相手に迷惑ををかけたくないので身バレ防止にいろいろフェイクは入れるけれど、出来事や体験に関してはなるべく正直に気持ちを書こうと思う。
私はいま25歳だ。地方の田舎で育った。相手は幼稚園からの幼馴染だった。漫画みたいな幼馴染じゃないけれど、地元の友達で、幼稚園小学校中学校と一緒だったし、小学生のときにはよく一緒に公園とかで鬼ごっこやかくれんぼをした。中学に入ってからは、もともとお互いに漫画やアニメが好きで、本の貸し借りをしてライトノベル(時雨沢恵一の「アリソン」とか「涼宮ハルヒ」とか)というものを私が教えてもらったりもして、まだそういうオタ趣味が学校でおおっぴらにできない時代だったのもあって、よく話すようになった。それで、なんでか覚えてないけれど、気になりだして、気が付いたら好きになってた。中3の時にはがんばって同じく一緒に好きだったバンプのライブに誘って一緒に初ライブに行ったりもした。相手は異性の友達はどちらかといえば苦手そうにしていたけれど、その中でいちばん仲のいい異性になることができた。
中学を卒業したら高校が別になることはわかっていたから、とにかく気持ちを伝えたくて彼の受験が終わったタイミングで告白した。どうなるかも深く考えないまま、共通の友達にうまいこと呼び出してもらって、小さいころからよく遊んだ公園で気持ちを伝えた。ずいぶん長い沈黙があって、そのあとの断りのセリフは「ごめん、恋とか愛とかがよくわからない。人をうまく信頼できないんだ。増田がきらいとかじゃないんだけれど、そういうことがどうしてもできない」というものだった。彼は少し泣いていた。話そうか迷って、きちんと誠実に断るために探してくれた言葉だと、今ならわかる。その誠実さがすごく尊いもののように見えて、おおげさに言うならすごくきれいに思えて、区切りをつけるとかは吹き飛んで、余計に好きになってしまっていた。そのカミングアウトの内容そのものに惹かれてしまった部分もやはりあったと思う(今考えると業が深い……)。
「でも、そんな風に想ってくれる人がいると思うと、なんだかうれしい」という言葉が本心からのものか、それとも彼のやさしさだったのかは、いまだにわからない。
けれど、当時の私の思考回路はひどく短絡的で、「だったら、彼に信頼してもらえるようになればいいんだ」というものだった。そういうわけで、違う高校に進学したわけだけれど、中学時代のグループの集まりを定期的に企画したり、高校の部活や人間関係の悩みとかの相談に積極的に乗ったり、ガラケーでメールをぽちぽち打ったりした。今考えても涙ぐましいし、ムダに行動力がありすぎた。相手の性格を考えるとちょっとやりすぎな面もあったけれど、そんな重いエゴまで含めて本気の恋だった。彼のことを考えない日は嘘偽りなく一日だってなかった。それが空回りしている自覚もあったし、全然そういう目で見てくれている様子がないこともわかっていたけれど、思い続ければいつかは、なんて甘い幻想も同時に持っていた。
結局、高校3年の終わりに中学時代の地元グループで卒業旅行に行って(もちろん企画からすべて私が幹事をした)、そこでまた告白したけれど、まったく同じ断り方をされて撃沈した。今度こそもうダメだなって思って、おしまいにハグをしたらちょっとびっくりされたけれど、手を背中に回してポンポン、と叩きながら「ごめんね」と言ってくれた。 今にして思い出すと、これはすごく、彼にとってきつかったかもしれない。
大学は私が都会の大学に行ったので、地元のグループとも帰省したときくらいしか会わなくなった。大学では初めての恋人ができたり、他にも普通の大学生らしいことをいろいろ経験したし、様々な恋愛に関係する感情を味わった。彼のことはあきらめて気持ちを封印してはいたけれど、それでも常にずっと心の中では彼のことをいちばんのところに置いていた。このころになると、ずっと片思いをしているということが完璧に美化されていた。
そうして、アセクシャル(Aセクシャル)という言葉を初めて知ったのも大学時代だった。知った時、真っ先に彼のことを思い浮かべた。
大学を卒業して、Uターンで地元に帰ってきた。久しぶりに地元の特に仲のいい何人かと再び会うようになった。ある時、彼の親友的な人と話していたら「増田さん、中高のとき彼のこと好きだったでしょ」と真正面から指摘されて、封印していた気持ちが解けてしまった。4年間蓋をしていたものが、びっくりするくらいあふれてきた。その親友が「だんだんと結婚とかも皆考え始めるような歳になっているのに、そういう話題が彼にあまりにもないから増田さんをあてがってやろうかと思って」と言うのでこれに甘えて利用して、彼と遊んだりデートしたりした。お互いにいろいろ話すけれど、でもやっぱりこれまでと同じく恋愛的な意味での全然手ごたえは何もなかった。それと並行して。やはりAセクの件があったので、その親友に彼はAセクなのではないかと相談した。親友氏にも思うところはあったようで、何度かそれについて議論もした。
