はてなキーワード: 疎明とは
記述の真正性を疎明する解説を6割の分量で周りに並べろ、とかいわれたんじゃないですかねえ?知りませんけど。
https://archive.md/Ctl4G https://archive.md/5a8zV https://archive.md/KF4s9 https://archive.md/bl3Tc あたりから見るに。
この元増田です。
前回で最後の投稿と言いながら申し訳ありません、今度こそこれで最後です。
前回までで書いた監査結果の違和感、多分これが答えかな、という推論が自分の中でまとまったので記録しておきます。
前回までにいろいろ書きましたが、本件監査結果への違和感の大きな部分は以下の3点です
(1)監査委員がColaboの帳簿、領収書その他の諸記録を調査して新たに作成した【表3】をもって請求人の申し出の多くを退けているにも関わらず、その【表3】の信憑性に疑義があるような記載がある。(※1)
(2)実施状況報告書の信憑性について、請求人の主張を「本件実施状況報告書に不正があることの合理的な疎明はなされて おらず、請求人の主張は妥当でない」として退けたにも関わらず、その実施状況報告書について、「本件契約の履行確認において、(略)その実態が把握できず不適切である。」とその信憑性について疑義がある旨を示している。
(3)行政不服審査法上の審査請求では、請求人の主張に結論を付ければそれで終わることが一般的なところ、何故か請求人の主張しない論点まで深堀して「妥当性を欠く」と結論づけている。(※2)
(※1)「按分の根拠となる考え方が不明瞭で、その実態が不統一であり不適切である。また、按分の考え方に基づき按分すべき法定福利費、税理士報酬等については按分せず全額計上しており不適切である。」「領収書として認められるか否か疑義が生じるような領収書が含められていることは不適切である。また、領収書が示されていない事項が本件経費に計上されていることは不適切である。」「事業実績額の内訳には実際とは異なる備品や購入していない備品が記されており」等
(※2)請求人の主張が一部認容なのであれば、「請求人の主張の一部に理由がある」で終わり、意見を付すとしても請求人が主張で触れた部分に意見を付すのであって、請求人の主張外の部分まで意見を付すのは不自然。主張外の部分で不適切なものがあれば、事実上の是正で終わるのが一般的と思われる。
(1)と(2)は同じですね。請求人の主張を退けながら、後でその根拠に疑義を呈している部分です。
(3)はもしかしたら住民監査請求では通常のやり方なのかも知れません。そうであれば御指摘ください。
通常であれば、監査委員は関係人調査や監査対象局からの説明・資料等をもって、少なくとも監査委員の立場として自信を持って間違いのない判断を下すものと思われます(たとえそれが行政寄りと言われようとも)。
私は住民監査請求に触れたことはありませんが、少なくとも審査請求であれば通常はそのように対応しているはずです。
今回の場合でいうと、【表3】を信憑性のあるものに仕上げてから、請求人の主張を評価していく必要があります。
ただ、住民監査請求の結果は60日以内に出さなければならない、と非常に厳しく、またこれをオーバーすると即住民訴訟の対象になります(地方自治法242条の2第1項)。
行政不服審査法上の審査請求には期間の定めがなく(標準審理期間を定める努力義務があります。)、特に作業量が大きい場合などについては標準審理期間を超過することもままあり、それが直ちに違法と評価はされません(「相当の期間」内であればよく、標準審理期間を超える場合には役所から説明があったりします。)。
今回の場合、
「60日以内で終わらせなければならない、という条件をクリアするために、とりあえず監査対象局及びColaboの言い分を丸飲みした資料をもって請求人の主張を退けた上で、その資料の信憑性はおって精査する」
としているように読めます(厳密には【表3】に直接疑義を呈しているわけではないので、言い逃れしようと思えば可能ですがかなり無理がありますね)。
しかし、これ(とりあえず退けておいて、資料は後から精査する方式)をアリにしてしまうと監査期間の定めが有名無実になってしまいます。好意的に解釈すると行政の実情に合わせた柔軟な対応、悪意をもって解釈すると脱法行為と考えますがこのあたりできれば行政法学者の解説をお伺いしたいところです。審査請求と比べて住民監査請求の期日の規定が厳しすぎ、改正の必要がありそうな感じですかね。
確かに60日という期間は厳しいですが、事業の規模からいって調査し、評価するための期間としては十分なものと思います(あくまで肌感覚です。)。
当初行っていた事務処理の方向性を急遽変更する必要があり、そのためどうやっても期間に間に合わなくなった、などの理由が考えられるでしょうか。
そして再調査の結果、仮に【表3】が正しくなかったとしても請求人の主張の多くを退けた監査結果はすでに決定しておりますので、「請求人の主張に理由があったもの」ではなく、「監査委員から意見を付されたため再調査をしたところ〇〇な点が認められた」という結論になると思います。
つまり、請求人の主張による是正ではなく、監査委員からの意見による是正とした方がダメージが少ないと判断したのではないか、ということですね。
それが行政のメンツの問題なのか、政治(政治家に限らず広い意味で)の問題なのかは知りませんが。
例によって監査委員は相当に行政寄りの判断を下していると思います(それが悪いとは言いません。)。
例えば、上述の(※1)についてあえて今回の監査請求で触れるのであれば、監査期間中に根拠書類の再提出を求め、それができなかった時点で返還対象にしても良いくらいでしょう。
それなのに延長戦を認めていますので、行政寄りの姿勢が伺えます。
その行政寄りの姿勢の割には(※1)の按分以外はわざわざ請求人の主張外で検証し、意見を付してるのは違和感があり、「あえて請求人の主張外のことまで触れざるを得なかった理由は何か」ということですね。少なくともここで触れる必要ないでしょ?という意味で。おって議会で突っつかれるにしても。
Colaboの事業の是非や会計の適法性については一切触れませんが、少なくとも東京都の行政の在り方については大きな一石を投じることになっていると考えます。
その追加論点は監査のヒアリングに出た暇空氏が追加で述べた項目だけど、報告書にその内容が何故か書かれていないから、監査委員が突然自我を出して調べはじめたように見える。
人件費の按分については御指摘のとおりですね(請求人の主張には出てこないものの、請求人が追加で主張したらしいです。)。
第3の4の(3)のエについては「請求人は~旨主張している」との文言がないので、監査委員による独自項目と思われます。
・ただしその不備があった項目を合算しても、必要経費の総額2,900万から都の委託料の総額2,600万を引いた300万を超えなかった。
この可能性はあるかなと思っていて、これまでも「ⅰやⅱをすべて計上せずに【表3】を作成した可能性もありますが、それならそうと一言添えるべきでしょう。」と触れさせていただきました。また、今回の本文でも「厳密には【表3】に直接疑義を呈しているわけではないので、言い逃れしようと思えば可能ですがかなり無理がありますね」としましたとおりです。
ただ、領収書がないだけでなく、按分率まで指摘があるなかで最低限の数字を確定させるのも厳しいと思います。
会計検査院は、通常検査でも特別検査でも何ヵ月も前から来るのを教えてくれるのが通例です(基本的に抜き打ちはないはず…たぶん)。
今情報が入っても検査は来年と思いますし、通常検査であれば何年かおきに間違いなく入りますので、会計検査院に見られて不味いような監査結果にはしないと思うんですよね。
少なくとも急遽方針転換が必要になることってないと思うんですよ…好意的に見すぎですかね。
○監査委員が関係部局にヒアリングした結果、請求人の指摘の妥当性はなくなったものの、その結果としてできた表3の妥当性が逆に怪しくなった、という話だと理解していた。
普通ならそこまでの作業を行った上で、監査結果を出すのではないか、という話ですね。
○とりあえず表3というこれまでと異なる数字の表で請求内容は退けつつ、その表3を支える根拠はColaboに直接問い合わせても出てこなかったので再提出。普通の監査なら根拠のないtableは無視すべきだと思うがね
本当にそう思います。
本文で触れた「監査期間中に根拠書類の再提出を求め、それができなかった時点で返還対象にしても良いくらいでしょう。」に該当しますね。
※この投稿の前に「Colabo関係の住民監査請求監査結果を読む①(請求文書)」という内容を投稿したのですが誤って消してしまいました。復元する気力がないのでたぶんそのままです…
の元増田です。半日遅れで時機を失した感がありますが、監査の内容に移っていきます。
本音をいうと役人経験がある者としてこの文書は違和感があります(不正があると断定しているわけではありません。)。
①請求人:公表資料や開示された文書によると、・・・のような不正が認められる。
②監査委員:今回新たに作成された【表3】によると、請求人の主張は【一部を除き】妥当ではない。
論点は後出し資料の【表3】と、【一部を除き】、それから④でしょうか。
(さすがに正規の資料を用いた請求について、後出し資料で請求を退けていくのは酷いと感じますがそれは置いておきます。)
ここでいう「一部」とは、Colaboに係る税理士及び社労士の報酬を全額本事業の費用として計上しており、本事業以外の経費も計上している点です。
通常、監査請求であればこの1点をもって理由があるとされたことで大勝利です。
例えば、国賠訴訟で10個の論点を挙げ、1個の論点で賠償が認められた場合、通常であれば原告大勝利と報じられます(もちろん論点の軽重により違いはあります。)。
よって「請求人の主張の大部分は認められなかった。請求人の負け」とする言説には大いに違和感があります。
請求人の主張(監査結果文書第1の3)に税理士や社労士に触れられてないにも関わらず、監査結果には「請求人は、税理士及び社労士の顧問料や決算対応等の業務に係る報酬は・・・不自然である旨主張する」とあります。どこからこの主張を引っ張ってきたんでしょうか(youtubeでは触れられていたと思いますが。)。
【表3】はどのように作られたのでしょうか。
監査結果文書によると、(1)Colaboから「領収書を含めた関係帳簿等の検査に応じることができる」と回答があったため、(2)12/9に関係帳簿等の検査を行い、(3)帳簿、領収書その他の諸記録を調査して作成した、とのことです。
法人Aに対して法第199条第8項の規定に基づく関係人調査として、以下の回答があったため、関係帳簿等の調査を令和4年12月9日に行った。
(略)
回答 本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録を整備・保存しており、委託者(都)から関係帳簿等の検査を行うことを求められた場合、これに応じることのできる状況である。
法人Aの本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録(以下「本件帳簿記録」という。)を調査したところ、本事業の実施に必要な経費として法人Aが台帳に記録した経費(以下「本件経費」という。)は次のとおりであった。
なるほど、Colaboに関係人調査を行い、帳簿や領収書その他の諸記録を調査して【表3】を作った、ということなんですね。
そもそも雑過ぎませんか?と思わなくもないものの、とりあえずそこは置いておきこれを全面的に信じることにします。
(領収書について)
本事業の特性上やむを得ない事由があることは理解できるものの、証ひょう書類としての性質上、領収書として認められるか否か疑義が生じるような領収書が含められていることは不適切である。また、領収書が示されていない事項が本件経費に計上されていることは不適切である。
と結論づけている。これは妙ではありませんか?
現段階では都はColaboに対して、【表3】が作成できるよう領収書等の提出を改めて求めることが限界であり、ⅰやⅱが残る中で【表3】を作成することはもちろん、それを根拠に請求人の主張を否定することはできないのではないかと思います。
(ⅰやⅱをすべて計上せずに【表3】を作成した可能性もありますが、それならそうと一言添えるべきでしょう。)
通常の不服審査であれば、請求人の主張を妥当ではないと結論付けたらそれで終わり、(一部)認容と結論付けたらそれで終わりで、そこから更に深堀りは原則としてしません。
実運用をいうと、請求内容以外に是正すべき点が見つかった場合には、こういった公表文書には載せず、事実上の措置として是正していきます。(そりゃそうですよね)
事例が全くないとは言いませんが、何故あえて踏み込んで是正措置を堀り、さらにそれを公表したのでしょうか?
監査請求には疎いのでそのあたり詳しい方おられれば教えていただきたいですね。
本件精算に係る上記各資料を確認した限りでは、後述のとおり一部疑義があるものの、法人Aが本件契約に定められた委託内容を履行していないといった特段の事情は認められない。
本件契約の履行確認において、(略)本件実施状況報告書では、特定の事業によるアウトリーチ実施回数と声掛けをした人数や参加者数の記載にとどまることは、その実態が把握できず不適切である。
実態が把握できず不適切であるとしながら、委託内容を履行していないといった特段の事情は認められないとした理由についてお聞かせいただきたいですね。
これは、法人Aの自主事業も含む本件活動報告書と本件委託に係る都に提出した実施状況報告書との差異を述べるにとどまり、本件実施状況報告書に不正があることの合理的な疎明はなされておらず、請求人の主張は妥当でない
ここはColaboの言い分をそのまま記載しているわけですが、暇空茜さんによると自主事業を含む活動報告書の方が本件事業の実施状況報告書の数字よりも小さくなる部分があると指摘があったはずです。
そのあたりは請求時点で触れられていなかったからスルーなんでしょうか?
