2020-11-03

小説家になろう」で売るための(間違った)努力をした人々

君がダサいと思っているのは多分「長文タイトル」じゃない気がするんだ|clock96|note

https://note.com/you96/n/ncc262b326f82

 上記noteでは『アマチュア──悪い言い方をすれば趣味素人──たちが、みんながみんな「売る」ためのことをやっていると思うのは、少し早計過ぎないだろうか?』と疑問を呈している。

 答えは否だ。投稿者特に日間ランキングへの掲載を狙う人たちの多くは『ただの趣味で終わらせたくない人』であり、少しでも有利になるようSEO対策に余念がない。よく話題になる長文タイトルも『当たり判定を最大化』『スマホの画面を占有する』『あらすじを読まない人に内容をアピールする』といったなろうの不出来なUI最適化した結果である

 5chの作者向けスレッドでは需要のある要素やテーマ更新時間、一話の長さ、タイトルタグの付けかた等々、ちょっとでもポイントを稼ぐための長々としたアドバイステンプレが埋まっている。

 これらの作品面白さとは無関係な小技は、少々姑息ではあるものルールの中に収まった正々堂々としたテクニックと言える。しかし皆がやってる努力だけではライバルを出し抜くのは難しい。

 そこでチートである。ここでの意味はなろう小説に登場するチートスキルと違ってただの規約違反のことだ。以下で紹介するのは先人たちの間違った努力歴史である

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複数アカウント

 アカウント複数作り自分ポイントを入れる、王道である

 当初は「やってるやつもいるだろう」くらいの認識だったが、今では突然人気ランカーがアカウントBANされ消滅するのが風物詩である。バレると一発BANなため唐突強制退会された作者は複アカ使いだったと見て間違いない。この場合作者ページには規約違反のため退会と表示される。

 とある作者A氏は書籍化企画も進行しそろそろ発売日が発表かというタイミングでBANされ話題となった。有志がキャッシュなどから調べたところ『ほぼ同じ期間に作られ一斉に同作品ポイントを入れ、それ以降活動実態がないアカウント』が三十数個見つかり、当時は異例の規模だったこからプロ業者かよw」「必死すぎる」などと揶揄された。

 その後A氏は別サイト活動の場を移し元気に連載を続けている、もちろん書籍化はしていない。

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互助会

 王道であるはてなではおなじみのアレである。当初は都市伝説めいていたが、加入を誘うメール参加者暴露が相次ぎ実在確認された。

 行為としては互助会参加者達がメンバーの新作に一斉にポイントを入れる。複アカもそうだが短時間で大量のポイントが入ると日間ランキングに載る可能性が高く、非常に有利になる。

 本人達は人目にさえつけば正当な評価が得られると思っているらしい。

 最近露骨勧誘は減り、なろう投稿者Twitterへ「作家同士で繋がらないか?」「お互い作品批評して高め合おう!」など、具体的に言わないけど察してくれ的な誘い方に変化している。評価依頼は口に出さなければ規約違反ではないという理屈だ。

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5chで作品公開し自作自演

 一昔前の5chのなろう系スレッドでは自作晒し感想を求めるのが盛んだった。投稿しても埋もれてしま感想ゼロなんてのはあたりまえなので、同じ投稿者に見せてアドバイスをもらうのは理にかなっている。自分じゃ悪いとこはわからないものである

 とある作者向けスレッドで自晒しされた作品が、スレッド住民から非常に高評価された。普段と比べればちょっと自然なくらいだったが、まあ有望な新人が出るのは良いことだ。

 しかスレの中盤になって「スレ序盤に晒したやつ、持ち上げ方おかしくない?」と疑問を持つものが出る。よく書き込みを見ると『褒めつつも文章が固い』と指摘するレスとそれに反論するレスが同一IDだった。

 最終的には『絶賛し評価ポイントを入れたと主張』『ブックマークを促す』『他のなろう系スレッドで、今〇〇で晒してる作品がすごいと宣伝』『有名作者を匂わせ褒める』『懐疑を表明する者に、実力が伴わないと自作自演効果などないか問題ないと反論する』等々の大量の書き込みが、おそらく同一人物と断定された。

 ところどころIDチェンジに失敗してたり、書き込み共通する癖が明確だったのだ。指摘されて以降IDコロコロ君はプツリと消え去り、散々宣伝した作品ランキングに載ったもののじきに削除された。

 当時スレッドで自晒しした作品がその影響でポイントを稼ぐことが多かったので徹底的に自作自演してみたのだろう。

 作品の発掘を5chに頼っている層が意外と多いことを証明した(今はすっかり下火だが)。

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感想爆撃

 感想評価なんて一個もつかないような作品好意的感想を書きポイントを入れたと宣言する、お返しでポイントをくれるのに期待する定置網漁のような戦法。

 これをやったやつは物量がすごかった、たった数日で2千件以上である。当然感想コピペだ!

 感想をもらった方は大抵反応に飢えた無邪気な素人である。深く考えずお返しする人も多く一瞬でランキングに登り、数日後に規約違反でBANされた。バカバカいくらいの規模だったからあっさり消されたが、お礼目当ての感想(作者アピールポイント入れました宣言必須)は有効であることが証明された。

 爆撃して駆け抜けた作者B氏はコピペの中で元プロを名乗っていたので、感想をもらった方はよけい自尊心をくすぐられたのだろう。

 B氏のいうプロとは、メールゲーム運営に参加してプレイヤーへの返信用テキストを書いた経験のことだ。

 彼は小説家として成功し、アニメ化し、その伝で声優アニソン歌手になることを夢見て動画サイトなどに下手な歌をアップしていた。

 運営するHPは当初創作のことやメールゲーム経験が語られていた。しかし、しだいに怪しげなビジネスを語るようになる。

 しばらくすると突然旅行代理店社員募集を始める、なにやら少人数の社員運営する画期的格安代理店らしい。募集形態HPの内容から、おそらく実態存在しないだろうことが察せられた。

 またしばらくすると過去動画HPSNS、色々なサイト投稿していた創作物などが一斉に削除された。ペンネーム検索するとフリマサイトの出品記録が見つかる。各種オタクグッツを売っており、コメントを見ると詐欺あい生活費が底をついた、などと書かれていた。

 出品記録も消えたころ同サイトブログ発見する。詐欺被害にあった経験執筆サイト有料配信したいという内容だ。第一回の配信後すぐに『廃刊』表示で購読不能となり、以後B氏はネットから消え足取りは追えなくなった。

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 まあそんなわけで、小説家になろうでは日夜ランキングに載るための仁義なき戦いが繰り広げられているのである

 みんなも読もう! 小説家になろう!!

  • ランキングやブームには関係なく日々スコップするのも読み手の醍醐味… 地雷に行き当たることも多いがな!

  • なろうスレで複アカがバレない手順が共有されてた時期もあったな(スマホの機内モードの機能使う奴) 一部作家とか、はっきりやらかしてることが判明してるのに一般にはほとんど話...

  • むしろ大多数のユーザーは「なんか長文タイトルのほうが受けがいいって聞くし長くしよ」とか「なんか無双じゃないと受けないって聞くし無双って書いとこ」くらいの意識しかないよ...

    • 人を侮りすぎるより買いかぶりすぎるほうがだいたい現実に近い。

  • なろうっていうか、WEB小説周りの最もヤバいところはユーザーの民度じゃなく、ガバガバのランキングシステムよな 複アカ互助会が蔓延してるのに出版業界まで引っかき回されて、かな...

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