現在ネットで大注目を集めているアニメ(*1)、それは「EX-ARMエクスアーム」である。(以下「エクスアーム」と記載する)
本作は集英社で連載していた漫画を原作としたTVアニメであり、本来2020年7月より放送予定であったが、新型コロナウイルスの影響で2クールの延期を行い2021年1月より放送開始となった。
なぜ本作が話題になっているか、それは2021年のものとは思えないCGのクオリティの低さで、PS2初期のゲームのCGだと言われても納得してしまう。
そもそも公式PVが公開になった時点で腐臭を漂わせていた本作であるが、いざ放送が始まると(クソアニメ)愛好家たちの期待を裏切らない内容であった。
※追記
上でPS2の発売日が2020年3月4日になっているのは2000年3月4日の誤りです。
ユルシテ…
このようなことになぜなってしまったのか。
スタッフロールに海外の名前がずらっと並んでいることから中国製の限界と切ってしまうのも簡単ではある。
しかし、現在多くのアニメ作品で中国への外注を行っており、中国アニメーターの能力も上がってきている。
(それゆえに新型コロナウイルスで中国ラインがストップした影響を多く受けてしまったのだが)
昨年劇場公開された「羅小黒戦記」を見にいって、ストーリー的には目新しいものはなかったが、背景は細やかな一方でキャラはシンプルでくっきりした線で描かれていてバランスが良く、アクションも見ていて満足できるものであった。
そのため、正確には「エクスアームは中国の低レベルな制作現場に仕事を任せてしまった」と言うべきであろう。
そこで、今回本記事では「エクスアーム」の失敗の要因を製作委員会という観点から検討していきたい。
ちなみに、私は業界の片隅にいる木っ端のような存在であるため、認識の誤りがいくつかあるかもしれない。
もし誤りを見つけたらご指摘願いたい。
(*1)これを書いている時点で「PUI PUI モルカー」に話題を取られてしまっており、もはや注目もされなくなってしまうかもしれない…。
まず大前提として、「エクスアーム」製作委員会はどのように構成されているのか。
エンディング映像のラストには「集英社 YTE ロイヤルリムジン クランチロール ビデオマーケット MAGNET ビジュアルフライト 日本コロムビア BSフジ」が製作として挙げられており、この9社が製作委員会メンバーであるのは間違いないだろう。
多くの場合、製作委員会の並び順は基本的に出資金額の順番になっている。
それぞれの役割としては
・集英社
おもな役割としては原作としての製作協力のほか出版に関する窓口を担当していると考えられる。
例えば「エクスアーム」に関するムック本などの製作の話が持ち込まれてきたら集英社が取りまわす、ということである。
・YTE
他アニメでの事例を見る限り、国内番組販売・海外番組販売を取りまわしているのだろう。
各種グッズの商品化の窓口もここだと思われる。
というよりここ以外にできそうな企業が思いつかない。
(あって日本コロムビアだろうか)
特に窓口等を担当しているわけではなく、謎コラボの兼ね合いで出資しているのだろう。
コロナで大量解雇のニュースを見た記憶があるが、こんなことしている余裕はあるのだろうか…?
他の例を見る限りこのようなコラボでの出資は多くても10%といったところだろう。
一般的に海外へは一定期間の配信権を与える形でアニメを販売しているが、委員会メンバーであるため他の配信サービスより優先的に、かつ購入なしで配信ができるということである。
クランチロールで触れたものの国内版で、他動画サイトよりも先行で配信が行える。
・MAGNET
この「エクスアーム」企画の言い出しっぺという認識で間違いない。
パチンコメーカーの京楽の一ブランドであるが、この事実は次に触れる会社にも重大な関係があると思われる。
一番の謎。
本アニメの制作を行っている…が、過去にアニメ制作を行った経験がないようである。
一応設立は2007年となっているので何らかの仕事をしていた企業ではあるのだが(「SEKIRO」などにタッチしているようである)、なぜそんな企業が制作を行っているのか。
ビジュアルフライトについて書かれたページ(https://bangumi.tv/person/39967)を見ると、業務内容に遊技機と記載があることから、パチンコ関連の仕事をこなしてきたのではないだろうか。
その中で京楽との関係が深くなり、今回MAGNETプロデュースのアニメの制作を任されたのだと考えられる。
その結果はこれである。
(実力がわからない制作会社を初めて使うのであればCMなどから試してみてというのが定石であるが、なぜこんな冒険をしてしまったのか。これがわからない)
円盤の販売もここじゃないかと思われる。というかここ以外にできる企業がなさそう。
・BSフジ
放送局。
委員会メンバーであるならば一定回数まで無料で再放送が出来たりする。
ビジュアルフライトを連れてきている点を見るとMAGNETが取り仕切っているのかもしれないが、このレベルの企業に幹事企業が務まるだろうか…?
(ただ、MAGNETが幹事会社をやっているからこのようなことになったと言われたらまあ、そうなのかもしれない)
これを見て気になる点としては、集英社が製作委員会の筆頭にあることである。
というのは、あくまで集英社は出版社でありアニメ事業を中心に据えた企業ではないため、アニメ関連の取り回しは基本出来ないと考えた方がよい。
例えば「鬼滅の刃」を見てみると製作委員会はアニプレックス・集英社・ufotableの3社で構成されている。
この3社の役割を考えると
アニプレックス(円盤販売・国内海外番販・円盤販売・商品化・幹事)
と、アニプレックスが多くを担っていると思われる。
「呪術廻戦」製作委員会を見ると構成企業は東宝・集英社・MAPPA・サムザップ・MBSの5社になっていると思われるが、こちらの役割は
サムザップ(ゲーム化優先)
といったところだろうか。
結局、集英社がいかに力のある企業であってもアニメという分野においてはアニプレックス・東宝といったアニメを本業とする企業の協力がないと厳しいのである。
そしてその多くの役割を担うアニメ企業が多くを出資することになる。
※話がそれるが、「鬼滅の刃」にしても「呪術廻戦」にしても製作委員会構成企業が少ない。
これはそれだけ多くの費用を出資することを経営陣に納得されることのできるタイトルであったためであろう。
「YTE、スクウェア・エニックス、KADOKAWA、MUSE、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、日本コロムビア、AT-X、ショウ・コーポレーション、ブリッジ、ドコモ・アニメストア、BSフジ、叶音、日本ナレーション演技研究所」の13社で構成されている。
これは大きな出資の稟議を通すことが出来ず、細かい出資をかき集めて何とか成り立ったのかもしれない。
そういう意味ではエクスアームも出資集めに苦しんだ結果のロイヤルリムジンだと考えられないだろうか。
話を戻すが、
本来のアニメ企業が多くを出資するべきであるがそのような企業が存在せず、集英社が筆頭になってしまうのが「エクスアーム」である。
これは全体を取り仕切ることのできる能力を持ち、その責任を背負うことのできる企業がいなかったということで、ある種の烏合の衆のような状態になってしまっているのではないだろうか。
また、本企画の予算面は最初から厳しく、その低予算で引き受けてくれる企業を探した結果、MAGNET(京楽)が関係のあるビジュアルフライトを連れてきた、という見方もできる。
そう考えると、ビジュアルフライトもある種の被害者と言えるかもしれない…。
ちなみに制作総予算は流石にわからないが、「エクスアーム」の出資を勝手に推定してみると
集英社 30%
YTE 20%
MAGNET 5%
日本コロムビア 5%
BSフジ 5%
これで合計100%といったところか。
長々書いていて疲れたので今回はこのくらいにしておこうと思う。
ラストに一言だけ、「エクスアーム」1話を見たときは「けものフレンズ」1話を見たときと同じくらいのワクワクを感じたので、最期まで頑張って放送してほしいものである。
腐女子お気持ち長文やめろ
今期のアニメで製作委員会について話すなら無職転生について解説してほしい
エクスメイデンが今動き出す
この人が異世界の門を見たら発狂しながらすべての内蔵を吐き出しそう
>(ちなみにPS2の発売日は2020年3月4日である) とりあえずほとんどの人間と違う時間軸で生きてるみたいなので参考にはならない
ぶっちゃけシンエヴァのCGパートもps3くらいにしかみえん
原作者マジでかわいそうなんだが