(その割には④で請求内容以上に突っ込んでるので違和感しかありません。)
購入していない備品について実績として報告していたら、清算時点でハネられて当然だと思います。
これをハネたあと、「別のところで予算オーバーをしていて、総額では予算超過でした!だから請求全額認めてくださいね?」といって通るものなんでしょうか?
もちろん担当役人との下打ち合わせの時点でこういった記載があるのはセーフ(担当役人からの信頼はゼロになるでしょうが)ですが、正式な請求後に「購入していない備品」が請求内容に含まれていたら、仮に総額では予算オーバーしていたとしても返還を求めるのが通例だと思います。
〇担当局又はColaboを何とか守ろうとしている。(まぁ監査請求だし当然か)
〇その割には請求内容に無い部分まで突っ込んでいて妙。
〇多分いろんなところから突っ込まれるだろうから、まずは2/28を待つ。
〇当然請求人としては納得できるものではないので住民訴訟でしょう。(特に表3の信憑性)
○表3については辻褄は合っていると思う。委託事業の予算を超える費目は自主事業に振替えていると弁護団が説明済み。その振替前の委託事業の費目とも読める。だから後出しじゃんけんかどうかは続報待ち。
これをしてしまうと、外部からは委託事業と自主事業の切り分け(按分)が出来ていないように見えてしまいます。
なので、監査結果文書でも「按分の根拠となる考え方が不明瞭で、その実態が不統一であり不適切である」と指摘されていると思います。
というか、
なんですが、【表3】が正しいとする根拠はなんなんでしょうか(結局ここに戻ってくる)
○“さすがに正規の資料を用いた請求について、後出し資料で請求を退けていくのは酷いと感じますが”
○第三者から矛盾を指摘されても矛盾を解消した文書を後から出せばOKってのも結構甘めだと思うけどその辺が落とし所でいい。不手際を謝罪するだけの可愛げがあれば完全決着だと思うが・・・
補足します。
通常の不服審査でも役所からのより詳細な資料を用意するのは普通のことです。
ただ、後出しの資料が正規の資料と矛盾があったり、「そもそも後出し資料どうやって作ったよ?」と言われるようなものではダメだと思います。
請求内容にないものを突然取り上げ始めたのはこれが理由ではないかなと考えています。
世論を巻き込んでそのようなことをせざるを得ない状況に追い込んだ、という感じでしょうか。
○なんにせよ、実際は次のとおり→https://twitter.com/mkouno4/status/1610601668781178883 colabo側に落ち度なし。暇アノンがありもしない不正のデマを吐き続けていただけ。一連の騒動はミソジニスト側の腐った性根の問題だった。
違います。
その根拠となった【表3】の信憑性について、監査結果文書に基づいて考えた場合、疑義があるのではないかということです。
都では、本事業が今後も若年女性等への支援に資するものとなるようにするため、今年度から各団体を訪問し、前年度の事業実施状況について、意見交換を行うほか、事業の記録や帳簿等を確認することとしている。
・「今年度から・・・することとしている」、つまり現段階ではまだ実施していないか実施途中ということですね。
・暇空茜さんに言われて急遽実施することとなったのでは?と感じます。その一点のみでも、本件監査請求の意義を感じます。
・あえて今年度から意見交換や帳簿の確認をすることになった、という経緯と実施スケジュールについて情報公開請求をしたら面白いんじゃないかな、と思います。
・事業の実施状況の確認であればともかく、意見交換なら団体に役所を訪問させるのが通常ではありませんか?
(自治体なら少し緩いですが、霞が関ルールだと企業に役人が出向くときというのは、実地の確認以外は謝罪するときかお願い事をするときというのが多いのでは)
実際の経費が本件委託料の上限額を超えたことから、その超えた部分は本件委託料とは別の法人Aの活動に係る財源で賄い、本件委託料の上限額までを記載することで事業実績額とし、本件精算の基礎にしたというのである。
これを認めているのが本当に不思議なんですよ。
もともとモデル事業・補助金による事業で、現在は国と自治体で財源を折半している事業ですよね?
事業の全体像が分からなければ、来年度の予算の要求が出来ないし、国へ報告して全国展開もできないじゃないですか。
「今年度は100の予算だったけど、実際は120かかっている。精査したところ115の予算を要求する」
(来年度の本事業の概算要求資料、どうなってるんでしょうね。見てみたいなぁ)
国からの補助金を上限まで使いきればOKと考えてませんでしたか?東京都、ホントにそれでいいんですか?
主張は出来るけど疎明はできないじゃん
毎日忙しい忙しいと思いながら仕事をしていたけど実は忙しくないということがテレワークで判明してしまった
これまでは中間管理職として部下に作業手順を指示したり、回ってきた社内稟議をチェックして「部長ならあれとあれを疎明資料として出せっていうと思うから準備しておいて」とサポートしたりしていた
それがテレワークへと切り替わったことで、自分のやるべき仕事は全くなくなってしまった
全てが電子決裁なので、自分の唯一のスキルである「事前根回し〇」を発揮する場面が全くなくなってしまったのだ
社内稟議の細かい確認等も最終決裁者が起案者に直接確認するので自分の出番は全くない
仕方ないので今日は朝から5歳の息子とプラレールで2時間あそんだ
はやぶさとこまちを連結させた6両編成のプラレールを走らせたが、鉄道橋の部分のレールの連結が不十分で新幹線は脱線してしまった
やるべき仕事が全くなく、朝からプラレールをやっている自分も会社に敷かれたレールからは脱線してしまったのかなと思いながら子供楽しく遊んだ
「ブリーフ裁判官」と(一部で)有名な東京高裁の岡口基一裁判官が、懲戒とすべきかを判断する「分限裁判」にかけられそうになっている。
この件の何が面白いかって、岡口裁判官が明らかに最高裁判所や高裁の上司をおちょくっているところだ。
品よく言うのであれば「現行の裁判官の姿に、疑問を投げかけている」というところか。
経緯はこうだ
①岡口裁判官が、ある訴訟の記事について(批判的ともとれる)ツイートする
③抗議を受け、東京高裁長官の林道晴氏、東京高裁事務局長の吉崎佳弥氏の両名が岡口裁判官に「ツイッターをやめる気はないのか」と一時間近く問いただす
④岡口裁判官は「やめる気はない」と返答
⑤後日、懲戒に関する申し立てが東京高裁より最高裁判所に対し行われる
一見すると裁判所の自浄作用が働いただけのように見えるが、ネット上の情報を追っていくと、それだけではない側面が色々と見えてきた。
まず1つ目は、③の「1時間近く問いただした」状況内で、パワハラがあったのではないかという点。
これに関しては、懲戒の申し立てを行った側が"自ら" "自覚なく" パワハラ、そして表現の自由の侵害を告白するという最高に面白いギャクが飛び出した。
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/28/082324
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/16/090044
2つ目は、申し立ての手続きに不備や無理があるのではないかという点だ。
岡口裁判官はこの点を相当に煽っており、「東京高裁長官という法曹界でもトップの人材、しかも司法研修所教官まで歴任した人物の
申立書にしてはあまりにもお粗末なのではないか」(意訳)という指摘をしている(していた)。
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/04/130736
最高裁判所に提出予定の「主張書面」です(その1)
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/20/085039
最高裁判所に提出予定の「主張書面」です(その2)
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/21/081552
最高裁判所に提出予定の「主張書面」です(その3)
https://okaguchik.hatenablog.com/entry/2018/08/22/083124
「ツイッターの投稿は(訴訟の)当事者の感情を傷つけた。よって裁判所法第四十九条の懲戒事由に該当するので懲罰する」これである。
「裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。」
まず問題なのが、ツイートのどの箇所が当事者を傷つけたのかが不明な点だ。
ここが具体的でないと、そもそも申し立てに対して意見を主張できず、反論が難しい。
次に問題なのは、懲戒事由(と思われる)「品位を辱める行状」に相当するのか、ということだ。
「当事者が傷ついたと言っているからアウト」では、裁判官の裁判所以外での意見表明が相当委縮してしまう。
「異端排除」の統治機構 ~ 岡口基一裁判官への懲戒申立てをめぐって ~
https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=3422
また、ブリーフ姿やフンドシ姿の写真投稿はOKなのに、「ある訴訟に関してツイートした」ことが「品位を辱める行状」でアウトというのもおかしな話だ。
(ちなみに、「パンツ一丁はセーフだが縄で縛るとアウト」らしい。詳しくは↓)
「今回の法案は繰り返し、反復的に犯罪を行っている組織しか対象にならない」
と思っている人がかなりいるようです。これは完全に間違っています。林局長は何度もここを意図的に混同したと思われる答弁をしていますし、安倍さんの昨日の答弁を見るとおそらくわかっていないか、わかっていてすっとぼけているかのどちらかです。
現行・組織的犯罪処罰法第2条
この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。
これは団体の意味を定義しているだけです。この定義に合致するものとしては、たとえば会社法の対象となる会社、労働組合、自治会、あるいは、定期的に開催されるイベントの実行委員会、あるいは、主宰や削除人などの役割が整備されている掲示板運営組織、などは全てこの団体の定義に入ってくると思われます。反復的、という表現はここにしか出てきません。繰り返される行為は当然犯罪でなくてもいいのです。
改正案・6条の2
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
ここにいう「当該行為を実行するための組織」を以下では実行組織といいます。答弁によると(大事なポイントです。明文では書いてないです。)実行組織の要件は、少なくとも1人が組織的犯罪集団の構成員であること、「計画をした者」の要件は、その計画が、組織的犯罪集団の活動の一部として実行されることを認識していること(故意がある)こととなっていました(これも明文では書いていないです)。これは枝野さんの質疑の中で明らかになりました。
2条の団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が、重大な犯罪を実行することにあるものを言う、ということです。
当たり前すぎる話なんですが、摘発、捜査の要件として、何度も同種の犯罪を繰り返している、というものがあるのであれば、そこからさらに捜査活動を進めて、合意があったかどうかを調べる必要が無いんです。既遂してるんだから、それ以前の共謀罪は既遂罪に吸収されています。つまり「テロを未然に防止する」(金田さんの答弁からいったん消えましたが、安倍さん答弁でまた復活しました。こういうのいい加減にして欲しい)のであれば、なんどもテロ行為を行っている組織は、すでに捜査対象ですし、そのことが疎明されているのであれば、そこからわざわざ共謀の疎明をする必要がありません。政府答弁によると、この法案が存在する意義は、「今までに一度も犯罪を犯していない組織が(あるいは、今まで同種の犯罪を犯したことをまったく証拠を残していない組織が)重大な犯罪を犯すことを合意したことを疎明したとき」に初めて発揮されることになります。安倍さん、金田さん、林局長らは、「繰り返し同種の犯罪を実行していないと結合の基礎としての共同の目的とはみなされ”がたい”or”ることは考えにくい”から○○はテロ等準備罪の対象とならない」というような答弁をしますが、これは明らかにゴマカシの答弁です。繰り返し同種の犯罪を実行しているかどうか、というのは結合関係の基礎としての共同の目的が、犯罪行為の実行であることを、補強するための証拠に過ぎず、要件ではありません。これが大事なところです。
いつ一変した、と判断するのか、誰が判断するのか、これについては、まだ明確な答弁は返されていません。昨日有田芳生議員が、オウム事件を例に、オウムの場合は、どの段階で、誰が、性質が一変したと判断できるのか、と問いただしていました(金田さんが手を挙げたら安倍さんが光速で押さえつけた奴。)が林局長からも明確な答えはありませんでした。
