再考・『涼宮ハルヒの憂鬱』のどこが新しかったのか - シロクマの屑籠
p_shirokuma氏に記憶を刺激されたので、『涼宮ハルヒ』シリーズのいちファンとして、個人的にも振り返ってみたいと思う。
大ヒットした作品には「総決算」タイプと「新開発」タイプがあると考えている。
すなわち、過去の流行を上手くまとめたものと、新しい流行を提示するものである。
80年代・90年代のジュブナイルSFや超能力ものをベースに、
きわめて表面的かつ類型的な萌え要素を配置したものが『ハルヒ』である。
西尾維新のように、萌えを理解した上で過去の作品を換骨奪胎するのではなく、
ベタに古いものをやりたいので萌えをまぶして新しくみせかけた、といった印象を受ける。
Web小説でVRMMOものを流行させた『ソードアート・オンライン』などと比較すると、
『ハルヒ』はヒットの規模のわりにフォロワーの少ない作品と言っていいだろう。
ライトノベルの「萌え化」「学園ラブコメブーム」の原因とみなされることもあるが、
『ハルヒ』の大ヒット以前からMF文庫Jなどにはその傾向が見られたし、
直接的には2000年代前半に全盛期を迎えていたエロゲの影響のほうが大きい。
ちなみに『ハルヒ』フォロワーなら『いでおろーぐ!』がオススメだ。
難しい問題だ。
アニメ化前から巻割10万部を突破しており、これは当時の出版状況からしてもヒットではあったが、飛び抜けた大ヒットだったとは言い難い。
「スニーカー文庫のエース格」とは言えても、「業界を代表するエース」ではない、といった感じか。
第一巻の『憂鬱』は話題になったものの、『溜息』『退屈』がいまいちだったため、作品評価としては賛否が入り交じる状態。
『憂鬱』は当時の2chの人気投票で21位(そのときの1位は『撲殺天使ドクロちゃん』、2位は『バッカーノ!』)。
『消失』は同じく2chの人気投票で6位(1位は『ALL YOU NEED IS KILL』)であった。
ただし、2004年11月発売の『このライトノベルがすごい!2005』で『ハルヒ』は1位を獲得しており、
(この結果は少々の驚きをもって迎えられたと記憶しているが)やはり一定の人気は獲得していたことがうかがえる。
勘違いされることが多いが、アニメ『ハルヒ』放送時(2006年4月〜7月)には、まだニコニコ動画(2006年12月12日〜)は存在しない。
「ニコ動によってヒットしたアニメ」を考えるなら『らき☆すた』(2007年4月〜9月)のほうが適当だろう。
『ハルヒ』の場合、本編を動画サイトで視聴するというよりも、「ネットで話題になったシーンだけを確認する」という使い方がまだ多かったのではないか。
当時のYouTubeでは、動画の長さに10分の制限が設けられていたことも考慮したい。
(このあたりは個人的にYouTubeを敬遠していたという理由もあり、実際には本編をまるごとYouTubeで観ていた人も多いかもしれない…)
その視聴体験をみんなで「共有」したという点については、ニコ動(のコメント機能)の果たした役割は大きいと考える。
2006年といえば、我らが梅田望夫の『ウェブ進化論』が発売された年で、「Web2.0」ブームの真っ盛りである。
はてなダイアリーが2003年1月。livedoor Blogが2003年11月。アメーバブログが2004年9月。FC2ブログが2004年10月。Yahoo!ブログが2005年1月。
2004年ごろのブログブームを経て、2006年にはすっかり普及しており、オタクたちも盛んに長文を書き散らしていた。
「カトゆー家断絶」「かーずSP」「ゴルゴ31」に代表される個人ニュースサイトが、それを拾って拡散してくれるサイクルがあった。
また、いわゆる「2chまとめブログ」も2005年ごろから増加しており、考察や話題の拡散を手伝うこととなった。
(ただし現在有名な「やらおん!(今日もやられやく)」「はちま起稿」「オレ的ゲーム速報@刃」などが台頭してくるのは2007年以降である)
ついでに2005年2月には「はてなブックマーク」も開始している。「mixi」のブームも2005年くらいか。
ちょうど『ハルヒ』の放送直前に、これらのツールが出揃ったわけである。
アニメ『ハルヒ』のヒットに最も貢献したのが京アニの超絶作画だったことは疑うべくもない。
自主制作映画を完璧に再現した第一話、EDでの滑らかなダンス、『射手座の日』の艦隊戦、『ライブアライブ』における楽器演奏。
時系列シャッフルや公式サイトの作り込みなどと併せて、とにかく話題性が抜群に高かった。
2006年の『ハルヒ』、2007年の『らき☆すた』、2009年の『けいおん!』で京アニブランドが確立されて以降は、
他のアニメでも異常に作画のクオリティがアップしていったことだし、
やはりアニメ『ハルヒ』の特徴を挙げるならキャラデザよりは作画だと思う。
アニソンあるいはキャラソンについては、2005年のアニメ『ネギま』の主題歌『ハッピーマテリアル』の影響が最大で、
『ハルヒ』の「ハレ晴レユカイをオリコン1位にしよう」などはその後追いにすぎないという印象が強い。
ただ、『けいおん!』をはじめとして「作中で歌われるキャラソン」が増加したことについては、
『ハルヒ』のそれが売れた影響は大きいのだろうな。
1997年にアニメ『スレイヤーズ』のテレビ放送が終わり、そのブームが落ち着きを見せて以降、
世間的な注目度でいえば「谷間」の時期を迎えたライトノベルが再び注目を集めるようになったのは、
2004年に相次いで発売された『ライトノベル完全読本』『このライトノベルがすごい!』などの「解説本」がきっかけとされる。
それを追うようにアニメ化も増加し、2004年に3本しかなかったラノベ原作アニメは、2005年に8本、2006年には18本にまで膨れ上がった。
つまり、『ハルヒ』の大ヒットはアフターバーナーのようなもので、ラノベブームの「きっかけ」そのものではなかった。
とはいえ『ハルヒ』によってラノベブームが一気に拡大したこともまた事実である。
あとはSF設定によってファンによる考察がはかどったというくらいだろう。
やはり外的な要因に求めるべきだと思う。
京アニの台頭、キャラソンの増加、動画サイトの登場、ブログの普及、ラノベへの注目…
これらがちょうど上手いタイミングで噛み合ったからこその流行だったと言えるのではないか。
あ、『ハルヒ』の流行が終息したのは「エンドレスエイト」のせい。
これだけは間違いない。
まとめが6行だからIMAKITAする意味もないかな?
本放送から10年以上経って、去年の2月に初めて見たんだけど、面白かったな。昔から名前とハルヒの見た目は知っていたんだけど、それ以上の予備知識なしで見た。 普遍的な面白さがあ...
ハルヒにとどめを刺した一撃がエンドレスエイトなのに異論は無いが、他にも原因はあったと思う。 続編をやるのに3年は長すぎた。その間にライトなファンは他に流れていった 時系...
物語シリーズも同じ道歩んでるな たいして面白くもない傷物語を無理に劇場版でやって、却って盛り下がってしまった 原作自体がマンネリなのもあるけど いま映画館でやってるやつ...
2ちゃんやらMADやらネットミームなんかの盛り上がりは維持されただろうが、「消失」の作品完成度は確実に下がったと思う。盛り上がり至上主義には与したくない。
慎重な物言いをしておきながら、最後二行に確定的でないことを混ぜるな。 延々と続巻やら新シリーズやら映画やらだらだらと作り続けるコンテンツが称賛される傾向にあるが、本当の...
エンドレスエイトが三回で終わっていくつかの短編が追加されて好評のうちに終わった第2期のあとに満を持して公開される劇場版「消失」も観たくはなかったかい…?
エンドレスエイトのおかげでハルヒは伝説になれたと思うので、あれはアリだったと思う。 少なくとも、ただ落ち目だった作品をそれと認識させることなく「エンドレスエイトのせい」...
