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2024-10-22

日本の生成AI創作に対しての議論に付きまとうある誤解について

https://anond.hatelabo.jp/20241021004208

典型的な誤解に基づいて書かれた考察があるので叩き台にしてタイトルについて語っていく

その生成AI自体について有用性や仕組みへの誤解についての議論はしない(例えばこの考察は明らかに生成AIの「学習」や「再利用」についても誤解しているがここでは無視する)が、最低限押さえておいて欲しい事を書く

読むのが面倒な人向けに概略を書いておくが勝手自分妄想上の西洋とか欧米を使うなよ、という話である

そもそも生成AI創作分野に対して反発が強いのは日本国内より欧米圏、特にアメリカである


まず、国内議論ではここが誤解されている事が非常に多い

例えばCELSYSCLIP STUDIO PAINTに生成AIが導入されるという議論の際に強い反発を受けた事を日本の後進性に基づいて言説が展開していたが

しかし、IR情報などを参照すれば解る様にそもそもユーザーの半分以上は海外であり、去年の売上も8割が海外からである

当時のコメントやそれにまつわる言説を読めばグローバルな特に欧米ユーザーからの反発が最も苛烈であった事が無視されており

最近の例としてProcreateのかなり強硬な反AI声明を見れば明らかな様に現在では海外においては一定見解として定着している

イラストを扱うコミュニティについて比較すれば国内アジア圏で筆頭のPixivタグ付けによる仕分け程度であり、クローズドSNSの割にかなり寛容な方で

使用者米国人比率が非常に高いReddit自作アート話題を扱うr/Artはかなり初期の時点で生成AI禁止しているし、DeviantArtでの生成AI周りの導入に纏わる訴訟騒ぎは言うまでもない

そしてその締め付けが進んでいる最も顕著なジャンルであるこの文章を書いたらしい人間所属している「音楽分野」では演技分野における声の扱いとセットの流れで生成AIは最も警戒されている

これは生成AIハイプ話題として持ち上がる前史として、2010年代後半から著名な政治家ミュージシャンの声を使ってラップ演説を行ういわば「音楽版のディープフェイク」が流行していた事が要因になっている

例えばオバマ元大統領辺りがかなり厳ついラップをしたりする動画等は簡単に見つかるだろう

そういった事を踏まえた上でハリウッドでは組合による生成AI脚本利用や俳優組合によるストライキが起こっているし、今年はテネシー州ELVIS法が制定されている

無論これはテネシー出世エルヴィス・プレスリーの名から取られた法で、俳優ミュージシャンの声を財産として保護無断使用に対して罰則を与える法律である

おそらく音楽分野では早い段階でiZotopeがやっている様にAIを利用したマスタリングツールが早い段階で誕生しているし、サンプリング文化等の下地もあるので

アメリカ音楽界隈は先進的、寛容というイメージを持っているのかもしれないが、個人創作性に関する部分ではむしろ日本とは比べ物にならない程生成AIに対して強硬な反発をしており大間いであ

総じて生成AI創作による利用に関して強い反発を行った事でアンタッチャブルになりつつあるのはアメリカEU(ここでは多くは語らないがAI規制法が今年発効されており、汎用生成AIシステムでは透明性義務必須となる)を中心とした欧米圏であり

しろ日本最近になって声優業界がかなり折り合いをつけた内容の声明を出した程度で、政治的にもAI戦略会議の内容を見れば国家戦略として5Gの使い道として取り込む目的もありかなり推進側にあるのは明らかである

その他の誤解


元の文章では何故かパルワールドについて語っているが、これは欧米圏のゲーム文化における「不寛容」な任天堂問題による

反発が加味されたものなで生成AIフェアユース議論範疇だけで語る事はできない

特にMOD文化大会開催等においては海外メーカーでは考えられない締め付けや法的措置を取ってくるのでその側面では任天堂の評判は非常に悪く、常に揶揄対象になっている

それに対して冷水を浴びせかけたパルワールド、という立ち位置からの支持である事は忘れてはならない

考察では欧米圏で「寛容」な理由として神から与えられたものとして創作の才能を扱っており、使命故に公益的な要素が大きかったという趣旨が語られているが

その要素はむしろパトロネージュにおける文化的な見解を極端にしたものであり、宗教的な原義からすれば真逆見解を語る事ができる

例えば、欧米圏で「不寛容」な理由としてそういった神から与えられたもの機械代替できる事への反発が大きいといった様な語りだ

この程度の見解アブラハム宗教における人間中心主義位置付けを考えれば簡単に想定できるし

そもそも上位存在から与えられたものとして芸術を扱うのは欧米圏だけでなくアジア圏でも一般的な事であって固有のものではない

加えて創作論にはあまり踏み込む気はないが、元記事で無警戒に当てはめられている様な現代人の創作に対しての概念近代以降のものであり

当時の感覚は全く異なっていて個人というよりも職人的に作られており音楽絵画信仰を広げる為のメディアとしての役割が非常に大きく、そのまま現代に結びつけて語る事は非常に危うい

結論


自称ではあるが「クリエイターレベルが高い」筈の分野に所属している人間ですら何故こういった事実や経緯を知らないのか?

ほとんどの日本人は英語が読めないし読む気がないし経緯や文化理解する気もないからだ、と言ってしまうと身も蓋もないのだが多分この辺りが原因なのかなと思われる

少なくとも前半部分に関しては多少掘り下げて見てるだけでも幾らでも出てくる話なので、英語読めない以外の理由が思いつかない

それでもこのツッコミどころ満載の言説がなんとなく受け入れられているのは伝統的に欧米から先進的な流れを受容してきた日本、というステレオタイプがあるからなのでは無いだろうか

とりあえず存在しない「西洋先進性と寛容さ」をでっち上げ議論を行うのは、少なくとも生成AIに関しては大間違いなので今すぐにでも止めるべきである

 
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