2019-12-28

明日出産する

長かったようで短かった妊婦生活明日で終わることになった。

予定日を過ぎても一向に中の人が出てこないので、促進剤を打って強制出産する。本当はもう少し様子を見ることもできるらしいが、年末年始を挟むと病院側も色々あるらしい。オトナの事情だ。

妊婦生活終了の記念に、思い出を書き散らかしていこうと思う。

妊婦は意外としんどい

妊娠する前、正直に言うと、妊婦なんて腹が大きくなるだけで何でもないと思っていた。

実際になってみると、意外としんどい

自分の体力が普段の倍速で減っていくかんじ。

ついでに頭も全く回らない。文章を読んでも一回では頭に入ってこないし、口頭での指示は言われたそばから抜けていく。

動悸や息切れもあるし、腰は痛いし、電車や車で酔う回数も明らかに増えた。

1日外をウロウロすると、あまりに疲れて顔色が真っ青になってしまう。

私は体力に全く自信のない自営業なので、妊娠が分かってからすぐに仕事を減らし、妊娠中はほとんど働かずに過ごしていた。

でも、他の妊婦さんはフルタイムで働いていたりする。

こんな状態でどうやって働き続けているのだろう。女の人ってすごい。

私も優しい人になりたい

電車に乗ると、妊娠マークを見てすぐに席を譲ってくれる人がたくさんいた。

ヘロヘロ妊婦だったので、譲ってくれると本当に助かった。譲ってくれた人には、もれなく一生幸せに過ごせる呪いをかけておいた。

でも、面白いことに、席を譲ってくれる人は全員おば様。

若い人や男性は譲ってはくれない。譲ってくれないのか、妊婦マークに気付いてないのか、気付いても譲る必要性を感じていないのかは分からない。

ちなみに私も妊婦になる前は席を譲らない側の人間だった(席を譲ろうと思うほど妊婦に興味がなかった)から、譲られなくても格段何も思わなかった。

逆に譲ってくれたおば様たちは、きっと妊娠中に大変な思いをしたのだろうなぁと思うと涙が出そうだ。

私も妊婦さんを見たら、席を譲るようなオバちゃんになろうと思う。

体重が増えない

妊婦空気を吸っても太る、と聞いていたからビクビクしていたら、なんとびっくり体重が増えずに医者に怒られる、というレア体験をした。

普段は食べないオヤツを1日2回食べ、カロリー気にせず食べたいものを朝昼晩と食べ、炭水化物を多めに取っても効果なし。

何が腹立たしいって、妊娠する前はこんな生活してたら普通に太っていたという事実である

結局、妊娠する前から5キロ増加して、現在に至る。

胎児羊水、増加分の血液胎盤の重さを全て足すとそのぐらいの重さらしいので、産んだら元の体重に戻りそうだ。

戻らなかったらどうしよう。

豚足食べたいな

美味しいお店があると聞いて、父と豚足を食べに行った。

汚い立ち飲み屋のようなところで豚足を食べ、あまりに美味しいのでお持ち帰り。

翌日お持ち帰りを嬉々として食べたら、その日の晩に盛大に吐いた。

体調が悪かったのか、豚足が悪かったのか、つわりだったのか。

1つ言えることは、豚足はおいしいということ。

駅で倒れた

電車に乗って出かけようとしたら、人身事故の影響で混んでいた。

とりあえず乗った各駅停車。その中で、頭の先から冷たいものが足元まで降りてくる、という初めての感覚があった。

ああこれダメなやつ、と、次の駅で転がるように下車し、壁を伝って何とかベンチに腰を下ろした。

人でごった返したホームの中で、一緒に電車に乗っていた夫が温かい飲み物を買いに走り、全く回復しない私を見てすぐに駅員を呼びに行ってくれた。

私がベンチで気分の悪さと戦っていると、電車待ちの行列の中から2人のおば様がやってきた。

大丈夫?」

「あら、あなた妊娠中?駅員さん呼ぼうか?ああ旦那さんが呼んでくれているのね。」

「顔が真っ白よ。」

そう言って見ず知らずの私の背中を撫で、大丈夫大丈夫、と励ましの呪文をかけてくれた。

まさかの優しさに号泣してしまった私を見て、泣かなくていいのよぉ〜とおば様たちが笑った。

男の子なの?女の子なの?」

妊娠ははじめてかしら?」

知らない妊婦の腹の事情なんかに興味を持ってくれて、私はその質問に答えることで何とか気持ちを立て直すことができた。

あの優しさは一生忘れない。

そして、私もそういうことができる人間になりたいと思った。

人身事故の時の駅員さん

その後、駅長室に入れてもらい、ソファで寝かせてもらえた私。

これ以上電車に乗せるのは不安だと、夫は電車で家に帰り、車で迎えに来てくれることになった。

電車に乗った意味が全くなくなってしまったが、夫があまりに優しいので、将来介護は任せろと心の中で呟き駅長室でお留守番

駅員さんはとても優しく気遣ってくれて、毛布やら枕やらを準備し、何かあったら声をかけてと丁寧に言って、仕事場へ戻って行った。

人身事故最中なので、駅長室はたくさんの放送が飛び交っていた。ドコで電車が止まってるとか、駅のホームで何が起こったとか。