これが一番のポイントで、江川紹子さんが、あれもあたらない、これもあたらない、どれもこれもテロ等準備罪の対象じゃないという人たちに「そんなんじゃオウムは摘発できないですよ」といっていましたが、当然この法律はそんなザル法ではないです。なぜなら前述のように、共謀が犯罪になるのは、主体が「実行組織」であって、実行組織は組織的犯罪集団の構成員が少なくとも1人いればいい(これも明文では書いていないので疑っている。完全なアウトソーシングが摘発できないから。)だけであって、その他の人は、犯罪の構成要件を満たす行為だけを認識していれば良く、その違法性の認識はいらないんです。林局長の答弁では、計画をした者、には「計画が、組織的犯罪集団が行う活動の一部であることの認識」が必要である、とされていましたが、これも明文では書いていないので、どうだかわかりません。
昨日の糸数さんの質疑で出てきた、基地建設反対運動の例で考えて見ます。まず、沖縄平和運動センターは、間違いなく2条にいう団体です。その結合の基礎としての共同の目的は、すくなくとも表向きは、設立趣意書にあるように、「平和と民主主義を守る」ことであり、その主な活動は、反戦平和運動です。しかしその実態はどうでしょうか。おとといの本会議で、初めて、かくれみの、という言葉が出てきました。昨日真山勇一議員がこのかくれみのの意味の質疑をしていましたが、この言葉でもわかるように、また実態に照らして当然に、結合関係の基礎としての共同の目的の認定は、表向きの看板ではなく、実態によって認定されることになります。
ここからは仮想のはてな村平和運動センターと名前を変えます。はてな村平和運動センターは、まさかりを投げあうはてな村に平和をもたらすために、反モヒカン族、反アフィブログ運動を行っている団体です。代表が存在し、定期的に活動内容について話し合いを持っています。表向きの活動は、正当な批評活動を持って、モヒカン族やアフィブロガーを批判することです。しかしモヒカン族やアフィブロガーの圧倒的なPV、twitterなどの外部SNS、お気に入り数の差などから、はてな村平和運動センターの批評ブログが注目を集めることはほとんどありませんし、モヒカン族やアフィブロガーらによりときおり行われるサラシアゲについに、怒りが爆発したはてな村平和運動センターは、アフィブロガーの収益を妨害する目的(これが別表第三の罪に該当するかはおいておいて)で、いっせいにF5攻撃を仕掛けることを決意したとします。はてな村平和センターの代表はF5攻撃の実行をさらに有効にするために、F5攻撃を自動化するソフトウェアの開発を構成員の1人Aに任せます。この構成員Aは自分には知識が十分に無いので、友人Bに相談を持ちかけ、ソフトウェアの開発を共同で計画しました。この構成員は、警察に目をつけられていて、監視されていたとして、計画が発露したとします。
さてはてな村平和運動センターの結合の基礎としての共同の目的は、一変しているでしょうか、していないでしょうか。それは誰が判断するのでしょうか。少なくともこの計画が実行された場合、アフィブロガーは一定程度の法益侵害を受けます。この例では比較的穏当な例ですが、それが、基地建設業務に対するロックアウトを強行することであった場合(威力業務妨害)、あるいは工事現場にショベルカーで突っ込む計画であった場合、あるいはハイジャックすることを決意したのであった場合、境目はどこでしょうか。この段階ではまだ法益侵害は起こっていませんが、引き起こされる結果の重大性によって決まるのでしょうか。
結合関係の基礎としての共同の目的の認定は、捜査段階では警察が、裁判段階では、裁判所が認定することになります。はてな村平和運動センターの結合関係の基礎としての共同の目的は、AとBが共謀した段階では、アフィブロガーの妨害でしょうか、それとも正当な言論活動による反モヒカン、反アフィブログ運動でしょうか。どちらともとれます。
友人BはAがはてな村平和運動センターの一員であることを本当は知らなかったし、目的アフィブロガー攻撃のためであることも知らなかったし、単に知識として友人に教えただけだったとしましょう。しかし、それをどうやって証明するのでしょうか。これは故意の認識の問題です。よく似た例としては、ATMからの金の引き出しが(窃盗罪で被害者は銀行ですが)振り込め詐欺グループの活動の一部であることを知っていたかいなかったか、というものがあります。出し子は、「知りませんでした」と言っているでしょう。しかし、執行猶予がつくにしても有罪判決が出ることが多いパターンだと思います。枝野さんが、「実際の法務の現場で、この言い訳は信じてもらえるんですか」といっていましたが、そういうことです。
結合関係の共同の基礎としての共同の目的が一変した、という判断の基準は何か、捜査段階、裁判段階それぞれであいまいです。共謀共同正犯では、AとBが合意し、BとCが合意し、CとDが合意した場合にはA、B、C、Dが全て共謀の対象者となることが認められていますし、今回のテロ等準備罪の合意についても同様の理屈が成り立つことを林局長は認めていました。
たとえばはてな村平和センターの代表と構成員AがF5攻撃の合意をし、構成員Aが友人Bがそのためのソフトウェア開発についての合意と何らかの実行準備行為(こんなもん資金の準備とか下見とかで成り立つんだから、Aが対象のブログにアクセスした、ぐらいのもんでも十分なわけで)を行った場合、友人Bが無罪となるためには、Aがはてな村平和センターの構成員であることを知らず、さらに、ソフトウェア開発がアフィブロガー攻撃が目的であることを知らなかった、ということを証明しないといけないわけで、難易度が高いのではないでしょうか。
「私はなんども犯罪を繰り返す組織的犯罪集団の一員になることなんて無い」とお思いかもしれませんが、共謀段階での処罰対象は、実行組織としての計画に合意したものです。
一番の問題は、嫌疑がなければ捜査しない、それは違法だ、などというのが完全に実態に照らして無意味であるということです。志布志事件や大垣市民監視事件、赤旗配った公務員の事件などが質疑で話題になっていましたが、警察や公権力にとって邪魔な存在を拘留する上で、「合意+実行準備行為を疎明する」ことというのが、現状に比べて著しく簡単になる、ということです。彼らとしては、別に有罪にならなくても、逮捕・拘留してしまえば、彼らのSNSや、メールなどの記録から、それらしい別の「共謀」事案を持ってくるなりしながら、未決拘留を続けることも容易でしょう。
http://anond.hatelabo.jp/20170512175648
私にこたえられる質問の類ではないので、あくまで私の私感にすぎないことはご承知おきを。
こういった法改正の欲求がどういったところにあるのか、というのは、いろいろな修正を受ける前の、粗削りな段階が一番わかりやすいと思うので、それを調べます。国会で初めて議論されたのは、1982年IBM産業スパイ事件で、IBMの新商品情報を手に入れようとした日本企業の社員(日立と富士通)を、それと承知の上で、要は盗品と知った上での輸送の共謀をしたということで、国際捜査共助に基づいて、アメリカから日本在住の社員12人の身柄引き渡しを求められた事件。これで日本には共謀段階での処罰規定はないから、引き渡しには応じられないのではないか、という野党側に対し、日本の12人が、それぞれ個別に日本とアメリカでともに犯罪とされることをやっていないかを調べてからでないと、引き渡し出来るともできないとも言えない、みたいな議論はされています。結局身柄の引き渡しは行われませんでしたが、このIBM産業スパイ事件以降、激化して来る日米貿易摩擦の中で、この件を嚆矢とした共謀罪の制定要求がアメリカからあったとしてもおかしくないと思いますが、この際は具体的な動きはありません。
その次に国会で共謀罪が議論されるのは2002年に、新聞記事で、TOC条約の議論に向けて日本でも共謀罪を制定する、という新聞報道があったことを質した坂上議員の質疑ですが、この際は、法務省が報道を完全否定する形で質疑はほとんどされていません。しかし実はこの前に、長尾立子法務大臣(橋本内閣)が法制審に諮問しているのです。きっかけはおそらくですが、オウム真理教事件です。
この法制審に提出された組織的犯罪刑事法整備参考試案及び事務当局説明要旨には、
一 諮問の背景
近年、暴力団等による薬物、銃器等の取引やこれらの組織の不正な権益の獲得・維持を目的とした各種の犯罪のほか、いわゆるオウム真理教事件のような 大規模な組織的な凶悪事犯、会社などの法人組織を利用した悪徳商法等の大型経済犯罪など、組織的な犯罪が平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持、発展に悪影響を及ぽしかねない状況にある。
と書かれており、オウム真理教の一連のテロ事件に対応するための議論であったことがわかります。これは、当時の報道を記憶されている人だったならばわかると思いますが、坂本堤弁護士一家殺害事件や、公証役場事務長逮捕監禁致死事件で、オウムの犯罪に関する情報を複数得ていながら地下鉄サリン事件を防げなかったという強い批判があったので、その批判をかわす目的で、組織的犯罪に関する刑事法の整備が不十分であることを論拠にしようとしているのだと、私としては考えます。
この文書には、組織的犯罪への加重量刑、犯罪収益の取り締まりなどとともに、章立てて「令状による通信の傍受」という項があります。ここに、数人による共謀の存在が疎明されたときに、令状を取得し、盗聴を可能とすることについての意見を求めています。この段階で対象となっているのは、殺人や誘拐などのいわゆる重大犯罪と、麻薬取引等のいわゆるやくざ案件です。その中では以下のように諮問されています。
1 令状による傍受の要件等
(1) 検察官又は司法警察員は、次の各号のいずれかに該当する場合において、犯人により犯罪を実行し又は実行することに関連する通信(電話又はファクシミリによる通信、コンピュータ通信その他の電気通信であって、その全部又は一部が有線によって行われるものをいう。以下同じ。)が行われると疑うに足りる状況があり、かつ、犯人を特定し又は犯行の状況若しくは内容を明らかにするため他に適当な方法がないと認められるときは、通信当事者のいずれの同意もない場合であっても、裁判官の発する令状により、犯罪を実行し又は実行することに関連すると思料される通信を傍受することができるものとすること。
ア 死刑、無期懲役若しくは無期禁錮の定めのある罪又は別表5に掲げる罪が犯されたと疑うに足りる充分な理由がある場合において、当該犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき
イ アに記載する犯罪が行われ、かつ、更に継続して行われると疑うに足りる充分な理由がある場合において、数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき
ウ ある犯罪がアに記載する犯罪の実行のために必要な行為として行われ、当該アに記載する犯罪が行われると疑うに足りる充分な理由がある場合において、当該アに記載する犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるとき
このウがいわゆる共謀罪に当たるものですが、共謀罪として最初から出てきたわけではなく、共謀段階での捜査ということになっています。動機はやはりこのあたりなのではないかと私は考えています。現状民進党などが指摘している、内心だけの初犯の犯罪の共謀をどうやって探知するんだ、という指摘が実はクリティカルで、政府の答弁では、監視が目的でない、としていっているのですが、出てきた背景を考えると、令状実務を考えて警察が調べたいと思った電話やメールやSNSなどの情報開示を手軽に行いたい、ということが、ことの端緒を考えるとどう考えても本丸だと思うのです。この流れは結局犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年)にも同時につながっていますし、昨年対象犯罪が拡大したところです。この法律ができた時の騒ぎに比べて、対象犯罪の拡大は実にあっさりと通過しましたが、このテロ等準備罪が通信傍受の対象犯罪となれば、当初の目的が達成されることになるのだと思います。
この法制審の議論をしているような段階で、TOC条約が出てきたので、これ幸いとばかりに対象を4年以上としましょうといって600、700と広げていったのが小泉政権時代の案でした。その後、平岡秀夫議員や保坂展人議員などの質疑に応じる形で対象犯罪の数はかなりテロや組織的犯罪にしぼられて百数十としましょうとなったのが00年代中盤の議論、そして安倍政権では小泉政権時代の案に先祖返りしてから出発して、対象犯罪を277とした、ということです。TOC条約などは私がなんども書いている通り、異議が出ようが出まいが、条約2条等を留保することで締結自体は可能です。その後留保の取り下げについて議論してもいいわけです。それをやらないというのはこれを錦の御旗として、できるだけ範囲を広げていきたいという欲求があるからだと思います。私も、これを転び公妨のように、反対運動等や労働運動を取り締まることを主目的とはしていないだろうとは思います。あくまで、「それにも使えるな」という程度の認識だと思います。
警察は捜査上の人権侵害についてきわめていい加減に考えていることは明らかなので、結構単純に、「あやしいっておもったやつをもっと簡単に調べられるようにしてほしい」という動機がほぼすべてなんだと思いますよ。そしておそらく現在の安倍さんたちのような保守派の政治家たち自身は、「自分たちは濫用するつもりはない」と結構本気で思っているとも思います。でも法律の立てつけとしてどうとでもできるよね、という話で、このあたりの未来への想像力、人権侵害の重要性というものは、彼らにいつもいつも軽視しているので、「ごちゃごちゃうるせーな」という態度なんだと思っています。
これは全部あくまで私の私感の話です。
今日は枝野さんが2時間というとんでもない長い質疑時間を持っているので、楽しみ半分、時間を稼がれてしまうことへの悔しさ半分といったところですが、午前中の山尾さんからもうぐちゃぐちゃ。どう考えてもこの「一般の人は捜査の対象とならない」が答弁がぐちゃぐちゃになってる原因なので、最低限そこは認めたうえで、必要性を正面から言えよってんですよ、安倍さんはほんとに卑怯なんだよ。マジで腹立つ。
まずは捜査の定義から、たとえば告発なりがあって、嫌疑があるかどうかを調べるために、警察活動として、検討(by 金田)・調査(by 盛山)の手段として、尾行や張り込み、聞き込みは合法かどうかをまずは金田さんに聞き、金田さんが無理だということで、武士の情けで刑事局長に質問する山尾さん。
林局長
「”嫌疑の嫌疑”という言葉は、直接理解できませんが、嫌疑の前の段階で、尾行による捜査ということであれば、まだ捜査が開始されてないので、できないということ」
山尾
「捜査が始まる前の警察が行う尾行は、100%違法ですか。そういうことですか。」
林局長
「刑事訴訟法上の捜査ということで、尾行ということも任意捜査となると思いますが、その尾行も、犯罪があると思料したとき、その嫌疑が生じた、でたとされなければ、任意捜査もできないということ」
山尾
「大事なことですが、私はここで、強制捜査、任意捜査を区別していません。その上で、一切警察が、嫌疑が生じる前に、これまで尾行を行ったことがあるとすると、これはすべて違法だということですか」
林
「捜査は犯人を特定し、証拠を収集する活動でございます。そういったものとして、任意、尾行捜査をするということは、犯罪の嫌疑がないのにそういった捜査をすることはできない。」
山尾
「質問に直接は答えたないが、嫌疑が固まる前に、告発があって、嫌疑があると確定できない段階で、警察が尾行を行うとしたら、これまでありえた場合も含めて、まったくすべて違法ということですか。」
同じ質問、応答のやりとりが繰り返される
林
「捜査、とういうことでお答えしているが、嫌疑かないのに、捜査を行うことはできない、ということです。」
山尾
「刑事局長に聞けというから聞いてるんだからちゃんと質問を聞いてください、捜査としてではない、といっている、嫌疑が固まる前の検討・調査について伺っているとわかるように定義からやっている。捜査としての話は聞いていない。話をかみ合わせられないならでてこないで欲しい。嫌疑が固まる前にもいろいろな目的があるだろうが、尾行等をすることは100%違法なんですか」
林
「ご質問の前提で、捜査であるとのご質問でしたので、私答えました(山尾:聞いてないよ!)、その上で、捜査でない尾行は許されるのか、ということですが、捜査でない尾行というものがどういうものなのかが特定されない限り、私としてはお答えすることができない(Aのうち、BでないAは存在するのかについて答えろっつってんだよハゲ)
山尾
「私は捜査としての尾行について聞いてないと何回繰り返したんですか。時間を無駄にしないでください。捜査でない尾行が可能かどうかは個別具体的な事情によると、そういうことですか」
林
「警察活動の中での、たとえば行政警察活動の中での尾行が違法かどうかを答えるためには、それが、個別にどういう目的によるものかを知らないと答えることが困難だし、行政警察活動はどの程度許されるのかは、刑事局長としての私の所管外の問題なのでお答えすることは困難だ。同じ尾行でも、ある人を保護するために行っているもののように、それはまったく評価というものが異なるわけで、私が言えるのは刑事訴訟法上の捜査としては嫌疑の前の段階で行うことはできない、ということだけでございます」(なかなかうまい逃げ口上)
山尾
「刑事局長が答えられないなら、誰が答えてくれるのか。議論が進まない。私は、捜査としての尾行については聞いていないし、どの程度許されるかについても聞いていない。捜査ではない尾行はありえるんですか、と聞いている。三役でもいいが、捜査ではない尾行というものが、合法的にありえるのかどうか、誰かお答えいただけますか。」
「大変恐縮ですが、警察は是非公安のほうに聞いていただければと思います。我々は所管外でございます。」
山尾
「捜査手法が問題になっているのに、一般市民は捜査の対象にならないとおっしゃっているが、この法務委員会で、捜査の定義、捜査の前の段階での調査・検討は何なんだと聞かれて、誰も答えられる人がいないのに、”一般の人は捜査の対象にならない”と主張するんですか。私は捜査の対象にはならないが、調査・検討の対象になるというのであれば、捜査と調査・検討の分水嶺がどこなのかを明らかにしないと、一般市民が捜査の対象にならないということがわからないからこういうことを申し上げている。もう一度伺うが、一つの手法として、誰でも尾行されるのは嫌ですが、社会の安全のために、常識の範囲内で行うとして、それは100%違法なのか、それとも社会の安全のために許される場合がありえるのか、誰でも良いです。お答えください。」
林
「告発を受けて被疑者としての嫌疑が生じる前の段階、調査とか検討とかその段階、それが尾行が許されるのかといわれましても、尾行の捜査、犯人を特定するための尾行の捜査は許されないわけであります。今回被疑者段階で、嫌疑がない段階(いや被疑者は嫌疑がかかった人だろ、がんばれ)で告発の対照となった場合、どのように事件を処理するのかといわれれば、それは被告発人を被疑者として捜査開始するのではなくて、たとえば告発人から告発の事情、疎明資料、要求して、なにゆえに人を告発するのか、これを調査、あるいは検討といってもいいですが、いたしますよね、そういったことによって嫌疑が生ずるか、調べるわけです。それ以外に尾行等を捜査以外でするかということですが、被疑者となるかどうかを調べる際に、あらゆる手段、たとえば尾行という手段を通じた場合に、それが違法かどうかと問われましても、どのような目的で警察が尾行するかがわからないと確定できない。」
山尾
「今のでわかりました。今のお答えは、捜査としての尾行はありえない、告発人から、事情を聞く、疎明資料を集める、そのほかに尾行等をするかどうかは一概には言えないということでしたね、土屋理事も大きくうなずいていらっしゃいます(階さん、枝野さんには謝ったのかな?)。これはそうなんだろうと思いますよ、違うとおっしゃるのであれば、捜査以外の尾行は100%違法である真央とお答えになれば良いですけども、何度聞いてもそうはお答えにならない。どうきいても、捜査以外の尾行は、目的によりけり、一概には言えないということですね。時間がないですが、張り込み、聞き込みについてはどういう風にお考えですか。
「えー先ほど刑事局長から答弁したとおり、警察活動の具体的内容、どのような目的でなされるかは、法務大臣の所管を超えているので、お答えする立場ではないのでお答えできない。」
山尾
「刑事局長もあそこまでは、答弁されたので、お答えする立場だと思いますよ。(繰り返し質問)」
林
山尾
「検討や調査として張り込みや聞き込みをすることはありえるのかと何度聞いても。捜査としてはありえない、とおっしゃるので、これは、答弁から逃げていると判断せざるを得ませんが、いいですか。もう一度だけききますが、かわりませんか」
林
「意訳)捜査ではない段階でどの程度できるかについてはお答えする立場にはなく、捜査としてであれば、明確にお答えしているとおり、嫌疑がない段階ではできない」
(速記とまる)
山尾
「(今までの議論をまとめる)結局私が申し上げたいのは、一般人は捜査の対象にならないとおっしゃっているが、調査の対象にはなっているのではないかと思うんですが、大臣いかがですか」
「これまでの、密かに行われる犯罪の捜査で行われることを超えることはテロ等準備罪でもないということは前提として、一般の方々がご不安をもっている、不安をもっているか持っていないかということもですね、この改正の事案について判断をしていかなければならないと考えているから、何度も申し上げております。テロ等準備罪の捜査の対象として、一般の方々が捜査の対象となることはないんだということを申し上げているんですが、そもそも一般の方々という言葉、それは使用される文脈で、いろいろ変わるんでしょうが、我々が、一般の方々はテロ等準備罪の捜査の対象とならないと申し上げている文脈においては、一般の方々が、組織的犯罪集団とかかわりのない方々、我々は、組織的犯罪集団という明文上明らかにした法案を用意したわけですが、組織的犯罪集団にかかわりのない方、何らかの団体に属しておられない方はもちろんのこと、通常の団体に属して、通常の社会生活を送っておられる方々という意味で申し上げているわけで、こういう意味で、一般の方々に嫌疑が及ぶことはなくなった、とこのようにご理解をいただければよろしいんではないかとこのように考えております。」
山尾
「林刑事局長」
山尾
「なぜ?これは大臣です。おかしいでしょう、なぜ?なぜこれが細目的技術的事項なんですか。委員長答えてください」
「議事整理の中です。この後大臣に行きますよ!」(なぜえらそーに。)
山尾議員怒鳴り続ける
林(なんとか答弁する)
「告発についての処理というものは、人に対して行っているものではありません。その案件について調査するといっても、非告発人が調査の対象になっているわけではなくて、告発案件についてそれが嫌疑が生じているのかどうか、疎明資料が十分かどうか(これ基本的に証言だけでいいからね)、この対象はこの告発の案件でございます。」
ひたすら時計を止めない鈴木委員長(こないだ、衆議院規則に照らして間違っていたと認めたことをまたやっとる)
山尾
「至極単純な質問ですよ、調査の定義から丁寧に聞いてきたでしょ。こんなのおかしいよ。時計止めてくださいよ」
「局長の答弁に付け加えさせていただきますが、事件について、嫌疑が認められるか否かを検討するのであって、一般の方々が検討の対象になるわけではありません」(これが噂の2倍時間消費術。同じこと答えるなら出てくんな。)
山尾
「まず委員長、なぜ大臣の答弁から導かれる、素朴な疑問が、細目的技術的事項として刑事局長になるんですか。理由を説明してください」
「一般の方々の使われる文脈がまるで違いますので、全体的な答弁はできませんので、細かいところとして林局長に聞きました」(意味がわからん)
鈴木淳司反省しとらんよー。今まで野党自民党しかやったことないはずだけど、一事不再理の原則を破って良いからもう一回解任決議案だしていいぞ。
山尾
「(話を整理したうえで)嫌疑の嫌疑という段階で捜査することはない、その段階では検討とか調査とかいうと、ここまでは確定した。その結果、嫌疑があるのかないのか、嫌疑があれば、刑事訴訟法上の捜査に向かっていく、嫌疑がなかったという場合がありえる。私は、一般の方だと思うが、尾行、聞き込み、張り込み等がありえるかもしれない、一概には言えない、その中で、嫌疑がなかったとわかったひと、これは一般の方々ですか。大臣の考えはいかがですか」
1分ぐらい考えるが速記はとまらない、逢坂理事が抗議してやっと速記がとまる
「申し上げたくはないが、言わせていただきます。ただいまの質問のような丁寧な質問通告がなかったので、詳しくはお答えできないといわせていただく。その上で、一般の方々に嫌疑がかかる可能性はないと申し上げてまいりました。したがって、その調査・検討の対象となることもありえないということでございます」
山尾
「大臣ご自身の発言の矛盾にお気づきかはわかりませんが、いや、盛山大臣はうなずいておられましたよ。嫌疑の嫌疑がかけられた人と、嫌疑があった人、これ100%完全に一致するということですか。違うでしょ。それならば、調査・検討なんか必要ないじゃないですか。もし今の大臣の答弁なら、警察の検討・調査は必要ないということになりますよ。大臣の説明ですので大臣」
「先ほど申し上げたように、一般の方々が嫌疑の対象となることはありえないと何度も申し上げてまいりました。また嫌疑の検討の対象にもなりません、今まで申し上げてきたとおりでありますが、。捜査の前の実務についても、局長のほうから答弁をさせていただきたいと思います。」
林
「議論の出発点として、組織的犯罪集団に属さない、通常の人は、嫌疑の対象とはならないとしている。その上で、しかしなんびとも告発ができるので、告発されたときにどうなのだ、という議論だと承知している。告発された被告発人は嫌疑の対象ではない。告発人の疎明資料や証言に基づいて、嫌疑の有無が検討される際に、被告発人は名前は上がっているかもしれないが、調査・検討の対象といえるのかどうか。それは調査の対象というものをどうとらえるかによるが、少なくとも、その人が調査の対象になったと申し上げるつもりはなく、手続きとして、処理するために調査検討をするということ」
山尾
「(まとめて)では調査・検討の段階で、たとえば事業者等に、口座情報等の照会を行うことはありえるのですか」
林
「(捜査としてはやらない)」
山尾
「また逃げましたね、捜査としてやるかなんて聞いていない。では口座情報等の任意の照会等をすることはないのかと聞いている」
林
「(捜査としてはできないということを繰り返す)」
山尾(この辺はさすが元検事)
「指摘しておきますが、捜査関係事項照会の書面上、嫌疑の内容、嫌疑の対象を記入する必要はありませんし、いかなる疎明資料に基づいての照会なのかを一切添付することなく、ただ「捜査のために必要である」とかいてあって、大きな空欄の下に、これこれを提示してくれとされるものであります。またかつて、警察の中で、この捜査関係事項照会が非常に広い中で、濫用されてきたことが明らかになり、通達も出ている。ここで照会するのかしないのかと聞いても言うわけないと思うが、こういう危惧があると申しております。(続このあとも、一歩も進まないやりとり)」
山尾
「大臣は、ビールと弁当を持っていれば花見、カメラや双眼鏡をもっていれば下見と判断できるとおっしゃっていた。ではどういう手段でその持ち物を把握するんですか」
「(なぜか嫌疑が発生したあとに、持ち物を調べたときに、その持ち物が持っている意味を検討することは今までの捜査と変わらないという答弁を3分ぐらいする)」
山尾
「質問に答えてないですよ」
「答えてます。答弁してるじゃないですか」
「どうやってわかるのかを聞いてるんですよ」
「答弁してます」
「どうやってわかるのかということですか、ということですが、私が思いついたのは、たとえば怪しい動きをしているときに、職務質問をして、持ち物がわかるということもあるのかなぁと思います」(これが一番やばいやつだよね。特に金田さんが例に出した、カメラや双眼鏡を持っていることは、”法務大臣が言っていたテロ等準備行為だ”といって引っ張れるもんね、職質で)
山尾
「それは行政警察活動なのでちょっと違う話だけど、まぁ答えただけ大臣よりはましですよ。では、いったん嫌疑をかけて持ち物を調べたらビールと弁当を持っていた、とそして実際花見にきただけだったという人は、大臣の定義では一般の方々ですか」
山尾
「おかしいでしょう。大臣のロジックだと、一旦嫌疑かかったんだから、一般の方々じゃないんでしょう。
(略)
今日こうやって質疑してきてまったく不本意です。委員長は時計を止めるべきときも止めないし、すれ違った答弁で時間だけが過ぎていく。こういうことがこれまでの法務委員会であったかはわからないが、こんなことになって本当に不本意です。
(今日の質疑内容をまとめて)
結局一般の方々は捜査の対象とならないなんていうのはフィクションなんでしょ。こういうフィクションの上で、一般の方々は嫌疑の対象にもならないというような、嘘偽りの安心の土台の上で、277の刑罰を議論をしている、詭弁を繰り返しているから、いつまでたっても、疑問点がなくならない。もう少し誠意を持って、デメリットデメリットがあるという前提の上で議論をしていただきたいと思います。(ほんこれ)」
枝野さんや逢坂さんが、法律の瑕疵を議論しようとしてることもわからないのか知らないけど、分からないなら黙ってればいいのに。わかってやってるなら悪質としかいえないですけどね。誰の事って、長尾たかし議員(自民党)や渡部篤元議員(自民)のことですけどね。500yenや百田尚樹やDAPPIレベルであることをわざわざ自己紹介されなくてもと思いますけど。
「キノコ」の次は、、
、、、「楽譜」です。
テロ等準備罪処罰法案審議、法務委員会、私の担当時間終了。理解に苦しむ質疑と、思い込みやレッテル貼りの嵐、ドッと疲れます。
今晩のニュースは如何に?— 衆議院議員 長尾たかし (@takashinagao) 2017年4月19日
民進党逢坂誠二議員は暴力団が「暴対法」を知らないのだろうか。極左暴力集団、日本共産党、朝鮮総連は、破壊活動防止法の対象団体でもある。民進党は、左翼全体主義と連携して政治を行う政党である。 https://t.co/9QjweJHCrh— 渡部篤 (@watanabeatushi) 2017年4月22日
枝野さんが何を議論しようとしてるかはもう書いたので、逢坂さんのほうの質疑を紹介しますが、
「4月19日の答弁の中で、大臣こういっておられる。これ何度も言ってることです。"国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、条文上明示しておりますテロリズム集団の他、暴力団、麻薬密売組織等、違法行為を目的とする団体に限られる"。これは大臣のいわゆる組織的犯罪集団というものに対する答弁であります。そこで大臣,暴力団は組織的犯罪集団でしょうか。」
(基本的質問だけど、通告がないからなかなか答えられないでヤジが与野党から飛び交う)
「えー通告がない質問だというふうにおっしゃいました。その通りでございます。はい、えー、暴力団の共同の目的というものがございます。えー組織的犯罪集団の該当性を個別具体的な事実関係を離れて、一概に結論を申し上げることは極めて困難であると思います。あくまで一般論として申し上げれば、所謂暴力団は、組長の統率の下に、階層的に構成された団体でありまして、様々な犯罪行為を行うことにより組織を維持拡大し、また構成員もそのような組織を背景として、暴力的な威力を利用して、それらの犯罪行為を行うことにより生計を維持しているものであります。そのため、暴力団の結合関係の基礎としての共同の目的は、凶悪重大殺傷犯を含む犯罪行為全般を行うことであると、一般論として申し上げれば、考えられるわけであります。従いまして一般論としては該当しうると、申し上げることが出来るのではないか」
「大臣、暴力団が組織的犯罪集団であるか否か。これは例示して何度も言っていることですから、そういう基本的なことについては、サクサクお答え頂きたいと思うんですよ。それで、私は暴力団だからと言ってイコール、即、組織的犯罪集団になるとは思っておりません。この法の6条の2の定義に照らし合わせて、個々具体的にやはりそれぞれの暴力団について考えていかなければこれが組織的犯罪集団であるかどうかっていうのはわからないというふうに私は思っているんです」
この金田さんの答弁は無難ですよ。間違ってない。該当しうると答弁しているし。そして逢坂さんの質疑も正しいですよ。
この発言を取り上げて、いつもの方々が騒いでるわけですけど、暴力団の定義と、組織的犯罪集団の定義が違うんだから当たり前の話なんですよ。
暴力団対策法の2条2項
その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
「組織的犯罪集団」とは、共謀罪(テロ等準備罪)法案上、「その結合関係の基礎としての共同の目的が一定の罪を実行することにある団体」と定義。
「暴力団」とは、暴力団対策法上、「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と定義。— 衆議院議員 逢坂誠二 (@seiji_ohsaka) 2017年4月22日
暴対法はmay(おそれがある)であって、団体を規定していて、基本的にいわゆる組織が対象ですよ。でもテロ等準備罪は、あくまで団体であって、山尾さんや枝野さんの質疑の中で明らかになったように、想定しているのは組織された団体というよりも、どちらかというと共同の目的として、犯罪を遂行しようとする、グループです。そこに名前がなくてもいいんです。むしろ名前がある集団がそのまま組織的犯罪集団に合致することはレアケースでしょう。暴対法は、結社の自由から結社そのものは止められないけれども、基本的に指定暴力団という形で、暴力団組織が指定されます。
でもテロ等準備罪での組織的犯罪集団は、結合の基礎となる共同の目的が犯罪を犯すことであることはmust(要件)であって、オウム真理教や、山口組というような組織として組織的犯罪集団を規定するわけじゃないんですよ。その組織の中の一部の集団が基本的な対象になる。ある犯罪を実行しようという共謀がなされた時点で、ある程度継続的に維持されていたグループなわけ。むしろLINEグループとかのほうがイメージが近い。だから暴力団は必ずしも組織的犯罪集団ではないというのは法律の定義上,まったくその通りでしょう。また結合関係の基礎としての目的は、個々にちゃんと検討しないといけないよ、ということは,刑事局長も金田大臣も認めているわけです。看板では暴力団やテロリスト集団が取締りの対象だよ、というようなことを言いながら,必ずしも彼らを取り締まれないよ、という指摘は,枝野さんの「テロリストの本来の目的は,政治的主張の実現でしょう」というのと同じ部類の話ですよ。一般にイメージされる団体が必ず対象になるわけではないくせに、普通の団体も取締りの対象になりうる(この逢坂さんの質疑の中で盛山副大臣が、この趣旨のことを答弁していたけど)というこの法律の瑕疵の話を彼らはしているんですよ。
まぁ枝野さんも逢坂さんも法律の文言が何を対象にしているのかについて、難しい議論をしているのは確かなので、わからないのは仕方ないかとも思いますが、わざわざ、自分の理解力のなさを宣伝される国会議員や元議員が多くて辟易としますね。レッテル貼りっていってりゃ反論になると思ってるのでしょうかね、親分と同様に。国会議員なら枝野さんの疑問に対して「これこれこういう文言が入っているから大丈夫なんです」というようなことを説明されるのが筋じゃないでしょうかね。
追記:DAPPIとか500yenとか百田尚樹レベルって話は、要は逢坂さんが、これでは暴力団取り締まれないよ、っていってんのに、「逢坂誠二は暴力団は組織的犯罪集団じゃない、取り締まるなって言ってる!」って吹き上がってるレベルの人ってことですが。これ条文の話と、答弁の話をもっと整理して書けばよかったですかね。
過去に同種の犯罪を繰り返し実行している組織は、既遂罪で捜査も検挙もできるので、テロ等準備罪は必要ありません。テロ等準備罪が必要になる場面は、今までに一度も犯罪を既遂していない団体が、277のリストの犯罪を犯そうと共謀した場面のみです。これは大事な話。また暴対法は相当広い範囲を網羅しているので、暴力団が関与している犯罪は、下部団体まで含めて網羅しているので、これまた、わざわざ、犯罪の遂行を結合の基礎とする共同の目的としている、という要件が必要な法律は必要ないんです。
一般の人を監視する法律じゃないということを説明しないといけない。だから、(条文に書いてない条件を)答弁でなんとかしようとしているんです。でも、テロ等準備罪が必要な根拠そのものが、「今までに一度も犯罪を既遂しているという合理的な嫌疑がかけられない団体による共謀段階での検挙」であるため、これはもう完全に排反事象なのです。今までに一度も犯罪を既遂しないと思しき団体を監視することなしに、共謀段階での検挙なんてできるわけがない。これがこの建前の欺瞞。
やくざが資金源として著作権法違反の海賊版DVDのすでに製造、販売としていた場合、何の問題もなく現行法で検挙できます。今まで一度も海賊版DVDを製造、販売したことのないグループが、海賊版のDVDを製造、販売することを共謀して、その構成員が、オリジナル版を用意する、これが、今回整備しようとしているテロ等準備行為です。この今まで、一度も海賊版DVDを製造、販売したことのないグループが、オリジナル版を購入するという外形的行為を持って、どうやってそれが海賊版の共謀であることを知るのでしょう。また、政府の答弁によると、結合の基礎としての共同の目的が違法であることを認識していなかった場合は、その行為がその目的としては認定できないとしています。たとえば、この今まで一度もこの海賊版販売行為を行ったことがない団体の構成員のうち、オリジナル版を購入した人物は、その目的が海賊版製造であることを知らなかった場合、組織的犯罪集団の構成員でないため、検挙できません。暴対法や、既存の窃盗罪は、この要件がありません。だから振り込め詐欺の出し子が逮捕できる。でも、政府答弁のとおりなら、このテロ等準備罪は、その結合の基礎となる共通の目的を知らなかった場合、出し子が、ATMで引き出すための白カードを入手した段階では検挙できません。つまり、一般人を対象としないというのならば、同じく、一般用語での犯罪集団には、現行法以上に役立たずなんですよ。この犯罪は、明らかに、当局が検挙したいと考える一般人を対象として疎明段階での捜査着手、拘禁を目的としていると考えないと作る意味がないものです。こういう意味で、暴力団が必ずしも組織的犯罪集団ではないという逢坂さんの指摘は意味を持っているので、百田とかが言ってることは真逆の話なんですよ。
枝野さん、やっぱ好きやわ。正直最初の外務大臣が来なかった件とか怒ってるのはわかったから理事会でやってほしかったわ。枝野さんの質問時間がもったいないわ。趣味の問題ですよ。好きなんだからしょうがない。相手が岸さん、金田さんじゃなくて、岸田さん、守山さんだったら最高だった。山尾さんのは、安倍さんをやり込めるのが目的になってる部分もあるし、安倍さんの答弁が要領を得ないので、それはそれでやればいいけど、私が聴きたいのはこっちなんだって。
あと多分唐突にやめるから。やめても心配しないで。陰謀とかじゃないからね。
枝野「次、法務省、刑事局。先ほど申しましたが、(組織的犯罪集団の認定において)主たる目的があるのはマストだと。テロ集団がですよ、テロ集団て目的何なんですか。この法律で、法案で、テロ等、言ってます。テロ等の犯罪集団の目的ってなんなんですか。」
林局長「今回のこのテロ等準備罪の、構成要件であるところの組織的犯罪集団、これの目的は、あの、別表の第3(277のリスト)にあたる、掲げる重大な犯罪の実行を目的とすること、これが、結合関係の基礎としての共同の目的となっている団体を言います。それにあたるテロ団体であれば、基本的にその、組織的犯罪集団、別表第3の罪を実行すること、これが目的になる。」
枝野「刑事局長自身が、主たる目的のひとつであることはマストだと、必要条件であるとお答えになっている。一般に普通の皆さんが、テロ対策は必要だ、ほんとにテロ対策ならいろいろ問題はあるけど、通さなくちゃいけないな、と思うのは、それこそ爆弾テロとかをやって、多くの人を殺傷する。その目的は、自分たちの政治的な主張、あるいは宗教的な主張を、その暴力的な手段によって、実現しよう、これが多くの皆さんが考えるテロリスト集団だと思うんですね。しかしこの法律によると、著作権法違反を主たる目的にするようなテロリスト集団なんて、あるんですか。」
林局長「今回のテロ等準備罪の対象団体、これは組織的犯罪集団と考えております。組織的犯罪集団の中にはテロリズム集団が含まれます。ただテロリスト集団以外のものも、要件を満たせば認められる場合があるわけでございます。そういった場合には、今回テロリズム集団というものが持つ目的というものは、社会的な実体としてのテロリズム集団、さまざまな目的があろうかと思いますが、そのような中でも結合関係の基礎が、別表第3に掲げる重大な犯罪の実行が目的とする、これが共同の目的になっている場合において、そういったテロリズム集団を、組織的犯罪集団として、適用の対象としようということでございます。」
枝野「今、大事な答弁をしていただきました。ということは、今回の対象となる組織的犯罪集団の中には、いわゆる、一般用語としてのテロリズム集団以外の団体も入りうる、これは認めるわけですね。(テロリズム集団⊂組織的犯罪集団ということね)」
林局長「あのーTOC条約自体は、組織的犯罪集団、いわゆる組織犯罪との戦い、こういった形での条約が締結された、あの採択されたわけでございまず。その中では、テロリズム集団というのは、組織的犯罪集団の典型ではありますけれども、われわれとして考えておりますのは、暴力団、とか薬物犯罪の集団といったものが含まれるわけでございまして、テロリズム集団に限られるものではございません。」
枝野「一方で、先ほど外務副大臣がよくわからない答弁されていましたけれども(安倍さんの弟だからね☆)、TOC条約のほうでは、組織的犯罪集団の定義も、”物質的利益を直接または間接に得ることが主たる目的”に限定されてるんです。それから、いわゆる共謀罪というかそこの文言をそのまま使えば、合意罪ですね、ここで国内法作れよとしてされている合意罪も、物質的利益を直接または間接に得る目的のため、と書いてあるんですがんー、いわゆる典型的なテロリズム集団は、金儲けが目的じゃないでしょ。金儲けが目的の人が自爆テロはしませんわねぇ。死んじゃったらどうにもならない。いわゆる政治的や宗教的な目的のために、テロリスト集団はあるんで、この条約の対象から外れるんっじゃないですか。刑事局、法務省の認識(答弁者の指定)」
林局長「ここでいう五条、の中での、正確に申しますと、金銭的利益、または物質的利益ことに直接または間接的に関連する目的、この概念というのは非常に広い概念であると考えられている。ですからこれが除かれるとすると、純粋な精神的利益のみを目的としている場合と、これが除かれるにすぎないと考えております。そういったことについては、組織的犯罪集団、組織的犯罪集団の実体からすると、そういったものがあるとは想定しがたい、と考えております。」
枝野「これは外務副大臣じゃない。じゃあなんでこんな条文を置いてんですか。わざわざ、組織的犯罪集団のところに、3人以上からなる組織された集団であって、一定期間存続し、(で終わりである)というならわかりますよ。物質的利益を直接または間接に得るため、という限定をわざわざ、文言で置いてるんですよ。(略)組織的犯罪集団は、一般的に、そういう目的があるっていうんだったら、こういう限定をするのは、おかしいじゃないですか。わざわざそういう文言を置いたのは、組織的犯罪集団は従たる目的では、経済的利益を上げて、政治的なテロをやる、そんなことをいったら、当たり前すぎて、こんな文言を国際条約にいれたらおかしいでじゃないですか」
岸「物質的利益を直接または間接に得るという概念は非常に広い概念でございます。(林さんと同じ紙の読み上げなので略」
枝野「今回の別表にはいわゆる凶悪犯罪、だけでなく、経済事犯がたくさん入ってます。保安林に入ってキノコをとる、これが入ってます。これが共同の目的なる、こんなもんありえますか?そんなこといったら、すべての活動、すべての団体が、犯罪を犯すかどうかという線のところで対象になるかどうか、ですが、みんな経済的利益を求めているわけですから、法に触れた瞬間に、みんな組織的犯罪集団になる、そういうことにはなりませんか。」
林局長「ある団体が、継続的に、そのあるいは利益を、あの資金を獲得するために、違法な行為、犯罪行為を計画した、とこういったことをした場合であっても、これは、その団体は、その具体的な資金獲得の犯罪、これをおこうなうことを、共同の目的としているのかどうかは、必ず、資金源を獲得する犯罪を繰り返すからといって、資金源獲得の犯罪を結合関係の基礎としている。あるいはその犯罪を行わない場合には、自分たちはその団体から離れる、このような関係にはならないと考えられますので、基本的には、結合関係の基礎としての共同の目的、これは団体が集まっている目的でございます。時に、その団体が、資金源獲得のための犯罪を犯すことはございます。団体として行うことはあるかもしれませんが、その場合でも、その団体は、では、その犯罪の資金源獲得の犯罪を目的とするために、構成員は集まっているのか、ということが問われるわけでございます。その犯罪を犯すために、集まっているということが立証されないと、今回の組織的犯罪集団という認定はできない、とこういうわけでございます。(捜査着手は疎明でいいということは別途認めてるからね。意味ないよ。逮捕して自白させればいいんだから。)」
枝野「とすると、今回もっとも警戒しなきゃいけない、いわゆるテロリスト集団というのは、この法律の対象外ということになってしまいますよ。なぜなら、テロリスト集団の結合の基礎となる目的は、自分たちの主義主張を、人を殺してでも通したいということこそが、唯一の、結合関係の基礎としての目的になるじゃないですか。(ようはテロリストが金儲けを行う犯罪を行わないときには、俺は関係ないとその団体から離れる場合には、組織的犯罪集団にはならないという答弁だからね)」
経済事犯について聞かれてるのに、暴力的は犯罪について答弁する林さん、つらいね。具体的なとことして、音楽教室を持ってくる枝野。
枝野「著作権法第119条1項の違反とはどういう罪ですか、文部科学省」
義家「著作権法第「119条が定める、著作権侵害罪等は、著作権法第132条第一項により親告罪とされております。」
枝野「親告罪なんですよね。親告罪の共謀罪って言うのは、なんですかそれ。親告はないですよねぇ、公益侵害がないってのに。」
林局長「あの親告罪、告訴を持って論ずる、罪でございますが、今回のテロ等準備罪の保護法益というものは、本犯であるたとえば著作権法違反の保護法益、でございます。その保護法益である本犯が、親告罪であれば、テロ等準備罪も当然に親告罪になる」
枝野「んー、だから、準備、だから共謀だけして、準備行為はあるけれど、法益侵害がないので、侵害行為がされていないので、被害者は被害にあったって、認識しようがないと思うんですよね。それとも、どっかが、まだあなたの著作権は侵害されてないけれど、準備行為があるから告訴状を出してくれって捜査機関がやるんですか。」
林局長「あのーたとえば未遂罪であっても当然親告罪がございます。今回テロ等準備罪であっても、親告罪を扱うことは当然可能でございます。」(答えてない)
枝野「だから観念的にはあったとしても、どうすんのって話ですよ。未遂罪は法益侵害が発生する危険性があるから未遂罪ですからね。法益侵害が発生する危険性という客観的な行動があるわけですからね。いわゆる親告をすべき被害者も、未遂だったけど、俺の権利が侵害されているという認識は当然あるわけです。なんで共謀の段階で、被害者が、どっかが著作権を侵害しているなんて親告できるんですか」
まともに答えられない林さん、かわいそう。
義家さんに、JASRACとヤマハ、カワイの揉め事について、説明してもらった後。
林局長「そのー音楽教室というものが、著作権法違反をするために、そのために結合しているとは到底認められないと考えます。その意味でも、共同の目的である結合関係の基礎が著作権法違反であると認定できないと思いますし、またそのためには、組織的犯罪集団というためには、その犯罪を犯すために、指揮命令をし、役割分担をする、そういう組織が構築されていなくてはならない。そういったことも通常想定されないと思います。」
枝野「ということは6条の2の目的、これは、その別表3に掲げる犯罪の違法性の認識を要件とするんですか?そういうことになりますよ。著作権法違反という違法性認識の認識はないと思いますよ。音楽教室でやってる人たち。でも構成要件該当性の認識は、これがもし著作権法違反ならあります。演奏行為するんだから。演奏についての専属権を作曲家の人たちは持っているわけです。それを了解なく、金も払わず、演奏していることには、認識あるんです。それをみんなでやるといって、音楽教室は組織的にヤマハとかカワイとかやってますから、そこについては一定の組織的なものはあるんです。それを否定するんだったら、違法性の認識はいらない、そういう答弁ですか。」
林局長「私が申し上げたのは、著作権法違反という犯罪行為、これを行うことが結合関係の基礎になっていなくてはならない。と申し上げたわけでございます。」
枝野「音楽教室は、楽譜を使って、子供たちに音楽を教える、それが、まさしく結合の基礎となる目的なわけですよ。それが、著作権法違反になるかどうかは、裁判所のふたをあけてみなくてはわからない。当然違法性の認識はみんなないでしょう。でもまさに、著作物を使って、これは著作権法の例外に当たるからみんな大丈夫と思っているけれども、でもまさに、楽譜を使って他人の著作物を演奏する、演奏させる。まさに結合の目的じゃないですか」
林局長「社会的実体としての音楽教室、これがいったい何の目的で集まっているのか、これを問うときに、まさに著作権法違反、これを行うために、まさに集まっているんだ、これが立証しなければならない事項でございます。」
枝野「違法性の認識いるんですか?いらないんですか?いらないんでしょう?いるなんていったらこれ全部対象はずれますよ。違法性の認識いるんですか」
林局長「あの組織的犯罪集団というものは、客観的にそういう風に認定されているかどうかというところでございまして、委員がご指摘になる、その違法性の認識というのは、行為があるかないか、こういったものに問題となるものでございますので、基本的に行為の問題となる違法性の認識までは必要ないとこのように。」
枝野「そうなんですよ、違法性の認識必要ないんですよ。テロ集団だって、それは破壊行為のような犯罪は、違法だからやっているかもしれないけれど、お金儲けのところは、違法だからやっているわけじゃないんですよ。音楽教室だって、著作権法違反を目的としているわけじゃない。同じことなんですよ。JASRACという公的な組織は、著作権料を払わなければ著作権法違反だといってるわけですからね。これは多数説なのかもしれない。でも、音楽教室は、著作権法違反になりうる行動を、客観的な行動を、行ってるんでしょ、継続的に。組織として。楽譜使って演奏するという行動は。最終的には裁判所が判断するとしても、著作権法違反になる行為は、完全に結合の目的ですよ。これが外れるなんていうんだったら、テロリスト集団なんてひとつも入らなくなりますよ。違いますか。」
林局長「実際にその団体、その、結合関係の基礎が、犯罪の実行が目的であるということをいうために、まったく著作権法違反であるということを認識していないものが、そのために、その団体を構成しているということは、社会通念上考えられないと」
枝野「すっごいあの、従来の刑法体系とか、からするとめちゃくちゃな答弁してるんですよ。犯罪を犯すことを目的としていないといけないんですよ。別表に掲げる罪の行為を犯すことを目的としてるんじゃないですか、3条の目的は。(枝野の話の整理のために何回か言い直してるけど、意味不明な箇所)これは犯罪なんだ、みんなで犯罪するんだ、ってみんなで結合した場合以外は、対象にならないんですか。そういう答弁ですよ」
林局長「犯罪についての違法性の認識があるかないかは、ここで問われているものではないということは申し上げたとおり、その上でこの犯罪の実行が結合関係の基礎となっているかどうか、この認定をする際に、これが著作権法違反、これを知っている、またそのためにその団体に加わっている、こういったものが立証できなければ、結合関係の基礎としての目的になっているかということにはならない」
枝野「(略)要するに、今日の答弁は、第6条には、”悪いことするために集まってるんだ”ってなれば犯罪だけど、音楽教室はそういうこといってないから対象外だ、といっているんだけど、そんなこと条文上どこに書いてあるんですか。条文上どっから読めるんですか。条文上読めない基準を持ち出して、それによって一般の人たちにあなたたちは対象にならない、こういうゴマカシをしている」
コレ。ほんとこれなのよ。明確に、明示的にとか口で言ってる癖に、その条文がないんだよ。これにつきる。
あー枝野ホント好き。 Permalink | 記事への反応(14) | 18:08
枝野サンの質疑も紛糾しておりますが、午前中の山尾さんの質疑から。
あ、最初の政府参考人招致のところは、割とどうでも言い話ですが、衆議院規則で、答弁は基本的に、総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官がすることになっているので、政府参考人は「細目的または、技術的事項について審査または、調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く」存在でしかないので、質疑を行う議員が要請しない場合、普通出てこないんですが、金田大臣に答弁させるとやばいというのは与党側でも認識されているので、委員会で与党側が必要だとしたのならば、まぁ過去にほとんど例はないだろうけれども、それほど大きな問題ではないと思いますよ。ただし、細目的、技術的事項でない、基本的事項で、質疑者が政務三役を指名しているのに、委員長が参考人に答弁させるのは衆議院規則に反しているといわれても仕方ないと思いますけどね。
4/19 法務委員会
今日の山尾議員は「なぜ第一次安倍政権ではやらなかったのか」から入ってるわけですが、これは、安倍さんが「民主党時代にできなかった」と言ってるからと、その後のブレの話につなげるためにやってるんだろうけど、クリティカルじゃないので、正直時間の無駄に感じましたね。まともに答えるわけもないのに。
山尾「・・・テロ対策のために絶対共謀罪が必要だと、第一次安倍政権のときからずっと持っていて、ぶれない方針の下にマジメにテロ対策を考えていたら、発言にこれだけのブレは生じないと私は思うからです。」
山尾「たとえばぱらぱら発言というのがありますね。たとえば、1月26日の予算委員会で、安倍総理はこうおっしゃいました。一言一句申し上げますね。私とのやりとりです。
安倍”前の共謀罪との違いにおいては、共謀罪というのは、まさにここで、たとえば、そんな組織的なものでなくても、ぱらぱら集まって、今度やってやろうぜ、と話をしただけで、これはもう罪になるわけでありますが”、こういう風におっしゃっています。
一方で。先日の決算行政監視委員会。わが党の階委員に対する答弁で、安倍"かつて政府が提出した共謀罪においても、不当に処罰範囲が広がる危険性があったとは考えていない"。どちらが正しいんですか。組織的でなくてもぱらぱら集まって、今度やってやろうぜと、話をするだけで罪になる。これはもう不当に処罰範囲を広げている以外の何物でもないと思うんですが、どちらが正しいんですか」
安倍「まぁまさに、今、あ、山尾委員がですね、言われた点、がですね、ま、今回、の、我々がテロ等準備罪を提出をさせていただいた、その中で、えー、この、えー277ですか、に、限ってきた。明示的に限ってきた、点と大きな違い、であると、このように思うわけでー、ござます。えー私が、最初に予算委員会で、答弁をさせて、いただいた、のは、ですね、まさに、当時ですね、我々は解釈によって、いわば、この、組織的犯罪集団というオプションをとって、はいた、わけで、ごぜますが、いわば明確に、それをですね、罪を限ってはいなかったわけでござます。そのことを、明確、明示的に書いてはいなかった、のでござまして、あの、そういう、今、私、私の発言を引用していただいた、ようなですね、そういう印象を与えたのは、事実でござます。そういう中においてですね、今回は、まさに、我々が、階議員とのやりとりで、申し上げさせていただいた、ようにですね、今回は組織的犯罪集団、組織的犯罪集団にですね、ということにですね、を、明確にさせていただき、明確にする中においてですね、えーこの、犯罪の、対象を、絞る、絞ったと、明確に絞ったと、こういうことでございます、前回のとき、前回においてはですね、これはオプションとしてとっているわけでごぜますから、結果として捜査の対象にする、適用する範囲は、実態としては絞られていた、ということに関しては、同じ、ということになるわけでございますが、あーしかしですね、えーしかし、ちょっと静かにしていただきたいと思います(山尾”そっちのほうがうるさい”)、よろしいでしょうか、よろしいですか、えーそこでですね、えーいわばしぼらさせていただいた、実際は、実際は、絞られるわけでございますが、これを、その中に、その中にですね、その中において、これを実際に絞っていくという発想を、いわば明示的に絞っていく、えー、というこの、発想には、いたらなかったわけであります。えー、実態としてはですね、捜査の適用、捜査対象としての、適用、範囲は狭まって、今回と同程度、に絞る、ということになるわけでございますが、今回の違いにおいては、まさにそれを明確にさせていただいた、とこういうことでありまして、国民のそうした不安を払拭することにもなったのではないかと、こう考えている次第でございます。」(意訳したらあってるかわからんから書き起こしたよ。)
意訳「前回は解釈で、組織的犯罪集団というオプションをとっていたものを、今回は明示的に組織的犯罪集団を規定しただけだから、実質的な捜査範囲は今回と同程度になっていたわけで、明示的にしたことで、国民の不安は払拭できたと考える」
という感じでしょうか。意味に自信はないけど、こういう答弁ならまったくかみ合ってないし、自分の言ったこととも矛盾してるけどね。前回と今回で、実質的な捜査範囲は同程度とするならば、今回の法案でもぱらぱらと集まって「今度やってやろうぜ」と言ったら罪になるということは、捜査当局が組織的犯罪集団か否かを判断する以上、「はい、公務執行妨害ね」というような感じで「はい、組織的犯罪集団ね」といえばいいだけなので、同じく罪になるっていってるわけよ。
一応書いとくとこれは山尾さんの質問の筋が悪い。「一変したら対象になる」が正しいよ。省略するけど、
山尾さんが、「前回はぱらぱら集まって、共謀しただけで罪だったけど、今回はそもそも犯罪を起こすことを目的としていなければなりません」と安倍さんが言ったことと、オウム真理教が「当初は宗教法人として活動していたが、テロ集団に一変した、一変したから捜査の対象となる」といったことのどちらが正しいか、と聞いたら、安倍さんが
「辞書で調べたら、そもそもは、最初からという理解だけでなく、基本的にという意味もある、山尾委員は知らなかったかもしれないが、これは常識だよ。」みたいな感じで、ニヤニヤしながら答弁した後に、「犯罪を目的とした集団であるか、ないか」が問題だ、いってます。これはそのとおりで、仁比議員や階議員や山尾さん自身がつめたように、これを判断するのは捜査当局で、「犯罪の合意がある」と疎明されれば捜査対象になる、ということが問題なんだからさ。そもそもが、基本的に、という意味だったとして、「基本的に犯罪を起こすことを目的としている」だったとして、誰が、いつ、普通の2人以上の集団(ちなみに法案では2人だけど、条約の要請は3人異常だよ)が、「基本的に犯罪を犯すことを目的としている」と判断するんですかって話だから、絞った、とかいう答弁に意味はないんだけどね。今回の法案はもともと、テロ対策で作られた法案じゃないから、途中から答弁が一貫性がなくなったのは事実だけど、ここで、安倍さんの論理に一貫性がないとつめるより、一変したか、してないかの基準を明示せよ、捜査当局に判断させるな、という方向につめないとさ。安倍さんは「結果を見れば」といってたけど、オウムがテロ集団に一変したことを、どの段階で判断できたんですか、とつめないとさ。それができないんだったら、組織的犯罪集団だと規定したらテロが防げるとかいう「立法事実」が示せないわけだからさ。結局オウムの件は事後的にテロ組織だったってわかっただけで、予防的な効果を発揮させようとすると、令状なしの盗聴や、ネット監視、SNS監視もやらないと無理なわけで、セッション22で平沢勝栄が「そこは捜査機関を信用していただけるかどうか」とか口を滑らしてたけど、そこに持っていくための布石としての立法だってことをもっとわかるようにやってほしいよね。これ苦言。
藤野「組織的犯罪集団と絞ったフリをしても、一般市民が対象になってしまうんじゃないんですか」という質問に対して、
安倍「組織的に、まさにそれで生計をたてている、生業にというのはそういう意味であります」と答弁していたことについて、オウムは犯罪で生計を立てていたわけじゃないけど、オウムは組織的犯罪集団ではないとなるんではないですか?と山尾さんが質問すると、グダグダと、さっきのそもそも発言についての言い訳を1分以上述べた後、こういいいます。
安倍「ま、そこで、生業、等について、でございますが、そのとき私がどういうやりとりをしたか、はですね、事前に通告をしていただかなければ、そこの文脈全体をですね、今、私が、もう一度、確かめて、答弁することが、できない、わけでございますから、中身のある、丁寧な議論が必要というのであれば、ですね、そうした形で、いきなり、えー当時のこの委員会でのやりとりをですね、えー例として挙げられる、てもですね、正確な答弁を期すためには、その時のやりとりを私ももう一度、もう一度、全部、文脈として、えーこれは、あらかじめですね、えー確認をさせていただかなければ、答弁はできないわけで、ございます。いずれにせよですね、ではこのテロ集団と、このテロ集団と、いわば資金、を集める、えーためにさまざまな、犯罪を犯していく、関係においてはですね、つまり、テロ集団というのは、テロそのものをやっていくことにおいてはですね、これにおいて、これを利益とする、こっから利益をあげて、生計の足しにすることは、これはできないわけであります。テロを専門にしていくことにおいてはですね、その資金源を獲得して、テロ行為を行いながら、生活を立てていく、えーこの、糧を、得ていく必要がある、とこういうことではないかと、こう思うしだいで、ございます。その中において、えーいわば、テロ行為を行う、集団と、さまざま組織的にですね、えーこの、法を犯しながら、資金を集めている、この行為がですね、合体する、そのその、その中において、資金を集めつつ、テロ行為を行っていくということは、十分に有り得るのではないかと、こう思うしだいでございます。ま、そこでですね、その時の私のやりとりについて、今、正確な答弁を求めるんであれば、これ、簡単なことなんですよ、通告をしていただければ、と思います」
これ、まあ共産党藤野さんへの答弁が間違いだったと堂々と述べておられるわけですが、麻薬組織を例に挙げて、組織的に、犯罪を生業にしていない、一般市民をこれで対象にするということはない、といって、共謀罪の対象は「麻薬組織、テロ組織、暴力団」だけですよー、という「印象操作」をやっておきながら、同じ舌でテロ集団は、テロで生業を立てていないから、資金源となる犯罪も対象にする、とおっしゃる。しかし、総理自身が言っているような「組織的に生業を立てている集団」のような規定ができない以上、一般市民の組織が突如、犯罪集団に一変したと捜査当局が判断すれば、対象になるんだとこうおっしゃるわけですからね。こういうゴマカシを突っ込まれると、「通告がないから」といって逃げるんですよ。
山尾さんがテロ対策とはならないのに、こういう法律を通すと、捜査機関の監視が強まるということになるだけで、百害あって一利なしだから、廃案にすべきだ、といって安倍総理の答弁を引用します。
山尾「総理は4月26日(*4月6日の誤読と思う)に”この法律を新設することで、捜査機関が常時、国民の動静を監視する監視社会にはなりません”とおっしゃいました。最後の質問です。それでは安倍政権においては、常時ではないけれども、国民を捜査として、監視をしているのか、していないのか、どちらですか」
