はてなキーワード: トビウオとは
久しぶりに平穏な一日だった。今日くらいはビールを飲んでもいいだろう。残り少ない缶ビール。
絶望ではない。恐怖だ。絶望とは未来永劫のことで、恐怖とは今現在のことだ。これを書きながら手が震えているのは酔っているせいではない。酔えない。
明日からどうなるかはわからない。できるだけのことはするつもりだが、何の保証もない。
これは万が一私が死んだときのための手記ではない。こうでもしていないと気持ちが落ち着かないから書いているだけのことだ。
この建物は包囲されている。投擲の音で目が覚めた。今日も生きていた。
この街で生きているのは私たちだけなのだろうか。それさえもわからない。
妻は落ち着いているどころか時々私を笑わせようとさえする。しかしそれが恐怖心の裏返しであることはわかっている。強い女性だ。
窓に衝撃が走る。トビウオだ。運良くガラスは割れていないが、ハマチが投擲されたらと思うと時間の問題だ。
今夜は危ない。ビールはとっておこう。
「無駄な抵抗はやめろ」いや、私たちは抵抗などしていない。「抵抗はやめて今すぐ出てこい、さもなくば」
カタパルトにマグロがセッティングされているのが見える。あんなものを放り込まれたらひとたまりもない。
コウジとよく遊んだのを思い出す。「肉食おうぜ」が奴の口癖で、私たちはよく焼肉屋に行った。妻とはそこで知り合った。
コウジは転勤で今この場所のこの事態を知る由もない。全てはあいつのせいなのに。
「何を考えているの?」妻が囁いた。コウジのことを考えていたとは言えなかった。
鯖人間が議会を牛耳ったのはたった1週間前のことだった。だからどうした、と私は思っていた。楽観だった。
その後、まず鯖の缶詰が街から消えた。だからどうした。練り物が姿を消した。そんなものに関心がなかった私はそれに気づかなかった。だからどうしたっていうんだ。
スーパーの鮮魚担当が次々と行方不明になっていると聞いて事件はリアリティに彩られた。鯖の缶詰は鯖だが、スーパーの店員は人間だからだ。
やがて街から人々は姿を消し、この家が殆ど最後の砦となったようだ。妻がいないことに気づいた。
「ごめんなさい。あなたのことを嫌いになったわけじゃないの。だけど、残していくことを許してほしい。
あなたはよく食べる人だったわね。カルビ1枚でご飯1杯食べてた。そんな人は初めてだったから、とても印象的だった。いつの間にかあなたのことばかり考えるようになっていたわ。
絵に描いたような幸せ。凡庸な私の人生が輝いていたのがはっきりとわかったので私はサングラスを買ったわ。あなたは君は太陽だよと言いながら日焼け止めを塗っていた。今考えると馬鹿みたい。でも、幸福って馬鹿みたいなものよね。馬鹿みたいに幸せだった。
でも、私はこの家を出ていく。カルビを焼きながら白米を頬張るあなたが好きだった。でも、私は鯖を食べたいの。さよなら」
運命ってのは本当にあるのだろうか。これが運命? だとしたらあまりにも理不尽だ。量子物理学は土下座をすべきじゃないのか。
激しさを増す。クジラが投擲されるのも時間の問題だ。この家はもうすぐ蹂躙される。引き裂かれる。
最後のビールを飲みながら考える。たった一人で死んでいく悲しみは、果たして悲しみと呼べるのか。誰一人悲しまない。自分ひとりだけの悲しみは水素よりも軽い。
私は死ぬだろう。トビウオが激しい。鯖人間のシュプレヒコールが止まない。妻は今ごろ鯖缶を貪り食っているのだろうか。コウジは残業か。
最後にこれだけは言っておきたい。この手記を読んだ者がいたなら、これだけは覚えておいてくれ。
明日、めふぇ
申請者の定置網で漁獲された魚種組成は、年間漁獲されるのは60種を超える。主な魚種は、イワシ類、サバ、アジ類、イカ類、ブリ、カツオ、シイラ、サワラ、フグ類、カマス、ハギ類、トビウオ類等であるが、漁獲構成占有率は年により異なる。平成18年はイカ類が優占し、平成20年カタクチイワシ、平成23年ブリ、平成25年マイワシと交代している。優占魚種銘柄の占める割合は、21~55%で、過半数を超える年は少なく、多くの20%以下の魚種銘柄により漁獲が構成される。1%以下の魚種銘柄は数十種に及び、少量多種の魚介類が漁獲され、占有率の上位5 種~9 種で漁獲量の80%を超える。
この様に優先種が入り替わるので、特定の魚種に漁獲圧力がかかるとは考えられない。
事実、当地の定置網は400年以上の歴史があり、申請者の定置も50年以上継続して操業されている。このことからも、待ちの漁法であり枯渇が懸念される魚種は見当たらない。
阪神阪急ホテルを始めとしたメニュー表示偽装の問題。報道では、トビウオの卵をレッドキャビアとして提供していたことを偽装の代表例として伝えている。
キャビアとは何もチョウザメの卵に限定した言葉ではない。魚卵の総称のことである。
トビウオの卵は赤い。赤い魚卵なのだからレッドキャビアなのである。
数カ月前のネット記事に、タラコをキャビアと言い換えたら大ヒットした、というものがあったが、動機としてはそれと同じことだろう。
http://eng.alc.co.jp/gogaku/2013/08/HimiOkajima-01.html
それでもホテル側が、トビウオの卵をレッドキャビアと呼称したことを訂正したことは正しい。
そもそもレッドキャビアとは何だ。マスの卵と報道では伝えているが説明不足だ。
英語版Wikipediaでred caviarと調べればいい。イクラの画像が出てくる。
サケ科の魚卵のことを外国では一般にレッドキャビアと呼び珍重されているのだ。マスに限定される話でもない。
トビウオの卵を赤いキャビアと言い換えたとしても、あくまで日本人向けにしか通用しないものである。。
レッドキャビアという名前に馴染みのない日本人にとっては、チョウザメの卵に似て粒が小さいトビウオの卵の方が、レッドキャビアとして見た目のインパクトがあるだろう。
レッドキャビアとしてイクラを出されても「これってイクラじゃん」となるだけだ。
だから、阪神阪急ホテルがトビウオの卵をレッドキャビアと呼称したことも間違いとは言えず、また、国際ホテルとしてレッドキャビアの表示を訂正したことも正しいのだ。