向こうの方で駅員さんの

「うぉおぅ…。こりゃもうダメだわ…。」

という、この世の終わりを見た人みたいな呟きが聞こえた。

その間にも、忘れ物をしたとか、切符がないとか、道に迷ったとか、迷子を見つけたとか、お客さんがドンドンやってきて、一つ一つ優しく対応する声が聞こえ続けていた。

ソファでまどろみながら、駅員さんってすごいなぁと思った。

お仕事、本当にご苦労様です。

駅で怒鳴る系オッサン

私が倒れた駅のホームで、対応が遅いとか情報がないとか客の誘導が出来てないとか、ずっと大声で文句をつけているオッサンが1人いた。

でも、私におば様たちが駆け寄って慰めている姿を見て、声を荒げるのをすぐにやめていた。

気遣ってくれてありがとう。でも、駅員さんにも優しくしてほしいな。

乳首正中線

妊娠して明らかに変わったのは、バストサイズ乳首の色だ。バストは大きくなり、乳首は真っ黒になった。

それはもうまっくろくろ乳首で、こりゃ「乳首ピンクします」みたいな怪しげなクリームが売れるわけだと妙に納得した。

そしてお腹には、正中線と呼ばれるらしい、一本の黒い線が浮き出てきた。

胃のあたりから股の上にかけて、まっすぐ引かれた黒い線。妊娠週数が進むにつれ、ちょっとずつ濃くなっていった。

これは最初細胞分裂の跡だと、どこかに書いてあった気がする。本当ならおもしろい。

切り取り線に見えるので、てっきり帝王切開の時はこの線を目印に縦にメスを入れるのかと思っていたら、横に切るらしい。

なんだ、キリトリ線じゃないのか…。

とにかく黒くなる

黒くなったのは乳首だけじゃない。

脇のあたりとか、背中の上の方とか、局所的に黒くなっているところがいくつかある。何故かはサッパリからない。

私は毛深くない方だが、明らかに産毛の量も増えた。背中気持ちフワフワになり、お腹にも毛が生え、腰にも産毛のクッションができた。

毛が生えているところは弱いところだと聞いたことがある。胎児を守ろうとしてこうなっているのなら、私の身体は私の気持ちなんかよりよっぽどお母さんだ。

私は普段から化粧を全くしない程度には美容に興味がない。だから黒くなったところで、そういうものか、ぐらいの感慨で済んでいる。

でも美容にしっかり向き合っている女性は、この黒くなったり毛が生えたりする現象をどう受け止めるんだろう。

やはり、ショックを受けるのだろうか。

それとも、子が産めるのならと受け入れるのだろうか。

まだ見ぬ子のために自分のこだわりを一旦置いておけるって、すごいことだ。

動けvs動くな

里帰り出産をする関係で、2つの産婦人科病院に通った。

一方では「妊婦は動くな、ゴロゴロすべし」と言われた。お腹が張ったりすると、赤ちゃんも苦しいらしい。

もう一方では「妊婦は動け、何でもやっちゃえ」と言われた。動いてはいけない場合は指示をするから、それ以外はお産に向けての体力作りのために動いてほしいらしい。

病院によってこんなにも方針が違うものかと驚いた。

仕方ないので、都合のいい方を日替わりで信じることにした。おかげで楽しい妊婦生活だった。

まれているということ

私は良識ある両親に、束縛されることなくのびのび育てられた。

おかげで好き勝手ストレスほとんどなく過ごしてきた気がする。

夫は優しさが服を着て歩いているような人で、義両親は付かず離れずの距離で気を回してくれる。

実の兄弟とも仲良しで、義兄弟やイトコ、ハトコとも、深夜まで話し込むことができる程度に仲がいい。

友人もそれなりにいて、出産経験のある子からお下がりとお祝いで、赤ちゃん用品はほとんど買うことなく済んでしまった。

これだけ味方がいて、みんなに励まされているけど、やはり出産は怖い。どれだけ痛いのか考えただけで震える。

そして妊娠中は苦しい。何の理由もないのにメソメソ泣いて夫を困らせたり、何もしていないのに疲れて一日中寝ていたりした。

それでも周りは許してくれて、慰めてくれて、私の好物を買って来てくれたりする。

から何とかここまで耐えることができた。

病院助産師さんから、たまにアンケート用紙をもらう。

そこには必ず、DVを受けていませんか?と書いてある。

世の中にはいるのだ。人に恵まれず、望まない妊娠をして、苦しい妊婦生活を一人で過ごし、出産の恐怖に怯える人が。

私が大勢に支えられて何とかやってきた生活を、ただ一人で耐え抜くのはどんな気持ちなのだろう。

しかすると、私が今いる病院の中にも居るのかもしれない。

幸せになってほしい。

母になるとは

女の人はお腹に子を宿すからゆっくり母親になっていく。

なんて言う人がいるが、あんなのは嘘っぱちだ。

つわり気持ちが悪いと「腹の中の人のせいだ!」と思うし、胎動で眠れないと「ちょっとは静かにしてよ!」とウンザリするし、思うように動けないと「お腹重すぎるよ!」と悪態をついたりする。