安倍「(また前の質問の言い訳をする)そこで、監視、その、いわば、監視という意味は、どのような意味で使っておられるかということを、ちょっとその、お伺いさせていただかないと、ですね(山尾「ご自身が使っておられます」)いやいや、今、委員がどういう意味で使われたかということについては、(山尾「じゃあどういう意味でご自身は使われたんですか」)いや今私が、手を上げて、ちょっと説明していただきたいと思います。」
山尾「ご自身が使ったんでしょ。監視社会には繋がらないって。なんでこっちに聞くんですか。おかしいでしょ。」
時間切れで質問の答弁はなかったけど、聞きたかったよ、安倍さん。
共産党が「トランプ大統領に、強攻策に出ないように諌めてください」といったら、「それは北朝鮮に言ってください」とかいう意味不明な答弁にも顕著に出ておりますが、答弁をしない理由とか、相手に責任を摩り替えたりする、姑息な技術だけは、どんどん使ってるくせに(報道されないしね)、通告がないと、自分の国会での発言の意味も答えられないのかって話ですよ。無責任にぺらぺらしゃべっても、通告してもらって、官僚に作文してもわないとこたえられないもーんて開き直ってる最高指揮官様、すげぇとおもうよ。
以下便宜国鉄の例をとり、両者を対比してみる。
(一) 国鉄は国家行政組織法に定める国の行政機関ではなく、したがつてその職
員も国家公務員ではない。これに対し林野庁は言うまでもなく、右組織法に定める
国の行政機関であり、その職員は一般職に属する国家公務員である。
(二) 国鉄職員に対しては日本国有鉄道法(以下国鉄法という。)第三四条第二
項により、国家公務員法の適用が全面的に排除されているが、林野庁の職員に対し
ては前述のとおり公労法第四〇条により、一定範囲で国家公務員法の規定の適用が
(三) 任免について国鉄職員の場合には国鉄法第二七条において、その基準の大
綱を示すにとどめ、その具体的規律については国鉄の定めるところに一任している
のに、林野庁職員の場合には、前記のとおり国家公務員法第三章第三節および人事
院規則八-一二によつて、職員の採用、試験、任用手続等がきわめて詳細かつ具体
的に規定されており、林野庁に一任されている部分はきわめて少ない。
(四) 降職および免職事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員
法第七八条第四号において「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又
は過員を生じた場合」と規定されているのに対し、国鉄職員の場合には国鉄法第二
九条第四号において「業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合」
と、ことさら私企業的色彩の強い降職および免職事由が定められている。
(五) 懲戒事由についてみると、林野庁職員の場合には、国家公務員法第八二条
第三号に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」と定めら
れ、林野庁職員の公務員たる性格を明らかにしているのに対し、国鉄職員の場合に
は懲戒事由を規定した第三一条第一項にかゝる規定を欠いているし、その他の点で
も国鉄法にはその職員を「国民全体の奉仕者」であるとは規定していない。
(六) 一般服務関係については、国鉄職員の場合には国鉄法第三二条が職員は法
令および業務規程に従い全力をあげて職務の遂行に専念すべき旨を定めるにとどま
るのに対し、林野庁職員の場合には国家公務員法第九六条において「すべて職員は
国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する。」ものであるとの根本基準
を明らかにしているほか、上司の命令に対する服従、信用の保持、秘密の厳守、職
務への専念、政治的行為の制限、私企業からの隔離、他の業務への関与制限等(国
家公務員法第九八条ないし第一〇四条)国家公務員として特殊な勤務関係に応ずる
右債務者の見解については裁判例として参照すべきものに次のものがある。
(判例時報第三六四号一四頁)
以上のように債権者らが全く同質的なものであると主張する三公社職員の勤務関
係と、林野庁職員の勤務関係との間には、実定法規の上で本質的な差異が認められ
るのである。
しかして、債権者らに対する本件配置換命令は、すでに述べたとおり国家公務員
法第三五条、人事院規則八-一二(職員の任免)第六条にもとづいて行われる公権
力による一方的行為であるから、いわゆる処分性を有し行政処分としての性格を有
するといわなければならない。(公労法第八条第二号は各種の人事事項に関して当
事者自治による決定を認めているがこれはあくまでも所定の人事権行使に関する基
準について団体交渉等を認めたものであつて、その基準を適用して具体的、個別的
に行われる人事権の行使が一方的行為であることに消長をきたすものではない。)
四、(一) 債権者らは、林野庁職員に労働基準法が適用され、同法施行規則第五
条に就業の場所に関する事項等を労働条件として明示することを規定していること
を挙げ、林野庁職員は私法的労働契約関係にあると主張するが、同条の規定は労働
条件に関する事項(基準的事項)について、使用者にその内容の明示義務を課した
ものであつて、このことと個別的、具体的措置がいわゆる共同決定事項であるかど
ところで任命権者ないし使用者が、個別的具体的人事を決定する最終的権利を保
有することは、公務員関係であると私企業における労働関係であるとを問わず一般
に是認されているところである(労使関係法運用の実情及び問題点、労使関係法研
究会報告書第二分冊一一四頁)。
これについてみると、国家公務員として任用された以上は、任免、分限、服務お
よび懲戒等の勤務関係の具体的内容は国家公務員法によつて任命権者が一方的に行
いうるのであつて、個々に職員の同意を要しないものであり、また配置換命令につ
いていえば、任命権者が国家公務員法第三五条の欠員補充の方法として、その権限
の範囲内で職員をいかなる官職に任命するかは自由裁量であつて、それは任命によ
つて勤務官署が異ると否とを問わず、任用関係の本質および内容からいつて改めて
個々的に同意を要しないのである。そしてこのことは、例えば労働基準法施行規則
第五条第一〇号の休職に関する事項が明示事項とされているが、具体的な適用に当
つては、国家公務員法第七九条により職員の同意をうることなく本人の意に反して
それゆえ、就業場所に関する事項が労働基準法にいう労働条件明示事項であつた
としても、林野庁職員の個別的、具体的な配置換命令は、職員と任命権者との間の
合意によつて定めるのでなく、国家公務員法の適用によつて任命権者の権限によつ
て行われるものである。したがつてこのような行為は、同意をうるための労働契約
上の労働条件の変更を求める私法上の意思表示ではなく、公権力による一方的行為
であり、行政処分といわなければならない。
(二) なお債権者らのあげる地方公営企業職員の解雇に関する裁判例は本件事案
に適切でない。すなわち地方公営企業職員と公労法の適用される五現業職員との間
その一例をあげれば、地方公営企業職員については、政治的行為の制限もなく
(地方公営企業法第三九条第二項による地方公務員法第三六条の適用除外)また、
行政不服審査法の適用もない(地方公営企業法第三九条第一項による地方公務員法
したがつて、地方公務員法による処分に対して人事委員会または公平委員会に対
する不服の申立をすることができず、これらに対する審査請求は一般私企業と同様
に裁判所あるいは労働委員会へすることが許されるにすぎない。これに対し五現業
職員については、すでに述べたように政治的行為の制限(国家公務員法第一〇二
条)があり、また不服申立に関する規定(同法第九〇条ないし第九二条の二)もそ
のまゝ適用され、不利益処分としての審査請求は、国家公務員法所定の要件を備
え、公労法第四○条所定の範囲内で人事院に対し申立てることができるのである。
このことは五現業職員の勤務関係が公法関係であり、これにもとづいてなされる任
命権者の措置が行政処分であることと切離して考えることはできないのである。
五、以上の次第で、本件配置換命令は行政庁の処分にあたり、民事訴訟法による仮
処分をすることは許されないから債権者らの本件仮処分申請は不適法として却下さ
第五、申請の理由に対する答弁
一、申請の理由一、の事実は認める。および二、の事実中(一)の事実は認める。
二、(二)の事実中債権者a・bが組合分会執行委員であつた事実、組合青年婦人
部が債権者ら主張のとおりの役割を果すべきものとされていること、債権者aが債
権者ら主張のとおり採用され勤務していたこと、債権者bの学歴および勤務歴は認
めるが、債務者が債権者らの組合活動を嫌悪して不利益な人事移動を行い支配介入
したこと、および債権者らに転任できない事情の存在することは否認する。その余
の事実は知らない。
申請の理由(三)・(1)の事実中、農林技官e・f・m・i・j・kがそれぞ
れ主張のとおり配置換えになつたこと、農林技官gが債権者ら主張の事務所に配置
換えになつたこと、は認めるが、右fが当時執行委員であつたこと、および右gの
配置換えになつた日は否認する。その余の事実は知らない。右gが配置換えになつ
申請の理由(三)・(2)の事実中、配置換を行うに際し、昭和三六年以降ほゞ
隔年職員調書をとり、これに転勤希望一の有無を記載させていることは認めるが、
同(3)の事実中、債権者ら主張の会議において、主張のような討議事項が提出
されたことは認めるがその余の事実は否認する。右討議事項は一署長が提出したも
のにすぎず、当該会議においてもその後の会議においても全く討議の対象とはされ
なかつた。討議事項については、署長側から提出された討議事項は、そのまま会議
資料にのせ、これを配付する方針であるために討議事項として登載され配付したま
でのことである。しかも、右討議事項には債権者ら主張のような事項が含まれてい
たにも拘らず、これを秘密文書として取扱うことさえしなかつたことは、債務者と
してこれを全く歯牙にかけず、まともに問題としようとする意思のなかつたことを
裏付けるものである。また、実際においても、その後の配置換において、学習運動
が考慮された事実は全くないのみならず、すでに二年以前の出来事で本件とはなん
らの関連もない。
申請の理由三、(一)・(二)の事実中、総務部長会見および署長会見の席上に
おいて債権者ら主張のような発言があつた事実は認める。債権者ら主張の大会の準
備運営に債権者らが不可欠の存在であること、および事務引継ができないことは否
認する。その余の事実は知らない。
同(三)・(四)の事実中、債務者が債権者らの希望があれば組合青年婦人部大
会において新役員が改選されるまで赴任を延期してもよいと言明したこと、および
本件配置換命令が債権者らの家庭生活を破壊するものであることは否認する。その
余の主張は争う。
すなわち、債権者c・bは昭和四二年四月一七日、債権者aは同月一九曰それぞ
れ新任地に赴任し業務についている。
従つて本件は本案訴訟において争えば足りるのですでに仮処分の必要性は消滅し
ている。
債権者らは、新任地への赴任が臨時的なものであることを保全の必要性の要素で
あるかのように主張するが、保全の必要性は、本件配置換命令の効果として形成さ
れた権利関係によつて結果的に生ずる不利益、すなわち、著しき損害等が生ずる場
合に認められるもので赴任の異状性は仮処分の必要性の要素とはなり得ない。
また、債権者らは、本件配置換命令の結果組合活動の自由が阻害される旨主張す
るが、組合活動は新任地においても行いうるものであるし、債権者らが主張する前
任地における組合活動に関する整理等の残務は、もともと債権者らとは別人格の組
合前橋地方本部福島営林署分会および白河営林署分会に関する事情であつて、債権
者らについての仮処分の必要性を判断するための要素とはなり得ない。
仮りに右残務整理に関する主張が、債権者らについての仮処分の必要性に関する
ものとして可能であるとしても、本来組合活動は勤務時間外に行わるべきものであ
り、とりわけ残務ということであれば限られた業務であるから、新任地においても
時間外に処理することは可能である。しかも組合の執行機関は数名の執行委員をも
つて構成されその業務も特殊専門的業務でなく、共通性を有するものであるから、
執行委員一名が欠けたゝめ余人をもつて代え難い業務が残存するとは考えられな
い。よつて他の執行委員に残務を引継ぐことは任期中途で異動した場合通常行われ
ていることであり、本件のみそれが不可能であるとする理由は見当らない。
右の理は組合青年婦人部の役員についても、また妥当するところである。加えて
以上によるもなお債権者らが組合残務を処理しなければならないという特殊事情が
あるとしても、必要最少限の日時について業務上支障のない範囲で新任所属長の許