マクドナルドの業績悪化のニュースが頻繁に聞こえてくる。それは良いとして不思議なのが、反応の多くが「批判」であり(ヤフコメは勿論、はてブもそうである)、さらに批判の多くは「昔は良かったマクドナルドが今はこんなに・・・」という文脈なことである。「良かった昔のマクドナルド」は藤田田のマクドナルドであり、原田泳幸のマクドナルドである。そう。それはそれで皆さんが叩きまくった両社長のマクドナルドである。
たしかに藤田田、原田泳幸両氏は、終盤では手法が消費者から飽きられアイディアは枯渇し、施策の迷走が見られ、その印象から今では全否定のような書き込みも目立つが、日本マクドナルドを実力値以上に牽引してきた手腕は確かにあると思われる。日本の外食というのは生き馬の目を抜く業界である。古いビジネス流行語で言えばレッドオーシャンの代表格といえる。参入障壁がもっとも低い業界であり、個人経営店が大規模資本のチェーン店を向こうにまわして費用対効果込みで切り伏せるほぼ唯一の業界である。
外食業界では勝ち組と言われる企業ですら薄利であり、更には長く勝ち続けることもできない。「勝者なき血みどろの戦場」である。
・すかいらーくは低価格店ガストのヒットで上昇カーブの寿命を永らえたが2000年代には沈没し、野村、その後米国系ファンドに買収された。
・吉野家は倒産から立ち直ったもののBSE問題を契機に再度沈没しまるで今のマックのように経営不振を取り上げられ続けた。今は立ち直ったイメージがあるが前年決算は売上1800億円に対して最終利益はわずか9億円、何かひとつ事故なりあればあっという間に赤字転落である。
・吉野家を凌駕した業界の新覇者ゼンショーは労働問題を契機に沈没し昨年は100億円を超える赤字に沈んでいる。
・創業から成長が小説にもなった立志伝中のワタミも労働問題を契機に沈没し、昨年は100億円を超える赤字に沈んでいる。
モスフードは健闘しているかのように言われるが670億円の売上に対して最終利益はわずか6億円台。ロッテリアはファンドの傘下。日本ケンタッキーは昨年5億円の赤字、三菱商事が経営してこの状況である。ファミレス復活などと言われるロイヤルも1200億円売って最終利益は18億円。最近では東京ちからめしが彗星のように店舗を100店舗以上に増やし、彗星のように13店舗(たった今HPで数えた)まで減らしたことはまだ東京都民の記憶にあるはずである。なぜ堅実だった三光マーケティングが牛丼を焼いただけでイケると思ってしまったのか、理解に苦しむ。ロードサイドのハイエナ率いるステーキのけんも業績が悪化しているという。
このくらいにしておこう。キリがない。
マクドナルドは、システムは洗練されているが提供するものは十年一日の米国発ファーストフードチェーンであり、少なくとも食の世界では米国への憧れが消えた90年代以降にあって世界でもっとも厳しい日本の外食市場で今まで大健闘してきた、というのが正しい評価ではないかと思う。現在のカサノバマックの状況はちょっと酷すぎるが、原田氏後期の状況は不振というよりもそれが実力値であり、実力値にアジャストが起きたにすぎないと思う。ライトサイズまでリストラされて経営者変えればまたそれなりになるだろう。
1980年代くらいまでのマックは今のスターバックスのポジショニングであったのだろう(当時のことをよく覚えていないので想像だが)。当初日本で成功させたのが藤田氏であり、マックが日本で飽和し日常と化して飽きられた頃に再度息を吹き返させたのが原田氏である。原田氏も10年近くたって飽きられたわけだが、当時原田マジックは確かにあったのだ。2人に肩入れしているわけではない。私個人としては彼らの主義主張にあまり好感を持っていない。しかしながら事実の評価は正当になされるべきと考える。業績のかなり落ち込んだ原田マックを引き継いだはずのカサノバ社長が更に底なしに業績を悪化させているのは一つの証左である。日本の外食のプロでない人がなぜ経営できると思ったのか、過去に日本で勤務していたというがどこまで自身が現場で深く市場と格闘していたのか、本社のこの判断誤りは内部で責任を問われるに相当である。失敗が予想され、予想通り失敗している。アメリカやカナダとは市場がまったく違うのだ。
