2020-08-23

マシュマロを投げまくってた話

かつて、とある二次創作小説書きにマシュマロを送りまくってたことがあった。

はいわゆる腐女子というもので、その時はあるゲームにハマり二次創作を漁っていた。

そんな中、ピクシブで大変好みの作品を書く小説書きさんを見つけた。基本的に1万字を超えない短い作品で、パロディが多い。そのどれもが設定・展開ともに好みにどストライクで、「こういうのが読みたかったんだよ!!!」となるものばかり。短いからサクッと読めるし、きちんとハッピーエンドで終わるので安心感もある。一方でどこか仄暗い場面もあってそこも好みだった。

しかし、その作品たちはブクマ数が少なかった。コメントもつかない。作者のTwitterの垢にも飛んでみたが、フォロワーも少ない。

しかし、その小説書きさんはマシュマロを置いていた。これは僥倖だった。私もそれなりに二次創作小説を書くのだが、どうも人との交流が苦手でTwitterRomしか持っていなかった。当然、リプを送るような勇気もない。

マシュマロがあって良かった。感想を伝えれば喜んでもらえるし、もしかしたら新作を書いてもらえるかもしれない。パロディ大好きです!とかけばまたパロディものを書いてもらえるかも。

そんな現金な考えをしつつ、感想を書いた。引かれたりしないように丁寧な口調で書いて、挨拶や体調を気遣うようなメッセージも添えた。長すぎないようにもした。結局4回ほど書き直し、ついに投稿した。その後すぐ小説書きさんのツイート通知をオンにした。返信をワクワクしながら待っているのが少し恥ずかしかった。

程なくして、返信のツイートが来た。丁寧なお返事で、なにより「ありがとうございます!」「嬉しいです!」と書かれているのが嬉しかった。絵文字もたくさん使ってあった。正直、知り合いでもなんでもない人の作品特に対価も支払わず見せてもらっているのに罪悪感めいたものを感じていたので、「ありがとうございます!」はこっちの方だよ!と言いたかったが嬉しかった。

早速スクショを撮った。勢い余って2枚くらい撮った。その後もう一度作品を読みにいった。やっぱりド好みだった。

そんな感じでホクホクしていた訳だが、小説書きさんに他のマシュマロは届かなかった。私が見逃しただけかもしれないが、マシュマロは私のものだけだったと思う。

それで、少し不安になった。感想が届くのは創作者にとって基本的に喜びだろう。しかし、それがマシュマロ1個だけだったら?勿論、0か1かは大きな問題だし、たとえ1個であっても嬉しいだろう。でもマシュマロが来ない内ならまだしも、1個でも来たら「また来ないかな?」と思うことも増えるだろう。それで他のマシュマロが来なかったら、ひょっとすると全く感想が送られて来ない時より辛いかもしれない。0か1かも重要だが、ひとつ複数かというのも重要だろう。結局マシュマロがコロッと1個来るだけの作品なんだ、大して面白くもないんだ、なんて思われて小説書きさんが新作を上げなくなったらどうしよう。最初マシュマロお返事がかなり喜んでいたようだからなおさら心配だった。とんでもなく自分本位心配である

悩んだ結果、またマシュマロを送った。マシュマロ匿名なので、どれが同じ人から送られてきたかは分からない。ならば違う文体で送れば、複数から感想が来ていると思われるのでは?という思考だった。

初めてのマシュマロはかなり丁寧に書いたので、あまり中身がない短めのものと、勢いが凄いタイプの2種類を送った。

同一人物とバレないかヒヤヒヤした。幸いバレなかったし、それぞれのマシュマロにお返事が来た。短めマシュマロには短めのお返事、テンション高いマシュマロには同じくテンション高い感じのお返事が来ていた。小説書きさんの律儀な感じが伝わってきてほっこりした。相当毛色が違うマシュマロだったが、どれも喜んでもらえた。スクショした。

そうしていると、新作がアップされた。大好物シチュエーションと設定だった。3回くらい読み返してからマシュマロを3,4個送った。ひとつひとつにお返事が来て、小説書きさんのプロフィールツイート一覧には作品をアップしたツイートと、マシュマロのお返事がずらりと並んでいた。萌ポイントをわかってもらえて嬉しい!とお返事が来て小躍りした。

その後も、作品が上がるたびに私はマシュマロを投げまくった。基本的に、丁寧に好きな部分について語った長めのものと、「大好きッッ!!!!」みたいな勢いで書いたっぽいものと、「振り込めない詐欺ですか?」みたいな奇をてらったようなものの3つを書き、さらに他のマシュマロも書いた。バレないように漢字変換や句読点の打ち方にも変化をつけた。大体、作品がアップされた日に複数送って、1日2日3日後にさらに送る感じにした。

作品だけでなく、ツイートに対してもマシュマロを送った。ある時、自分文章の書き方が読みにくいんじゃないかおかしいんじゃないかと悩んでらっしゃるツイートがあった。私は小説書きさんの文章の書き方のどこが好きで、内容はしっかり伝わってきていて、最近作品ではここの書き方がツボだったとマシュマロを送った。ツイート監視しているようで気持ち悪がられたら不味いと思い送ったあと後悔したが、お返事には「救われた」、「励まされた」と書かれていた。

たくさんお返事されるマシュマロほとんどが私のもの。そんな奇妙な状態だった。

小説書きさんはコンスタントに短めの小説を上げてくださっていた。それがマシュマロのお陰なのかは分からない。私がマシュマロを送り始める以前から作品を書かれていたのだし、ツイートだけでは彼/彼女人間性は分からない。

