2020-10-29

Rakuten TVトラブルについて書く

10月28日女性アイドルグループ乃木坂46メンバーである白石麻衣卒業コンサートが無観客の配信ライブとして行われたが、その際のRakuten TVトラブルについて書く。

まず前提として、配信チケットには2種類あった

・特典付きチケット(5000円+手数料):Rakuten TVのみ

一般チケット(3500円+手数料):9つのサービスから選択可能

特典付きチケットというのは、終演後のファンクラブ(※1)会員限定トーク配信を見ることができたり、コンサート中の掛け声(コール)の音声を送ると曲中で使ってもらえたり、あとで紙チケットが送られてくるなどの特典の付いたチケットである。特典付きチケットはRakuten TVのみの販売チケット販売楽天チケットシステムを利用)、一般チケットはRakuten TVのほか、Abema TVLINE LIVEhuluといった動画配信サービスや、ぴあイープラスといったプレイガイド系の配信サービスなど合計9つのサービスの中から選ぶことができた。

ファンクラブに入っているファンはかなりの割合、Rakuten TVの特典付きチケットを買ったと思われる。また、一般チケットを買おうとしていた視聴者についても、乃木坂46公式サイトの案内ページでRakuten TVいちばん上に掲載されていたため、よく使う配信サービス特にない--といった人がRakuten TVを選んでしまったケースも多いと思われる。これが不幸のもとであった。

コンサートは19時開演予定で、Rakuten TVの視聴用ページに再生ボタンが表示されるのは18時30分。俺は当日18時ごろにRakutenTVログインし、18時30分になったらすぐに視聴用ページをリロードして再生ボタンを押し、視聴を開始した。画質はデフォルトでは720P、540P、360P、270Pから自動選択されるのだが、720P固定にして視聴し(※2)、映像が途中で止まることな最後まで視聴できた(※3)。ということで、実は俺自身トラブル当事者ではないのだが、当日見聞きしたことや俺自身憶測を含めて備忘のために書く

18時40分過ぎごろからTwitterで「Rakuten TVに入れない」という嘆きが多く観測されるようになった。その中には、乃木坂46卒業した元メンバーアイドル雑誌編集者などもいた。そもそもログインができないらしい。開演時間近くになっても事態は解消せず、18時58分に乃木坂46公式Twitterから「開演を19時10分に遅らせる」という告知が出た。しかしその時間になっても始まらず、19時12分、公式Twitterから「もうしばらくお待ちください」という告知が出て、その後19時24分に「19時30分から開演します。RakutenTVでは翌日までアーカイブします」となって結局19時30分に開始された。すなわちRakutenTV難民の切り捨て宣言であった。

当然、その時点でもまだ視聴が開始できていない人はたくさんおり、公式の発表によると事象2012分ごろに解消されたようである

その裏で、RakutenTVで視聴できなかった人が、次々とhuluAbemaTVなどの他のサービスの視聴チケットを別途購入して視聴を開始するという事態となっていた。これについては、もちろん余計な出費ではあるのだが、代替サービスがあってよかったということもできる。他のサービスに流れたことで、Rakuten TVが軽くなったという効果もあるだろう。

19時30分より遅らせられなかった理由としては、公演時間を2時間30分で予定しており、22時を過ぎてしまうと高校生(※4)が出られなくなってしまうという理由が大きいだろう。実際はアンコールを迎えたあと、お別れのあいさつをしたり、手紙朗読している間に22時を迎えてしまい、高校生メンバー最後の1曲を披露できなかったのであった。

高校生メンバーファンは、推しメン大事な場面に出演できなくなったのを「Rakuten TVのせいだ」と言って悲しんだり怒り狂ったりした。




そもそもRakuten TVは何が悪かったのであろうか。大規模配信イベントと聞いて真っ先に心配になるのはネットワーク帯域や配信サーバーの性能ではなかろうか。ただし、俺の環境では通信は安定しており、視聴を開始できた人はおおむね問題なく見れていたようであった。チケットが売れた数はわかるのだから、その分の同時接続数に耐えられるようなサイジングは計算もしやすく、十分な量確保していたのではないか

実際に俺はエラー画面と格闘していたわけではないが、ボトルネック認証周りにあったのではないかと予想する。ログイン処理は購入者リクエストが全部同時に来るわけではなく、分散してリクエストがくるわけだが、そのピーク時の見積もりを誤った、もしくは考慮していなかった、ということなのではないかさらに、仮に楽天IDの処理は楽天システム共通の基盤を使っていたりすると、RakutenTVだけではなく楽天本体(?)も含めて方式検討しないといけない事案だったのではないか妄想する

考えられる手法としては、開演時間の3時間ぐらい前から配信を開始し、事前番組とか、おまけ映像を先に流しておくことで、ログインピークを分散するというのがある。これをやっている動画サイトもいくつか思い当たるものもある。ただし、今回は平日の公演であり、仕事から時間ギリギリに帰ってきて急いで見る、というケースも多かったことを考えると、ログインピークが18時30分から19時の間に集中するのはある程度避けられなかったであろう。




10月29日の午前3時過ぎ、楽天チケットから届いたメールに以下の文章があった

尚、アクセス集中により本公演が開演時間からご視聴出来なかったお客様におかれましては、速やかに弊社およびRakuten TVにて確認を行い、別途改めてご連絡をさせて頂きますので今しばらくお時間を頂ければと存じます

おそらく、配信サーバ接続ログを洗い出し、購入者IDと照らし合わせて、それぞれ何時何分から何時何分まで接続していたか集計するのであろう。おそらくそういう用途を想定した出力形式ではないであろうログファイルを整形して集計する作業必死でやっているエンジニアにはご自愛くださいと言いたい。

なお、この影響はサイト全体に及び、プロ野球パ・リーグ視聴権の年間契約している人がRakuten TV試合を見られないという事象も発生した。中にはパ・リーグ事務局直営運営している配信サイトの1日視聴チケットを別途購入した人もいたようである

※1 正確にはファンクラブという名前ではないが、便宜上そのように呼ぶこととする

※2 720Pの映像は4Mbpsの帯域を使用するが、住んでいるマンションの固定回線が速いとき200Mpbsぐらい出るものの、ときどき2Mbpsぐらいまで落ち込むこともあり、安定して視聴するために、あえてスマートフォンテザリングで4G回線使用して視聴した。転送量は7GBほどだったが、ギガホの残り容量がかなり余っていたので問題なかった。

※3 終演後のトーク配信のなかで、バスに乗って移動しながらトークするコーナーの途中で映像が止まる事態が発生したが、これは映像制作側の中継用機材の問題であって、配信サービス問題ではない

※4 労働基準法で22時以降の労働が禁じられているのは18歳未満のため、芸能事務所によっては18歳の誕生日を迎えた以降なら深夜の番組等に出演させることがあるが、乃木坂46では18歳以上であっても高校生には22時以降の仕事はさせない契約になっているようであるもっとも、22時の時点で画面に映らなくなればOKという運用なので、その後の楽屋での片付けや着替えも労働ではないかという疑問はある。

  • 他のサービスだけど、人気番組の時に早くログインしとけと促してるのはそのためか。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん