2021-06-10

中学生を塾に通わせる前にこれを読んでくれ

この日記は某家庭教師塾のアルバイト講師が、主に中学1〜2年生の親に向けて切実に伝えたいことをまとめた文章である

誰か1人でもいい、悩んでいる方に届いて参考になれば幸いである。


【はじめに】

塾は万能ではない。塾に来る中学生の中には、まだ塾に来るべきではないのに来てしまい、泥沼に陥っている子たちがいる。

ここでは塾に来る前に確認してほしいこと、何をするべきか、本当に塾を活用するにはどうすればいいのかを教科ごとに書いていく。


数学

数学で躓く中学1、2年の子は大変に多い。

そしてそのできない原因はほぼ共通しているといっていい。

計算だ。計算ができないのだ。

公式は言えるのに肝心の計算で間違うのでいつまでたっても間違える。

九九が言えない、約分ができない、筆算に1分かかる……このような子は、率直に言って「まだ」塾に通うレベルではない。

このような子たちを指導するときに組むカリキュラムは当たり前だが計算練習を中心にしたものとなる。

しかしこの計算練習というのが塾のシステムとかなり相性が悪いのだ。

講師は生徒の間違いを指摘し、解説するために存在しているのだが、基本中の基本の計算練習においてはその存在感は希薄ものとなる。

サポートできるのはせいぜい「7の段を間違いがちだから一緒に言ってみよう」「丁寧に書くと計算を間違いにくいよ」くらいのもので、肝心の計算クオリティスピードに関してはもう完全に生徒本人が頑張るしかない。

講師としてもはやく基礎の計算練習を終わらせて本番である面積や平均、方程式などの難問を教えてあげたいのだが、しか計算ができるようにならなくてはスタートラインにすら立てないのだ。

早くスタートラインに立ってほしい、その一心で連絡ノートに「自宅で計算練習をしてください」と書き、計算プリントを持たせ、家で毎日1枚こなすように言いつけて親御さんにも協力を仰ぐのだが、そういう子に限って「なんで計算なんか練習してるんだ?早く単元の解説をしてほしい」というダメ出しを喰らってしまう。

違うのだ!

計算というのは本当に大事で、中学高校大学受験の全てに尾を引く。

土台がぼろぼろの家はすぐに倒壊する。

ミスなく、速く、基本的計算をこなすこと!これが全ての基本だ。

そしてその基本を中学1、2年生のうちにマスターしておけば本当に大きなアドバンテージとなる。

逆にここで躓いて中学3年生になり、高校受験を計算練習から始めるのはかなり厳しい戦いになる。

から伝えたいのは塾に通わせる前にまず自宅で計算練習をしてくれ!ということだ。

高い月謝を払ってわざわざ塾に来て黙々と計算練習をする羽目になるより前に、安い適当ドリルを買って家で一冊終わらせた方が絶対に良い。

できれば1週間集中して取り組んでほしい。

数日間が空くとすぐに忘れる。大人が思うよりもがっつり忘れる。

子ども1人では集中できないし親が面倒見れないから塾に通わせているんだ!と思っている方は、騙されたと思って1週間連続家庭教師を雇い、徹底的に計算練習を見てもらうのだ。

週に数日塾に通わせて中途半端熱量計算練習をするくらいならそちらの方が断然コスパはいい。

何度も言うが、長い人生の中で、この時期に基本の計算マスターしておくことは本当に大事なことだ。

中1、中2で計算で躓いている子どもを持つ親は相応の危機感をもってほしい。

計算練習だけは講師が教えてどうにかなるものではない、生徒が自分継続して頑張らなければ身につかない。

そしてある程度基本の計算ができるようになったら初めて塾に通えば良い。

計算ができない」というノイズが取り払われた子ども純粋に単元の理解に勤しめるし、講師も全力で教えられる。

子ども数学の成績が奮わず塾に通わせるか迷っている親御さんは、まず「計算で躓いている」のか「単元理解に躓いている」のかを見極めてください。わからなければ体験授業なりで講師に聞いてください。

計算で躓いている」ならやるべきことは塾に通うことではない!

その準備だ。前段階だ。とにかく計算練習をするんだ。話はそこからだ。

中学に向けて計算スキルを身につけたいという小学生、親御さんにはくもん教室おすすめする。

くもんの数学プリント殆ど計算の反復練習であり、毎日宿題プリントが5枚出るので継続した勉強習慣も身に付けやすい。

下手な進学塾に通うよりまずはここで計算スキルを身に付けるべきだ。

しかし、くもんは計算練習に特化しているため面積や平均など、応用した単元の練習には向いていない。というかプリント範囲に(ほぼ)入っていない。

なので、余裕のあるご家庭ならば、早い段階でくもんに通い、ある程度計算力を得たら進学塾に切り替えて単元の練習をするという流れが1番良いと思う。


国語

文章題ができない中1、2年の原因もシンプルだ。

本を読んでいない、これに尽きる。

実際に問題を解いてもらうと、普段文字を読んでいないので文章を読み終えるだけでタイムオーバーしてしまったり、最後まで読んだ時には前半の内容を忘れていたりする。

深刻だと感じるのは「嬉し泣き」の概念などを理解できていない子で、「泣く」のは痛い時、悲しい時のみだと思っているので誤読するのである

人生で「嬉し泣き」の概念出会たことがないのだ。

もうこれは人生経験の問題になってくる。

本を読むのだ。もしくは映画でも、漫画でも歌でもいい、とにかく作品に触れて、自分以外の人の感情の流れを知ること、新しい概念を学ぶことが重要だ。

塾講師が「嬉し泣き」とはこういう感情で、「切なさ」とはこうで…と教えるよりもそっちの方が余程スムーズ理解できるし記憶に残るしなにより生徒も楽しいだろう。

親御さんにお願いしたいのは、そのような作品子どもが触れる機会を作ってあげることだ。

本を買わなくてもいい。学校地域図書館に連れていき、子どもが読みたそうな本を数冊一緒に選べばいい。

この時に絶対やってはいけないのは、子どもの選ぶ本に口出しすることだ。

まり簡単だろうが、絵しかなかろうが、倫理的心配であろうがとりあえず読ませるのだ!

