2021-06-06

成田空港での水際対策が際どすぎた

1週間ほど前に、アメリカから帰国した時の話を書きます

まず、機内で色々と書類を渡されました。日本入国後2週間は隔離すると誓う宣誓書と、チェックシートみたいなもの。後で判明しますが、このチェックシートスタンプラリーをやるので絶対に無くしてはいけないようです。

飛行機から降りる際、まずは国際線乗り継ぎ便の人が優先的に降機しました。勝手がわからないので、ひょっとしたら全身防護服の検疫官たちが搭乗してくるのではと、ヒヤヒヤしましたが、そんなことはなく、順々に日本入国組も飛行機を降りました。

動く歩道が真ん中にある、空港おなじみの長い連絡路を歩いて移動するのですが、最初に出迎えてくれるのは、椅子です。通路の両脇をソーシャルディスタンシングを絶妙に守って配置された椅子たちは、背もたれの裏に番号札が設置されていて、どうやらここに座って次の指示を待つということは想像できます。それにしてもすごい数の椅子で、そんなに待つの不安になりましたが、さいわい私の場合飛行機を降りたのが早く、5番の番号札を振られた椅子に着席しました。

しばらくすると、航空会社グランドスタッフと思われる方々が、書類チェックに回ってきます。宣誓書のサインのチェック。着陸72時間以内のPCR検査結果が記載された厚労省指定証明書チェックシート必要項目記入などなど。ここで宣誓書の2ページ目の署名を忘れていたことを指摘されました。さすがジャパニーズ品質の目検…

ここで目の前で今まで流暢に日本語を話していた女性の濃緑のパスポートが目に入り、在日コリアンの方と知り、いろいろな人がいろいろな事情日本に戻ってきているのだなと…

「お姉さん、僕もこのアプリたちをダウンロードする必要があるの?」

耳慣れたアメリカ人の英語が私の後ろの椅子から聞こえてきました。白と水色の横縞のポロシャツの裾をくたびれたジーパン突っ込み、靴はもちろんスニーカーという、ザ・アメリカンな格好をした黒人男性。どうやらアプリ追跡が嫌なようです。そりゃ私たちだって嫌ですよ。でもルールから守りましょうね…と思っていたところ、通路を挟んだ反対側の椅子に座っていたもう1人のアメリカ人がこう言いました。

「いや、僕ら大使館スタッフは、このアプリダウンロードはしなくて良いはずだ。確認してくれますか?」

こちらの男性はえんじ色のワイシャツに黒いスラックスとピッカピカの黒靴。おまけに黒いフェドラ帽ときます。お前本当に大使館スタッフかよ、大道芸人じゃないのと思いましたが、マニュアルに明記されてないであろう質問を訊かれた航空会社スタッフ女性は、慌てて謝り、上司確認すべく、ついたての奥に消えました。

別の航空会社スタッフの方が、私の前に座っていた女性のもとに、袋を持ってきました。どうやら機内での忘れ物のようです。「本当にすみませんありがとうございます…」そりゃこれだけイレギュラー入国プロセスだもん。忘れ物ひとつくらいしますよね…

するとさっきのスタッフの方が戻ってきて、大使館関係者アメリカふたりに、アプリダウンロードをしなくて良い旨を伝えました。え?ええええ???いわゆる外交官特権ってやつ?もちろんアメリカふたりは大喜びです。

外交官特権のない我々は、再度書類検査を受けるべく、居心地の悪い簡易椅子から立ち上がり、検疫官たちが待つブースに向かいます。ここでPCR検査の陰性証明書などをチェックされ、先程のチェックシートに「証明書あり」の赤いスタンプが押されました。なんか前進した気分です。次のスタンプラリー地点に向かう途中、別の経路を指したサインが目に入ります

米国軍関係者米国外交官・オリンピック関係者

え、待ってください。米国外交官と軍関係者はなんとなくわかります。でも何オリンピック関係者って。これ多分、今から始まる面倒な隔離とかアプリによる位置確認とかしないでいいやつですよね。オリンピック関係者もしなくていいの?オリンピックまだ始まってすらいないじゃないですか。どういうこと…

頭をよぎる疑問の数々を一旦置いておいて、自分が確実に入国できるために、唾液採取に向かいます。梅干とレモンの絵を見ながら、全力で唾液を絞り出し、ろうとから試験管に流し込みます自分の唾ながら、まじでキモい…この汚物を検疫官に渡します。ここで「30分以内に飲食をした方は申し出てください」というサインが目に入り、これ申告すると待たされるのかな、だったらたとえ飲み食いした直後でも誰も申告しないだろうな、などと思いながら、経路を辿ります。見慣れたはずの成田空港ターミナル内が、数ある仕切りとパーティションポールのせいで、迷路状態

