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はてなキーワード: 無害通航権とは

2022-04-10

anond:20220410121311

無害通航権は無害だからこそ通航できるのよ

害を与えたと判定されれば通航拒否できるのが無害通航権

2021-02-26

外国軍艦・公船の領海侵入に対する武器使用根拠法について

注:増田政府自民党関係者ではなく、また、海洋法については全くの素人なので、以下の解釈政府自民党見解か、また、正しい法解釈か否かについて、全く自信がありません。

報道によれば、中国海警局の船が尖閣諸島への接近・上陸を試みた場合に、警察官職務執行法7条を根拠として、危害射撃可能であるとの見解を示したとのこと。

国際法検討

外国軍艦・政府公船に対する武器使用が、国際海洋法条約29〜32条および95,96条に反するのでは無いか、との指摘があります

前提として、すべての国の船舶領海において無害通行権を有する(条約17条)、逆に言えば、外国領海における通行以外の行為および有害な通行は主権侵害となります

海洋法に関する国際連合条約

第三節 領海における無害通航

A すべての船舶適用される規則

第十七条 無害通航

 すべての国の船舶は、沿岸である内陸国であるかを問わず、この条約に従うことを条件として、領海において無害通航権を有する。

第十八条 通航意味

1 通航とは、次のことのために領海航行することをいう。

(a)内水に入ることなく又は内水の外にある停泊地若しくは港湾施設に立ち寄ることな領海を通過すること。

(b)内水に向かって若しくは内水から航行すること又は(a)の停泊地若しくは港湾施設に立ち寄ること。

2 通航は、継続的かつ迅速に行わなければならない。ただし、停船及び投びょうは、航行に通常付随するものである場合不可抗力若しくは遭難により必要とされる場合又は危険若しくは遭難に陥った人、船舶若しくは航空機に援助を与えるために必要とされる場合に限り、通航に含まれる。

十九条 無害通航意味

1 通航は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、無害とされる。無害通航は、この条約及び国際法の他の規則に従って行わなければならない。

2 外国船舶通航は、当該外国船舶領海において次の活動のいずれかに従事する場合には、沿岸国の平和、秩序又は安全を害するものとされる。

(a)武力による威嚇又は武力行使であって、沿岸国の主権領土保全若しくは政治的独立に対するもの又はその他の国際連合憲章規定する国際法の諸原則違反する方法によるもの

(c)沿岸国の防衛又は安全を害することとなるような情報収集目的とする行為

(j)調査活動又は測量活動実施

第二十四条 沿岸国の義務

1 沿岸国は、この条約に定めるところによる場合を除くほか、領海における外国船舶無害通航妨害してはならない。(略)

第二十五条 沿岸国の保護

1 沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国領海内において必要措置をとることができる。

これを踏まえて、条約の指摘されている規定を見てみましょう。

C 軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶適用される規則

第二十九条 軍艦定義

 この条約適用上、「軍艦」とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するもの記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、正規軍隊規律に服する乗組員が配置されているものをいう。

第三十条 軍艦による沿岸国の法令違反

 軍艦領海通航に係る沿岸国の法令を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行われた当該法令の遵守の要請無視した場合には、当該沿岸国は、その軍艦に対し当該領海から直ちに退去することを要求することができる。

第三十一条 軍艦又は非商業目的のために運航するその他の政府船舶がもたらした損害についての旗国の責任

 旗国は、軍艦又は非商業目的のために運航するその他の政府船舶領海通航に係る沿岸国の法令、この条約又は国際法の他の規則を遵守しなかった結果として沿岸国に与えたいかなる損失又は損害についても国際的責任を負う。

第三十二条 軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶に与えられる免除

 この節のA及び前二条規定による例外を除くほか、この条約いかなる規定も、軍艦及び非商業目的のために運航するその他の政府船舶に与えられる免除に影響を及ぼすものではない。

第九十五条 公海上の軍艦に与えられる免除

 公海上の軍艦は、旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

第九十六条 政府の非商業役務にの使用される船舶に与えられる免除

 国が所有し又は運航する船舶政府の非商業役務にの使用されるものは、公海において旗国以外のいずれの国の管轄権からも完全に免除される。

条約95、96条によって外国軍艦・公船に与えられる管轄免除あくま公海上についてなので、上陸を試みるがごとき領海内の行為については適用がありません。

また、19条2項によれば沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国領海内において必要措置をとることができる(25条1項)。

というか、そもそも上陸を試みるのは通行定義(18条)に当てはまらず、もともと無害通行権の適用外のように見えます

そうすると、尖閣諸島周辺の領海への侵入上陸は、軍艦・公船といえども国際海洋法条約保護されている場面では無いので、これに対して主権行使することは、国際海洋法条約抵触しないと言えるように思います

