男は自殺率が女より高いという話から「男はコミュ障の強がりでストレスを溜め込むからね。でもワタクシはママじゃないし男のストレスは男で解消してね♡」というクソみてえな主張が最近目立って来たので書く。
男性の自殺率が有意に高いのはコミュニケーションが下手とかそんな話ではなく(だいたい下手なんじゃなくてプロトコルが違うだけだろ)、受けているストレスの量が多い≒背負っている責任が重いせいだ。男性自殺の原因トップは経済的な困窮であり、それは友達と話をしたところでそいつが連帯保証人のサインをしてくれない限りストレッサーから逃れる術はない。
日本社会は未だにジェンダーの縛りが非常に重い。扶養控除なんて制度もそうだし、親権が母親に無条件に寄るのもそうだし、医学部の女子に対する入試差別、職場での男女雇用の不均等…あらゆる場所で昔からある「男は仕事、女は家庭」が幅を効かせている。
社会の主役は男性であり、女性は家庭や私的空間を守るためのもの、というのは建前としては消滅したが、未だにあちこちに実在している。
この点については男性も女性も概ね合意が取れると思う。男女差別が存在しないなどと思っている奴はほとんど居るまい。
さて、そうした男性特権の向こう側には特権に比例した責任が発生する。中世の貴族であれば権威を継承する者として、共産主義国ではブルジョアを打倒する模範的同志として、そして資本主義国としては経済の主体としての責務を自動的に背負う。資本主義国で生まれた男子は、程度の差こそあれ「自分が今日の糧を食いつなぐ」という理由と並行して「国家構成員の責務」として金を稼ぐことを求められる。女子は、差別によってこの社会の責任から排除されているのでこれを背負うことはない(多少解消されつつある現代的に言えば「少しは背負っている」が)。
ここで「男ってバカね、意地なんて張らずにそんなの捨てちゃえばいいのに」なんて思った人間も居るかも知れないが、国家がそのイデオロギーを維持しているのはどこかのハンコついた文書に書いてあるからではなく、常に社会の構成員の大多数がそのイデオロギーを実践しているからであり、それが維持されない、誰もが気軽に社会的責任をポイしちゃう国家はその国体が維持できない(ナウルみたいになっちゃうぞ)。気軽に捨てちゃえばいいなどと言ってのけるのは、それこそ責任を持たない者の発言である。
つまり資本主義イデオロギーからの圧があり、男子は絶えずその圧に晒されている。そしてイデオロギーそのものを否定することは不可能(本当は可能ではあるが…今の所資本主義よりうまく行ったイデオロギーがない)で、プレッシャーから逃れる術はない。立身出世しなければならない。大人になったのに親に食わせてもらうことは恥だ。子供部屋おじさん。勝ち組、負け組…そんな言葉が未だに現代に漂うのはこうした圧力が実在することの証左である。
翻って女子の方は、差別によって権限を剥奪されているので社会的な責任が薄い。出世しなくても馬鹿にされないし(させないのだから当然である)、本人が無職を望んでも多方面からごちゃごちゃ言われない(ごちゃごちゃ言われるのは逆のバリキャリとして生きるときだ)。親に扶養されてて情けないと言われることもないし子供部屋おばさんなんて言葉もない。逆に家庭に対しては男子より多くの責任を負わされ、子供の面倒(母乳信仰など最たるものだろう)や地域コミュニティの行事など多くを強制させられるのだが。
この権限と責任の差によって男子は敗北が許されず、弱音を吐くことが認められにくい。責任を果たすために特権を得たのだから負けてはならないし、負けたら資本主義イデオロギーの実践者としてはもう後がない。実際には福祉がありそこに落ち着くが、資本主義イデオロギーの強いアメリカが福祉をアカ扱いする性質があるように、福祉の世話になることはほぼイコール資本主義社会の責任から降りる事を指すので、圧を受け続けた人間ほどここで死を選んでしまう可能性がグンと上がるのは想像に難くない。こうして経済的困窮による自殺が男性に寄る。
フェミニズムの運動とはこうした性差別を排除し、社会へ進出し、女性に強制させらた役割にNoを突きつけ、男性だけが得られた特権を女性にも等しく分配させるための闘争である。
よって、男性から回収した権利には当然責任が伴う。男と同じく、資本主義の無限の競争へと身を置く責務である。社会進出とはつまりはこういうことであるし、少なくとも初期のフェミニズム、ウーマン・リブ運動においては責任ごと請け負う気で女性たちは動いていたと思われる。
少し前に「フェミニストだけど彼氏に養ってもらいたい」といった大学生の記事が出ていたが、とんでもないことである。それは「5000兆円欲しい!!」とかと同義で、お前今まで大学で何勉強しとったんや、教授もうんうん言ってる場合じゃねーぞ、と思ったものだ。
遡って表題の話をするが、こうした権限移譲によって男が抱えて離さないもの…そして背負わされているものを女も手にするということは、奪われたものを取り返す事であると同時に、一つのものを両者で分け合って背負うということでもある。つまり男性の自殺率が高いという話に対してフェミニズム的にすべき話は「こっちも働いてやるから権限をよこせ」であり「男性のことはアテクシは知りませんわよ」などという態度を取るということは、結局のところ未だに自分は社会の中央でなく、主たる責任はどこかの誰かの男性がやってくれるという態度そのものであり、フェミニズムから最も遠いあり方である。
余談であるが、自殺数の男女差でなくそもそも絶対数が他国より多く、過労死がそのまま英語になっている不名誉な現状については上記のジェンダー論ではなく労働問題のレイヤーである。ジェンダーは受ける責任というベクトルを決定付けるもので、その方向に従って加圧されるパワーは純粋な労働量に依存する。そもそも我が国の働きすぎ問題がマシになっていれば、比率はともかく絶対数として死んでいる人間の数は減っていたであろうことは自明である。個人的には、女性が男と同じく過労死するほど働くよりは、男女がそれぞれほどほどに働く未来を夢見たい。
その理屈はおかしい。 責任が大きい仕事してる人間は既婚率が高く既に女からのケアを受けている。
既に書いているが責任が大きい仕事をしている内は義務を果たしているわけだから過労自殺以外では死なん。 致命的なヘマをしたり会社が潰れたりして資本主義社会から転落しその社会...
ヘマしたり会社が倒産するのは女のケアとか関係無いじゃん。
最初っから男の自殺率が高いのはケアが受けられないからではないって書いてるんだが
金がない男はケアされる権利がない。 ケアは金で買うもの。
貧民にも無料慰安婦をあてがえって話ですか?
マンコあてがったところで自殺するって書いてんだろ
別に誰も困らないからもっとやった方がいい。 ただし大家さんとか公共交通機関にはあまり迷惑かけないように。
ホモじゃん😍
金持ちの男女が平等に幸せになれて貧乏な男女が平等に苦しむ社会を作ればいいだけやろ。 男にせよ女にせよ上にいる奴の足を引っ張って上がってこようとするような奴は一生地べたに...
なんか惜しいな 構造の分析まではいいけど、その構造は解体可能で、男も女もそれに乗る義務なんかないと思うが