2023-02-03

不倫してしまうかもしれない(たぶんしないけど)

増田は既婚者で二児の母親でもある

夫は人格者だしルックスもいいし普通に恋愛結婚だったしお互いの実家含めて大きなトラブルもなく、別に今の生活に不満があるわけじゃない

しか自分がともすればそれらを全部捨てて逃げてしまいそうな恐怖に今怯えている

というのも最近大学部活動ひとつ上だった先輩に再会した

昨年のはじめぐらいかとある趣味にハマっていて、それ関連の社会人サークルに加入したんだ

そしたら先月そこに先輩が新人として入ってきた

懐かしさから話も盛り上がり、一気に時間が戻ったような気がした

サークル活動が終わった跡、まだ話足りなくてこちから誘って飲みに行った

当時の部員が今何人くらい結婚してるとか、地味だったあの人が業界活躍してて〜みたいな話を二時間くらいしていると

ラストオーダーの時間になって店を追い出された

私の終電はまだまだ先だったし先輩は車で来ていたから、駅までのんびり歩きながら送ってもらった

でもその途中でふっと話題が途切れて、ふたりとも黙ってしまって変な感じになった

そしてその感じには憶えがあった

大学文化祭の前、部のメンバー終電すぎまでキャンパスで準備作業してて

でも学内宿泊する許可をとってなかったため追い出されて、その現場にいた6人で先輩のアパートで朝まで寝させてもらうことになった

実を言うとそのときの私は隣駅のアパートに住んでたから帰ろうと思えば帰れたんだけど、他のメンバーが気を使って誘ってくれた

私は先輩のことが好きで、それがみんなにバレバレだったのだ

六畳間に先輩の布団と来客用のダブルの布団を並べて敷いて、そこに男女六人が雑魚寝する形になった

先輩が左端で、その隣が私だった

みんながそう仕向けたのだ

私と先輩以外の四人はすでにカップルで私達は「お前らも早く付き合っちゃえよ」みたいなノリでよくいじられていた

もちろん私はそう言われるのがまんざらではなく、「え〜ちょっと〜」とかいいながら気持ち悪くニヤニヤしてしまっていたが、先輩がどう思っていたかはわからない、怖くて顔を見られなかったか

その夜は結局眠らずに朝方まで駄弁って、カップル2組は始発に合わせて「増田ちゃんは校門開くまで寝かせてもらいな! ね!!」と私を残して出ていった

その意図はもう明白で、先輩も私も変に意識してしまい、

「まあ、じゃあ寝るか・・・

「あっはい

みたいな感じで布団に戻った

先輩はさっきまでとは逆側の、ダブルの方の布団に入ってこちらに背を向けた

今思うと、私の方はさっきまで寝ていた場所に戻るだろうという想定で、距離を開けたんだと思う

それを私は何故か「えっ? えっ?! ダブルの方に?? これって誘ってるんだよね? 来いってことだよね??」と解釈して、心臓バクバクさせながらすっと先輩の隣に潜り込んだ

「えっ」

と先輩が言ったその響きを今でも覚えてる

その時はなにが「えっ」なんだろう、寝ぼけてるのかなかわいいと思ったけど、まあせっかく開けた距離を秒で詰められたらえってなるよね

でも先輩は私を追い出したり恥をかかせたりせず、そのまま背を向けて寝続けていた

私はと言えば完全に「そういうことなんだよね??私今から処女捨てるんだよね?!」って思ってたのんだけど、何しろ経験がないのでどうするべきかわからない

先輩はずっと背を向けてるし…

先輩がゴム持ってなかったら困るなとか、いやその前にシャワーじゃない?とか、先輩の後頭部をガン見しながら悶々と考えた

ただ考えてもどうにもならなくて、でもせっかくのこの時間意味あるものにしたくて

めちゃくちゃ、本当にめちゃくちゃ勇気を出して、おでこちょっとだけ先輩の背中にくっつけた

汗のにおいがした

ペンキとスプレー糊のにおいがした

隣の部室のアジア文化研究会が漬けているキムチのにおいも少しだけした

これでいいや、これでけっこう幸せだ、と思った

そう思うと眠気が来て意識が遠のいた

目を覚ますと先輩はもう起きていて、簡単な朝食を作ってくれていた

食パン目玉焼き 飲み物は水だけ

私達はそれを無言で平らげて、文化祭の準備の続きをするためにキャンパスまで歩いた

何を話してもすぐに話題が途切れてしまった

私が、同衾した(文字通り同衾しただけ)昨夜のことを思い出して真っ赤になってキョドってしまうから

起きてからも額がずっと熱いような気がしていた

先輩はいつもどおり飄々としてたけど、やはりどこか意識しているのは見てとれた

私は本当にこの人のことが好きなんだなと思った

っていう、こういうことを子持ちのアラサーおばさん増田が書いていると思う怖くないですか?

でもそれが現実なんですよね

とにかくこのときの、朝日の中をぷらぷら歩いた数十分とその前の数時間のことを、久しぶりに再会した先輩と駅まで歩いたことで明瞭に思い出してしまった

若い頃の恋ってなんであんなに激しかったんだろうって思うことありませんか?

先輩が他の女と話しているだけで嫉妬に狂いそうになったり、同じ時間に同じ店にいるためにめちゃくちゃ努力したり、文房具拾ってもらっただけでその日は一日中幸せだったり・・・

あのあと私は先輩と付き合うこともなく、処女のまま就職して職場で今の夫と出会うんですけど

そこには学生時代みたいな燃える恋はなかった

お互い徐々に信頼感を積み上げていって、お付き合いしましょうなんて言うこともなく、いつの間にか休日の予定を合わせるようになっていた

はじめて泊りがけの温泉旅行に誘われたとき、そして旅先での夜・・・

緊張したけど、たしかにすごく緊張はしたけど、ボロアパートで先輩のせなかにおでこをくっつけたときのような死にそうな、体ごと命ごと爆発しそうなドキドキはなかった

もっとどこか冷静で、また一歩結婚に近づいたんだなぁみたいな感じが強かった

あんなドキドキは若い限定なんでしょうね・・・

そう思っていた時代が私にもありました

社会人サークル活動は週に2回

恥ずべきことだと思うけど、今の私は先輩に会うのが楽しみで他のことが手に付かないくらいになっている

私が好きになった先輩の魅力は今もそのままだ

これはフェイク設定なんだけど大学の頃入ってたのはギター部で、いまいるのはウクレレサークル

まあそんな感じで地続きなジャンルなんだけど

かつての先輩は本当にギターが上手かった

ものすごく努力して技術が高いとかではなく、生来のものにすら見えるセンスと発想がぶっ飛んでた

先輩の演奏する姿に私は惚れていた

そして十何年たった今も、先輩のウクレレは素晴らしい

すでに講師代理をするという話も持ち上がっているのに「でも俺は楽譜通りには弾けないか・・・」みたいなことを言って断ってる

はぁ、カッコいいよねもう

おっさんでも乗ってる車がタントでも靴がクロックスでも全然気にならないくらいかっこいい

最近は「当時の話」のストックが尽きてきて、先輩との二次会ではついに「あの日の話」が俎上に上がった

「あのときあんなだったけど、あの後どこかのタイミング告白されるかって思ってずっと待機してたんだよ俺」

ほんとですかぁ?怪しい〜なんて返したけど、もう脳内では快楽物質バドバよ

「え、じゃ、じゃ、じゃあ、今からでも?」

平静を装いながらも心臓ポンプ車になる

増田ちゃんもう人妻でしょ」

先輩がフリーなのはすでに確認済みだった

「じゃあじゃあじゃあもし人妻じゃなかったら?」

「そしたら考えるよ」

考えて〜〜〜〜!!もっと私のこと考えて欲しい〜〜〜〜😭

まあでも最愛の子供たちもいますし夫のことも本当に愛してるので変なことはするつもりないです

からやっぱりさ、陳腐な言い方になっちゃうけど恋と愛ってぜんぜん別物なんだよね

いっとき恋愛感情に踊らされて行動を起こすのは動物ですよ

まともな現代人のやることではない

でも恋の熾火はどんな場所にでもくすぶってるんだなって・・・

           〜 fin

  • なんや20代の発情期の♀やんか! 子持ちのアラサーおばさん

  • 「最近主人とうまくいかないの・・・」ってlineすればイチコロ 先輩といたした後は、旦那さんとも濃厚おセックスな 子供ができた時のアリヴァイづくりだ

  • 今のささやかな幸せを大事にしても、燃えるような恋で身を滅ぼしても、どっちの選択もいいなっておもう 楽しそうでなにより

  • 不倫しちゃうと一気に汚い関係になっちゃうから今のままでドキドキを楽しんでいるの正解 不倫は当人同士にとっては情熱的でスペシャルな関係なんだが 第三者からしたら性欲に溺れ...

  • 車乗るのにクロックスはあまり良くない

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