2017-08-02

完全にDVだった(8/2追記)

元彼は前の職場で知り合った2つ年上のカメラマンで、いつもニコニコしてるんだけどいまいち何考えてるんだかわからない、みたいなエキセントリックサブカルくん的雰囲気の人だった。

私含め美大卒の世間知らずな女とか、箱入り娘みたいな子には局地的によくモテた。

最初から気になっていたのでこちからデートに誘った。

新橋居酒屋焼き鳥を食べながら「前の彼女最後ちょっとメンヘラっぽくなっちゃって」と言われた。

1年付き合って、その間彼女から何度も「もう別れる」と迫られ、じゃあ別れようってなったら翌日に泣きながら縋ってきて、メンタルがズタズタになって半年前に別れたと言う。

誕生日とか記念日は気にしないけど、なんでもない日に花を贈ったりするの好きかも、と照れながら言われて、それにやられてしまった。

すぐに私から好きだと言って付き合った。




付き合うと、1日に4回とか5回電話がかかってきた。何してるの?と聞かれて1人で買い物と言うと、「ちょっと付き合って」と実家で同居してるお母さんの愚痴とかを延々喋る。

そろそろ、と切ろうとすると「寂しいからもうちょっと」。好きだったので、可愛い!と思った。

買い物どのくらいで終わる?と聞くから「1時間くらい」と答えると「えー長い」と冗談ぽく拗ねられた。

じゃあ30分、と言って本当に30分で済ませて電話すると、彼は落ち込んでいた。

躁鬱だというのは付き合う前にちらっと聞いていたのでそんなに戸惑わなかった。

「もうだめかも。何も食べられない」と言うので話を聞いたけど事情がよく分からない。

大丈夫、よく頑張ってる、ちょっとずつ食べてみてと励ました。電話は途中から無言になってやがて急に切れた。

翌日何もなかったようにご機嫌なテンションLINEがきて、そこには「きみに救われてる。大好き」と書かれていた。

私は池袋ジュンク堂双極性障害の本を買いに走って、その日に何冊も読んだ。



悪い癖で、私は待ち合わせによく遅刻した。

○分遅れますごめん、と連絡を入れると、10件とか20件、「おそい」「なにしてんの」「つかれた」とLINEがきた。

完全に私に非があるので、会って謝った。長く待たせてしまった場合は当然カフェお金も出した。

ただ、向こうも向こうでよく遅刻した。待ち合わせ時間に連絡がないので電話したら寝ていたこともある。

彼の体調次第でその日に行ける場所が決まるのと、途中から鬱が悪化してしまって彼は仕事をほぼしていなかったので、

前日に行こうと話していた場所に行けず、当日の朝になって「今日は○○の駅までしか行けない。マック一択」という連絡がきたりするので結構困った。

さすがにデートマックばかり続くのは嫌だから、私がお金を出してできる限りのところには行ったのだけど、途中で彼が黙り込んでしまうことが頻繁にあった。

機嫌が急に悪くなって、何時間も一切口をきいてもらえず、ただ後ろをついて歩くだけの日もあった。

あとから、彼の体調がよさそうなときに「あれは嫌だった」と伝えると、「ごめん。傷つけた」と真摯に謝られた。

そういうときにばかり「大切に思ってる」「愛してる」と言う人だった。



付き合って半年経つころには、携帯ナースコールみたいになっていた。

仕事をしていても、寝ていても、「もうむり」「たすけて」という連絡がきたらLINEを返した。電話にも出た。

私が連絡に気づかないと彼はスタンプを連投してきた。一番多いときLINE1000件きた。

一時期、彼が家でお母さんと喧嘩するたびに物を壊してしまうと言うので、彼の実家まで話をしに行ったこともある。

電子レンジを壊されたとお母さんは言った。お母さんもお母さんで相当参っていた。

彼の病気のことを説明して、物には当たらないことを彼に約束させた。

彼の病状を理解したくてカウンセリングもついていった。

ある病院では確かに双極性障害の傾向が強いと言われ、別の病院では強迫性障害だと言われた。

自分の状況を説明するとき、彼はとても穏やかに、自分いかに辛い思いをしているかを話した。

物に当たるのは一種自傷行為だと言ったお医者さんがいて、彼はそれを聞いて強く納得していた。

一時期は我慢できていた物に当たる癖が、それからまた頻繁に出るようになってしまった。

「お母さんも怖がるし、物を壊すのはやめよう。話はきちんと聞くから」と伝えても、彼は「俺は傷ついてる。これはリスカと同じで自傷なんだ」の一点張りだった。



書ききれないことが山ほどある。

急な仕事が入ってしまってデートの日程を変えてほしいと伝えたら、「裏切り者」「そんなに仕事大事か」「ひどい女だ」と罵倒されたこと。

体調を崩すだけで責められたこと。「浮気ちゃうかもよ」と軽い冗談を言ったら胸ぐらを掴まれたこと。


心労が重なって職場を離れることになったとき、「お前に負担をかけた会社人間を殺してやる」と彼に言われた。

あなた負担なんです、とは言えなかった。彼も病気と闘っているのに、そんな言い方はできない。


別れ話は1度だけしたことがある。でも、彼が心配になって翌日に連絡してしまった。元カノと同じだと思った。

私は彼のことが死ぬほど好きなつもりだったけれど、これはただの共依存なのだとしだいに分かってきた。




ある日ふと、死んだほうが楽なんじゃないかと思った。

いつか彼のことが手に負えなくなる予感はあったから、そうなる前に死ねたら幸せだと思って、夜、歩道橋の上から車を見ているとおまわりさんに声をかけられた。

職質は生まれて初めてだった。死にそうな人はちゃんと分かるんだなと妙に感心して階段下りた。


さすがにまずいと思って友人たちに相談した。

全員「別れろ」「逃げろ」「死ぬな」と言った。

「本当にめちゃくちゃ彼氏が好きだとしてもお願いだから逃げろ」と言う人もいた。

彼と一緒にいられるなら全生活犠牲にしてもいいと思っていたけれど、本当にそれでいいのかと考えるようになった。

友人のひとりが「きみの人生を生きてほしい」と、歌詞みたいなことを本気で言ってくれた。



別れ話をしたあとも、メール手紙は来続けた。けれど、一度冷たくしたらパタリと止んだ。

別れて、彼に対しての愛情が完全になくなってから半年経つ。

SNSで偶然名前を見てしまっても、過去写真が出てきても、もういまは何も感じない。

ただただ、よく生きて仕事行ってたな自分、と思う。

暴力を振るわれたことは一度もない。けど、今日たまたま調べていて確信した。

ドメスティック・バイオレンス(DV)とは | 内閣府男女共同参画局




完全にDVだった。目が覚めた。

あの日に死ななくてよかった。おまわりさん本当にありがとう





※追記

夜中にダーーッと勢いで書いたのでこんなに読まれて驚いている。ありがとうございますブコメトラックバックに関して少しだけ。

・「DV」は拡大解釈では?

モラハラだけどDVではないんじゃないの、って話ですよね。

彼は他にも怒るときに大声を出す、したくないときセックス要求してくる(断ると「失望した」「信頼できない」と罵倒される)、彼に設けられた門限を私がオーバーすると「心配してるのに」「もう死ぬ」と連絡が止まらなくなるなど、こちらの恐怖心を煽ってくることが日常的にあった。

「別れたらこの人はだめになる」という強い思い込みと、どうせ別れられないという諦めも常にあった。

……ので、これはDVというくくりが適切じゃないかと思ったんだけどどうでしょう

他にもこういう経験をしたことのある人、周りにこういう関係カップルがいる人の話ももっと聞きたい。文中で書ききれなくてすみません

・なんでそんなやつを好きだったのか

よくも悪くもアーティスティックな人だった。お世辞を言わないのと、自分に自信があるのがよかった。

いま考えると、彼に振り回される→その都度それを解決する(対症療法しかないが)→彼に「やっぱりきみがいないとだめだ」と言われる という刺激に依存してたんでしょう。

気持ちをガタガタに揺り動かされるのを「強烈に好き」と脳が勘違いしてたんだと思う。

増田も病んでるよね

自己肯定感は確かに低い。自分でも共依存だったと自覚してる。

はいままで付き合った女の子みんな数ヶ月ももたなくて、例外的に1年もった前の元カノは「絶対に怒らない死ぬほど優しい子」だったと話していた。そりゃそうだと思う。彼女がいま似たような男と付き合っていないかだけが心配なので、どうか幸せになっててほしい。

・結局捨てたんだよね/育てればよかったのでは

2年のあい人間関係制限され続けて満足に1人で外出も眠ることもできず(電話かかってくるから)、病院にも仕事探しにも何度も付き合って、それでも罵倒してくる人とまだ付き合おうと思える理由があったら教えてほしい。

・その後元気か

元気です。1人でのびのびと買い物したり仕事できるってすごいなと毎日感動してる。

心配してくれた人ありがとう、もしも周りにこういう人間がいたら目をかけてあげてください。死ぬほど好きと思い込んでるうちはなかなか言うこと聞かないと思うけど、どうかお願いします。

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