そうしてしばらく経つと、小説書きさんの作品ブクマが増え始めた。フォロワーも増え、界隈の他の人とも繋がり、仲の良い人同士リプでたくさん会話するようになった。リクエストを受けるようになり、スロットメーカー自作したCPスロットが界隈でも使われるようになった。当然、マシュマロ作品をあげるたび何個も来ていて、返信をするのも一苦労だろうから私は1作品につきマシュマロ1個送ることにした。それが普通だけれども。

数が増えたので、マシュマロtos返信になった。

小説書きさんが続き物や長編を書くことも増えて、ますます作品を読み、待つのが楽しくなった。相変わらず癖の少ない文章で、好みにピタリとはまる展開で、原作とかけ離れたパロディでもきっと登場人物たちはこう行動するだろうな、と思わせる書きぶりで、そして予想のつかないストーリーだった。原作軸の話も素敵だった。

くだらない心配をすることもあった。勿論マシュマロについてだ。ある方のツイートで、マシュマロ送信者をブロックすると、その送信から過去送られてきたマシュマロも見えなくなる、と書かれていた。実際は、マシュマロ公式サイトをみると非表示にはならない、と書いてあるし、私の見間違い・勘違い不具合可能性もある。だがその当時は、少々怖かった。私がもし小説書きさんが不快に思うようなマシュマロを送って、ブロックされてしまったら過去のある期間のマシュマロがごっそり消えてしまう。一人で送っていたことがバレてしまう。そんな風に考えた。相手はどんな人か分からないのだし、何を嫌うかも分からない。

結局のところ、全くの杞憂だった。第一ブロックされても消えないのだし、小説書きさんは私をブロックしなかった。元々マシュマロを送るときは「他作品と比べない・『〜けど』を使わない・リクエストしない」を徹底していたぐらいだったし。(3つ目に至っては全然OKだった。)これは余談だ。

小説書きさんがR18の作品を上げた。こっちはドッキドキのワックワクである

しかし私には1つ困難な点があった。R18作品はぷらいべったーでリスト限定公開だったのだ。リプでリスインの申請をしなければならない。

書いてきた通り、とにかくネットでのコミュニケーションが苦手なのだ基本的に無言フォローだし、ツイートリツイートもしないのにフォローだけは数百。小説書きさんにもあれだけマシュマロを送ったのに、直接のやり取りはしたことがない。

日経ってから意を決してリプライした。「いつも素敵な作品ありがとうございます」みたいな文言とリスイン申請の、酷く無難なリプを送った。

リプライリプライはすぐ来た。その中に、「いつもいいねくださりありがとうございます。」と書かれていた。認識されていた。認識されていたのだ。

思えばおかしな話ではない。作品アップの

ツイートやぷらいべったーの作品は必ずファボしていた。「めっちゃファボしてくる人」と認識されていておかしくはない。驚いて、恥ずかしくなって、舞い上がった。ふわふわした。R18作品は大変スケベだった。リスインへの感謝作品が最高だったとリプライで送った。それが、小説書きさんと交わした最初最後の会話だった。


初めて作品出会ってから1年半弱。小説書きさんが二次創作活動を止め、筆を置くと決めた。突然のことだった。個人的理由とのことで、悪意のあるマシュマロとか界隈の面倒ごとに巻き込まれたとかではなさそうだったが、それ以上は分からなかった。

最後マシュマロは送らなかった。たくさんのリプと、おそらくたくさんのマシュマロが送られているだろう。結局のところ、私は誰だか分からない投稿者の一人で、いくら送ろうと連続性はない。私が言いたいことはもう送られているだろう。アカウントを消す前に返信しなければなのだし、いたずらに増やしても迷惑だ。

寂しくなるな、と思った。

その月の末に、小説書きさんはアカウントを削除した。最後挨拶には、「たくさん感想を送って下さりありがとうございました。」「皆様の応援でとても幸せな日々を送ることができました。」と書かれていた。


数ヶ月が経った。不意にあの人の作品が読みたくなり、ピクシブブクマを遡った。

なかった。

フォロー一覧にもいなかった。

よく考えれば当たり前だった。Twitterアカウントはなくなり、ぷらいべったーも見れなくなった。ピクシブアカウントについて最後挨拶では特に触れられていなかったが、消されていてもおかしくはない。Twitterアカウントを消してもピクシブは残しておく人が多いから、つい残っているような気になっていた。

ペンネーム検索しても、過去に作られたCPスロットが出てくるだけだった。それと、何枚も撮ったマシュマロお返事のスクショけが残ったものだった。





あれから、もう1年以上経つ。好きだった文章も内容ももほとんど覚えていない。過去マシュマロスクショから作品題名と設定の一部が辛うじてわかるくらいだ。

この話の経緯も朧気だ。もしかしたら、委細が間違っているかもしれない。

悪意のあるマシュマロ話題になったり、同人女漫画流行ったりするたびあの人の作品を思い出す。

あの人の文章は妙な癖とか違和感とかがなかった。また二次創作を始めていたとしても、気付けるか自信がない。

作品が好きだった。それだけははっきりと覚えている。

あの作品をもう一度でも読めたら、なんて。

  • 長い。。

  • いっぱい書けたね

  • で、オケケパワー中島はどこに出てくるの?

  • 元増田さんめちゃくちゃ文章読みやすいですね…小説を読んだような気になりました。複数のマロを送ってまでその字書きさんを応援しようとする貴方の気持ちが素敵です。

  • もう増田さん見てないと思うけど、私感動したよ。私も字書きだけど。 この作家さん、本当に嬉しかっただろうなあ。

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