2018-03-11

オタ友とちんこは、いつ失うか分からない。

はいゆるオタクという生き物、しかも基本好きになるのは主要ではなく脇なんかでひっそり生きているか主要でも女性人気の低いマイナーキャラだ。見目麗しいキラキラしたイケメンよりも、一癖も二癖もいやもう五癖くらいあるキャラの方が好きだ。

例えるとすればアンパンマンより天丼マン工藤新一より毛利小五郎ハウルよりクロトワ、サトシよりタケシ徳井より福田ハンバーグよりクレソン…みたいな感じだろうか。ハンバーグに至ってはクレソンが乗っていない時の方が多いだろう。


そんな癖がある決して正統派とは言えないキャラを気付けば好きになってしまう。

付き合いたいとかは微塵も思わない。何気無い彼らの生活を己が干渉すること無く、空から見守りたい。

お気付きの方もいらっしゃるかもしれないが、ここまでは前置き。ずっとこんな調子で続くから耐えて欲しい。


遡ること数年前、私はやっぱりしがないオタクだった。あるアニメ放送が始まりなんとなくで観始めたら最後、どっぷりとハマってしまった。

毎週の放送が楽しみで、おのずと好きなキャラ…いわゆる推しも出来た。決してグットルッキングガイとは言えなかったが、性格立ち位置セリフ回しなんかが凄く好きだった。いつもは筋肉むきむきのキャラばかり好きになるのに、「痩身も悪くないな!」と思えた。

そのキャラが出る回は例え一瞬でも何度も何度も繰り返し観た。

そんなこんなで推しが出来ると、今度はそれを語り合う相手が欲しくなる。

現代にはツイッターなんていうオタクに優しいコンテンツがあるので、私はそれで仲間を探した。…が、やはりマイナーなのである。私が好きになるキャラは基本マイナーなのである全然仲間がいないのである

人気アニメで、沢山のオタクが楽しげにひしめき合っていると言うのに、その人混みを掻き分けども掻き分けども見つからない。カバンの中も机の中も探したけれど見つからない。

同士はいないのかー!

そんな叫び声をあげていた時、光明が見えた。

腐女子お姉さま方だ。

もう全然良い、腐女子でも貴腐人でもなんでも良い。それより私と踊り狂って欲しい。

そんなこんなで私は腐女子お姉さま方という素敵な語れる仲間を見つけ、幸せ推し語り生活が始まる……はずだった。はずだったんだけど、いや始まってはいた。でもね、そのお姉さま方は一番好きなキャラ別にいた。

推しが違った。

ではどうして私の呼び掛けに彼女達は応えたか。……そう、そこでカップリングという問題が発生するのである

カップリングとはつまりキャラ同士がイチャイチャするに当たっての男性役と女性役の掛け合わせだ。

掛け合わせるキャラによって名称も変わる。アンパンマン男性役で天丼マン女性役ならアン天みたいな。知らんけど。

基本一番好きなキャラ…最推し女性役にする人が多い(勿論逆の人も沢山いるけどその傾向が強い)。

私が繋がったお姉さま方はみなさん私の推し男性役に置いていた。そこで認識齟齬が生じていたわけだ。ついでに男役と女役を逆にした所謂「逆カプ」の人口はほぼ無かった。

あとなんかカップリング名称ウンコみたいだった。

悪口ではなく比喩でもなく、本当にウンコみたいなカップリング名だった。もうどう擁護も出来ない程にウンコだった。(その後あまりにもウンコなので名称が改良されたらしいけど、それはまた別のお話)


そんなわけでどうにも腑に落ちないままずるずるとアニメを見てツイッターなんかで感想を漏らしていた時、一人の同志と繋がった。

彼女もやっぱり腐女子で、しかも最推し別にいる。私の推し男性役の方に置いて腐った生活を楽しんでいるような人だった。しかし話していくうちに彼女は彼らをBLとしてではなく、キャラ同士の精神的な繋がりが好きだと吐露するようになった。

性別ではなく、彼らの関係性が好きなのだと。

……分かる、分かるよ。物凄く分かる。

そう私も同意した。

というのも、彼女の最推しと私の最推しは協力者であり主従であり静と動であり、また一種の腹心の友のような複雑な関係だった。それが好きなのだ彼女は言う。私も全く同じだった。

それからと言うもの彼女とめちゃくちゃ二人の考察を語り尽くした。とても楽しかった。アニメ最終回を迎え、各々考えさせられる様なラストではあったがそれでも私達の熱は冷めず、毎日毎日推しは違えど二人の関係性を語って盛り上がった。

こんな時間いつまでも続くと、私も彼女も思っていたことだろう。多分。


そんな中、事件は起きた。

アニメ最終回から数ヶ月経ったある日、一冊のスピンオフ本が出版された。なんと私の推しがメインキャラだった。しかアニメ本編よりも前が舞台。つまり彼の半生を知ることが出来る。

まりに嬉しくて号泣した。

発売日を手帳書き込み、わくわくしながら待ってそして満を持して小説を手に入れた。フォロワー腐女子お姉さま方もみなさん手に入れていたし、もちろん彼女も「スピンオフ買ってきた!」とはしゃいでいた。また沢山語れるネタが増える!嬉しい!私は素直にそう思っていたし、フォロワーさん達も彼女も同じ気持ちだっただろう。

そう、読むまではね。

その日の夜、ツイッタータイムライン死屍累々だった。本当にあれは地獄だった、誰も全く幸せじゃ無かった。さながらお通夜。全員喪服着て泣きながらお焼香あげてる。

みんながわくわくしながらページをめくり、余す所無く読み込んだであろう私の推しスピンオフにはとんでもないことが記されていた。


私の推しには、ちんこが無い。


ちんこが無い……?

