はてなキーワード: 英国王のスピーチとは
金曜夕方の17時。弊社にプレミアムフライデーは残念ながら存在しないが、今日は定時ちょうど、18時には帰れそう。
残業せずに帰れそうなめどが立ったところで、LINEで彼に連絡を入れる。
「今日は18時過ぎには会社を出れると思うので、いっしょに夕飯でもいかがでしょう」
あまり前から予定を決めていても忙しい彼には負担になるので、誘うのはいつも前日か当日くらいだ。
「ぼくもそんなに遅くならずに出られそうです。何を食べたい気分ですか?」
良かった。前回会えたのは2週間前くらい。
相手の仕事のピークや、私は私でこまごまとした用事が入っていて、なかなかちょうどいいタイミングがなかった。
「前回は中華だったので、イタリアンでどうでしょう? 渋谷に気になってるピッツェリアがあります」
と返信をし、店を決めながら残りの仕事を片付けつつ、今度は夫にLINEを送る。
「ごめん! 今週終わらせるタスクが全然終わってなくて、かなり遅くなりそう。ギリギリに言うので申し訳ないけど、外で食べてきてくれない?」
結婚してからも共働き体制を続けて3年が経つ。家事は分担しているものの、夕飯の担当は一応自分になっている。
彼のほうが残業することが多いのと、私のほうが一人暮らし経験があって料理のスキルもあるので、とくに不満はない。
それに、なんだかんだ、あっちもあっちで仕事の付き合いが多い職業なので、二人でいっしょに夕飯を食べるのは1週間のうち2〜3回だ。
私が友達と飲みに行くというときも、彼はこころよくOKしてくれる。今日も問題なく、「わかった、おつかれ」とスヌーピーのスタンプとともに返信がきた。
そうこうしているうちに残りタスクは終わり、定時とともに私はタイムカードを切る。
急ぎ足で駅に向かいながらLINEを確認すると「ピザ、たまにはいいですね。では後ほど」と返信が来ていた。
こういう関係になって1年は経つけれど、彼のLINEでの丁寧語はまったく崩れない。スタンプも送ってない。
すでに5年の付き合いになるという彼女相手にもそうなのかは、知らない。たぶん違うでしょう。
まあ、どっちでもいいんだけれど。私も夫とやりとりするためのスヌーピーしか持っていない。
目当てにしていたピッツェリアは、プレミアムフライデー効果もあってか満席。
念のため会社を出た時点で電話をしておけばよかったけれど、し忘れたものは仕方がない。
隣にあった小汚い中国粥の店に飛び込む。またも中華になってしまったのが痛手だが、普通に美味しい。
彼も気に入っていた。ここ、夫も気に入るんじゃないかな。店名をメモっておく。
青島ビール1本と紹興酒をグラスで飲んで、ほろ酔いになったところで、駒沢大学にある彼の家へ。
彼女は地方に出張中で急に来る心配もないということなので、泊まってもいいかな……と期待したけれど、
今日は夫に「仕事が終わらなくて」と言ったので、さすがにオールは微妙だろう。
最初から「失恋したばかりの友人を慰める飲み会だから、かなり遅くなるかも」くらい言っておけばよかった。
Netflixで「英国王のスピーチ」を流しながら、なんとなくくっついたりキスしたりいちゃいちゃして、映画が終わるあたりで今日は終了。
彼に見送られ、夫に「終電では帰れそう」と伝えて、家を出る。次に会う約束はしない。だって、別に付き合ってないから。
夫から「ごめん、俺のほうが遅いわ。朝帰りになるかも」と返信。
なんだ、だったらやっぱり泊まればよかった。でも今から引き返すのはウザいよね、と思い、しかたなく電車に乗る。
夫も本当は、誰かとどこかのホテルにでもいるのかもしれない。
そっちのほうが「良かった良かった、お互いセックスは外注しようね」とあらためて確認しあえるかもしれないし、
そうなったらなったで、ムカつくのかもしれない。もしかしたら逆に燃え上がってセックスレスの解消になるだろうか?
うーん、今日考えるのはやめよう。
毎日電車で隣り合わせた適当な男とヤるとか、風俗でこっそりバイトするとかのほうが、本当に刺激を求めるならよほどお手軽だ。
でも、性欲とコミュニケーション欲がほどよくまぎれたことで、私の心は適度に凪いでいる。
万が一、彼がLINEで愛の言葉でもささやいてきたら、プッシュ通知を見た時点で即ブロックするつもりだ。
そういう覚悟のない人たちが、「ゲス不倫」と騒がれているのだ。
そうだ。帰ったら、まだ見れてない「カルテット」の録画を消化しよう。一人きりで。
ああ、本当に知らずに言ってたのか。
まず、スキャットマンってのは、吃音症を患っている歌手なんだけど、多くの場合でスキャットマンの話題は吃音者を揶揄する為に使われることが多いんだよね。
話下手の(傍目には吃音症に見えていたそうだが)イギリス王ジョージ6世が努力してスピーチを吃らずにするまでの話を描いた作品なんだが、これも同じく揶揄する為によく使われるネタ映画。吃音症の多くは、独り言ですら吃るので、治らないんだが、こういう作品は「治る」と誤解させる効果があるんで困るわけ。
まぁ、一昔前なら、芦屋雁之助の「裸の大将」辺りも揶揄する為によく使われた差別ドラマだったんだけど、最近では知らない人が増えたね。ありがたい状況ではあるwww