2023-04-09

追記老いていく親の終活 財産分与又は終活リアリズム

https://anond.hatelabo.jp/20230407210512 これの追記

書いたつもりがスポッと抜けていた「財産分与」について。あと「関係を良好にできない親の場合は…」についても少々。

この俗説は因果が逆なんです→『財産が自宅ぐらいしか無いという人ほど、相続大戦争が勃発する』

ブコメにあった『財産が無い人ほど相続大戦争が勃発する』というのは、よく言われてる話なんだけど、因果ちょっと勘違いしていて、半分ぐらいしか合っていない。

自宅ぐらいしか財産が無い家で揉めたら、生きてる家族人生にそこそこ大きな影響があるような相続大戦争になることもあるが、財産がたいしてなかろうが、家族仲・兄弟仲がいい、または家族がそれなりに常識的合理的なご家庭の場合は揉めることはない。

揉める根本原因は「大した財産がないから」ではなく、家族兄弟間の仲が良くなかったり、家族兄弟の誰かがそれぞれの家庭に何らかの問題があって合理的判断ができなくなっているという点だ。

増田なので言葉を選ばずに言うが、お金があってもなくても、人間関係が悪いか、もしくは頭が悪いかの場合は、たいてい揉める。ただし、その先はリアリズムで、家族間で揉めてもお金があれば最終的には日常生活におけるクリティカルな悪影響は受けにくい。しかお金がないとそうじゃない…(財産分与で揉めて調停になって時間とカネがかかって結果もらえた財産雀の涙、みたいな)。

ただまぁお金持ちだって金銭日常生活面での影響が相対的に小さいだけであって、「家族の仲が悪い」とか「相続で揉めて親兄弟と断絶」とかはお金で換算できないタイプの影響はあるよね。

話は戻るが、平成以降の貧富拡大社会では「親に金がある=子もある程度は余裕がある」そして「親に金がない=子供結構カツカツ」だから、「貧乏人ほど相続で揉める」みたいな一見論理が通っていそうな俗説をつい言いたくなる。だがそれは論理が少し飛躍していている。カツカツの生活をしていると心の余裕がなくなりがちで、親子兄弟含め人間関係が薄く悪化しがちで、親が死んだタイミングで色んな物が噴き出しがち、なのだ

本来因果関係は、「親子ともに金がない」→「家族全員がカツカツ」→「それぞれの家庭に若干問題が(住宅ローン返済が大変とか諸々)」→「あわよくば」という悪い心→「醜い争い」という順番である

兄「親父が死んだ後の自宅を売ろう」

妹「何言ってんのお母さんが住む家がなくなるでしょう」

兄「おふくろは一人になるんだからお前が引き取って面倒見ればいいだろう。母さんもそれが安心だよな?」

母「そうね…でも…」

妹「何言ってんの夫がいい顔するわけない。そもそもお兄ちゃん何でそんなお金必要なの」

母(…無言)

兄「ローンとか教育費とか大変なんだよ…」

母(だんだん涙目

とか?こういう想像上の橋田寿賀子ドラマのような戦争はめったにない。まぁごくたまには見かけるけど…その場合相続関係なく「もともと家族の仲が相当悪く&全員が相当金に困ってる」場合だと思う。多くの場合はどちらかの条件が満たされないので、例えば、家族仲が悪いけど、比較的羽振りの良い兄弟が面倒にかかわたくないからと引くんだよね…。

要するに、何が言いたいかと言えば、つまりお金があまりない自覚があるなら、何よりもまず親兄弟との関係を良好にしておくことが大事

そして、人間色々あるからね、仲良くするのは難しい場合でも、「親の財産生活」に関することをできるだけ透明化する努力はしてもいい(本当に険悪な場合は放っておいても全然いいとも思う。後述)

親の財産生活の透明化および等分化

実はこの「親の財産生活の透明化」が、要するにエンディングノートの一番大きな役割

またしてもリアリズムな話だが、親が死ぬ前に自分たちいくらぐらい金が残りそうなのかを透明化できていれば、お金がない家なら邪な期待を持つこともなくなるし、お金がそれなりにある家ならそれなりの予定や計画が立てやすくなる。

そして、大事ポイントなのに前の増田にうっかり書き忘れたが、エンディングノートは必ず、利害関係者(配偶者兄弟)に全員が見られるようにしとくこと。

利害関係者の誰か1人だけが事前に情報を持っている」という状態は、下手すると比較的悪くもない人間関係悪化させる危険もあるので、「エンディングノート書いてもらおうよ→そうだね→手伝ってね→出来たら読んでね」的なプロセスは必ず、必ず必要。親が勝手にやり始めてる場合でも、子供たちから「見せておくれよー」は言うようにしよう。

「透明化」について、テーマとは直接かかわりはないがもう一つ大事な所としては「介護の金と労力」について。

人間老いてくると段々ゆっくり自分のことを自分でできなくなる。介護段階に入った時に配偶者や子が(介護サービスを利用しつつ)老いた人の責任を負っていくことになるが、このお金と労力で、子供負担をする場合は、ある程度は金銭的、労働力的な出納を透明化するのをお勧めする。完全平等分担なんてできないのでだいたいで良いのだが、透明化しておくことで負担配分が合理化されやすくなるし、トラブル人間関係悪化を事前に防ぎやすくなる。親の状態おかしくなったら介護認定が付かないにしろ早めにケアワーカー相談しておく方がおススメなのは介護ケアは早い方が予後が良いとか悪化した時の介護認定スムースだということが一番だが、家族問題第三者が入ることで透明性が高まるから、という効果も期待できるよ。ケアワーカーの選別ももちろん、利害関係者(兄弟)と相談して決めるの大事報連相まじだいし。

お金については単純に使用した分を記し精算(理想介護用さいふを共有してそこから拠出)、労力についても共同の分担スケジュールを作っておくといいよ、見える化することで手伝えない人にうっすらとした罪悪感を持ってもらえるし。

ちなみにだが、「亡くなった人の介護負担が大きかった家族へ、相続財産の配分をより大きくすることは可能か」について。

正解は「その介護により相続人の財産が大きく減った場合以外は、財産分与比率にはほとんど影響しない」。ケアワーカーさんや施設の手配や色々なやり取り、送迎や見舞い、日々の生活サポートやら、諸々けっこう日常を削られる「労働」だが、財産分与にはほぼ反映されない。一応「寄与分」という考えはあるんだけど、雀の涙なんだよね。この扱いはとても理不尽だと増田も思う(多分法律を考えた人が親の介護自分でするなんて考えてないんだろうと思う)。極端な例で考えると理不尽さが増すので極端な例を出すが、「義母に尽くして看取った嫁に財産分与可能か」の答えはNoである。法定相続は、「配偶者に半分」「残りの半分は子が等分」なので、子の妻には財産相続権利そもそもない。

なのでまぁ財産を多く貰おうと下心で面倒を見てもほとんど効果ないので、現代においては「透明化」によって親の老いに対する労力の等分化を目指そう。

財産分与について。

まずは前提条件:親の残した財産をどう分けるかは、法律を守らなくても別に全然いい。

こう言うと語弊があるが、民法にある法定相続分あくまでも民事訴訟が起きた時の基本的解決線なので、別に民法に従って分けなくても、家族兄弟相続人とか言います法律だと)が仲良く話し合って皆が納得すればその納得した方法で分ければいい。ちなみに、亡くなった人の銀行口座が凍結された場合はこれらの「相続人」たちの連名で書類を提出しないと口座解凍ができないのだが、要するに揉めてない証拠を出してくれという銀行の都合の書類ですね。だまして口座解約して逃げちゃう悪い兄弟がいるとも限らんし。

で、例えば財産を全部無職の弟に渡したって全然良いし、上に書いた「義母に尽くして看取ったけど財産をもらえなかった可哀想な嫁」も、その状態が透明化され家族間で共有されてて、そして家族仲が良ければ財産分与においては報われ得る。「お義姉さんがずっと面倒見ててくれたんだから、死亡保険金はお兄ちゃんが受け取って。それでお義姉さんに少しでも慰労になるといいけど」「そうだよな、本当にありがたかったなぁ…」というほのぼのストーリーにすることも可能。というか割と多くの「大きな問題がないご家庭」はこういう風にやっている。

次に自宅の相続:利用状況に準じるのが大原則。利用しないならすぐ換金

例えば父親が死んで母親がいる場合は当たり前だが母親がもらう。両親と兄弟の誰かが同居している場合でも生き残った方の親がもらうケースが一番順当(配偶者が取得する方が税金上の得が大きいので。ただし金持ち場合はその限りにあらず。金持ちは金を払って税理士過激節税方法でも聞けばいい)。まぁ当たり前すぎる話。

親が死んで利用する人がいない自宅は、個人的お勧めは「すぐに売っちゃえ、売って金で分けろ」である。それが一番穏当だと思う。住む人がいなくなった家は本当に笑うほどすぐ傷む。家の整理に数か月かけるもよし(思い出がいっぱい出てきて楽しいよ)、業者を入れれば2、3日(ある程度思い出を掘り出せたら人の手を借りちゃうとよい)。業者ごみ処分を頼んだってせいぜい数十万~百万ぐらい。売れば1千万ぐらいにはなったりするわけで。お金は良いよ、きっちり等分もできるし、好きなように傾斜も付けられる。

厄介なケースは下記。

  1. 死んだ親と同居している兄弟がいる場合
  2. 実家に拘りが強くて継ぎたい(と言い出した兄弟がいる)場合

不動産という財産の厄介さは「不動」なことと「財産としてデカい」ことで、あまり蓄財していない親御さんだった場合、「同居してた兄弟がそのまま自宅を相続する(そうじゃないと住むところがなくなっちゃうからね)と、財産分与がかなり不公平になってしまう」という問題が起こる。もちろん、等分じゃなくて全然いいよー!と他の兄弟が言うのであれば何の問題もない。兄は同居、妹はF1ドライバー結婚して億万長者、とかなら言いそうな気もする。

だが庶民はやっぱり、自分も貰えるはずのものが貰えないとなると、内心穏やかではなくなることがほとんどだと思うので、その場合はまぁ、頑張って話し合いをしよう笑。

エンディングノート効用はここにもあるが、こういう同居してる結果不均衡になりそうなご家庭の場合は、例えば、同居してない子に不公平感が出ないように、親の支払いで「非同居子」を受取人にした死亡保険に入っておくとかできます。これもエンディングノート関係者全員で共有出来てれば可能家族兄弟で話し合って決めるのが大事

この「同居してた兄弟系の争い」で見たことある一番のバッドエンドはこんな感じ…。トホホ…。

ちなみに上の2を言い出したのは私の兄弟配偶者の親が住みたいというかもしれないからと言われ、なんでそれで何千万の家がもらえると思うとんねん!とすごいデカ兄弟喧嘩をしたぜ…。親が片方死んだあとは残った家族は仲良くなりがちで、もう一人の親が死んだあとは兄弟の仲が悪くなりがちっていう俗説はガチだったんだなとしみじみした。

「家族」ってまぁ人一人の人生複数持つことになるんだよね。愛人がいるとかではなく、結婚やらで所属する「家族クラスタ」が増えていく。結婚すれば別の家族ができる。自分の親による家族自分配偶者による家族配偶者の親による家族独身のままでも、家族ではないにせよ世帯別になるからまぁ似たような感じだと思う。

