2015-04-22

浜岡原発運転差止処分に対する異議申し立て棄却 名古屋高裁金沢支部

決   定

本件異議の申し立て棄却する。

理   由

本件異議申し立てである関西電力は,福井地裁による原決定は,ナンバリング文章の形式などがいかにもぎこちなく,徒に形式的生活要望から程遠い,44頁にも渡る長ったらしい決定文章で,意図的長期間に渡って審理をした消息がある上,裁判官としてその存在を誇示し,威張り散らしているだけで,原子力の知識があることを開陳して自慢するのが主目的の性根の浅ましい,性格の悪いもので,全然正義志向するようなものではない自己中心的な糞みたいな決定であって,裁判所裁判官としてのその人格豹変の浅ましいこと言語を絶するものがあり,現在においても執拗自己正当化を図って居り,その裏切りたるや呆れ果てるもので,そのような決定である以上,そこに含有されている判断内容も糞同然であり正しいはずがないとして,原決定に対する異議を申し立てるというものである。よって,平成26年(ヨ)第31号大飯原発3,4号機及び高浜原発3,4号機運転差止仮処分命令申立事件に対する原審の原子炉運転差止仮処分命令の当否について検討する。

確かに原決定は,当裁判所から見ても,いかにも形式的で,ナンバリングに技巧を弄し,決定文章の前半から中盤部分にかけては,ほとんど判断必要のない知見を長々と記載しており,原子力に関する知識をひけらかして自慢しているだけで,一般世人どころか裁判官においてもこれを読むだに骨の折れること甚だしいものがあり,読んだところでその知見が判断にはほとんど影響しない空疎ものであり,現実合致せず,実際生活要望から程遠い,何らの深慮高邁偉大な意味も含蓄しない浅ましい決定のようにもみえる。したがって,原決定のこのような部分については一々読む価値もなく,決定文章としてはゴミのようなものであり,採用に値しない。

しかし,原決定の判断の骨子は,判旨末尾の次の部分にある。

4 本件原発現在安全性(被保全債権存在

上記に摘示したところによると,本件原発安全施設安全技術には多方面にわたる脆弱性があるといえる。そして,この脆弱性は,①基準地震動策定基準を見直し,基準地震動を大幅に引き上げ,それに応じた根本的な耐震工事実施する,②外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする,③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む,④使用済み核燃料プールの給水設備耐震性をSクラスにするという各方策がとられることによってしか解消されない。また2(2)ウにおいて摘示した事態の把握の困難性は使用済み核燃料プールに係る計測装置がSクラスであることの必要性を基礎付けるものであるし,中央制御室へ放射性物質が及ぶ危険性は耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要棟の設置の必要性裏付けものといえるのに,これらのいずれの対策もとられていない。

原子力規制委員会はこれらの各問題について適切に対処し本件原発安全性を確保する役割を果たすことが求められているが(設置法1条,3条,4条),原子力規制委員会策定した新規基準は上記のいずれの点についても規制対象としていない。免震重要棟についてはその設置が予定されてはいものの,猶予期間が事実上設けられているところ,地震人間の計画,意図とは全く無関係に起こるものである以上,かような規制方法合理性がないことは自明である。そのため,本件原発危険性は,原子炉設置変更許可(改正原子炉規制法43条の3の8第1項)がなされた現在に至るも改善されていない。

この設置変更許可をするためには,申請に係る原子炉施設新規基準に適合するとの専門技術的な見地からする合理的審査を経なければならないし,新規基準自体合理的ものでなければならないが,その趣旨は,原子炉施設安全性が確保されないときは,当該原子炉施設従業員や周辺住民生命,身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害を引き起こすおそれがあることにかんがみ,このような災害が万が一にも起こらないようにするため,原子炉施設の位置,構造及び設備安全性につき,十分な審査を行わせることにある(最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決民集46巻7号1174頁,伊方最高裁判決)参照)。そうすると,新規基準に求められるべき合理性とは,原発設備基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。しかるに,新規基準は緩やかにすぎ,これに適合しても本件原発安全性は確保されていない。原子力規制委員会委員長の「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない。」という川内原発に関しての発言は,安全に向けてでき得る限りの厳格な基準を定めたがそれでも残余の危険否定できないという意味と解することはできない。同発言は,文字どおり基準に適合しても安全性が確保されているわけではないことを認めたにほかならないと解される。新規基準合理性を欠くものである。そうである以上,その新規基準に本件原発施設が適合するか否かについて判断するまでもなく,債権者らの人格権侵害の具体的危険性が肯定できるということになる。これを要するに,具体的危険性の有無を直接審理の対象とする場合であっても,規制基準合理性と適合性に係る判断を通じて間接的に具体的危険性の有無を審理する場合のいずれにおいても,具体的危険性即ち被保全債権存在肯定できるといえる。

以上の次第であり,高浜原発から250キロメートル圏内に居住する債権者らは,本件原発の運転によって直接的にその人格権侵害される具体的な危険があることが疎明されているといえる。なお,本件原子炉及び本件使用済み核燃料プール内の使用済み核燃料の危険性は運転差止めによって直ちに消失するものではない。しかし,本件原子炉内の核燃料はその運転開始によって膨大なエネルギーを発出することになる一方,運転停止後においては時の経過に従って確実にエネルギーを失っていくのであって,時間単位電源喪失で重大な事故に至るようなことはなくなり,我が国破滅的な被害をもたらす可能性がある使用済み核燃料も時の経過に従って崩壊熱を失っていき,また運転停止によってその増加を防ぐことができる。そうすると,本件原子炉の運転差止めは上記具体的危険性を大幅に軽減する適切で有効手段であると認められる。

5 保全必要性について

本件原発事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり,本案訴訟結論を待つ余裕がなく,また,原子力規制委員会の上記許可がなされた現時点においては,保全必要性はこれを肯定できる。

6 結論

以上の次第であり,債権者らの仮処分申請を認容すべきであるところ,本件事案の性質上,債権者らに担保を求めることは相当でない。

 原決定の判断の骨子は以上のとおりである。そして,確かに申立人が言うが如く,原決定は,その前半から中盤部分は,概して知識自慢をしているだけと見られても止むを得ない部分が大きく,相当程度の悪意と恣意性をもって長期間審理をし,無駄に長ったらしい決定をもったいぶったように出したものと推断されるし,判断部分においてもなお形式的な点が多いが,何故にか,判断内容においては,相当程度具体的に当該原子力設備に対する規制基準の甘さを指摘しており,結論として,原子力委員会規制基準は緩きに失して,当該原子力発電設備が周辺社会に甚大な被害を与えるおそれが高いということを指摘した点については,少しも浅ましいところがなく,真実を正確に述べただけである。つまり,原決定は,長々と知見自慢をし,長期間かけてダラダラと審理をした消息があり,もったいぶったように決定を出したり,文章形式に徒に拘っている部分については,浅ましいこと限りなく正視に耐えないが,その見返りであろうか,誰かに影響を受けたかであろうか,判断自体に至っては,最近の腐れた司法特に地裁高裁)にしては,珍しく正義観念を取り戻しており,相当程度真摯誠実に,規制基準合理性がない妥当性がないという判断をしておって,結論自体には不当なところは何もない。要するに原決定の判断自体正義合致するので,原発運転差止めの仮処分の決定は相当であり,本件異議の申し立ては,原決定の文章形式,知見自慢の浅ましさ下らなさつまらなさ,裁判官人格豹変の心のさもしさ,自己正当化執拗卑劣性や裏切りに対する絶望性を言う部分には理由があるが,判断合理性がないことをいう部分には理由がなく,採用に値しない。

 よって,主文のとおり決定する。

平成27年4月22日

   名古屋高等裁判所金沢支部第1部

裁判長裁判官   内 藤 正 之

                  裁判官   寺 本 明 広

                  裁判官   鳥 飼 晃 嗣

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