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2022-07-14

女性将棋競技人口は実際どれくらい少ないのか

女性棋士が今まで一人も誕生していないのは競技人口が少ないからだ」とよく言われる。

まず前提として、「棋士」(男女問わない)と「女流棋士」(女性のみ)は別の制度である。勿論女流棋士将棋を指して対局料、賞金を得るので「プロである

棋士」になる方法を簡潔に言うと 1)「奨励会」に入会する 2)26歳の年齢制限までに四段に昇段する(1年間で4人) 

ルートの「棋士編入試験」(注1)については一旦置いておく。

奨励会の一番下のクラスが6級で棋力はアマチュア四~五段に相当する。

そして入会者のほとんどは小学校高学年~中学生中学生入会でもやや遅いと言われ、高校生以上から棋士を目指すのは相当に難しい(注2)。

今回は小学生将棋大会奨励会における女性割合を調べてみた。

棋士登竜門と言われる「小学生名人戦」(注3)から見ていく。

小学生名人戦方式は 1)各都道府県で予選を行い 2)各都道府県代表者東西に分かれリーグ戦トーナメント戦を行い各2名が勝ち残り 3)準決勝・決勝が行われる

小学生名人戦 歴代ベスト4

参照元日本将棋連盟 小学生将棋名人戦 https://www.shogi.or.jp/tournament/elementary_school_meijin/index.html

ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E7%94%9F%E5%B0%86%E6%A3%8B%E5%90%8D%E4%BA%BA%E6%88%A6


1976年2021年の46年間。184人のうち女性は3人
→全体のうち女性割合は1.63%

小学生名人戦 都道府県代表選手基本的に各都道府県1名)

参照元日本将棋連盟 小学生名人戦代表選手一覧(2011年第36回以降は女子赤字記載されなくなった為集計が難しい)

2002年2010年の9年間。436人のうち女性は18人
→全体のうち女性割合は4.1%

小学生名人戦都道府県大会

都道府県在住の小学生であれば誰でも申し込み、参加することが可能だ。県によっては小学生名人戦代表決定クラス初心者交流戦クラスを設けているところもある。

2022年に行われた静岡県予選大会ニュース記事より

公文小学生将棋 静岡県予選会

https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1016393.html

県内小学1~6年生計48人(うち女子6人)が出場。
→全体のうち女性割合12.5%


2019年に行われた千葉県予選大会大会運営関係者ツイートより

小学生名人戦千葉、159人参加でしたが、うち女子は8名。女子率5%。昨年はだいたい1割だったのですが。(後略)

https://twitter.com/doihishako/status/1089452007193104384

データが少なすぎるので女性参加者割合をはっきり言うことができない。上記2例は参考程度に。

追記)つまり小学生名人戦に関して言うと

都道府県大会参加者(0〜2割以下?)→各都道府県代表(4%)→ベスト4以上(1.5%)


出場資格小学生大会小学生名人戦以外にも倉敷王将戦JTこども大会など……。

奨励会

蛸島女流六段が女性として初めて奨励会に入会した1961年以降の奨励会の人数を調べた。

参照元将棋順位戦データベースの各年度奨励会入会者一覧(昭和31年度から)(〜2014年

2014年以降は将棋世界の奨励会のページ(〜2022年8月号)をチェックして人数を加えた。

表にしました→https://i.imgur.com/YmNxtNP.jpg

1961年から2022年7月現在までの62年間で累計奨励会員の人数は約1300人。
62年間で女性の入会者はちょうど20人。
→全体のうち女性割合は1.5%


現役の奨励会員に限ると(https://www.shogi.or.jp/match/shoreikai/

2022年7月現在三段リーグ41人、関東奨励会(二段以下)71人、関西奨励会(二段以下)68人、合計で180人の会員がいる。便宜上4月以降に昇段を決めた新三段も二段以下としてカウント

現役奨励会員180人のうち女性は2人
→全体のうち女性割合は1.1%


なお、奨励会の入会方法は1)毎年8月に行われる「奨励会入会試験」(注4)2)「研修会」(注5)から編入 の2つがある。

8~9割は奨励会入会試験を経て奨励会員となる。人数の上限はなく、年度により入会者数はバラバラ

最初の方でも書いたが奨励会の一番下のクラスの6級の棋力はアマチュア四~五段に相当する。

奨励会には小学生中学生大会で県代表クラスの強豪キッズたちが全国から集まってくる。

最後

ここから個人的な推論

小学校高学年(~中学生)で全国レベルの棋力を持つ女性割合が少ない理由として考えられるのは、

幼稚園小学校低学年の間に将棋を覚える女性が少ない

小学校高学年まで将棋を続ける女性が少ない

さらに言うと

①……親や祖父母女子将棋を教える割合男子に比べ少ないから?

将棋に興味を持つ割合女子男子に比べ少ないから?

②……男子の人数が多い環境だと習い事として続けにくいから?

