嫉妬でKを独り占めしたかった。しかし、そういう思考自分が許せなかった。

事実は少し違いますがそう伝えました。

Kはあのとき私に無視され、精神不安定になりカウンセリングに通ったことなどを伝えてきました。

しかしいまはKは現在年上の彼氏がいること、その彼氏と同じマンション半同棲で済んでいること、

仕事毎日忙しいけれど充実していると。

私は心からKによかった。おめでとうと伝えました。

私はKとは、離れていれば仲良くできるのかもしれないと思いました。

長く、細く、でもいお互いたくさんの面を見てきた友達として、もしかしたらいれるのかもしれないなと考えました。

そのあと高校友達も呼んで、私の実家飲み会を開きました。

Kはそこで仕事でやった成果を全員の前で披露しはじめました。

いまの会社がいかに大きいか、そこの最終面接社長に気に入られたこと、会社でも変わった子だねえと愛されていること、

みんなすごいね、さすがだね、と言います

Kは目標なく仕事をしている同僚、かつてのクラスメイトバカにしていました。

言葉ではっきりバカにするとは違います

「私は理解できないんですよ、仕事は楽しくやったほうがいいのに、忙しいとか寝られないとか、愚痴りながらうだうだしてるんだって無駄じゃないですか?ほんと信じられないんですよね」

Kがキッチンで私の母に言っているのを見ました。

母がよそ向きの顔で、「ほんと、そのとおりよねえ」と言っているのを見て、

kはありかわらず勘違いをしているんだなあいぼんやりした思考とともに、

私は自分がみじめで、恥ずかしいような気持ちになりました。

Kの言っていることは正しいと感じました。できるからという理由でいまの仕事を選んだ自分は間違っているといわれたようでした。

それからしばらくは、Kのことを考えるだけで胸が締め付けられました。

私はこういう感情嫉妬しかなく、無駄しかないと信じ、仕事に打ち込みました。

Kからは数年に一度程度メールが来ました。

内容は毎回、いまの自分仕事は大変である

そっちはいまどうなの?という内容でした。

はいつも相変わらずワンマン社長にこき使われてる、そっちも大変だね、そんなふうに返していました。

彼氏と一緒にいるときに、Kからメールが来ました。

「あ、Kからだ…学生時代友達なの」

メールの内容は久しぶり、いまなんの仕事してるの?ていうかどこに住んでるの?という内容でした。

メールを見た私の反応を見て、彼氏が聞いてきました。

「その友達のこと、好きなの?」

思いがけない質問でした。

Kのことは好きでした。たくさんの面白い話をしてくれる友達でした。

感情がころころとかわってひょうきんな面もありました。大笑いすることもたくさんありました。

でも、嫌いな面もありました。

2人でいうととても素直なのに、

3人になると2人で私の意見批判したり、なぜかなんとなく私を1人にするところ。

私がKをバカにする人間だと思っているところ。

人を無意識に格付けしているところ。

本当は人を信用できていないところ。

でもそんな自分に気付いていないのか…よくわからないところ。

私はなんにも言えずに泣いてしまいました。

親元を離れて、自分は相手の空気を読んで相手と同じ態度をとっているのだと気づいたときがありました。

相手が心をひらけばそれだけの、相手が心を閉ざせばそれだけの、

鏡ともいえる受け身の人間関係を築いてきたのでした。

病んでいる子たちは、私を求めてきました。

なので私も、その子たちに同じ分だけ求めることができました。

Kも同じでした。Kは私に自分を開示してきました。なので私は楽でした。

しかしKには、高い自己愛がありました。

がんばっていない自分には価値がないと感じているのだと。

小学生の時からKが一人で料理を作り、仕事の遅い母親をごちそうでもてなし、母親浮気現場を見て、

年に一回帰ってくる父親とどんな話をし、Kの家のリビングにはコントローラーひとつしかない最新のゲーム達と。

祖母宅に住んでいる自分叔父が好きだと恥ずかしそうに言っていた小学生のKと、

私が中学生の時大きな声で母親にあそびにいくから500えんちょうだーいと言ったら外で待っていたKに「おっきな声、聞こえていたよ」と言われ

あなたのお母さんは私のお母さんと違い過ぎて嫌い。」と続けたKと。

私にある日泣きながら電話してきてめちゃくちゃなことをわめきながら勝手に切るのでむかついて電話して怒鳴って切りかえした私。

Kについて。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん