先日、男性不妊治療を受けてきた。約2.5cmを開腹する手術だ。手術は無事済んで、今は次の検査まで経過を見ている段階だ。
今まで開腹手術を受けたことがなくて、不安で男性不妊治療について調べてみたところ、男性不妊治療の当事者による記事がかなり少なくて驚いた。多くが奥さんの不妊治療ブログの中で「夫から聞いた」という体で書かれており、男性不妊治療を受けた当事者からの声ではなかった。
そういうわけで、当事者から男性不妊治療に関して何かしら情報を発信出来たらよかろうということで、この日記を書くことにした。
私が診断は精索静脈瘤による造精機能障害だった。精巣の周りに静脈瘤が出来て、その熱により精巣の機能が低下する障害だ。↓のサイトが詳しい。
http://www.kameda.com/patient/topic/reproductive_technique/04/index.html
症状は、精巣の機能低下によって、精液中の精子の運動率(運動が活発な精子の割合)が低下するものだった。運動率が低下すると、それだけ子宮まで到達できる精子の数が減ることになる。精索静脈瘤を改善するメリットとして受けた解説は以下の通り。
・運動率、正常形態精子の割合向上(無精子症の人も精子出現に至るケースがある)
・精巣機能の悪化予防(二人目不妊の要因の多くが精索静脈瘤によるものらしい)
・陰嚢痛等の違和感解消
精巣周りの静脈が太くなりすぎて熱を持つ状態になっているのが問題なので、余分な静脈を結紮(けっさつ。縛って止めること)して切断する手術を行うことになる。手術は二通り紹介され、一つが鼠蹊部を2,3cmほど開腹して顕微鏡で患部を見ながら手術を行う方法(顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術)、もう一つが5㎝程4か所開腹して内視鏡を入れて患部を手術する腹腔鏡手術だ。それぞれの違いを示すと大体こんな感じだ。
比較項目 | 顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術 | 腹腔鏡手術 |
---|---|---|
入院期間 | 日帰り | 3日程度 |
値段 | 30万円前後 | 15万円前後 |
再発率 | 低 | 高 |
合併症発生リスク | なし | あり |
結論から言うと、顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術を選択した。健康に関することはできるだけの出費をしていきたい。体は資本だ。
蛇足だが、治療法の説明の中で執刀医の大切さを主治医に教えてもらった。主治医によれば、間違えて精管や尿管を切ってしまい担ぎ込まれた患者がいたそうだ。他にも、動脈を切ってしまい、逆に精巣の機能が低下してしまった患者も診てきたらしい。これから精索静脈瘤の治療をする人には、執刀医選びに細心の注意を払うことを強くお勧めしたい。
手術前は陰毛を全部剃るように言われる。手術の患部なので、丁寧に剃っておいた方がいい。剃ると意外とさっぱりして良い。毛も床に落ちない。
手術は部分麻酔で行われた。麻酔がよく効いて痛みはなかったものの、体内から血管やその他諸々の管が引っ張り出される感覚はある。精巣に伸びている静脈が引っ張られるので、自然と精巣の中の管も引っ張られる感じがする。私の時は大きなディスプレイに顕微鏡で映し出された映像が投影されていた。執刀医が活き活きと「この透明なのがリンパでね、このドクドク動いてるのが動脈。おっ、この静脈太いねー」と手術実況ライブをしてくれた。手術時間は手術室に入って出るまででおよそ1時間。開始時は緊張したものの、看護師さんと雑談しているうちに緊張がほぐれて、手術実況ライブを見る頃には完全に慣れていた。
手術後(当日)は食事後にすぐ痛み止めを飲んだ。痛み止めは痛くなってから、と聞いていたが、親知らずを抜いた時に即痛み止めを飲んでいたことを思い出して迷わずすぐ飲んだ。
術後一日目は、ちょっと試したくなって痛み止めを止めてみた。痛み止めが切れる10時間後頃になると、やっぱり痛みが出てきた。仕事(デスクワーク)にあまり集中できない程度の痛みになるので、痛み止めはまだ必要だった。通勤時間が1時間を超える人は、有休取得か痛み止め常備を強くお勧めする。
術後二日目も、痛み止めを止めるとまだ痛みが出てきた。ただ、一日目とは違ってやや鈍痛に近い感じになってきていて、対一日目比で7割くらいの痛みだった。かなり集中して仕事をすれば、一定時間は痛みを忘れられるくらいの痛みではあるが、痛み止めは常備しておいた方が良い。