気になる本の魔力は他者が思うより強い。

一冊読めば似た本が読みたくなる。それを繰り返すうちに、放っておいても文字数の多い小説に手を出すようになる。

間違っても初手からこども名作文学など勧めてはいけない。

どうしても読ませたかったらリビングの目立つ本棚に置き、親が率先して読んでいれば興味をそそられていずれ読む。待つのだ。

そうやってある程度文字を読み、文章に慣れ、感情や行動のサンプルを身体で学ぶ、そうして初めて問題を解くスタートラインに立てる。

から文章題で躓いている普段全く本を読まない子どもは、まず本を読むところから始めてくれ!

その状態で塾に来ても、何十分もかけて文章を読む基本練習をするだけだ。

高い月謝を払っているのにあんまりだと思わないか?教えるこちらも心苦しい。

本当に塾を効果的に使いたいなら、まずその準備として文章を読むところから始めるんだ。話はそこからだ。


英語

これに関しては特に言うことはない。

中学1年で本格的に勉強が始まるため、ほぼ全員が同じスタートラインから始まる。

スタートラインの前にある基本的計算力や読解力を要求されることもない。

アルファベットが言えれば十分だ。最悪言えなくてもたった26文字なのですぐに追い付ける。

家庭でやってほしいおすすめ勉強リスニングくらいだろうか。

こればかりは塾で教えるのは厳しい。

計算練習と同じく、継続的で本人の努力の量に左右される単元なので、塾で、家庭で、自主的に反復練習を積んでもらう必要がある。

あとリスニング聞き取りにくい所を何度も繰り返して聞くのが重要になってくるのだが、その「聞き取りにくい所」は生徒本人しかからないので、他人が教えるとどうしても非効率的になってしまいがちなのだ

中学リスニングはあまり重視されないのだが(出るとしてもレベルは高くない。基本がわかっていれば十分だが、簡単な文の読み上げが聞き取れないようなら対策した方がよい)、高校大学受験、そして英検TOEICではかなりの何度のリスニングが出てくる。

これらのリスニング日本学校教育だけで立ち向かうことはほぼ不可能なので(そもそもリスニングの機会が少なすぎる)、自分で何かしら教材を買って学ぶ必要がある。

それを中学からやっておけば高校でだいぶ貯金ができるだろう。


社会理科

ほぼ暗記科目である

例えば社会で、応仁の乱が起きた理由が上手くわからないので覚えられない…という躓き方をしている生徒には塾講師が役立つだろう。

しかし、その点は教科書を読めば理解できて、単に暗記で躓いているなら塾講師なしでも解決できる場合が多い。

要するに復習サイクルを上手く立てれていないのだ。

躓いている子は宿題として出されたテスト範囲問題集を一回解いて、丸つけをして、あとは一切問題集に触れずにそのまま試験に臨んでいる。

これでは良い点数が取れないのも当たり前だ。

暗記科目において1番大事なのは復習。

一回問題集を解いたら間違った問題に印をつけて、翌日そこだけもう一回解く。そして1週間以内にもう一回解いて、全問正解できるまで何周でも繰り返す。

テスト前にも同じ事をやって、全ての間違いを潰した上で本番に臨む。これだけだ。暗記ものでやるべきことはこれしかない。

まぁこれができれば苦労はしない話でもあるのだが、しかしこのサイクルは中学のうちに自分でできるようになっておいた方が絶対に良い。

これができない子は塾講師にいつこのページの復習をして、そうしたらこ問題集をやって…と逐一指導されることになるのだが、これはもはや勉強指導というよりはマネジメント生活管理の域になってくる。

率直に言って、やはり高い月謝を払ってまで通わせる必要はないように思える。

勉強週間がついていない最初のうちは塾に通って復習のやり方を教えてもらえば良いと思うが、それは意識して慣れればいずれ自分でもできるようになることだ。

マネジメントを期待して塾に通って暗記物を学ぶのならそれは正解だが、数学文章題のような"コツ"を期待して通わせるのならやめた方がいい。

来たところで最終的にやるのは問題を解いて、覚える、それしかないのだ。


【おわりに】

とりあえず伝えたいことは以上になる。

とにかく塾は万能ではないこと、塾の効果を最大限に発揮するには家庭での準備や努力が不可欠なことを認識してもらえたなら嬉しい。

そして、今現在自分の子どもがどの段階にあるのかを見極めて適切な措置をとるようにしてほしい。

全く地力がないまま塾に放り込まれ指導時間内はひたすら文章を読み、九九の練習をし、そして家庭での勉強継続して行われないため次に教室に来たときには内容をあらかた忘れておりもう一度六の段から始める、このような中学生を指導するのは本当に辛い。虚無だ。

月謝の無駄だとも思う。高額なのだから、本当に有用なことに使ってほしい。

現在悩んでいる方、どういう措置をとればいいかからない方がいたら、コメントを貰えればできる限り答えるので活用してほしい。

少しでも多くの子どもが己のレベルにあった環境出会えることを望んでいる。

  • そもそも机に向かって本や問題に一定時間集中することにならされていない子供も多いしね 家庭環境によっては、勉強に集中できるスペースを用意してあげられないケースもあるだろう ...

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