日本の外食を知っているやり手を経営者に据えれば原田マックの後期くらいには復活できると思われるので、外部に売却するというマックグローバルの方針のニュースを見たときには「え???早過ぎないか?」と思ったが、今後店舗整理で日本のマックはまだまだ損失を計上すると思われ、親会社決算に損失が反映されるのを避けたいのだろう。現在の持ち株比率は49.99%で連結はせずにおさえているけれど、損失は取り込まれるからね。持分法で簿かは切り下がっているから売却損も大きくは出ないし(更に優待目当ての個人投資家で株価は割高だというし)、立ち直って将来買いなおすと、キャッシュ的には安値で売って高値で買い戻すわけだから損だが、PL的には高値で買い戻しても損失が計上されるわけではない(のれんに計上されるだけで減損されない限りPL損は出ない。損を出す頃には次の経営者である)。米国投資家のEPSへのプレッシャーはとても強いし、短期思考の米国流経営ならではである。
日本の外食市場が世界で最も厳しい、というのは感覚値の話で、これを定量的にサポートすることは難しいが、ひんぱんに海外に出張する人なら同様に思うのではないかと思う。アジアを除く海外では安く食事できる外食の種類がそもそもあまりないし、ファーストフードの店舗は往々にして荒れている。店員の態度も、愛想があるないとか、そういったこと以前の水準である。下記のページをみつけたのだが、各国人口比のマクドナルドの店舗数が掲載されている。大量閉店前の2014年のデータではあるが、アングロサクソン系(US、CA、AU、NZ)以外の国では日本の人口比の店舗数が最も高い。一方食事のうまい国はおしなべて低い(FR、IT、SP)。日本は一応ミシュランの星数が世界最高だというので、食事のうまい国に入ると思われる。さらに内需の規模があるため群雄が割拠しており、サービスの品質もマックのマニュアルに頼らなくても非常に丁寧で高い。日用品市場で日本の消費者は世界一厳しいと言われるが、これはおそらく外食でも同じで、1000円以下の食事で定員の態度から清潔さからすべて完璧に近い水準を求めるのが日本の消費者であり、ライバルもそこで戦って鍛えられている会社たちなのである。
http://www.world401.com/data_yougo/mcdonalds.html
ところで本エントリを書きながらUSのマック本社の決算も見てみたのだが、今のレートでざっくり換算して、売上3兆円強、最終利益5700億円といったところである。たしかにこの3年ほど停滞しているようであるが、この絶対水準で業績不振と言われているのだからツライよな、と思った。
まあ貧乏有能ドブスババアはいつの時代も叩かれるんすわ。 金持ち無能のワタクシドンペリ開けて高みの見物
原田泳幸のマクドナルドは、手足の切り売りで無理矢理利益が出ているように見せていただけのようなイメージ あとメニュー隠しで完全に行かなくなったが カサノバはハリボテを押しつ...
平日半額セールはじめたよ 武勇伝武勇伝デンデンデデン田 FUJIたんカッコイー http://anond.hatelabo.jp/20151227102202
消費者からすると、割安なサービスで良いけどな。 他の外食って、ハンバーガーよりタンパク質少ないの多いし。
まくどーつぶれてしまうん?
ワタミとかもそうだけど、ネットで『社会悪』として認定されている相手は、頭っからド偏見で罵倒しても構わないし、むしろそれが道徳的に正しいという文化の人たちがネットには沢...
どちらかというとマクドナルド的なやつはコンビニ勢が上手に戦略的に吸収してしまってる。 日本にマクドナルドは必要なくなったので衰退するよ。 無駄金だけはあるので、次どんな...
最近コンビニもイートインスペースが増えてるからなあ マックの役割はほぼコンビニで果たせると言っても過言ではない 現状コンビニのイートインスペースであまり長居はできないけど...
元々がバブルってただけで、「衰退」というより「本来の適正範囲に収まる」だけでは。 昔のような一強状態には最早なり得ないというだけで、大手チェーンではあり続けるだろうとは...
コンビニ勢が「戦略的に」なので、要するに狙われてるんすよ。 マクドから客奪えるって。マクドナルドの店舗周辺にコンビニ作ろうってあからさまに。 そういうの、止める方法が思い...
マックに出来てコンビニに出来ない事は沢山あるだろ。 現状のコンビニじゃイートインスペースなんて限られてるし長居も出来ないし、子連れでも利用しにくいし。 大勢の子連れ含めた...
健康的な食事を子供に食べさせたいので、もはや子連れが行くところでもないし、子連れの集団が集まる場所でもないんだよ。 妖怪ウォッチのメダルがもらえる場所、くらいの認識だろ...
健康的な食事はやたら高いだろ。 そりゃ超都心部だったらそんな所に来るのは富裕層だけだろうからマックなんか行かないだろうが、 ごく普通の庶民が多い地域だったらそんな高いもの...
日本の店舗数はモスフード以下になるだろうね。