2024-08-01

VR演劇はかなり厳しい気がする(現状は)

VRChatでフレンドの話を聞いてVR演劇に興味を持ち、VR演劇Youtube配信アーカイブを少し見てみた。

あらかじめ言えば、全編見るには耐えられず、飛び飛びで表現確認しただけである

ちなみに、実際にVR演劇VRで1度だけ見たことがあり、それは全編見た。

私自身の演劇の関わりを話すと、学生時代演劇が好きで、多いときは年間60本程度観劇し、自分舞台演出したことも何度かある。

そのため、全く演劇に対して知識がないわけではない。

最近は全く関わっていないけれど。

それで、VR演劇を見てみた率直な感想をいうと、現状ではVR演劇の良さを表現できているとは思えなかった。

プロニアムアーチでやる必要ある?

まず、個人的な考えとして、VRにも関わらずプロニアムアーチの中でやる芝居はナンセンスだと思う。

正直言って、今の技術ではアバターにどんな細かい演技をさせたところで、リアル人間から出るオーラに比べて、アバターから伝わるものは100分の1も満たないと思う。演技自体に魅力を感じない。

にも関わらず、VRという空間にもかかわらず舞台と客席をわざわざ分けて見れる部分を限定することは、あまりにもリアルに比べて不利な条件で戦いすぎていると思う。

勝てる要素がないどころか、演劇の魅力を一切表現できず、下手なお人形遊びを見せられているようにしか思えない。

人形遊び感を更に増しているのが、アバター統一感なさである

アバター統一感を持たせるのは大変だということはもちろんわかっているが、美少女とおじさんのアバターテイストが違いすぎて、違うおもちゃ人形を使っている感がすごい。

前述のとおり、細かい演技も表現できないから、余計におもちゃ感。

それをカバーできる演技力もないから(当然で、一流のプロでも難しいと思う)、見るに耐えない。

そんな悪条件のなかでわざわざプロニアムアーチの中で勝負する意味はどこにあるのだろうか。

やるだけ無駄演劇の魅力を伝えるどころか、ただでさえ受け入れられていない演劇をよりつまらないものとして発信しているように思える。

その打開策として、最初劇場ワールドだけど、開始すると劇場が壊れて、舞台セットが現れるといった演出を行っているのもあった。

プロニアムアーチの破壊としての演出自体には、VRならではの表現方法としてなるほどとはおもったけれど、どうやら客席自体は固定で、観客は結局固定した位置から見ることしかできないみたいであり、プロニアムアーチ自体破壊しても、本質的第四の壁破壊にはならず、結局は同じことやっているなと思ってしまった。

アトラクションのようなアプローチ

第四の壁破壊を目指したものとして、体験型VR演劇と銘を打った作品があり、これはなかなか挑戦的だとは思う。

観客自体ワールドを移動しながら、また物語としての役割を与えられて、役者から行動を促されながらストーリーが進んでいく。

テーマパークアトラクションのようなイメージだ。

これはVRからこそ作りやす作品ではあると思うし、VRならではの演劇を目指そうという気概は感じられた。

ただし、こういった体験型コンテンツというのは、現在リアルでも相当アプローチをかけられている分野で、ネットコンテンツが全盛な今、リアルの生き残る可能性として大きく取り扱われているものだと思う。

単なる体験型として見ると、インターネットコンテンツとしては挑戦的かもしれないけど、やはりリアルコンテンツ勝負するとどうしても分が悪い。

どうやってもリアルに勝る演技表現体感は今は難しいからだ。

もう一歩踏み込んだ演出がなければ、これも正直VRならではなものとも思えない。

VRならではってなんだろうね

VRリアルに勝てる可能性のある分野はリアルでは再現できないほどの視覚表現を駆使することだと思うが、これは映像アーティストが本腰入れたらできるものであり、VR演劇を行うような団体でそれを駆使するのは、まだ厳しいと思う。VR演劇ほとんどは無料で、参加者自己表現範囲内だから予算のかかることは難しいだろう。

映像アーティスト志望の人がVR演劇可能性を見出してくれるような魅力を表現できれば、そういった道もできてくると思う。

現状でいえば、VR演劇は実際の演劇の何段も劣る環境下で、同じ舞台勝負している印象があり、これでは勝負にならないどころか、演劇の魅力がほとんど伝わっていないなと思う。

もっとVRならではの視点での演出構造表現してくれれば、VR演劇可能性を感じることができるのだけれど。

個人的には、VRならではの演劇演出というのは一つ思いついているものもある。

演劇ならではの良さを、更にVRで伸ばす事ができるという視点があると思う。

そんなに特異な演出ではないから、すでに誰かがやっていると思うし、もしかしたらうまくいっていないのかもしれない。

これについては、もう少しちゃんVR演劇を見て、有効性が確信できたら書いて見るかも。

ちゃんと傾向がみえてきたら、VR演劇論的なものもできてくるんだろうね。

VRChattarが観客という可能

VRならではという意味では、まだまだ課題はたくさんあると思ってはいるけれど、私がVRChatを始めたばかりの2年前に見たVR演劇VRとはまた違った視点可能性を感じたことがある。

その演劇自体は、舞台上で行われる普通舞台で、第四の壁破壊する行為として、キャストが観客に語りかける演出があった。

それ自体リアル演劇アプローチと一切変わらないものであったが、観客の反応が違った。

そのキャストが観客に語りかけるシーンは、登場人物少女競売にかけられるといった内容で、キャストが観客に対して「◯◯円からです。オークションスタートです」みたいなセリフ?(うろ覚え)を言って、観客を競売参加者見立てて問いかけた。

これがリアルならば、ほとんどの場合は観客は反応せず、あたかも観客が競売しているかのようにキャストが装い、劇を進行させることが多いと思う。もしくは観客に仕込みをいれるかだ。

でも、VRChatは違った。

観客が突然ロールプレイを始め「いくらだ!」「この娘ならこれくらいの価値はあるはずだ」みたいな声を上げ、演技をし始めた。

多分仕込みではなく、自然発生的に観客がキャストになったのだ。(仕込みだったら申し訳ないけど)

VRChatを行っている人がロールプレイをして遊んでいる人が多いからこそ、発生した事象だと思う。

また、それを行うことが許される空気VRChatにはあるのだと思う。

いくらロールプレイに慣れている人でも、リアル舞台で振られて、観客席からそのようなことができる人は少ないと思う。そして多分リアルだとその行為自体を嫌がる観客も少なからずいるだろう。

私はここに、新たな第四の壁破壊可能性を感じることができた。

これ自体VRじゃなくてもできることであるが、ロールプレイという訓練をされた観客、また観客がロールプレイをして許されるという空気感。

これはリアルではなかなかできなかった文化形成ができているということで、リアルよりもVRが進んでいるものだと思う。

また、これは演出側の観客に対する信頼も評価したい。

これは反応がなければ白けるだけのリスクある演出だけれど、きっと演出側は観客がロールプレイをしてくれるという信頼の元行ったものだと思うから

とにかくこれにはすごく感動した。

ライブコールアンドレスポンスのような観客との一体感演劇で出せるとは。

この舞台と観客の一体感というのは、ライブからこそできるものだ。

そして、ライブ感というのはリアルに比べてVRはいろんな要素の欠落から、劣ってしまう部分がある。

けれど、観客側のアプローチによって、そのライブ感は現実にも勝る可能性を秘めていることがわかった。

演劇における観客との双方向コミュニケーションは、常に課題として挑戦されている分野で、それを解決できるなにかを感じ取れた。

今はまだ厳しいVR演劇というコンテンツだけれど、VRならではの演出双方向コミュニケーションで、リアルを超えるような演劇体験ができるようになったらいいなと思う。

ただ、VRChatはすこしずつ流行ってきており、一般的コンテンツとなってくると、参加者自体一般化し、こういった要素は薄まってくるのかもしれないという危惧もあるけれど。



辛辣感想にはなってしまったけれど、私がみた作品クオリティが低いだけな可能ももちろんあるので、良いVR演劇があれば教えてほしいところ。



余談

余談だけど、VRピアノ演奏イベントにいってきて、音楽VRでもかなり楽しめるなと思った。

演劇との違いはなんなのかは、またいつか分析してみたい。

単純にクオリティ問題もある気もするけれど。

演劇俳優は単純に技術の低い人が多いというのも大きな要素なんだとおもう。

演技は定量的技術の積み重ねで表現するのが難しい分野なので。

音楽はある程度定量的技術の積み重ねで行ける部分があるからこそ、定性的表現の域に達している人も多いのだろうという印象はある。

演技も定量的技術力がつけばいいのだけど、いろんな演技法があってもそうなっていないのが現状だと思う。

まあ、役者自体が他のジャンルに比べて、勉強不足ということも大いにあるのだけど。

日本指導者含め。

ただ、久しぶりに演劇勉強したくなってきたので、ちゃんと本を読みに図書館へ行こうと思った。

演劇に関する本は売れないか新規発行がなく、プレミアがつきすぎてて、中古で数千円から数万になるものが多くて嫌になるね。

  • VRの中で映画館を再現してスクリーンで映画をみるような感覚なのかね。。 VRの中で映画をみるなら巨大なスクリーンだけでよいのだけど。

  • こういうのってnoteに書いたほうが界隈に届きそう

  • 老化ですね

  • へー ゲームのイベントシーンみたいにならないのかなと思ったら アバターを統一感を持たせるのは大変だということはもちろんわかっているが、美少女とおじさんのアバターのテイス...

  • 単純につまらなかっただけだろ。見てないから知らんけど

  • VRはやったことないだだの演劇好きです。 アバターがあるから細かい演技ができないものとしてはリアルショーでも、着ぐるみ系(ヒーローショー)や人形劇があるが、そのあたりとVR演...

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