2020-10-20

鬼滅ポエム

自分鬼滅の刃アンチでもファンでもないものである。が、鬼滅にクソデカ感情ポエムをしたためる者である

にわかファンでいられなくなった者として、アンチにだけはなりたくないものとしてポエムを書いて去ろうと思う。

黙って去れよと自分でも思うが、なんか大げさなテンションでお別れを世界に発信しないとずるずるひきずってタチの悪いアンチになりそうなのでクソデカ感情の供養として誰かがみてくれるんじゃないかという期待と誰も見ないか大丈夫という慢心のバランスが最高なはてな投稿させてもらう。

まず初めに、作品及び制作陣、宣伝も含め関わる全ての人におめでとうございますを述べる。正直ここまでのコンテンツになるとは思っていなかったので、凄いとしかいいようがない。おめでとうございます

次に、鬼滅の刃に初めて触れたのは去年くらいで、その後もファンだったかといわれると怪しいし、ファンが闇堕ちしてアンチになろうとしているというある種同情できる立場でもない、本当になんだお前という立ち位置の者でしかない。我ながら苦しんでいること自体意味不明だ・

私にとって、鬼滅の刃動物園大事にされているうつくしく高級なうさぎのような作品でした。一見同じようなうさぎはいるけれど、一線を画す上等な毛並みで手入れも一級品。柄も独特で動きもダイナミック。動物園まで見に来るにふさわしい素敵なうさぎでした。新聞の一面を飾ってもおかしくない、どこに出しても恥ずかしくない立派なアニマルだったのだ。私は特別うさぎが好きではなく、詳しくもなかったけれど素人目にもその評価はゆるぎなかった。でも、世界で数頭しかいない絶滅危惧種とかではなかった・。

アニメも一挙で見て漫画も借りて読んだけど満足感と共にブラウザを閉じて、Twitterを空けてキーワードを打ち込んだり連続ツイートをしたりすることはなかった。

いい作品だと思う。でもどうしても、ワンピースBLEACHジョジョと同じカテゴリには入れられない。

それらの作品の持つ、本当に世界がもう一つあるような、悪魔の実スタンド斬魄刀といった架空物が実在の遠い国の首相名前と同じように一般名詞として存在感のあるものと感じられる気分にはなれなかった。面白いとか面白くないとかそういう問題じゃなくて、コンテンツとしての質量の大きさが違うのだ。現実世界観を侵食してしまうような、作中世界の物理法則法律人種差別問題好き嫌い以前に自然に頭に入ってしまうような、そんな性質作品だと思えないのだ。もっと素朴で、たまに頷くような、そんな作品だった・

全く関係ない作品だけど、ちょっと前に終わったサンデームシブギョーとかと同じ立ち位置だった。大きなヒットはしなかったけど、メジャー少年誌に載るにふさわしい面白さで、派手じゃないけどグッとくるシーンがあって、キャラのことを穏やかに愛していられた。

でも、今の鬼滅の現状を見ると視界がぐるぐるしてとてもとてもいたたまれない気分になる。

高級ですばらしい兎を、そろそろ種の存続が怪しいホワイトタイガーとして売り出しているような違和感

そんなに無理をしなくても立派な価値があるのに、これこそ当世イチのスーパーアニマルでござい、と売り出しているようなちぐはぐさ。

そういう売り出し方やマスコミ批判するつもりにもとてもなれない。不景気きわまる昨今、ここで売らなきゃどうするのかとすら思う。迷惑だとかしつこいとかい記事を見るたびに、難民船のSOS文句をいう様なものではないかみたいな感想が出る。理性がたしかにそう叫んでいるのだ。

でも、それでもジブリを越えるかもといわれると宇宙を背景にした猫のような顔になってしまう。

そんなことを考えている自分も嫌だ。好きか嫌いかならいものの、それとは別に作品としての格」みたいな厳然とした基準勝手にもっていたことを痛感する。

スラムダンク黒子のバスケ比較された時、どちらも素晴らしいといったのはきれいごとだったのだと、今は思う。

自分黒子のバスケが大好きだ。初めて単行本を買い、はじめて二次創作を書き、コラボ商品を欲しがり、劇場へと足を運んだ。今でも心の大事な部分を占めている作品であるしかし、もしも黒子のバスケニュースで「スラムダンクを越える」と言われていたら、きっと同じような気持ちになっただろう。個人的思い入れがあるぶん、もっとしかたかもしれない。ファンの誰かが「スラムダンクよりすごい」というたびに「それは作品の為にならないからやめてくれ」と思ったのは、謙虚さへの希求ではなく比べられたら困るというある種の逃げだったのだと思う。

私はこのところおかしい。もはやニュースから蓮花が聴こえれば耳を塞ぎたくなり、緑と黒の市松模様が目に入ればブラジャーファンアートだとしても笑顔にはなれない。

バラエティゲスト出演する花江さんの笑顔すら、もう穏やかな気持ちでは見れない。

土曜プレミアム特別編は二週ともフルで見た。いい作品だった。一緒に見ていた初見家族質問にも逐一答えて、CMに入れば解説をした。最後まで楽しめた。どうだ私はファンなのだと胸を張れるんじゃないかという気分になった。でも、翌朝のニュースで鬼滅を見ると、やっぱりくるしかった。

自分にはもうこの熱狂の内側に入ることはできないのだと実感して、さびしさが半端ない。妬ましさと惨めさで、ファンの泣けたという素朴な感想まで胸が痛くなる。

進撃の巨人も、鬼滅と同じようなキャンペーンの経緯で見た。ハマったか、好きだったか、と言われるととても楽しませてもらったけどファンといえるほどのめりこみはしなかったと思う。でも「とんでもないぞ」と思った。好き嫌いじゃなく、えらい生き物が発見されてしまったと思った。世界が変わってしまうのも仕方ないと納得せざるを得ないような、そんな理不尽エネルギーを持つ作品だった。

鬼滅にはそれはなかった。何度見ても、高級で毛並みがよくてすてきなうさぎだった。それから何度も鬼滅の話題ニュースを見て、うさぎの毛並みすら褪せてみえるようになってしまった。

グッバイ鬼滅。自分の知らないところで幸せになって、というとおかしいのでみんなを幸せにしてください。いつかこんなめんどくさい気持ちが死に絶えたら何らかの形で気持ちよくお金を落とします。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん