村上隆氏と左派論客の斎藤幸平氏がReHacQ(高橋弘樹氏が運営するチャンネル)で対談している動画が4連続で上がっていてすべて見た。
※以下敬称略
結論から言うとこの動画で村上隆が何をやろうとしているのかよくわかったので彼への嫌悪感はすべて消えた。
1動画40分近くあるので見るのは大変だと思うが興味深く見れたので余裕がある人は見てほしい。
一応言っておくとこれはあくまで私の個人的見解なのでその点には注意してほしい。
ざっくり動画の流れを説明すると斎藤幸平が布施英利と対談した際に村上隆が嫌いと悪口を言ったので、村上隆がYoutube?にコメントを書きそれを見てチャンネル運営者の高橋弘樹が対談に誘ったという流れのようだ。
※斎藤幸平氏はマルキストなので拝金的に見える村上氏の行為があまり好きではない
現在京都で開催中のもののけ展の展示内容を村上隆が斎藤・高橋、両氏に説明しつつ最後に対談という流れになっている。
そこで現代美術とは何か、芸術とはなにか、現代美術のマーケットがどのようになっているのかという基礎的な内容を質疑応答形式で確認していく中で村上隆がどのようなことをやってきたのか、目指しているのかという事も語られていく。
村上隆の顧客はforbes上位に入るような超大金持ちであるだとか、日本人の想像もできないような西洋のお金持ちの間でアートはある種のコミュニケーションツールとして機能しているだとか。斎藤氏や高橋氏のアート素人の目線からの質問として、アートは大衆に開かれるべきなのでそれほどの高額でアートがやり取りされるのがどうなのかという質問などもあった。
ただ、結局動画の内容を見た上で私が理解した村上隆がやっている事というのは以下のようだ。
「西洋を中心とした世界の信じられないようなハイソサエティの間で流通している概念上のアートの文脈に日本のアニメや漫画といったオタクカルチャーのスタイルもアートであると認知させるため芸術活動をしている」ということだ。
それゆえに、彼のアートは"芸術の枠を拡張する"という典型的な現代美術ということになる。
これは別の動画(漫画家の山田玲司のチャンネル)で言及されていたが、村上隆はもともとは典型的な第一世代のオタクで宇宙戦艦ヤマトのファンであった。そこでアニメ業界に憧れはあったが庵野秀明の作品が続けざまに放映されるのを見て業界を諦めたらしい。その結果彼はアニメ以外に興味のある分野として日本画を専攻することになる。
つまり根本的な動機としてアニメは素晴らしいものなので世間に認められるべきだというものがあり、それがスーパーフラットという概念「アニメも漫画も日本画も同じような手法を使っており、同じようなシステム体系であり、アートである」という主張に繋がることになる。
だから、オタクカルチャーを世界に認めてもらう手段として、西洋のハイソサエティのコミュニティを顧客とし、自分の作品をその人たちに売るという行為につながる。
彼はしばしば「高額で売ることが重要なのではない」と言うがこのロジックを理解すると容易に彼のアートや発言の意図がわかるようになる。つまり西洋のアート文脈を支配しているハイソサエティにオタク系の作品をアートであると認知してもらうには彼らのマーケットに入り込みそれらの作品を売り込む以外に方法がないのだ。だから値段は顧客が勝手に決めることになるし、高く売ることが重要ではないという事になる。目的を達成するための単なる手段に過ぎないわけだ。
またそれが彼の作品がオタクカルチャーの作品をパクったかのような作品群が混じる理由でもある。動画のなかでドラえもんとソニックを混ぜて作った作品がある(ルックとしてはミッキーマウスに似ていたためにディズニーに買われたらしいが)
これはつまりドラえもんとソニックを混ぜて作った作品が美術マーケットで売れたということは大本であるドラえもんとソニックもアートである。という論拠になる。むしろ元ネタがある作品をあえて作ることで"漫画やゲーム作品もアートである"という事になる。
"世界のアートとはいったい何なのかという概念を決めているのは西洋を中心とした大金持ちの上位層である"という彼の視座から見ると、日本人は資本主義に組み込まれてすらいないとか、敗戦国の悲哀等という発言の意図も理解できる。
アートとはいったい何なのかというルールを決める場に日本人は存在しない。
だからその世界に入り込みその概念そのものを拡大して自分の好きなオタクカルチャーをアートであると概念を変容させる。
アニメやゲームの制作者や漫画家がエンタメとして世界に売り込むことで楽しんでもらい大衆という社会階層の下からオタクを世界に拡散している。一方で村上隆がやっていることは世界の上位層に対してオタクカルチャーを広めオタクを拡散することだ。
1990年代以降実際にオタクカルチャーは全世界に拡散し人気を得てきた。私もアニメや漫画を楽しむ人が世界中に増えることは純粋にうれしい。直近でもご当地初音ミクに感動した人もいたはずだ。
だから私は村上隆がやろうとしている事に反対しないし、もう嫌いではなくなった。
※追記
幸いいくつかブコメが付いたので補足する
昔からこの趣旨の発言はしてて、それをオタク文化の収奪と見る界隈から批判されてた。ドラえもんとソニックを混ぜた作品をアート領域で認めさせてくれたからオタクの味方!というのはむしろ議論が後退してる気が
はっきり言うが、村上隆が文化盗用だと批判されたのはオタクの部族主義(トライバリズム)が原因だと思うので"村上隆がオタク第一世代である"という部分が広まれば相当数その批判は収まると思う。もともと知っていた人はいると思うが、今回かなりのコメントで"村上隆のオタクのとしての過去の部分をここまで詳しく初めて知った"という意見が目についたので。
これもクリティカルな部分で、では集団製作のアニメはアートではないのか?アシスタントを使っている漫画はアートではないのか?
というところにロジックがバックボーンとしてある。まぁ要するに高畑勲みたいに絵を描けなくて指示して作らせても別にアートだろということ
トラバにも書いたけど、もともと王侯貴族のものだった芸術をフランス革命でルーブル美術館の門戸を開いて大衆に開いたという文脈がある。つまり展覧会とか美術館で公開するのはあくまて大衆にアートを広めるのが目的であってハイソサエティのアートを変容させるという事にはならない。日本人から見るとルーブル美術館は権威だというように見えるかもしれないが、あれは権威が"大衆"に啓蒙するという文脈がある。
コミックとかを芸術にするのってロイ・リキテンスタインがすでにやってて、その土壌がすでにあるうえでヲタク文化を単にスライドで持ってっただけに見えるから嫌われてるんでは?
コミックは西洋のものであって、日本のものではない。村上が広めたいのはあくまで漫画とかアニメといった和物(より狭義に言えばオタクカルチャー)。そして西洋人がアートを決めてるんだから西洋のものがアートとみなされるというのは当たり前だと思う。
ただ、村上隆の発言を見て分かったけど、彼の思想は明確にナショナリズム(日本)やエスニシティー(アジア人)を強調してる。これは日本のものである漫画やアニメを広めたいという思考で直線的に結びついている。今回の動画で弥助問題に言及したのは非常にわかりやすい。つまりはてなのリベラル左派と相性多分悪い。
けど結局なんの結果も残してないよね
オタクがアートだと儲かるのは村上隆なのではないか オタクは儲からない
そして村上隆という名前が付いている限り彼らは「元ネタがある」事を絶対に認めない
かなり昔村上隆が金田伊功語ってたけど面白かったよ
アートに関心を持つ必要は特にないということがよくわかった
Web上で賢しらぶってる人たちはイメージで人を嫌って、イメージで人を攻撃していて、その根本にあるのは「自分が理解できないものがあるのがストレスだ」というエゴで、相手のスタ...
でも結局アート界隈では「村上隆がアニメを発明した、村上隆は世界で唯一無二のアニメである」みたいな扱いになってるから俺は嫌い
こういう「どこのアート界隈なんだろう」的なことをさも事実のように言うのすごいよ
そいつにとっては真実なんだろ、事実じゃないにしてもな
国外のアート界隈でしょ
>日本のアニメやマンガが世界でヒットしたのも、もしかしたら村上隆の貢献がある https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20240829132621 これは100%ない(断言 海外のアニメやマンガ...
単にストーリーを書けない言い訳なんじゃない?
集団制作は狩野派もやってたから日本美術の文脈にも乗ってるとどっかで語ってたな
村上隆ガーと野党ガーはどうせ、同一人物やろ
増田が知らなかっただけでそんなことはみんな知ってた。知ってたうえで嫌ってたんだ。
村上隆さんが正義のオタクで表自戦士が悪のオタクに別れたね
村上隆増田と村上隆の和解の瞬間に立ち会うことができて感動している
■村上隆が何をやろうとしているのか理解して嫌いではなくなった https://anond.hatelabo.jp/20240829132621 「西洋を中心とした世界の信じられないようなハイソサエティの間で流通している概...
でもグランジはテクニック至上主義のむしろ正反対に位置しますよね?
津軽三味線弾きがゴットタレントに乗り込んだら欧米人は驚いてひっくり返るだろう、ってくらい素朴(というか…)なこと言ってるよ。驚くわけねえじゃん。 驚いてるで https://www.you...
scum なら「スカム」ではなく「スキャム」だろ、ボケ
表記でも発音でもscumはスカムだっつうの。このスカム野郎。
会田誠がそこまで言われないのはほとんどのヲタクにとって"not for me"なので批評の対象に乗せてないからだよ。
会田誠の絵はえっちだけど、村上隆の作品はえっちに見れないという重要な違いがあると思います
けっきょく大衆にウケるような権威づけは誰がやってるのさ、今 富裕は人が欲しがるものを占有する優越がメインなわけで 人が欲しがってる、という流れはどっかで誰かが仕掛けないと...
でも可変Ko2ちゃんのガレージキットはわりと心底欲しかった
元増田のように、村上隆の話をよく聞いて 村上隆アート教の教えがわかったぞ!アートを理解した!ってなってるやつを増やすのが村上隆の目的
村上隆が嫌われる理由のもう一つとして、日本の美術界の制度からはみ出したからってのもあって 日本の美術界はいかに「先生」に認めてもらえるかで出世が決まる でもこれがあまりに...
日本の美術界知らない奴からも嫌われてるので的外れ
ワイは村上隆は好きやけど村上春樹は嫌いやで。
ワイは村上かつらのほうが好きやで。
ワイは村上隆って書いたけど村上龍の間違いだったやで。
村上隆の絵あまり上手く見えないのも嫌われてるんじゃね? 会田誠はフェミニストには嫌われてるっぽいけど、綺麗だったりするから割と許されてる気がする。
腐っても芸大。上手く綺麗に描こうと思えば描けるはずだけど上手く綺麗に描く気がさらさらないんだろ 彼の絵がどこか癪に触るのは 日本人の幼稚さ・アホさ・薄っぺらさをあの絵柄...
これなーアカデミックな絵が描けても漫画絵が上手いかは別で、美大出身の漫画家が絵が下手って言われる事もあるくらいだよ。 アニメや漫画をアートにしたいって言っときながら、そ...
「西洋を中心とした世界の信じられないようなハイソサエティの間で流通している概念上のアートの文脈に日本のアニメや漫画といったオタクカルチャーのスタイルもアートであると認...
過去のアート作品は引用されればされるほどその歴史的価値が高まるけど 俺がアートにしてやるというスタンスだとその主従関係が逆になるんだよね アートになってないものを利用して...
このエントリを読んで、なんだ?村上隆は宅八郎の逆張りか?宅八郎は良くも悪くもオタクの負のイメージを身にまとったが、村上隆は自分が汚れることなくオタクを名乗ったのか?宮...
村上隆が日本の現代美術は世界に通じないとかTwitterでイキってた頃に田中功起がヴェネチア・ビエンナーレで特別賞取って、 別にオタクアートとかの文脈じゃなくても日本の現代美術は...
浮世絵が西欧に評価されたのは当時の西欧画家達が自分達の表現とは全く違う表現に出会ったからである。アートマーケットに評価された訳ではない。同じように日本の漫画やアニメは...
今でもそうだよね。エロゲが流行った時、日本の絵って凄いじゃんと思ったけど、エロゲ以上はならなかった。 ソシャゲは絵師は買い叩かれてるけど、アニメ絵の価値は高めたかもね
じゃなんで神戸アニメストリートのロゴを止めさせようとしたの?ホントにオタクでオタクカルチャーに理解あったらこれがオリジナルそれはパクリって主張するのも恥ずかしいくらい...
大半の人はある程度理解した上で嫌悪してると思うんだけどもw
真に芸術的なものというのはそれぞれの人の心の中にあり、そこに「自由な精神の発露」があれば芸術たりうる。俺はそう強く思っている。 芸術の枠なんか拡張しなくても触れた人がそ...
村上隆には増田やべー奴番付のストーカー被害のイメージしかないから 同情することはあっても嫌いにはならんかったやで😟