はてなキーワード: 4Sとは
反原発ゆとり脳に送る豆知識に、以下を追記。
そもそも浅田とキムをやたらに(当人たちがしていないのにも関わらず)年と背格好が似ているからといってライバル視して煽るマスコミの論調が気に食わないのだが、もっと気に食わないのはいまだに「技術の浅田、表現力のキム」と日本のメディアが煽っていることだ。
そら確かに、技術力で上回る浅田に、表現力のあるキム、そして二人は同じくらいの背格好で、同い年!という構図はいかにも漫画チックで面白げだが、その面白げな演出のために事実を曲げるのは言語道断だろう。
浅田選手は実は(といってもフィギュアファンには常識だが)表現力も凄い。PCS(厳密には違うがかなりおおざっぱにいえば芸術点的なもの)の今季最高得点は浅田である。今回のGPF(グランプリファイナル)でも、なぜだか日本のマスコミはやたらに「ヨナがミスしたおかげで浅田が勝った、浅田はノーミスなのにキムよりちょっとだけしか上じゃなかった」「ノーミスだったら多大な表現力の差でヨナの方が勝つ」的なことにしたがっているのだが(これはもう、物凄く不思議だ。自国の選手がアウェーで優勝し、女子史上初の3A(トリプルアクセル)×2を決めてきたというのになぜこういう論調にしたがるのだろう。男子の小塚が初めてGPS(グランプリシリーズ)で台にあがったのに、ほぼスルーなのも気になるし、あれほどマスコミが煽ってきた4S(4回転サルコウ)を安藤がチャレンジし、DG(回転不足のこと)こそとられたものの着氷したというのに(個人的には安藤はもう4Sを目指さないほうがいいと思うが)スルーしているのも謎だ)、GPFでの二人のPCSの差はほとんどないのである。またヨナがミスして浅田はほとんどミスなかった、的構図も誤りであって、浅田はSP(ショートプログラム)でもFS(フリースケーティング)でも減点の非常に大きなミスをしている。ただそのミスは、減点が大きいわりに素人目にも、いや、荒川静香や伊藤みどりというプロにでさえもわからなかったようなものであるため一見目立たなかっただけだ(要はDGである。それに加え、FSでは、転倒そのものより、それによりコンビネーションジャンプが単独になってしまったことが痛かった。今のルールでは下手をすると転倒よりわずかなDGの方が痛いのだ)。素人が浅田の演技を見て「ノーミスなのに」と思うのはまあ仕方ないが、マスコミがそれでどうするのだろうか。
まあとにかく、結論として、浅田は実は表現力もかなり優れたスケーターである。海外ではむしろ、技を褒める前に表現力の方を褒め称えられていたりする。浅田は、表現力もトップクラスの上、スピンやスパイラルやステップもレベルが高く、その上にジャンプの凄さ、またスタイルも抜群によく(フィギュアスケート選手として。この点はキム選手も同じ)、メンタル面も優れている、奇跡のような選手なのだ。
メンタル面の強さは凄い。今シーズン初めのフランス杯で、あれだけgdgdになっておきながらも、わずか2週間でジャンプの調子を整えてきたという凄さ。普通なら有り得ない。また昨シーズン足を引っ張ったロングエッジのルッツを、僅か1シーズンでしっかり矯正して来て、加点までもらえるほどのジャンプにして見せた凄さ。驚異的だ(ジュニア時代からずっとそういう癖だったものを矯正するのは勿論難しいことだ)。なんと苦手だったサルコウまで飛んでいる。
月曜日のとくダネというニュース番組で、こともあろうに「3Aを二度飛んだのに、結局ミスをしたヨナとたいして差がない!浅田は実力不足が否めない!その差はヨナの妖艶な表現力にある!」といった論調で報道がなされていたのだが……これには正直文字通り開いた口が塞がらなかった。何度も言うが、PCSはほぼ変わりない。というか、昨シーズンの世界選手権では浅田の方が上である。
キム選手は確かにトップレベルのスケーターでありそれには間違いないが、事実を捻じ曲げてまで、優勝した自国の選手を「実力不足」だと言うのは最早、何がしたいのか分からない。ピーコに至っては「二人の私服のファッションセンスに差がある」というような事を言い出し、アナウンサーは「二人のCM契約数の差」を話し出し、小倉はそれらにいちいち暗い顔をしては「真央ちゃんはまだ力が足り無い……」と嘆き……本当に何がしたいのか意味不明な番組であった。アウェーで自国の選手が優勝したのに何故かお通夜ムードである。
まあしかし、確かに浅田も重大なミスをしたとはいえ、女子史上初、伊藤みどりも成し遂げなかった3A×2を成し遂げた業績の割には点が伸びなかったのは事実である。表現力もいいというなら、一般視聴者にとっては更にわけがわからなくなることだろう。一体何がダメなのか?そこは2年くらい前から変わってきた今のフィギュア界の不可解なルールが関係しているのだが話すと長くなるので割愛する(キムヨナもジュニア時代からほとんどやっていることは変わりがないのに急に浅田に勝てるほどに点が伸びだしたのもルール改正と同時だ)。
あと日本のマスコミはやたらにGPSを重視し、まるで世界選手権と同格のように扱っているが、フィギュアスケート界では大会の格としては世界選手権>>>>GPSである。というかここまでGPSを盛り上げているのは日本と韓国くらいだ。別に盛り上げてくれるのはいいが、フィギュア選手の毎年の最終目標は常に世界選手権であり、GPSはその前座的役割、今季のプログラムの経験値を上げるような場である。今回など、浅田選手は相当に高難度なプログラムを入れているため、これはもう世界選手権で完成してくれれば御の字、といったところだった。正直フランスでの演技を見て、GPSはヤバいかなと思っていた(のだが、あの回復……驚異的だ)。あまり、全ての試合に勝つように煽るのもどうかと思う。国内大会で力を使い果たして世界大会でバテるのでは意味がないのと同じだ。
まあ、とはいえもうマスコミには必要以上に浅田をアイドル化してほしくない、安藤の二の舞にさせたくないという気持ちもあるのでそう着目されても困るのだが。浅田・中野の3Aや安藤の4Sは、本っ当に難しい技で、今のルール上はチャレンジしてもたいしたうまみはないばかりか、リスクばかりが伴う。大技煽りもマスコミにはやめてもらいたい。高橋の4回転2度や、小塚の4回転も同様である。特に安藤の4Sはもう煽らないで欲しい。今回まさかチャレンジしてくるとは思わなかったが、4Sとプロトコルに出て、DGだったものの着氷したのには驚いた。あれだけでもかなり凄いことなのだが、どうしてこういう時に限って取り上げないのだかな。まあ、これを期にもう安藤の4Sには注目しないのであれば、それはそれでいいのだが。安藤は4Sに固執せずとももともとレベルが高いのだから、点数的にも怪我的にもリスキーなだけでうまみのないあの技はもうやらないほうがいい。
それも大事だけれど、もっと大事な点が一つある。
(というか、自分が言いたかったのは、増田が書いてくれたそのこともあるが、主に以下のことである)
(それと、「点が思った以上に伸びなかった」については勿論3-3のミスのことも考慮に含めた上で、の話な)
「今シーズン(昨シーズンもちときつかったが)からの異常なDG判定」がそれだ。
寧ろこれがもっともタチが悪い。
これまでDG(回転不足)というのは、肉眼で分からないレベル、よほど酷くないレベルならば、大概「まあおk」ということにされてきた。そもそも女子選手の場合、3回転は大抵わずかに回転が足りていなかったりするのだ。練習でコーチが見ても分からないレベルだが。が、といっても2.9や2.8くらいの話だったために取らずに来た。
が、昨シーズンあたりから妙に厳しくなり、今シーズンの厳しさときたら鬼だ。
荒川静香などのプロが、スローで見ても、「大丈夫では?」というレベルでもわずかーに足りなければDG。
いや、厳しくDGを取る事自体はいいのだ。わずかにといっても足りていないものは足りていないといえば、確かにそうなのだから。しかし問題は、DGによる減点があまりに酷いことだ。例えば安藤選手の4Sの基礎点は10.3点だったが、回転不足とされその点は一気に2.9点となった。なぜそんなに減るか?といえば、DGと判定されたジャンプは――例えばDGくらった4Sであれば、「3Sの、まわりすぎた、質の悪いジャンプ」という解釈をなされるのだ!そうするとどうなるか?まず、3Sと捉えられるため基礎点が減る。更に、まわりすぎた質の悪いジャンプ、と見なされるため、GOEでかなり点を引かれる。その結果、わずか2.9点になってしまうのだ。
この酷い点引きぶりを、以前は、「まあ、これはだいたい飛べてるのでおk」というジャッジの判断によって相殺してなんとかやってきたところがあった。大体回れてればおk、でも流石に酷いのはこの減点法によってかなり減点すっべ、といったように。それでバランスを取ってきた所があった。しかしDGを(NHK杯のレベルにいたってはイチャモンレベルに)厳しく取り始めた結果、「プロでもよくわからないほどの回転不足」によって一気に点を失ってしまうことになった。難易度が高い技ほど、当然、きっちり全くの不足なく回りきるのは難しい。安藤や中野が見た目の割にGPFで点が奮わなかったのも、DGを物凄い勢いでとられまくったからだ(中にはまあこのくらいはDGはしかたないかな、というのもあるが、あれだけとられるのは凄まじい、とくに安藤)。
つまり今大技を決めるには、「全く文句のつかないほど完璧に」決めなければならない。そうしなければ、減点されて寧ろ足を引っ張るだけだ(ジャンプはいれる数や種類がある程度決まっているし体力の問題もあり、それが失敗したからといって、アドリブでホイホイ点とれるジャンプをいれるわけにはいかないのだ)。成功しても、増田のいったように、たいした点は稼げない。他選手よりそれでたかだか2、3点といったところか。そのくらいの点数のために、練習を始めると怪我の可能性もあり(これがフィギュア選手にとってもっとも怖い事だ。フィギュア選手はもともと選手生命が物凄く短い上、ケガをすると即引退ということも普通にある)、また、成功したとしても体力的・メンタル的に他の技に響いてきてしまう(GPFでの浅田の3-3の失敗も、主な原因は3A×2で体力を削られた故であろうし、小塚が4Tに成功したものの後のジャンプで転倒してしまったのもそれが考えられる)。それほどの思いをして得られるものは、数点でしかないのだ。今、大技というのは本当にやる意味がほとんどない。そういうルールになってしまった。とにかく無難な演技を安定して行えるものが、今一番強いのだ。昨シーズンの世界選手権でも、男子優勝者はなんと4回転をしなかったバトル選手であった。といっても、勿論、バトル選手も、キム選手も、すばらしい選手には違いない。安定性も重要な要素ではある。しかし、今のルールではあまりにそちらに偏りすぎ&大技が非常にし辛い、のだ。
また、DG判定も曖昧なところがあって、一応4分の1以上足りていないジャンプはDGをとってもよい、というものはあるのだが、その辺りが曖昧なのだ。4分の1以内にとどまっていればいいのかといえば、そういうわけでもない。といって、回転不足だけど、その不足分が4分の1以内には収まっているから、という事で減点されない場合もある。そこが大会によって、または選手によって曖昧で、キム選手も正直微妙にあやしいものはあるのだが……エッジについても増田が言っているように、微妙な線だったりする。日本選手の場合たいてい微妙な線であれば真っ先にアウトなのだが……
DGがあまりにキワドイレベルでどんどんされるために、中野は「(この点の低さは)どこかでDGがされているってことなんだろうけど、でもそれがどこでされているのか(プロトコルを見ないと)分からない」というような事を試合後に言ったことがある。まさしくそういう事なのだ。飛んでいる選手ですら、飛びながら、「今のはどうだったろう?!」と思うようなレベルのミス。解説者も、「多分いいとは思いますが…」と濁らせるレベルのミス。それで、何点も失っていく。
あと、GOEについて。
もう少し増田の説明に付け加えると、これの問題点は、そもそも「ほとんどジャッジの主観でつけられてしまう曖昧な点」の割に、「やたらと加点幅がでかい」ことにある。キムに対する加点は凄いものがある。そもそも3Aなどの難しいジャンプを成功してみせても、キムがルッツを成功させれば2点ほどの差でしかなくなったり、3A-2T(激ムズっつーか浅田くらいしかできん)と3F-3T(そこそこムズい)の基礎点が同じだったりと、増田の言うように基礎点やGOEの加点幅のつけかたも酷いものがあるのだが、そもそもそのGOEのつけかたがキムだけやたらに(不可解なレベルに)高いのだ、これはあまりいいたくないのだが。例えば2A。浅田はイーグルから入り、綺麗な2Aを決めたのちその足でステップを踏む、という高度な技を入れているのに対し、キムは美しいジャンプはジャンプなのだが、入るとき・着地時などにそういった技は特にいれてきていない。のにも関わらず、加点はキムの方が高かったりする。「ええ!?」と思うのだが、そもそもここで問題なのは、GOEはそれほど曖昧なものということなのだ。
「そんな陰謀論みたいな」と思うかもしれないが、そもそもフィギュアは採点競技という時点でどうしてもそういったくらい部分が付き纏う。ソルトレイクスキャンダルと言う前科もあり、伊藤みどりのときの頑ななまでの下げぶりなど……言いたかないが、そういった部分があるのは事実だ。フィギュアスケートというのは、ルールで勝者が簡単に入れ替わる。今のルールは、とにかく無難な業を、回転不足とられることなく(寧ろ転倒はまだましだったりする)こなす、それだけだ。安藤はもう4Sをいれないほうがいいといったのは、そのためである。(先日の安藤の4Sは、安藤にしてはかなり見事な出来だった。トリノ時代だったらば認定されていたかもしれない)
言ってしまうと、今のルールはほとんど日本女子スケーター潰しといっても過言ではないほど狙い撃ちにしてきたルールだ。今のルールで有利になるのは誰かというと、韓国のキムヨナ選手とイタリアのカロリーナコストナー選手なのだが、ISUの会長はイタリア人で副会長は韓国人である。スキージャンプで、日本人が優勢になってきたとき、日本人に不利なルール改正がなされたのは記憶に新しいが、まさにあのようなことが起きていると思ってもらえればいい。とかく日本人は外交下手で、すぐ欧米にこういったことをされてしまうのは本当に情け無い事だ。が、最早このルールはとりあえず五輪が終わるまでは覆されないだろう。今はこのルールにあわせてやるしかないのだ。もはやルール改正をせまるには時が遅すぎる。
客もマスコミも大技を煽るが、もう今はそんな時代では無い事に気付くべきだ。
今大技に挑んでも、ほとんど利はない。「勝つ」ためには、大技は不利でしかない。悲しいが。
キム選手が強いのは、増田も言ったとおり、点を取るために最大限効率的なプログラムを組んでいるからだ。3A×2は、効率とは程遠いところにある。まあ、今季の浅田のプログラムは、五輪プレシーズンとして、色々試すためのプログラムだろうから、勝つためでなくともいいのだが。(寧ろGPFは本当によく勝ったもんだw今年はGPFが韓国開催ということもあって、これは正直ほぼ無理だと思っていたのだがw)
といって、おそらく今浅田選手がキム選手と同じプログラムをやったとしても、キム選手ほど点は伸びないだろう(浅田選手は美しくてもいまいち加点をつけてもらえないが、キム選手はその逆だ、この辺りの加点は本当に曖昧な割に影響力がでかいから困る。完全に曖昧さを消せないのはしかたないとしても、そういった性質の点はあまり影響を及ぼさないレベルにすべきだろう)。だから浅田選手は、勝つためにはキム選手より凄い技を入れざるを得ないところもある。3A×2は五輪には流石にいれてこないだろうが(と言い切れないのが浅田の怖さだがw)、今シーズンは五輪にも3Aをいれてこれるくらいに3Aを当たり前の技とするための鍛えシーズンなのだろう。
本人が勝たなくてもいいというならまだしも、やはり基本的に皆「勝ち」を狙いに行っているのだから、煽り立てたところで責任のとれない外野が、無責任に「大技大技」と煽るべきじゃないと自分は思う。ひっそり「してくれないかな」と思うくらいならいいが。
浅田の3Aはやけに安定感を増してきたから大丈夫だと思うが、安藤の4Sについては――期待したいといった人もいたし、気持ちは分かるのだが、厳しいといわざるを得ない。あれに拘りすぎていると、他のジャンプも崩れ出してしまう。それほど4Sは凄い技なのだ。
そもそも安藤が以前に認定された4Sは、おそらく今のルール下ではDGだろうし、あの時も正直言ってまぐれ的なものが大きかった(それでも凄いのだが)。もう20歳である安藤(フィギュアスケートでは結構いい年で、フィギュアのジャンプは年とともに飛べなくなる場合が多い)が、今のルール下でも認定されるような4Sを飛ぶ――というのは、ほぼ無理だ。無理してなんとかそれだけ出来たとしても、他に影響が出てしまう。今回のように。そもそも4回転ジャンプというのは男子でさえ4Tがほとんどなのだ(一般には4Sの方が難しいとされる。まあ、とはいえその辺りは個人差が大きいのだが。余談になるが浅田と安藤は、難しいジャンプは得意だが簡単なジャンプは寧ろ苦手という変わった性質を持っている。今ではそうでもないが)。今回、挑戦して、転倒もなく着氷し、シングル女子のプロトコルに4Sと表示させただけでも自分は称えたい。あんなことができるのは安藤しかいないのだ。精神力がどうこう言われやすい安藤だが、彼女は怪我に悩まされたり、上で言ってきたようなルールでなかなか思うように点があがらなくなったり、4回転の重圧があったり、そもそも忘れがちだが彼女はようやく今20歳(いや、ちょっとまて。誕生日が今日だったかもしれない。そうすると21だ。安藤おめでとう)なんだよな、トリノのときなんか女子高生だったのだから、そういった事を考慮するとあれくらいで普通なのだ。寧ろ未だくじけず続けているのは強い方だと思う。(浅田は武士だから除外)あまり安藤を責めないでやってほしいところ。彼女は4回転がなくとももともと3Lz-3Loという女子最強難度の3-3を持っていたりとレベルの高い選手なのだから、そちらを練りこんでいったほうがいい。無論飛んでくれたらその日はひっそり安藤4Sおめでとうケーキでも買いたくなるくらい嬉しいし、安藤にとってはもうスケートを続けていくモチベーションが4Sになっているところもあるため、難しいところではあるのだが。モロゾフはどうするかね。
それと安藤の話になったからついでにいうと浅田・安藤の今季のまだ解消されていない課題に「セカンド3Lo」がある。
3-3や3-2など、続けて飛ぶジャンプのことをコンビネーションジャンプというが、そのコンビネーションの二度目につけるジャンプは、実は決まっていて、トゥループというジャンプと、ループというジャンプしか実質つけられない(ルール上の問題ではなく、物理的な問題)。今更だがw、ジャンプには6種類あり、その難易度は、簡単な順番からトゥループ(T)<サルコウ(S)<ループ(Lo)<フリップ(F)<ルッツ(Lz)<アクセル(A)だが、このうちの太字にしたトゥループとループが、セカンド、二番目につけるジャンプだ。で、難しいのはこの通りループ。というか、3-3でセカンドにループをいれてくるのは浅田と安藤しかいないのだが。
これが、認定されない。ことごとくされていない。今季は安藤の一回だけか。SP序盤の浅田の3-3、あれがまさにそうなんだが、あれだけ回っていてアウト。くーっ、厳しい、厳しすぎるぜ。つうかもうこれは、ほとんどジャッジはセカンド3Loを認定する気がないと思われる。もともとDGとられやすいジャンプだからなあ、しかしなあ…
先ほど安藤と浅田は簡単なジャンプほどなぜか苦手と言う変わった性質を持っている、といったが、それがこのセカンド3Loが認定されない現象においてまたも弱みに変わってしまっている。3Loができないなら(それより簡単な)3Tをつければいいじゃない、ってな話なんだが、ことこの二人においては、「無理して3Loにしてる」わけじゃなく「寧ろ3Loの方が得意」というジャンプの天才たちなので、今まで、育っていくにつれ、特にその簡単な方のジャンプをみっちりやる必要がなまじなかったんだな。それが今ここにきて微妙に裏目にでている。3Tをやればいい、といっても、そんなに簡単には変えて来れないのだ(特に安藤)。飛べないわけじゃ決してないが、実戦で使えるほどかというとどうなのか…。
と色々心配な点はあるが、それはさておき今季の浅田のプログラムはおそらく後まで語られるような伝説のプログラムになるから、録画しておくことを推奨する。(youtube等ではやはり画像が汚いからな)個人的には浅田はプルシェンコ並に伝説のスケーターとなると思う。
つか中野や小塚のことももう少し語りたかったが流石に書きすぎた。とにかく日本選手は皆頑張っているし今はとてつもなくレベルが高いから面白いぞ。特に女子の層の厚さは異常wルールに対する不安反面、やはりワクワクする気持ちを抑えられん。
http://anond.hatelabo.jp/20081217003010
採点が分からないという声に対して。
ソルトレークシティでの採点疑惑というものがあったのが直接のきっかけだったと思いますが、詳しい経緯はWikipediaあたりを参照してもらうとして、新採点方式の方針は、曖昧さの排除です。そうすることで、技術的に正しい事をやっている選手が勝つようにするという事です。技術点何点、芸術点何点というのでは、演技の中でなにが得点に貢献しているのかさっぱり分からないので、それを各要素に分解して評価しようと言うものだと解釈してます。先シーズン導入され、浅田真央選手が受けていたロングエッジ(Wrong Edge = 間違ったエッジ)判定の導入もその流れにあると思われます。
その結果、転倒した選手が優勝する事も増え、一見ルールが分かりにくくなったと言えるでしょう。しかし、新採点方式のもとでは確実にジャンプ以外のスピン、ステップ、スパイラルのレベル(難易度という意味での)が上がったと言えるでしょう。
今、旧採点方式の競技のビデオをYoutubeなどでみると、ジャンプ以外のスキルは現在のレベルより低いものが多いです。ジャンプも旧採点では回転不足でも認定されがちです。競技としてのフィギュアスケートは、新採点方式の導入で確実に向上したと言えるのではないでしょうか。
各要素ごとに採点する新採点方式に対し、演技全体を評価する旧採点方式は、観客から見たときの分かりやすさが優れているのは確かなのですが、新採点にもこのようなメリットがあるのです。
(追記ここまで)
ルールと採点の仕方を理解する事でフィギュアスケートの今の状況を俯瞰出来るようにと解説を書いてみます。
http://www.isuresults.com/results/gpf0809/gpf0809_SeniorLadies_FS_Scores.pdf
これは国際スケート連盟(ISU)のサイトに出ているリザルトつまり結果なのですが、このPDFは先日行なわれたグランプリファイナルのシニア女子部門のフリースケーティング(FS)におけるスコア集となってます。ここには、そのスコアがどのように計算されて出たのかの詳細が表となって各選手ごと、フリースケーティングの順位順に並んでいます。
最初の一ページ目から見ましょう。Mao Asadaとありますね。名前の横にJPNと書いてり、その右に線で区切られて Total Segment Score = 123.17とあるはずです。これがFSの得点にあたる部分です。略してTSSと言います。今回、浅田選手は123.17点をFSで取ったということです。
その右の Total Element Score + 64.57 は略してTESと呼ばれます。これは旧採点における技術点と言われるのですが、直訳すると「要素の点の合計」でしてこちらの解釈の方が正しいと思います。新採点方式では各要素(女子の場合はジャンプ、ステップ、スパイラル、スピンの4種類の要素があります。FSではステップ1回、スパイラル1回、スピン3回、ジャンプ7回の合計12個の要素をこなします)ごとにその要素の難しさに応じた点数とGOE(Grade of Excusionの略で日本語にすると技の出来映えになります) に応じた点数がつけられます。それらを合計したものがTESなのです。
TESの右の Total Program Component Score + 59.60 はコンポーネントの点数の合計です。略す時はPCSとなります。このコンポーネントは5つあり、ファイブコンポーネントとも呼ばれています。日本語ではしばしばプログラム構成点と言われる事もあります。TESは要素の点数の合計なのですが、PCSはプログラム構成という字面から分かる通り、演技全体を5つの軸から評価するものです。ですから表現力の点数とされています。
最後に Total Dedcutions です。減点にあたります。減点は転倒したときにつきます。1.00となってるのは3F(トリプルフリップ)で転倒があったからですね。そのほかにも演技時間がオーバーなどでつく時があります。
ここまではテレビ放送でも表示される部分です。どのようなものかお分かりになったでしょうか。
次にうつります。今まで見てきたものの下を見ると、なにやら記号が表になってならんでますね。1〜12までの番号が振ってある記号は、各要素になります。要素がこなされた順番に並んでいます。1番をみると3A-2Tとなっています。これは浅田選手が演技の最初に跳んだトリプルアクセル-ダブルトゥループというコンビネーションジャンプを表しています。ジャンプの記号は「回転数」+「ジャンプの種類(A = アクセル、Lz = ルッツ、F = フリップ、Lo = ループ、S = サルコー、T = トゥループ)」で表されているのですね。
要素名が書いてある右の9.50は Base Value、基礎点です。各要素にあらかじめ決められている点数のことです。この要素はコンビネーションジャンプなので、3Aの8.20と2Tの1.30を合計した9.50点となっているわけです。さて、その右の0.80にうつりたいと思います。これは先程も述べたGOE、要素の出来映えの点数です。これには+と-があり今回は0.80点の+となっています。つまり出来映えの良いジャンプだったということです。
このGOEは複数の審判によって採点されます。それが右の The Judges Panel です。点数が 1 1 2 1 0… と並んでいますが、これはそれぞれのジャッジがつけたGOEの点数なのです。それらの平均がGOEとなりますが、その前に何人かの審判の採点は抽選であらかじめ採用されないことが決まっています。基礎点とGOEを加えた点数が10.30で、この要素の点数です。
ジャンプ以外の要素はSpと最後の数字の前についているものが、スピン。Stはステップ。SpSqはスパイラルです。最後の数字はその要素のレベルを表します。レベルは1〜4で、トップ選手となるとステップはレベル3で、そのほかはレベル4が当たり前、それ以下だった場合は取りこぼしと言われてしまいます。
ジャンプでついている<の記号はDG(ダウングレード)、日本語では回転不足を表します。基礎点は一つ下の回転数となり、GOEも引かれます。つまり二重に減点される構造があります。そのため回転は足りている3回転ジャンプの転倒は、回転が不足しているがきちんとした着地のジャンプの点数とほぼ同じになることがあります。例えばカロリーナ・コストナーの4番目の要素の3Loの要素点(基礎点+GOE)は2.0。そこから転倒による減点があるのでこのジャンプは1.0の価値があるわけです。一方、安藤美姫の2つめの要素3Fは1.16。安藤選手の3Fは着地が少々乱れた面はあるものの転倒はしてないのですが、点数はほとんど同じです。この問題はショートプログラム(SP)で浅田選手のコンビネーションジャンプの二回目が回転不足となったためにジャンプが一回転になってしまったキムヨナ選手に順位で負けたことの原因です。
TESの解説でもう疲れたのでPCSの解説はしませんが、TESの読み方が分かれば理解可能だと思います。
より詳細なことを知りたい方はこちらのホームページへ。まぁこちらに私の書いた事すべてあるんですが。。。
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Athene/9074/index.html
ニコニコでフィギュアスケートを見ると、各要素の点数が要素が実行された後にコメントとして表示されるので、フィギュアスケートの勉強に便利です。もちろんこれはリザルトの結果を書いているので、生放送中には出来ないのですがね。
これでリザルトの読み方が分かったと思いますが、これが分かるといろいろなものが見えてきます。今回の結果のみならず、他の大会や男子のものを見ると、フィギュアスケート界の採点の歪みが見えて来ます。このままではスポーツとして危ういという現状があります。バンクーバーオリンピックは問題はないでしょうが、次のオリンピックでは実施競技から外されてしまうのではないかという危機感がフィギュアスケートファンの中にはあります。
を書こうとして疲れたからもういいや、また今度!
要は二つで、
安藤美姫選手には4S、やって欲しいです。それが彼女へのプレッシャーになってると言えばそうなんですが、それでもやってほしい。最高難度のジャンプが練習でかなりの確率で出来るのに試合で回避するってのはスポーツであるフィギュアスケートにとって良くない事だと思うんですよね。フィギュアスケートがスポーツであることを止めたくないなら、高難度の技への挑戦をしやすくなる方向に競技全体を持って行かないと、と。
そもそも浅田とキムをやたらに(当人たちがしていないのにも関わらず)年と背格好が似ているからといってライバル視して煽るマスコミの論調が気に食わないのだが、もっと気に食わないのはいまだに「技術の浅田、表現力のキム」と日本のメディアが煽っていることだ。
そら確かに、技術力で上回る浅田に、表現力のあるキム、そして二人は同じくらいの背格好で、同い年!という構図はいかにも漫画チックで面白げだが、その面白げな演出のために事実を曲げるのは言語道断だろう。
浅田選手は実は(といってもフィギュアファンには常識だが)表現力も凄い。PCS(厳密には違うがかなりおおざっぱにいえば芸術点的なもの)の今季最高得点は浅田である。今回のGPF(グランプリファイナル)でも、なぜだか日本のマスコミはやたらに「ヨナがミスしたおかげで浅田が勝った、浅田はノーミスなのにキムよりちょっとだけしか上じゃなかった」「ノーミスだったら多大な表現力の差でヨナの方が勝つ」的なことにしたがっているのだが(これはもう、物凄く不思議だ。自国の選手がアウェーで優勝し、女子史上初の3A(トリプルアクセル)×2を決めてきたというのになぜこういう論調にしたがるのだろう。男子の小塚が初めてGPS(グランプリシリーズ)で台にあがったのに、ほぼスルーなのも気になるし、あれほどマスコミが煽ってきた4S(4回転サルコウ)を安藤がチャレンジし、DG(回転不足のこと)こそとられたものの着氷したというのに(個人的には安藤はもう4Sを目指さないほうがいいと思うが)スルーしているのも謎だ)、GPFでの二人のPCSの差はほとんどないのである。またヨナがミスして浅田はほとんどミスなかった、的構図も誤りであって、浅田はSP(ショートプログラム)でもFS(フリースケーティング)でも減点の非常に大きなミスをしている。ただそのミスは、減点が大きいわりに素人目にも、いや、荒川静香や伊藤みどりというプロにでさえもわからなかったようなものであるため一見目立たなかっただけだ(要はDGである。それに加え、FSでは、転倒そのものより、それによりコンビネーションジャンプが単独になってしまったことが痛かった。今のルールでは下手をすると転倒よりわずかなDGの方が痛いのだ)。素人が浅田の演技を見て「ノーミスなのに」と思うのはまあ仕方ないが、マスコミがそれでどうするのだろうか。