術後三日目になると、痛み止めを止めても割といける感じになった。二日目と三日目の差は大きい。まだ若干痛かったが、耐えられない痛みではなかった。痛み止めは仕込んでおいた方が安心。
術後四日目以降は、痛み止めなしでも普通に生活を送れるようになってきた。ただ、歩く早さは六日目くらいまでいつもの早さに戻らなかった。(大体速度半減くらい)
術後十日目になると、手術前にだいぶ近づいてくる。十四日後になる頃には、「患部に触れるとちょっと鈍痛がするが、日常生活上では気にならない」くらいになり、状態が安定する。これはどの手術でも同じだと思われるが、半年くらいは患部が固く膨らんだ状態になるらしい。
私みたいに試そうと思わなければ、四日目まで痛み止めを飲んでおけばほとんど痛みなしで生活を送れる。
術後精液検査はまだ行っていないため、成果はわからない。ただ、目視で確認しても濃度?鮮度?の向上を感じられた。量も少し増えたかな。割と成果を期待してる。
今回の一件で不妊治療についてググったけども、その苦悩の多くは女性から発されるものだった。「不妊は女性のせいにされがち」とは話で聞いてはいたものの、実際に目の当たりにするとこれほど思い悩んでいるのか、と認識を新たにした。
いろいろ読んでみると、この精索静脈瘤については若干とはいえ開腹を行うため、尻込みする男性が多いようだ。そういった男性に、手術を経験した身として少しでも実際を伝えられれば、腹積もりが出来て幾許かの不安を取り除けるのではないかと願っている。
まぁ、こうした治療以前に、不妊治療自体が男女両方をまとめて診るのが標準になってくれるといいのだけど……。
登録した後に精液検査を受けてきた話とそれにぶら下がってる記事を知った。関連性高いからこの辺の記事への反応で書いても良かったな。
精索静脈瘤、意外とよくある症状??
主治医によると、レアな症状ではないとのことです。特に、2人目を授かりにくい原因の8割弱が、精索静脈瘤によるものとのことでした。
書き漏れていたのですが、全症状について手術する必要があるわけではなく、触ってもわからないレベルの静脈瘤であれば薬で処置が可能とのことです。ただ、「陰嚢を触って血管が太いような感触がする」「陰嚢内の血管がふっくら浮き出ている」といった症状がある場合は、手術が必要と言われました。精索静脈瘤の診断は、10分程度の診察とエコー検査のみで簡単にわかります。私の場合は、初診料を除いて7,500円ほどでした。
ちなみに、精索静脈瘤は片方の陰嚢にしかなくても、もう片方にも悪影響がでる場合があります。精巣の温度は体温より2~3度低い状態が正常です。そのため、例えば右の陰嚢に精索静脈瘤がある場合、その精索静脈瘤の熱が左の陰嚢に伝わり、左の精巣の機能を低下させうる、ということです。
( ゜Д゜)!?
内診の結果、PCOSの診断基準を満たしていないのでPCOSであるとは言えないとのこと。
えー・・・不妊専門の病院で、複数の先生が代わる代わるPCOSだから云々言ってたのにそんなオチ?
注3)多嚢胞性卵巣は,超音波断層検査で両側卵巣に多数の小卵胞がみられ,少なくとも一方の卵巣で2~9mmの小卵胞が10個以上存在するものとする.
(中略)
「少なくとも一方の卵巣で2~ 9mmの小卵胞が10個以上存在」してませんでした。むしろ少ないほうとのこと。
不妊専門の病院では「たくさんある」とは言われたけどいくつあるかは教えてもらったこと無かった、そういえば。数を数えてもらうのは大事なようです。
クロミッドやフェマーラが効いてないことから、視床下部-下垂体性月経不順の可能性があると。正常だと脳からの指令が排卵を起こすのに、脳が働いてないらしい。
原因について思い当たること…今はほぼ標準体重の私も昔BMI17程度の頃がありました。
高校や大学だと普通にいるけど(脳が働くのをやめて)無月経になってもおかしくないレベルの痩せです。
私の場合、無排卵ではないけど正常までにはならなかった、と理解しました。
クロミッドやフェマーラ(レトロゾール)は脳をだまして働かせますが
だましたところで脳が働かないから効果ない(=卵胞育たない)。
納得。
FSHとLHが両方多くなって始めて卵胞が「脳から指令キタ」と認識するそうで
つまりFSHだけの注射だと卵胞成長指令と認識されなくてスルー。
卵巣に穴空けたら脳が働き始める・・・わけない。
もっとも、PCOSならラパロは効果あるもののなぜ効果があるのかはわかってないそうです。参考:PCOに対する治療の基本的な流れ (5)LOD
脳の代わりに注射で増やそうという治療法だそうです。
脳が出すパルスは高頻度ですが注射は1日1回でも効果あるそうです。
元の不妊病院行っても怒りでストレス溜めそうだから、転院してみようかな…