ちんこが無いって……?

ちんこが無い……?

どういうこと……?

比喩……??

いいや、比喩ではない。

本当にちんこが無かった。

正確に言えば拷問のすえ去勢されていた。正直、どう自分の中で処理すれば良いかからなかった。だって今まで推しちんこが無いなんて状況、一度だって経験して来なかった。というか考えたことすら無かった。そらそうだ、もしかしていかも?なんて日常的に考えてたら危ない人だ。

何時だってそこにあって然るべきのちんこ

世界男性の大多数に付いてるちんこ

でも、やっぱり、現実推しにはちんこが無い。

まあね、別に私はそれでも良かった。

ちんこがあろうと無かろうと、推し推しであることに変わりはない。別にちんこ必要性とか無かったし。ただトイレとか立って出来ないのかなとは思ったけど。いつも個室に入らなきゃいけないわけだから推し小学校高学年の多感な時期じゃなくて良かったなみたいな。え、小学校高学年の推し想像したらか〜わ〜い〜い〜!

だが、腐女子お姉さま方は違った。そりゃそうだ、だって男性役に据えてた男にちんこが無かったんだもの

じゃあ今まで私達がしてた妄想ってなに???あのちんこはなんだったの???まぼろし???

そんな感じでみんな死んでいた。現実について行けず、一部ハイテンションな人もいて逆に悲しくなった。

そんな、無理すんなよ…泣きたい時は泣いて良いんだぞ…。

そうやって私が肩を抱いてやる前に、1人また1人とお姉さま方は別のカップリング、もしくは別の推しを見つけジャンルから去っていった。随分と人が少なくなって廃れ、ダムに沈んだ街みたいになった。

でも、私にはあの子がいた。

そう、彼らの精神的な繋がりが好きだと言っていたあの子が。

やったー!あの子なら別に私の推しちんこがなくても変わらず語ってくれる!だって精神的な繋がりが好きなんだもの!そう思い、私はウキウキでその子アカウントを覗いた。

もう、全然彼女は呟いていなかった。

明らかにツイートが減ったのは推しちんこが無いと判明した時期。当初はそれでもぽつぽつと呟いていたようだが、次第にそれもなくなり「すごい」という呟きを最後更新がなくなっていた。何がすごかったのか、それを聞くことは金輪際叶わないだろう。

なぜなら、彼女それから暫くしてアカウントを消してしまたから。


ああ、ちんこか。


私はそう思った。

ちんこか、ちんこなのか。

お前もちんこなのか。

私は信じていたのに、結局ちんこなのか。

精神的な繋がりが好きだと言っていた彼女リプライを思い出し、そしてまた思った。

好きだったの、ちんこ的な繋がりじゃん。


なぜ突然こんな話をしたためたか

それは、つい最近公式で大きな発表があったからだ。どうやら、私に天国と地獄両方を見せてくれたその作品映画第2段が制作されるらしい。きっと私の推しは出ては来ないだろう。それでも、あの時感じた失意とそれを上回る楽しかった記憶とを思い出し記録しておきたいと思ったのだ。

映画公開が待ち遠しい限りである

しかしオタ友とちんこは、いつ失うか分からない。

みなさんもどうか気を付けて頂きたいと切に思う。



追記

女性キャラおっぱいがないなんて事良くあるよとのコメントを頂いたが、良く考えてみて欲しい。私の推しにないのはちんこだ。つまり男性である。ならばそこで消失すべきは女性器の方ではないだろうか。

貴方の大好きな女の子女性器が無いのである、じゃあ今までの甘い妄想はなんだったんだ!?あの穴は幻想だったのか!?何処に出し入れしてたんだ!?なんて思わないだろうか。

私は推しの事をそういう目で見てはいなかったのでノーダメージだったが、そういう目で見ていた腐女子お姉さま方には大ダメージだったのだ。きっと今まで自分の中で育んできた彼らの記憶幻想だったと悟り、とんでもない喪失感に襲われたのだろう。ご理解頂きたい、彼女たちも私とは別角度で心に傷を負ったのだ。

2020.追記

このアニメの3期が今年放送、また配信されました。もちろん見ました。大好きな彼は当たり前ながら出て来ないですが、非常に面白かったです。とくに敵のトップが最高でした。これからもこのコンテンツ繁栄していく事を願います

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