まあとにかく、結論として、浅田は実は表現力もかなり優れたスケーターである。海外ではむしろ、技を褒める前に表現力の方を褒め称えられていたりする。浅田は、表現力もトップクラスの上、スピンやスパイラルやステップもレベルが高く、その上にジャンプの凄さ、またスタイルも抜群によく(フィギュアスケート選手として。この点はキム選手も同じ)、メンタル面も優れている、奇跡のような選手なのだ。
メンタル面の強さは凄い。今シーズン初めのフランス杯で、あれだけgdgdになっておきながらも、わずか2週間でジャンプの調子を整えてきたという凄さ。普通なら有り得ない。また昨シーズン足を引っ張ったロングエッジのルッツを、僅か1シーズンでしっかり矯正して来て、加点までもらえるほどのジャンプにして見せた凄さ。驚異的だ(ジュニア時代からずっとそういう癖だったものを矯正するのは勿論難しいことだ)。なんと苦手だったサルコウまで飛んでいる。
月曜日のとくダネというニュース番組で、こともあろうに「3Aを二度飛んだのに、結局ミスをしたヨナとたいして差がない!浅田は実力不足が否めない!その差はヨナの妖艶な表現力にある!」といった論調で報道がなされていたのだが……これには正直文字通り開いた口が塞がらなかった。何度も言うが、PCSはほぼ変わりない。というか、昨シーズンの世界選手権では浅田の方が上である。
キム選手は確かにトップレベルのスケーターでありそれには間違いないが、事実を捻じ曲げてまで、優勝した自国の選手を「実力不足」だと言うのは最早、何がしたいのか分からない。ピーコに至っては「二人の私服のファッションセンスに差がある」というような事を言い出し、アナウンサーは「二人のCM契約数の差」を話し出し、小倉はそれらにいちいち暗い顔をしては「真央ちゃんはまだ力が足り無い……」と嘆き……本当に何がしたいのか意味不明な番組であった。アウェーで自国の選手が優勝したのに何故かお通夜ムードである。
まあしかし、確かに浅田も重大なミスをしたとはいえ、女子史上初、伊藤みどりも成し遂げなかった3A×2を成し遂げた業績の割には点が伸びなかったのは事実である。表現力もいいというなら、一般視聴者にとっては更にわけがわからなくなることだろう。一体何がダメなのか?そこは2年くらい前から変わってきた今のフィギュア界の不可解なルールが関係しているのだが話すと長くなるので割愛する(キムヨナもジュニア時代からほとんどやっていることは変わりがないのに急に浅田に勝てるほどに点が伸びだしたのもルール改正と同時だ)。
あと日本のマスコミはやたらにGPSを重視し、まるで世界選手権と同格のように扱っているが、フィギュアスケート界では大会の格としては世界選手権>>>>GPSである。というかここまでGPSを盛り上げているのは日本と韓国くらいだ。別に盛り上げてくれるのはいいが、フィギュア選手の毎年の最終目標は常に世界選手権であり、GPSはその前座的役割、今季のプログラムの経験値を上げるような場である。今回など、浅田選手は相当に高難度なプログラムを入れているため、これはもう世界選手権で完成してくれれば御の字、といったところだった。正直フランスでの演技を見て、GPSはヤバいかなと思っていた(のだが、あの回復……驚異的だ)。あまり、全ての試合に勝つように煽るのもどうかと思う。国内大会で力を使い果たして世界大会でバテるのでは意味がないのと同じだ。
まあ、とはいえもうマスコミには必要以上に浅田をアイドル化してほしくない、安藤の二の舞にさせたくないという気持ちもあるのでそう着目されても困るのだが。浅田・中野の3Aや安藤の4Sは、本っ当に難しい技で、今のルール上はチャレンジしてもたいしたうまみはないばかりか、リスクばかりが伴う。大技煽りもマスコミにはやめてもらいたい。高橋の4回転2度や、小塚の4回転も同様である。特に安藤の4Sはもう煽らないで欲しい。今回まさかチャレンジしてくるとは思わなかったが、4Sとプロトコルに出て、DGだったものの着氷したのには驚いた。あれだけでもかなり凄いことなのだが、どうしてこういう時に限って取り上げないのだかな。まあ、これを期にもう安藤の4Sには注目しないのであれば、それはそれでいいのだが。安藤は4Sに固執せずとももともとレベルが高いのだから、点数的にも怪我的にもリスキーなだけでうまみのないあの技はもうやらないほうがいい。