国内法の検討

警察官職務執行法

武器使用

七条警察官は、犯人逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的必要判断される限度において、武器使用することができる。但し、刑法明治四十年法律第四十五号)第三十六条正当防衛若しくは同法第三十七条緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない

一  死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官職務執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合

二  逮捕状により逮捕する際又は勾引若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官職務執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合

警察官職務執行法7条は海上保安庁法20条1項で準用されているため、海上保安官及び海上保安官補も警職法7条に従って武器使用可能です。

海上保安庁法

第二十条① 海上保安官及び海上保安官補の武器使用については、警察官職務執行法昭和二十三法律第百三十六号)第七条規定を準用する。

② 前項において準用する警察官職務執行法七条規定により武器使用する場合のほか、第十七条第一項の規定に基づき船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお海上保安官又は海上保安官補の職務執行に対して抵抗し、又は逃亡しようとする場合において、海上保安庁長官が当該船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情及びこれらに関連する情報から合理的判断して次の各号のすべてに該当する事態であると認めたとき海上保安官又は海上保安官補は、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的必要判断される限度において、武器使用することができる。

一  当該船舶が、外国船舶軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であつて非商業目的のみに使用されるものを除く。)と思料される船舶であつて、かつ、海洋法に関する国際連合条約十九条に定めるところによる無害通航でない航行我が国内水又は領海において現に行つていると認められること(当該航行に正当な理由がある場合を除く。)。

海上保安官武器使用する場合、通常は、個別である海上保安庁法202項を使ってるのではないかと思います

海上保安庁法20条2項は括弧書きで軍艦および政府公船を適用対象外としているので、同項では、(たとえ無害通行では無い場合であっても)外国軍艦および政府公船に対して武器使用することはできません。

もっとも、海上保安庁法20条2項はあくま前項において準用する警察官職務執行法七条規定により武器使用する場合のほかについて定めるものなので、同項があるからといって警職法7条による武器使用制限されないといえます

 

警職法7条によっても、危害射撃可能となるのは、法定刑が長期3年以上の自由刑以上にあたる兇悪な罪現行犯等か、または身体拘束令状の執行に関するときだけです。法定刑長期3年以上の単なる「犯罪」ではなく兇悪なと付いており、警察官等けん銃使用取扱規範では次のように例示されています

警察官等けん銃使用及び取扱い規範昭和三十七年国家公安委員会規則第七号)

用語定義等)

二条

2 警察官職務執行法昭和二十三法律第百三十六号。以下「法」という。)第七条ただし書第一号に規定する「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こ、にあたる兇悪な罪」に当たる罪を例示すると、次のとおりである

一 不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要施設若しくは設備破壊するおそれがあり、社会不安又は恐怖を生じさせる罪として次に掲げるもの

イ 刑法明治四十年法律第四十五号)第七十七条内乱)、第八十一条外患誘致、…(略)…の罪

チ イからトまでに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要施設若しくは設備破壊するおそれがあり、社会不安又は恐怖を生じさせるもの

二 人の生命又は身体危害を与える罪として次に掲げるもの

ロ イに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体危害を与えるもの

 前二号に掲げる罪のほか、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われる罪として次に掲げるもの

ト からヘまでに掲げる罪のほか死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われるもの

さて、上記の例時列挙を前提とした場合尖閣諸島に対する侵略行為は、どのような兇悪な罪に該当することになるでしょうか。

外国から侵略ということで真っ先に連想されるのは外患誘致罪です。

刑法

外患誘致

第81条  外国と通謀して日本国に対し武力行使させた者は、死刑に処する。

(外患援助)

第82条  日本国に対して外国から武力行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。

軍艦上陸した時点で武力行使にあたると考えれば、その軍務に服している者には外患援助罪刑法82条)が成立するかもしれません。

ただし、外患援助罪は、警察官等けん銃使用取扱規範における兇悪な罪の明示的な列挙からは除外されています

とはいえ、同規範あくまで例示列挙であり、同項3号トに人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われるものという一般規定があります領域侵略に際しては武器携帯しているでしょうから、同号の要件は充足する場合が多いかと思います

なお、出入国管理法による不法入国の罪の法定刑も長期3年以上なので、外患援助罪ではなくこちらを使う余地もあるかもしれません。ただし、不法入国の罪は一般論としては兇悪な罪と言いにくい面があるので、外患援助罪の方が適切でないかと思います

出入国管理及び難民認定法

外国人の入国

第3条 ① 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。

一  有効旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)

二  入国審査官から上陸許可の証印若しくは第九条第四項の規定による記録又は上陸許可(以下「上陸許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)

第70条 ① 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

一  第三条規定違反して本邦に入つた者

なお、武器を所持せずに上陸しようとしてきたときには、これらの規定適用できないでしょう。

 
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