そもそもお腹が膨らんでいったところで、その中に人間が1人入っている、というのが信じられない。

明日まれてくることだって半信半疑だ。

でも、もし本当に産まれてくれたら、精一杯かわいがってみようと思っている。

最初は上手く可愛がれないかもしれない。

私は子どもを産んで育てたいと思っているけれど、別に子ども好きではない。

から泣き声を聞いてうるさいと思うことだってあるだろうし、イライラすることもあると思う。

ついでに家事も上手くないから、子どもにいい環境なんて作ってあげられない。

それでも休み休み愛して、一緒の時間を過ごして、ゆっくりお母さんになっていけたら素敵だ。

明日まれたら、お腹中の人は初めての肺呼吸と初めての哺乳で大パニックだろう。

その前に、狭い産道を通ることでヘロヘロかもしれない。

一緒に頑張ろう。

痛いのは怖いけど、私も何とかやってみるよ。

  • うんち

    • うんち

      •                                                                                    ...

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  • 陣痛は人生最大に痛いし破水は未体験の恐怖だし生まれた赤子はあまりに頼りなくて実感わかないけど、やがてすべて丸く収まるよ。出産頑張ってね。

  • でもキモくて金のないおっさんが体調が悪くて駅で倒れても放っておかれるのは特に問題だと思わないんですよねわかります

  • 道端に咲く名もないKKOですが泣いた

  • 生物学的な体の変容、いわばこの世の仕組みを体験できる女羨ましい。

  • 頑張れ!!とにかく、頑張れ!!! 人間一人の命をまるごと産むお母さんはすごい!! 無事に出産ができるように心から祈っております。

  • マタニティハイ

  • 結局、妊娠する前から5キロ増加して、現在に至る。 胎児、羊水、増加分の血液、胎盤の重さを全て足すとそのぐらいの重さらしいので、産んだら元の体重に戻りそうだ。 戻らなか...

  • 親に友達に恵まれてる増田がうらやましい~ 元気な赤ちゃん産んでね。 出産も大変で、出産後も弱った体で育児するのは大変だけど 決して無理はせず周りの人を頼ってね。

  • 妊娠してみて分かったことや感想もいいけど、妊娠のきっかけも書いて欲しい

  • ババアは偉大。

  • 世の中には本当に子どもが欲しいのに、何百万かけても授からずに涙を流している人は少なからずいる 自分は運良く子宝に恵まれたという意識を強く持ち、子育てに真剣に向き合ってく...

    • 真剣=教育ママって受け取る人もいるんだよ へんなプレッシャーになることをいうのやめたほうがいい わかっててなんでこういうこというのかね   一人で真剣にやらないほうがいい 大...

      • でもキモくて金のないおっさんにお前は無能だからもっと真剣に働けとプレッシャーをかけてつぶすのは特に問題ないんですよねわかります

      • ネットに出てくるのは親にならない方がよかったのでは?案件が大半だからでは? はてな見てる限りでは9割そう思う これもバカばかり現象と同じで単なるネガティヴバイアスなのだけ...

  • 妊娠中もだけど、子連れになってからも、席を譲ってもらうことがこんなにあ。がたいとは!と感じる場面が多かった。みんな、子連れにも席を譲ってあげてください。

    • でも貧困により健康状態が悪く立っているのが辛いキモくて金のないおっさんには特に席を譲る必要はないんですよねわかります

    • 車かタクシー使えよ

    • anond:20191229120801  anond:20191229121159 anond:20191229121256 出番では? 現実は地域によっちゃ危ない混雑する公共交通使って 譲れオラだぞ 車やタクシー使って移動とかシッター使うという選択肢...

  • 障碍者の子供が生まれても冷たくしてはだめですよ

  • 何事もなく元気な子産め!幸せになれ!!呪ってやる!

  • ブリッ!ブリブリ!ビチビチィッッ!

  • > 「大丈夫?」 > 「あら、あなた妊娠中?駅員さん呼ぼうか?ああ旦那さんが呼んでくれているのね。」 > 「顔が真っ白よ。」 > そう言って見ず知らずの私の背中を撫で、大丈夫...

  • 出産前日に増田に長文書く人間が母親とか子供どんな顔すりゃいいんだよ

  • 階段を昇ると、良いみたいな話を聞いて。一人目の時は、近所のショッピングモールか何かの階段をひたすら昇っていた元妻。とりあえず、その時は付き合った。お産の時間が深夜で、...

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