脚注

1 過去に「編入試験」を受験し四段になった瀬川晶司六段、今泉健司五段、折田翔吾四段、そして今回受験を表明した里見香奈女流四冠の全員が奨励会に在籍経験があり26歳の年齢制限により三段で退会している。

現行の棋士編入試験制度奨励会を経ずアマチュアから棋士になった人は2022年現在は0人。

2 奨励会受験するにあたっても年齢制限があり、16歳は5級受験以上、17歳は4級受験以上と年齢が上がるとハードルが高くなる。

詳しくは→ 日本将棋連盟2022年奨励会入会試験のご案内 https://www.shogi.or.jp/news/2022/07/2022_1.html

2000年以降の入会者のうち5級以上で入会し四段になったのは渡辺正和六段(19歳・初段入会)と竹内雄悟五段(16歳・3級入会)の2人のみ。

残りは全員15歳以下6級で入会している。

3 「小学生名人戦」の歴代優勝者には羽生善治九段渡辺明名人らがいる。

直近の四段昇段者である徳田拳士四段、岡部怜央四段はそれぞれ同大会で優勝、準優勝の経歴がある。

4 「奨励会試験」は受験者同士が対局する一次試験と現役の奨励会員が試験官となって対局する二次試験がある。奨励会試験合格する割合は2~3割と聞いたことがある(この数字不正確)。

5 「研修会」は一般的奨励会下部組織と言われるが、全員がプロ志望とは限らない。一番下のFクラスアマ初段の棋力が必要

2022年現在制度では研修B2女流棋士2級の資格を得る。研修B2は棋力としては奨励会6級相当(ただ奨励会6級受験研修会B1で不合格の例もあれば研修会C2で合格することもあり一概には言えない)。

ーーーーー

追記1961年から2022年7月現在までの奨励会員入会数・昇段者数の表を再掲→https://www.shogi.or.jp/match/shoreikai/

2008年度以降の四段昇段者数の数字に※が付いているのは現役の奨励会員が在籍しているため。

また奨励会退会後編入試験を経て棋士になった人は四段昇段者に含んでいない。

三段リーグが発足した1987年から2007年度までの入会者数は453人、四段昇段者は91人(20.08%)。

奨励会に入会した2割が棋士になっている計算だ。

2020-02-27

anond:20200226183247

将棋プロアマチュアでは「強い」の意味全然違うというのは多くの場所で言われている。

アマチュアは対戦相手情報ほとんどないため、奇襲が通用やすく、その場限りで強ければある程度何とでもなる。

しかプロは精々百数十人で何十年も戦い続ける。変な戦法は即座に対策されるし、相手の得意先方に真っ向から立ち向かって組み合う力を求められる。

また、プロは持ち時間アマチュアより相当大きく、より深い思考力が求められる。

瀬川晶司今泉健司プロ入り後、いまいちぱっとしていないのも、上記理由によるものと思われる。

要するに、プロ棋士から見て「アマ強豪」は、よく知らないので対策が立てづらいが、プロ棋士棋譜も多くあり、アマ側は対策がしやすい。初見ではアマ強豪が有利と言える。

しかし、プロ入り後に丸裸にされて延々スパーリングを続けなければならなくなったとき地力が問われるということである

そういった意味で、編入試験突破あくまで最低条件であり、折田翔吾も本当の評価はこれからと言える。

ちなみに、折田翔吾が編入試験資格を得た10であるが、勝っている相手ほとんど全員が大した成績も出さずにピークを過ぎてぱっとしない下位の棋士であり、トップ棋士や実力派中堅には負けており、実力派若手とは五分かやや分が悪いように見える。アマ有利な状況でこれなので、プロ入りして揉まれときにどのあたりの位置に付けるかというのもある程度想像はできるかもしれない(とはいえ、我々のような一般人比較すれば、神のようにめちゃくちゃ強いことには変わりがないのだが)

2018-12-17

anond:20181217160835

将棋とかもそうやろな。今でこそフィジィ・ソータなるジーニアス棋士いるから良いけれど、それまでの将棋界ってのは寝癖メガネと歯無しハゲとかゴリラとかスター性皆無の選手しかおらんかったもんな。

瀬川晶司とかみたいに、弱くてもドラマのあるような人間もっと集めるべきだった。

殆ど人間将棋ゲーム性なんか理解できゃーしねえんだから

2017-08-31

https://anond.hatelabo.jp/20170830184848

将棋瀬川晶司なんかは、奨励会活躍できず退会後にアマを経てプロになったわけで、

稀有な道であってもプロを目指す可能性を否定するのはどうかと思うがね。

2007-03-13

後手という生き方――「先手」にはない夢を実現する力

後手という生き方って本があるらしいので、紹介。ちなみに読んではいない。

35歳でようやく将棋のプロ棋士になれた瀬川晶司四段と、15歳の時に中学生でプロ棋士になった渡辺明竜王が、人生における「先手」と「後手」がどのような経験をし、どのような生き方をしてきたのかを紹介しあっている対談本らしい。

補足すると、中学生でプロになった将棋棋士っていうのは、その後頂点に上り詰める事がほぼ約束された存在と言っていい。過去中学生プロは例外無くトップレベルの実力者になっている。

かたや瀬川晶司四段は、一度プロテスト(奨励会三段リーグ)から追い出されてしまった身。要するに落第生。一度は完全に将棋を捨てた彼も、30歳を越えてもう一度やり直す道を見つけた。

中卒で10年以上経ったところで、まだ30歳に手が届くか否かという所じゃない?ならば、anond:20070313094822もまだ色々とやってみると面白いと思うんだけど。それに世の30歳なんて、まだ自分が体験したことの無い事に色々とチャレンジできる年代だし。やってみないのはもったいない

 
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