2020-07-29

ビアンになって婦人健診が平気になった話

そういえば、自分レズビアン寄りのバイだと気づくまでは、むしろ自分のことをバキバキノンケだと思っていた。

なぜなら、女性健診の相手女医さんだとものすごく苦痛だったから。性器乳房女医一方的に触れられるのが屈辱的に感じていた。男性医師に対して、この感情を感じたことはない。その時は、自分が度を越えたノンケから女性性的な部分を触れられるのが嫌なのだと思っていた。

3年前に、とある趣味社会人サークルに入って知り合った6つ下の女の子と親しくなった。

わたしは、基本的理屈っぽくて尊大にふるまう癖にウジウジしていて辛気臭い人間という自己評価なのだが、年下から姉御肌と評され男女問わずよく親しくしてもらう。

そんな中で知り合った彼女は、わりにサバサバしていて、小柄で、童顔で、かわいらしい女の子だった。

サークルに顔を出した時の彼女は、部屋を見回してわたしを見つけた瞬間ぱあっと笑顔になって駆け寄ってきた。

飲み会ではよく「増田さーんここあいてますよー!」といって隣に誘ってくれた。

最初、「なついてくれてる」のではなく、単純に先輩後輩的な仲だから媚びたりおべっか並べたりおだてられたりしているだけだと思っていた。

しかし、ある時に飲み回の二次会で行ったバーボックス席に2人きりになったときに、メチャクチャ酔っぱらった彼女から恋愛感情で好きだということを告げられた。

ちょっとびっくりした後、「うれしい」と感じている自分さらにびっくりしたのを覚えている。そして、そんな気持ち泥酔して噴出するまで抱えこんでいた彼女がめちゃくちゃに意地らしく見え、愛しく感じて、断る気は起きなかった。

そうして交際関係となり、彼女サークル活動のない時にも会うようになったのだった。

そうは言っても、実はわたしは当時アラサーで、彼女大学生だった。

いくら女同士だとしてもどうにも犯罪くさい。

それに、わたし自身どこかで親戚の幼子のおままごとに付き合うような気持でいたことは否めない。

彼女男性経験がないということは付き合う前から聞いていた。女性を好きになったのはわたしが初めてだとも。

そういうわけで、彼女好意を疑うわけではないが、どの程度真に受けるべきか判断に迷っていたのだ。

大学生のうちだとまだ恋に恋していたり、憧れを恋愛とはき違えたりするものなんじゃないの?

そのうちやっぱり「男が好き」とか言い始めてもおかしくない。とはマジでずっと思っていた。

だいたい、元から友人関係だったのもあってか、交際関係となってからも2人の付き合い方はこれまでと変化なかった。また、何か変化を起こすべきは彼女のほうだと、大人げないが思っていた。この関係性は彼女好意ありきだった。彼女好意の形に応じて、わたしもしてやれることや差し出せるものがあれば、できる限り応えたいと思っているのみだった。

この時ほど、「男と女なら簡単なのに」と思ったことはない。

余談だが、当時私は8年ほど交際していた男性と別れて1~2年くらいだった。別れて数か月はいわゆる婚活恋活的なことに精を出していたのだが、やはりわたし性格そういうことに向いていないと自覚させられただけだった。このままいくと一生結婚できないかもしれないと思った。いや、それはそれで良いのだが、「わたしは一生誰ともパートナー関係になれないかもしれない」ということに関しては、やや悲観していた。猫でも飼おうかしら、と本気で思っていた。そんな時だったから、彼女との関係性がどう運ぶかに関しては、純粋好奇心をもって臨んでいた。

閑話休題

わたし理学部科学科を修めていた人間で、自分で言うのもなんだがステレオタイプそのままのあまり女らしくないタイプの女だ。学生時代の友人付合いと言えば、一人暮らしの奴のアパート麻雀しながらいいちこタバコなめるばかりだった。

彼女外国語学部英語学科わたしが見てる限り、いつも何が可愛いわからん流行りの服を着て、いつもメイクばっちり。イケている。そして、普段友人と何してすごしてるのかなぞ、知りたくもない。