複数回デートらしきものをして、どちらにせよこの恋はだめだと思い知らされたので、結局過去と同じように自分の気持ちに区切りをつけるために告白をした。Aセクの件もあったから、一応相手の負担にならないようにというつもりで、その当時でできる限りの気遣いと自分の率直な気持ちとを文章化して手紙として渡した。後で読んでと言ったのに彼はその場できちんと読んでくれた。そして返事の代わりに、件の親友の名前を出して「こないだ、Aセクシャルっていうのを教えてもらって、自分でもいろいろ調べて読んでるうちに、読めば読むほど『そうだ、これだったんだ』とわかって涙が出てきた。他人を愛することができない自分は、どこか明らかにおかしい、欠けた人間だって思っていたから、すごく安心したんだ」と教えてくれた。
私にはそれを受け入れるしかなかったし、何よりも泣きそうな顔だけど解放されたみたいなすっきりした様子の彼を見てうれしかったのも事実だった。
私と親友氏とで「一応、Aセクであるとすぐに決めつけすぎないほうがいい」と伝えておいたものの、十中八九彼はそうなのだと思うし、少なくとも今現在彼の自覚はAセクということになっている。
ここからあとは、私一人の話。
私にとって、彼はまさに青春そのものだった。そう思い込んで美化してきたところや、一途な自分の片思いに酔っていたところ、そのエゴに時折死ぬほど自己嫌悪したところ、醜いとこや酸っぱいところも、些細なことでめちゃくちゃ幸せな瞬間も、ぜんぶぜんぶひっくるめて、いま大人になった私を作っている大切なものだ。詳しくは書かないけれど、彼を好きにならなければ私の人生はぜんぜんつまらない方に変わっていたはずだと思う。たとえ片思いでも、幸せだったし、幸せをくれたと思う。恋愛ってそういうところがあると、私は思う。
ただ、そんな恋愛を、彼はしない。そういう感覚を彼はおそらく持たない。今後一切、恋愛から何かを得ることはない。
このことを、私はどのように整理したらいいのだろうか。
恋愛はすばらしい。いろんなドラマや物語においても恋愛至上主義が圧倒的多数な世の中で、人々はそんなフィクションを見て、やはり恋愛はすばらしいものだと思う。誰しもが人に恋をして人を愛するのだと信じ込む。そう刷り込まれた?私の観念はとても硬い。
では、他人を愛さない人は、すばらしいものが欠けているのだろうか。人生のなにかしらを失っているのだろうか。彼はおかしいのだろうか。
断じて違うと、私は確信している。でも、それは私の中の固定観念と矛盾している気がする。
私にとって恋愛のない人生は、ずいぶんパサパサとした無味乾燥なもののように思えてしまう。彼がAセクである自覚を得た日以来、失恋による大きな胸の空洞がつらいし、今まできれいに思えたものがきれいに思えなかったりする(感覚がにぶっている感じがする)。彼を好きだったときの世界の見え方はとても色鮮やかだったのに。
気が付いたら私は25歳で、中学を卒業してから10年が経とうとしていて、10年前のあのころのキラキラした感覚がいろんな意味で信じられなくなってきている。恋愛でしか得られない感覚があると信じているくせに、彼のことがあって今の世の中における恋愛の絶対性について疑ってもいる。人間の幸せの形ってもっともっと多様だと思いたいのに、自分の経験がその価値観に異を唱えてくる。
こんなことを考えていると、結局彼と私とではとんでもない隔たりがあったのかなとか考えてしまって、今でも少し凹む。
自分の中でもいまだに結論がでていないせいで最後何を言いたかったかよくわからなくなってしまった。こんな深夜に書きなぐった読みづらい長文を読んでくださって、ありがとうございます。なんでもいいのでみなさんの意見を聞いてみたいです。ちなみに私がちょっとヤバいのは承知です。
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Aセク当事者です。 その人は恋愛から何かを得ることはないかもしれないけれどあなたとの関わりの中で多くの豊かなものや素敵な気持ちを受け取っていると思う。彼がそれを恋愛と呼ば...
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