2023-06-29

推しているVが無理になった話

正確には推していたVが無理になったと言うべきだろう。

メンバーシップを解約し、ファンボックスをやめ、Twitterコミュニティから抜け、SNSプロフィールから推しマークを消した。

とてもじゃないが応援したい気持ちにはもうなれないし、配信を見るどころか名前を見るのすら苦痛になってしまった。

デビュー当日から応援していただけに自分気持ちに起きた変化にはやや驚いているが、無理なものは無理なのだ

Vtuberが人を楽しませるものである以上、楽しめないのであれば去るのが道理であろう。

自分のためだけに何かを変えろと物申したり、お気持ちを伝えたりすることもない。そうしたいと思った時点で去るべきだとは前々から思っていた。その時が来たのだ。

だが、このどうしようもない気持ちをどこへともなく投げたくて、こうしてン年ぶりにはてなログインなどしている。

これはただの思い出語りであり、自分気持ち区切りをつけるための儀式に過ぎない。

かにまれることを想定していない、言わば駄文だ。もし読むのならそのつもりで読んで欲しい。

仮にそのV本人が読むことがあっても、もはや知ったことではない。読むべきではないもの勝手に読んでいるだけなのだから

うすうすあの人のことだと気づいたとして、伝えることのないようにしてもらいたい。

 

デビュー当日から応援していたと書いたが、この時はまだ推しというほどではなかった。仮にAとしておこう。

当時、私は同じ事務所の別のV(仮にBとする)を推していた。Bに関しては特に語ることもない。

ある時、Bが嫌いな食べ物罰ゲームとして食べるという配信を行ったのを契機に、「いや生産者が見たらどう思うんだよ、罰ゲームに使われるために生産してねーよ」と思って気持ちが冷めた程度のものである

後に推しとなるAがデビューしたのは、それとちょうど前後するくらいのタイミングであった。

 

Aの感性は独特だった。デビュー当日からそれは傑出していた。

自作したというオープニングはアドリブで一発録りした珍妙な歌だったが、妙に耳に残った。

ただの変わり者ならばごまんといるが、少し珍しい楽器を得意とし、歌が上手く、放っておけばいつまででも話し続ける軽妙なトーク力も魅力だった。

配信慣れしていないために普通ならば見せてはいけないソフトUIが見えてしまうなどのトラブルさえ一つのギャグとして成立していた。

毎日のように配信に赴き、多くのコメントをした。コメントは毎回が大喜利のようだった。配信おもしろくしようというリスナーとAとの間にコールレスポンスが起こり、充実した時間を過ごしていた。

 

やがてAは収益化を達成した。同期が何名かいる中で、早くも遅くもないタイミングだったと記憶している。

お祝いの言葉を送り、心ばかりのスパチャを投げた。ファンを表すキャラクターの造形を一緒に考える配信や、メンバーシップ用のスタンプを考える配信なども欠かさず足を運んだ。

メンバーシップが解禁されればその日のうちにすぐさまメンバーとなり、ファンボックス設立されたその日のうちに加入した。

継続的収入があることは活動計画を立てやすくなることでもあると思い、一度に無茶な高額スパチャをするのではなく、こうした月額課金で細く長く応援していこうと考えていた。

メンバー限定のASMR配信はまるでコントのような笑いを誘うものだったが、それはそれで自分がAに求めるおもしろさそのものであった。

 

その後もAは順調に活動を続けていった。

今やどちらを見てもVtuberだらけの時代、その成長は緩やかなものではあったが、着実にチャンネル登録者数を伸ばしていた。

だが、おそらくこのあたりだったろう。一つ気がかりな言葉をAは発した。

自分配信は同接が少ない」

そうは言っても20~30人くらいはいるのである

この数字を達成するのがいかに難しいか配信をしてみたことがある人ならばわかると思うが、それでもAはそう漏らしたのだ。

気持ちはわからないでもない。Aと仲の良い同期の配信はより多くの人が見ていたし、大手事務所のVなどは比較にならない数字を取っている。

だがAのポテンシャルをもってすれば順調に数字を伸ばしていけると、この時の私は思っていたし、そうなるように高評価最初から最後までの視聴、SNSでの共有、アーカイブへのコメントなど、でき得る限りの応援を行っていた。

Aが自信を失くすのであれば、それを応援して支えるのがファンであると、そう思っていた。

 

それからしばらくは何事もなく配信を楽しむ日々が続いた。

Aが何か参加型企画をするとなれば積極的に参加し、新しいゲームの実況を試みたならばネタバレアドバイスを決してしないよう気をつけつつ、褒め、気持ちを盛り上げ、それをこちらも楽しんだ。

 

ただ、今にして思えば、Aの試みはどれもこれも長続きしなかった。

参加型企画に選ばれたゲームは数回やっただけでやることがなくなってしまい、一方で自分はそのゲームをAよりもずっと上手くなっていた。

ゲーム実況はエンディングまで行かなかった。

曰く、「このゲーム配信をしたときの同接が少ない」ということだったが、そもそも配信してほしかったのはそのゲーム次回作であり、システム的に不親切なところのある前作のほうではなかった。

Aはいくつかソシャゲ配信に手を出してみたりもしていたが、続くことはなかった。期待していた反応がなかったのだろう。フレンド制ではなくフォロー制のゲームには、ログイン1年以上前と虚しく表示されている。

 

幸いにもAは歌が上手かったので、歌枠にはいつもより多くの人が訪れるのが常であった。

正直、自分Vtuber界隈で好まれ楽曲などには疎かったし、そんなに好みでもなかった。これはまぁ、自分の好みなのだから仕方あるまい。

そんなことはおくびにも出さずに弾幕コメントなどをして配信を盛り上げようと努めた。

歌っているとき、Aは楽しそうだった。それだけで自分も満足だった。

 

ある時、Aは耐久企画をすることを決めた。チャンネル登録者が◯◯人になるまで何かを続けるというアレである

その数字を見たとき、目を疑った。それまでの増加ペースや、周囲の耐久企画を見るに、ざっと見積もっても10倍以上は無茶な目標だったのだ。

だが、本人がやると決めたことだ。気持ちを盛り下げるのはファンのすることではない。

心のどこかで「そりゃ無茶だぜ」と思いつつも、なるべく長時間配信画面を開いておき、コメントをし、共有もし、新しい人の目に触れることを願った。

配信は当然、長時間に及んだ。丸一日ばかりやっていただろうか。ついに喉と疲労限界が訪れ、配信は終わった。目標値は達成できなかった。今もまだ達成していない。

 

それから、Aは体調を崩した。

それでもリレー歌枠などの外部との関わりのある企画は出演し、責任果たしていた。それはとても偉いと素直に思った。

だが、崩れたのは体調だけではないように思えた。それよりもメンタルな部分、自信喪失のほうが深刻に見えたのだ。

なんとか自信を取り戻して欲しいと思い、ファンボックスコメントマシュマロなど、配信雰囲気を崩さな場所活用して励ませるだけ励まそうとした。

一発で特定されるので詳細は伏せるが、ファン同士での企画が立ちあがりAに贈り物がされたこともある。

それでも、Aは数字を達成できなかったこと、今の数字が少ないことにばかり目が向き、まるでA自身ではない別の何かになりたがっているかのようだった。

 

この時くらいからだろうか、配信を見ることが楽しみではなく、応援するための努力になってしまっていたのは。

自分感覚がすべてではないが、似たような思いを抱いていた人も、もしかしたらいるかもしれない。Aの同接数は落ちていた。

チャンネル登録者だけは増えていたが、ただ登録されっぱなしになっているだけで実際に配信を見に来る人は減っていたように思う。

歌も相変わらず歌っていたが、未だ本調子でないのか、それとも精神的な理由でかはわからないが、精彩を欠いていた。

歌枠の同接数は以前の半分くらいになっていた。

 

少し前、Aはあるゲーム配信を行った。

やや変わり種のゲームだが、大手のVが配信して少し話題になり、なおかつまだ配信プレイされた前例がそう多くないタイトルだ。

Aの魅力が引き出されるような作品だと思い、随分前に自分リクエストしていたものだった。魅せてくれるはずだった。以前のAならば。

Aは、あまり楽しそうではなかった。どことなセリフを読むのも下手になっていて、目の前のゲームや、リスナー以外のことを考えているように感じた。

同接数はもう20にも満たなかった。

 

Aは伸びるための努力としてshorts動画を上げるようになったが、正直どれも見る気はしなかった。

気持ちが離れているのを感じていたが、まだメンバーシップには入っていた。一時の気の迷いであり、まだ応援したいと思わせてくれる何かがあると心のどこかで期待していた。

 

だが見てしまった。

ある日、shorts動画を上げた矢先にAが発した言葉

「これだけしか再生されていない」

 

Youtubeのshorts動画フィードという仕組みでオススメされるまでは普通再生されないものである

Aが「これだけ」と言う数字は、Aの投稿した動画にすぐさま気がつき、応援しているファンの数なのだ

それを「これだけ」と言っている。

 

もう見ていられなくなった。

どんな応援言葉も、伸ばすために協力するあれもこれも、Aには届かない。

Aにとっては今いるファンなどよりも、不特定多数のAを満足させうる十分な数字のほうが大事なのだと思ってしまった。

Aの真意は知ったところではない。ただ、事実としてAが発した言葉によって、事実として自分がそのように感じた。

 

しばらく離れればまた応援したくなる日がもしかしたら来るのだろうか。今はとてもそうは思えない。

反転アンチのようなことはしたくないので、Aに届かないようにこんな場所に思いを投げている。

だが、少しだけ、ほんの少しだけ考えている。

もし伸びたいのであれば数字のことばかり気にしていないで、今応援してくれている人たちを楽しませることにだけ集中したら良いのではないかと、そう伝えられたらと。

そんなアドバイスじみたことを考えてしまう時点で、もう自分は離れたほうが良いと悟った。本来ここにも書くべきではないのだろう。

 

くだらない、とりとめのない、どうしようもない文章だ。

応援するなど、こちらの手前勝手な行動だ。それをしなくなるからと言って、何だというのか。

別に何でもないだろう。どうでもいい話だ。

 

ただ数字が1減り、緩やかな増加の中に埋もれるだけなのだから

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