いつも彼女からデートの誘いを受けていて申し訳ないなとは思っていたのだが、わたしはどこに誘っていいのかわからなかった。それに、わたし流行とかお洒落に全く興味がないタチなので、やはりどうしても若くてイケてる彼女の隣に立って休日モール街を歩くことには気後れを感じていた。

そんなある日、彼女から水族館に誘われた。これまでデートといいつつ友人ともやるような近場ウロつきしかしてなかった中、水族館とはめちゃくちゃデートっぽい。と少しテンションが上がった。そもそも水族館は好きだ。

そして当日。待ち合わせた駅に姿を現した彼女はいつもと違っていた。

普段だったら絶対着ないだろう薄紫地にエーデルワイス柄の女の子らしいワンピース。その上にレースっぽいカーディガン羽織って、足元は華奢なサンダルだった。

めちゃくちゃかわいかった。コッテコテデートコーデだということはさすがのわたしも気づいた。

「いつも増田さんわたしの服イジってくるから今日はわかりやすく可愛くしてきましたw」

そう言って笑う彼女を見て、世の男は彼女からこんな接待を受けているのか羨ましいなぁと見当違いなことを思った。

水族館へは新幹線で向かった。一緒に電車に乗るのも初めてで、隣の座席に座る彼女ワンピースからのぞく白い膝がとてもきれいで感動した。

彼女普段ほとんど足を出さないなということにその時気づいた。

水族館では目玉展示物の餌やりが行われていた。わたしはこれが大好きで、ここに来るたびに動画撮影していたのだが、この日ばかりは彼女写真を撮ってばかりだった。

「いつもそういう格好すればいいじゃない」と言ったら「本当はこういう格好は好きじゃない、デートから着ただけ」と言われて身勝手ながら非常に残念な気持ちになると同時に、即ちわたしのために好きでも無い格好をしてくれたと言っても過言ではないのだなと思い至った。

暗い館内でサンゴ礁を眺める彼女の細い方がレースカーディガンに透けていた。

揺れるワンピースの裾がこんなに魅力的なものだとこの時初めて知った。

水槽アクリルに這わせていた彼女の手を指先でつんつんすると、彼女不思議そうな目でわたしの手を見ていたので、手のひらを上にして差し出すと、彼女はいつもみたいにぱあっと笑顔になって握ってくれた。そこからは手をつないで見て回った。今まで、恋人と手をつなぐことをこんなに幸せに思ったことはなかった。

周りから見て、わたしたちは恋人同士に見えるだろうか。それとも、ただの仲良し女二人組にしか見えないだろうか。恋人に見えていたらいいなと思った。

そうだ、この可愛い生き物は、わたし恋人なんだ。と思った瞬間、頭に血が上ったみたいな感じを受けた。つまり、その細い肩を馴れ馴れしく抱く権利も、何ならスカートの裾の内側に手を伸ばす権利も、わたしはすでに持っているのだと、気づいたから。

この時からわたし彼女関係はおままごとではなくなった。

来月で交際し始めてから満3年となる。わたしは30になり、彼女就職2年目を迎え、そろそろ一緒に住もうかどうしようかという話をしている。

そんな中で気づいたのだが、わたしゴリゴリのボイタチだった。

そして、いくら可愛い彼女相手でも、リバられそうになると一気にテンションが下がってしまう。

この萎え方覚えがあるな~と思ったら、婦人健診で感じる不快感がこれと同系統なのだった。

まりわたしは「バキバキノンケから婦人健診で女医に診察されるとつらい」のではなく、「ゴリゴリのタチだから婦人健診で女医の前で俎上マグロを演じねばならぬのが不服」が正しいのだった。

不快の正体に気づいてからは、以前ほど婦人健診に対して恐怖心を抱かずに済んでいる。

  • 最初と最後だけ読んだけど書き手は男だろ

  • つまり増田はトランスってこと?

  • 化学科だったら科学科なんてしょうもない変換間違いしないぞ キラキラ英文科と対比させるために陰キャ理系っぽい学部考えてこの学科にしたな

    • ごめんそこはフェイク入れてたんだけどバレたから正直にいうと数学科でした。。。 フェイクの意味な…。

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