はてなキーワード: モバイル空間統計とは
国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏がオリンピックに伴う人流増加、密状況の発生を指摘した。
これに小池都知事がエビデンスベースでは人流は減っていたと色をなして反論したことが話題となった[1][2]。
小池都知事に対して、すでにネット上でも多くの異論が示されている[3]。
オリンピック期間中人流が減少したというのは全体の平均値に過ぎない[1][2][4]。
大曲貴夫氏は、オリンピックイベントに合わせて局地的・一時的に密な状況が生まれたという事実を指摘したのだ。
そして、ウイルスが伝播するには、その程度の範囲・時間密になるだけで十分だ。
仮にオリンピックによってむしろ人流が減たと小池都知事の主張を無条件に承認するとしよう。
しかし、オリンピック期間中に感染が爆発的に増えた事実は変わらない。
感染拡大防止策という堤防のどこかが決壊したから、ここまで感染が拡大したのだ。
人流を減らすというのはきわめて重要なポイントの一つだが、それが全てではない。
小池都知事の強弁は、堤防が決壊して洪水が起こっている状況を無視して、別のよく決壊する部位は壊れていないと主張するようなものだ。
あたかも奇術師がトリックから目をそらすため、見られても問題がない動作を大げさに行いそちらに人目を集めるがごとく。
今やるべきことは、決壊した部位を探して穴をふさぐことだろう。
8/13(金) 18:15配信
https://www.asahi.com/articles/ASP8J220HP8HUTIL01Y.html
[3]例えば、単発の発言ではなくまとまった論考として
コロナ感染爆発、五輪との因果関係を頑なに否定する小池都知事が示す“エビデンス”の空疎さ
https://biz-journal.jp/2021/08/post_245767.html
[4]東京都内における繁華街の混雑状況および滞在人口(人出)の増減状況
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/corona-people-flow-analysis.html
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210709-OYT1T50079/
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210802-OYT1T50422/
上記のようにグラフ自体に問題があるが,「自粛率」「外出者数」も言葉を聞いて想像するものとはかなり異なると思われるため,注意が必要である.
https://cigs.canon/article/20200422_6369.html に,自粛率と外出者数に関する定義がある.
> 住宅地からの「外出者数=昼間人口-夜間人口」を見積もり、各地域の住民の「自粛率=1-(ある日の外出者数)/(平常時の外出者数)」を見える化する
> モバイル空間統計に収録されている、深夜0時から5時までと、朝9時から夕方17時までの500mメッシュ流動人口から、東京都の各500mメッシュについて、2020年1月(6日から31日まで)の平均的な昼間人口と夜間人口を算出した。
> 各住宅地(500mメッシュ)の「外出者数=夜間人口ー昼間人口」を見積もり、そして、地域で合算する。例えば、東京都の住宅地の夜間人口は約530万人、平常時の平日では昼間人口は約360万人となり、外出者数は約170万人である。
> 本稿では、平常時に「昼間人口<0.8×夜間人口」となる地点(500mメッシュ)を住宅地と定義し、そこからの流出の様子を観測する。
重要なところでtypoすんなやと思うが,住宅地では夜間人口が昼間人口より多いのだから,「外出者数=夜間人口ー昼間人口」が本来意図しているものだろう.
定義上,通勤・通学で住居のエリアを離れると,外出者としてカウントされやすい.つまり,自粛率を下げる要因になる.リモートワーク・遠隔授業が実施されていない会社・学校に通う人が「自粛」するには休むしかないのだが,これは新聞の読者が思い浮かべる「自粛」と一致しているだろうか.
また,7/9のグラフでは,2020年8月では自粛率がマイナスになっていることから,「お盆時期にはコロナ禍前を上回る人が外出したとみられる」とコメントがついている.定義に照らし合わせれば,この時期の外出者数が平常時の外出者数を上回ったことを意味する.ここで,外出者数は夜間人口が昼間人口に対し多くなればなるほど増加する.つまり,1日中家にいない場合,たとえば帰省中は「外出者」としてカウントされない.一方,例年であれば帰省するところ,家に残って昼間は出勤を含めた外出を行えば,「外出者」としてカウントされる.すなわち,「お盆時期にはコロナ禍前を上回る人が外出したとみられる」はミスリードであり,例年は帰省していたところ,帰省しなかったため自粛率が低下した,とみるのが妥当ではないだろうか.
事実,全国1,100名を対象とした2020年のお盆に関する調査では,78.2%が「帰省する予定はない」と回答している.
https://www.cross-m.co.jp/news/release/20200716/
出典となる論文における言葉とその定義はより良いものが思いつかないし,妥当だと思われる一方で,新聞記者はもう少し慎重に記事を執筆すべきではないだろうか.グラフについては『統計でウソをつく法』を熟読して欲しい.
この表は何度見てもわからない。
※ NTTドコモの携帯電話の基地局の情報をもとに500m四方にいる人数を個人を特定しない形で推計したデータ
※「感染拡大前との比較」は1月18日~2月14日の午後3時時点の平均値と比較した値(平日は平日平均と、休日は休日平均との比較)
※「宣言直前との比較」は緊急事態宣言が出された4月7日午後3時時点と比較した値
前日との比較 4.9%増
感染拡大前の人出の平均が10000人だとしたら現在(4月24日 午後3時時点)の人出は5660人。
宣言直前(4月7日)の人出と現在の人出5660人を比較すると22.7%減
前日との比較すると4.9%増