はてなキーワード: 保温調理鍋とは
だから炊飯器は圧力釜の代わりにはなんねーし、たいして高温にもならないし、圧力IHとか意味の分からない売り方してないガス炊飯器であってもそんなに内部圧力は変わらないから、あの宣伝文句にはほとんど意味がありません。電気炊飯器の優れているところはそこじゃねーです。
以下に説明する。
圧力式をアピールしている炊飯器、多くは1.25気圧まで圧力を上げているとアピールしているが、この圧力は「絶対圧力」であることに注意。
例えばタイガーのページには以下のようにある。
https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/feature/rice-cooker/takitate50/18/
ごはんの炊きあげ時には1.25気圧の圧力をかけて、ねばりともっちりした弾力を引き出します。また炊きあげ後は1.25気圧から1.05気圧に圧力を下げながら高温で蒸らし
この1.25気圧というのは、暗黙的に絶対気圧(大気圧+圧力上昇分≒絶対気圧)を表している。
このとき、日本機械学会の伝熱工学資料によれば、沸点は105℃程度だ。
はっきり断言するが、この程度の差に意味はない。
むしろ、タイガーなどのこの技術のポイントは圧力調整と言うより精密に温度を管理し、電気弁で積極的に湯気の量をコントロールするところにあると思うんだが、それだとわかりにくいからこう言う宣伝文句になっていると思われる。
この圧力鍋の圧力表示は、ゲージ圧力という奴である。大気圧との相対圧力を表す。これはJISで規定があるためこうなっている。
家庭用圧力鍋は、概ね1気圧から1.8気圧(100kPa~180Kpa)の圧力をかけることができるが、これはゲージ圧力なので、炊飯器が採用している絶対圧力にそろえると、2気圧から2.8気圧となる。
これだと、沸点は120℃まであがるし、高圧になることによる他の効果も期待できるようになる。
だから圧力IHなんてキャッチフレーズであっても圧力鍋のような劇的な効果は期待できないと言える。
論文を漁ってもらえばいろいろ出てくるが、そもそも3つの事実があって
順番に説明する。
実験で簡単に分かるが(とはいっても危ないから家庭での実験は絶対にすんなよ!)
工作精度が比較的良い鍋と蓋をつかって、沸騰した鍋の蓋を押さえつけてやるだけでこれぐらいにはなる。
炊飯器はあふれ出したりしないように、この状態が常に保たれていると思ってよくて、これはガス炊飯器でも代わらない。また無水鍋のような蓋が重たくて、きちんと合わせ面を高精度に機械加工してある鍋は、ある程度は似たような効果が期待できる。
あ、土鍋はたぶん期待できないです。
ご飯に粘りを出すか、さらさらにするか、もっちりにするかと言った事は、高温にしている時間がどれぐらいかによって変化することが知られてる。
ここは好みではあるのだけれど、実はその時間はもっちりを目指す場合でもそんなに長時間じゃ無いので、最高温度はそれほど影響は無い。
実験してみたい人は、きちんとした圧力鍋でご飯炊いてみてほしい。すごく、普通な仕上がりになります。
一方で、お米の旨みだったりを引き出すには、どれだけ均等に、かつ素早くそこまで温度を上げるかにかかっていて、こちらの方は直接的に影響がある。
ここらへんがガス炊飯の方が原理的に電気に勝っていると言われる所以ではある。
まぁこれはおまけ。マーケティング戦略の結果か、思い出補正か、あるいは一時のショボい電気炊飯器に対しての比較で言われたことかは分からないけど、最も美味しいご飯はかまどで炊いたお米だと言われることがある。(俺はそうは思わないけど)
このかまどで炊いたお米、簡単に吹きこぼれることから分かるとおり、まぁ内部圧力なんて全然上がりません。
と言うことが発信されていたからだ。もちろん根拠が無い思い込み。
これ、元をたどってみると、その界隈でまだまだ非科学的な話が出まわっているようだからだ。
繰り返し比定されているが、これらは今、分かっている事実と異なるので注意してくれ。
最も分かりやすい実験をしたければ、きちんとした高圧をかけれる圧力鍋と、その対極に位置する保温調理鍋でご飯を炊いてみてほしい。
もし出まわっている説が正しければ、低温の方がパラパラになって、高温の方が柔らかくなるはずだが、実際には逆になる。
そして、それぞれのやり方を標準のスタイルから変化させるだけで、驚くほど炊き上がりに差が出てくる。
一見科学的に見える理屈があっても、そこで考慮されていない要素があったり、定量的に評価されていない部分があったりすると事実と異なる結果になるので注意していきたい。
「無人島に持っていくべき調理家電ナンバーワン 『大同電鍋』|田中 伶」という記事のブコメで、「電気圧力鍋とホットクックとシャトルシェフとスロークッカーと、この大同電鍋の違いを誰かまとめて欲しい」というのを見かけたので、及ばずながら知ってることを書いてみる。
まずシャトルシェフ。シャトルシェフは魔法瓶の上位互換というか、まあ「魔法鍋」であり、スロークッカーの下位互換。なにしろ熱源を持ってないので、絶対に火災の原因にならない、という安心感はある。「スロークッカー買うから要らない」「スロークッカー買えないから妥協してシャトルシェフ」「スロークッカー持ってるけどセカンド・スロークッカーとして買う」などはいずれも正解。『保温調理鍋[シャトルシェフ]のおいしいレシピ (扶桑社BOOKS)』という本はおすすめできるが、ただし赤エンドウについての記述は大嘘だ。大豆ならともかく、シャトルシェフで赤エンドウ茹でるの無理。
そしてスロークッカー。当該記事を読む限り、スロークッカーと大同電鍋は別枠。
私見ではスロークッカー最大の美点は「石焼き」です。パプリカを洗って鍋に入れフタして1時間加熱するだけでむちゃくちゃ甘くなる。遠赤外線効果は蒸すのとは異次元。「はあ? パプリカを加熱するだけのために買うのかよ」と、知らない人は思うだろうけど、いやアレはねえ、素晴らしいですよ。ウチでは石焼きパプリカのピクルスをしょっちゅう食べてます。ちなみにパプリカは、コンロで焼き網で(あるいはオーブンで)真っ黒に焼いて皮を剥いても同等の結果が得られるが、カンタンさがぜんぜん違う。これを書いたおかげでいま気づいたけど、今後さつまいもとか栗とか玉ネギとかニンジンとかも試してみたい(そういえばナスはダメだった。焼きナスは電子レンジの方が美味い。焼いてないのに焼きナスの味になる)。
豆を煮るとか、トロッとなるまでごぼうの筒切りを煮るとかはシャトルシェフでもできなくはないが、シャトルシェフにはどうしても「保温してるだけ」という非力さがつきまとう。たとえば砂肝をスロークッカーで90分茹でるとかなり柔らかくなるけど、シャトルシェフで同じ状態を目指すなら1時間おきにコンロで沸騰させて3時間くらいかかりそう。「3時間放置で完成」ならそれでもいいけど、「1時間おきにコンロで沸騰させて3時間」はなかなか面倒臭い。プルド・ポークとかプルド・チキンとかアヒージョとか、「豚バラを5時間煮る」などもシャトルシェフでは無理だと思うが、スロークッカーなら余裕。
タイマー機能が無い。スロークッッカーのよさは「タイマーかけたら後はほっといても安心」なところにあるので、電源タイマー同時購入が必須。私はパナソニックの WH3101BP というヤツを使ってます。
もうひとつ、最大温度が低い。スープがクツクツしてくるまで「強」で1時間近くかかり、そしてそこが最高到達点。「グツグツ」や「ボコボコ」は無理。もちろんそれは素材の美味さを最大限に引き出すスロークッキングというコンセプトにおいて長所だが、「蒸す」「電子レンジ代わりに手早く温める」「飯を炊く」などの用途には非力。それらの用途が、大同電鍋の得意分野として多くの記事で挙げられていることから考えると、たぶん大同電鍋は熱力(?)が高いんだろう、と思う。