今度はアプリダウンロード状態確認です。検疫官の前で、iPhoneにOverseas Entrants Locator(悪名高き追跡アプリ)とMySOS(ビデオ電話アプリ)が入っていることを確認されます。MySOSに関しては、次のステップ登録確認するから、まだ登録しないでくれと念を押されます。ここで位置情報の共有などのiPhoneの設定もチェックされた気がしますが、よく覚えてません。

そして20メートルくらい歩いたところで、またチェック。今度はMySOSの登録画面で、正しいパスポート番号を記入したか確認し、検疫官の前で登録ボタンを押します。これでちゃん隔離しているか電話確認できる、というわけです。

もうさすがにチェックはないかな、PCR検査の結果を待つだけかなと思いましたが、もう一度別の検疫官の前で座らさられ、最後書類チェックがあります。ここで確認されたのは、私のメアドでした。検閲官が、手元のiPadからテストメール送信するのですが、検疫官も初老の方で、目が悪いのか、最初メアドを読み間違い、パニックに。結局、"i"の小文字を一つ多く空目していたとのことで、無事確認メールがきました。確認メール送信元がGmailであるあたりに、本プロセスの付け焼き刃感が滲み出ていました。ここで「済」の赤いスタンプチェックシートに押されます。何が済んだのか、いまだによくわかっていません。

この初老の検疫官は男性だったのですが、ここに来て、私の対応をしてくださった他のスタッフ全てが女性であることに気づきました。そしておそらく3割ほどは、外国人女性おっさんテレビに出て「水際対策を頑張っている、だからオリンピック大丈夫だ!」とのたまってらっしゃいますが、実際その水際対策も、オリンピック関係者は素通りっぽいし、必死に回しているのは殆ど女性というわけです。それもおそらく非正規雇用の。

話が逸れました。最後QRコード確認があります。このQRコードは、厚労省が作ったウェブサイト個人情報を記入するともらえるのですが、私の場合、搭乗前に終えており、スクショをとってあったので、比較スムーズでした。断っておきますが、ここでの確認は、QRコードを持っている、ということだけです。適当QRコードを見せても通りそうなザルチェックでした。

そして43-44番ゲートに行きます。ここで、先程のQRコードスキャンするわけです。搭乗券の確認もここでやる必要があるので、無くさないようにしてください。ここで先ほど前の席に座っていた在日コリアン女性と再会します。私の場合関東圏、しかも自宅待機予定なので、割とあっさり終わりましたが、彼女は途中東地方を経由して、西の方に行く予定らしく、途中泊まるホテルの詳細など、いろいろと確認されてました。オリンピック関係者隔離しなくて良いのにね。

諸々の確認を終え、自分座席番号をもらい、PCR検査の結果を待ちます。待っている入国(予定)者の席はしっかりと2m離れているのですが、43-44番ゲートカウンターの裏の検疫官はそうはいきません。プラスチック遮断パネルの裏で、常に15人くらいの検疫官がひしめいてました。他人の「密」は不幸の味…というやつでしょうか。いやいや、検疫官の方には本当に頭が下がります

番号をもらった後、PCR検査の結果を指定座席で待つのですが、私の席から、先ほどのふたりアメリカ人が目に入りました。どうやらPCR検査を受けなくてはいけないのは、彼らも同じようです。まあ当たり前…ですよね。そしてぼーっと待っている間に、例のチェックシートSkype IDWhatsAppに使っている電話番号の記入を求められたにも関わらず、それらに関して何も確認されなかったことを気づきました。あれはなんだったのでしょうか。

30分ほど待った後、自分の番号が呼ばれ、38番ゲートに向かいます検査結果は無事陰性。ワクチンも受けていて、72時間前に検査もしていて、ここで陽性だったら再検査を求めたいレベルです。渡された葉書サイズピンク色の紙には陰性である旨が書いてあります。これを入国審査直前にしれっと立っている最後の検疫官に見せる必要があるとのこと。もうこれで終わりかと思いきや、最後に宣誓書(覚えてますか?)の提出をする必要があったのでした。これをやったのち、晴れてコロナ検疫は終了です。

ここまでざっと2時間くらいでした。おそらく相当速い方だと思います

私自身、水際対策を強化することは反対ではないです。でもどうせやるのであるなら、システム自動化して、チェックに必要人員を減らした方がリスクが減ると感じましたし、なぜか米国政府・軍関係者と、オリンピック関係者特別扱いされるところに、今の日本コロナ対策の最悪の特徴である一貫性の欠如」が表れていると感じました。

隔離生活が暇すぎて、長々と書いてしまいました。これからは、全ての入国者に3日間以上の強制隔離をするとのことなので、今回こそ一貫性を持って、全員ホテルに72時間ぶちこんでもらえると信じています

  • パイロット、CAの検査開始2021/1/24 19:40 (JST)1/24 19:55 (JST)updated https://nordot.app/726023841026785280?c=39546741839462401 このニュース去年の一月でなく今年の1月だからな パイロットは外国と接触が多い...

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