もちろんそれも見たかったが、その世界線が今よりもよかったとは一概には思わない。 視聴者に媚びていく姿勢はハルヒの反骨精神に反するもので、ただでさえブームが終わりかけてい...
これに納得してる回顧おっさんたちは皆、違法視聴や著作権違反まとめ記事でウハウハやってて、漫画村やツイパクやWELQなんかを全く批判できそうにない人たちだってことでいいですか
日本人(人類)のモラルは急速に改善しているのだよ。 ほんの75年前まで日本人は外国人を殺すことをなんとも思わないレイシストだった。 戦後も数十年は程度がだんだん緩やかになり...
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作品の売り方がどうよかっただの、どういう点が新しいだの(よく調べると大概前例が見つかる)じゃなくて、作品が心に刺さった点を書けよ。 流行ったのは周りに流されてるだけの連...
俺は、おまえみたいな奴の「内容が斬新で当時の世相と一致して視聴者の欲望が充足され…」みたいな語りのほうにウンザリしてるよ。
いやだからそういう「こういうのが視聴者(大衆)に受けたんでしょ。俺は新規性がないから評価しないけど。」みたいな態度が気に食わないと言ってる。 一人称で語れよ。
1. 絵が近代的で古臭さがない 2. ファンが勝手に想像してるだけの恋愛要素以外に性的な露骨さがない 3. 全員のキャラが一目でわかりやすいステロタイプ
anond:20181212171225 ちょいちょい分析として抜けてるので勝手に上から目線で補足してみたい。 下手くそ補足ってことは最初に謝っておく 京アニについて 京アニはハルヒ以前にAIRがあり...
ハルヒやスクールデイズは 俺妹やらき☆すたみたいなお宅要素がない万人向けのアニメ 多くの人間が理解できる世界観と設定がある
ちょっとまて、スクールデイズをそこに入れていいものかおい
部活アニメが増えたのはこれからじゃないかな。
エンドレスエイトはアニメーションを楽しむ作品としては面白い演出だけど、オリジナルアニメでやれよと 個人的にはエンドレスエイトの後にあまり面白くない溜息をダラダラやったの...
私は1990年生まれで高校の時にリアルタイムでハルヒやニコニコ動画に出会った者です。あまりアニメ全般に詳しくはありませんが、私の経験の限りにおいてハルヒについて語ってみます...
当時の中高生には革命的に面白かったよやっぱ あらゆる点であれほどまでに高クオリティのテレビアニメを見たのが初めてだった 特にopで衝撃を受けた
全然面白いと思えなかった増田が通りますよ
今年俺が書いた増田を自薦していきます。 昔のアニメが復活する周期について anond:20180201191602 wikipediaの「Category:xxxx年のテレビアニメ」を一年ずつ眺めていくと面白いですよ。 ちなみ...
増田、おまえだったのか いつも表を載せてくれたのは
ハルヒって 京アニが作ったからヒットしただけで 京アニ以外が作ってたらその辺のラノベアニメと扱い変わらなかったやろ
>あ、『ハルヒ』の流行が終息したのは「エンドレスエイト」のせい。 >これだけは間違いない。 これは明らかに違う。 どう考えても原作の刊行が止まったのが原因だろ エン...
忍殺は原作出続けているけどアニメがゴミカスでポカってから明らかに盛り下がっているのは反証になんない?
ニンジャスレイヤーの人気が落ちた理由とハルヒの人気が落ちた理由が同じという前提が確かなら
忍殺は長期化しすぎたのが原因じゃないかな。第二部の完結で満足して離れた人が多そう。 そこでアニメがヒットして新規読者がどっと入ってきてれば盛り返したんだろうけど。 あれだ...
アニメ2期が順当にヒットしてれば原作供給がなくても10年は延命したよ
それは無理だろ。 そもそも二期の新規話って消失への繋ぎでしか無いからエンドレスエイトが無くても成功するのは不可能。
2期が普通に作られてれば消失のあとに3期は作られてたよ
だからその3期の弾となる原作が無いじゃん
陰謀と佐々木編がまるまる残ってるだろ