戸籍が分かれても世帯が分かれても、生まれた時の「家族の枠」がなくなるわけでもなくて、親の介護やら相続やらで「産まれたり育ったりした家族の枠」のなかで行動したり考えたりする必要が出てくる。でも、その時に他の家族自分家族配偶者実家家族など)のこともつい考えてしまったりして、思ってたより多いしがらみの中で非合理的なことを言い出すこともある。それで何かね、親が一人もいなくなっちゃうと兄弟がむき出しの喧嘩なっちゃやすいんだね。いやぁ、生まれからほぼ初めてかつ最大の兄弟喧嘩だったよ…。ちゃんと仲直りはできましたが。

自宅以外の不動産場合プロ相談

地主とか運用してる不動産があるとかの場合は、素直に税理士に聞いて言う通りにするのが吉。

田んぼや畑=地目が「農地」になっている場合は、耕作放棄地だろうが市民農園に貸してる畑だろうが、簡単に売れないので、地元農協相談だ!農地を持ってるということは100%親御さんは農協組合員のはず。農地地域農業員会の許可がないと相続も売却も自由にできないらしいので、生きてる時からその辺は親御さんに聞いとくといいよ。

山を持ってるとか森を持ってる、みたいな人もたまにいると思うが、これも同様。エンディングノート作成に当たっては、自宅以外の土地を持ってると判明した場合地目が「宅地」以外のもの法務局確認可能)があったら要注意。しかるべきところ(農協とか役所とか)に色々聞いとくといいと思う。

ただし、地目が「宅地」じゃない土地は、都市部ではまずあんまり見かけない。家庭菜園をやってるけど地目は「宅地」なんてことも普通にあり得るので、親に確認だー。

親が賃貸に住み続けてた場合

速やかに家財を引き上げないと、ずっと家賃を支払い続ける羽目になるので、業者を入れてでも引き上げしましょう。結構馬鹿にならんと思います

親と、兄弟と、どうしても反りが合わなければ、何もしなくてもいい

色んな事情があるから、そういうことも普通にあると思う。関係が良くなければ、良くないままで、心を鬼にして「放置」が良いと思う。あとは物理的にどうにも無理だ!というときも「放置」するしかないよね…。

自分が何もしないままで親が死んだら相続はどうしたらいいのか。割と全然何とかなる。

誰も存在を知らない金融機関の口座は一定期間が過ぎればその金融機関の持ち物になるので心配しなくていい。株式なども同様。勝手発行者が何とかしてくれるから大丈夫

家については、一番簡単方法業者に頼んで売っちゃう。片付けとかもドライに割り切ってすべて金で解決処分費用相殺した残金があればラッキー、無くても(多少の持ち出しがあったとて)手間代だと思えば腹が立たないと思う。そこまで実家関係が悪いなら。

親御さんが金持ち場合は、誰かしら財産管理を手伝ってる人(銀行とか税理士とか)から必ず連絡があると思うので、その指示に淡々と従えばいい。

やらない方がいいかな、と思うのは以下

  1. 親も兄弟も苦手、実家に帰るのも間遠で気が重い。でもどうしても心配にはなるから数年ぶりに帰省してモノ言いたくなって大喧嘩
  2. もうずっと没交渉なのに財産分与の時だけめちゃ権利を主張
  3. 親に結構借金があることが分かったが財産ちゃんともらいたいので頑張ろ

要するに、酷い言い方になるが、親子兄弟との関係が良くできない(あちらの理由もあろうし、こちらにも理由があろう)なら、何かを望まない、というのが大原則。そうすれば別に今以上悪くなるということはない。まぁ、そういうこともあるよね。

相続は分かった、介護はどうするんだ。

これもまぁ、そこまで関係が悪い家族関係なら、出来るだけ縁薄く接するのがいいと思う。お金解決第三者委託介護業者)、同様に、感情時間も手間も労力も金もかけない、その代わり何も文句も口出しもしない、というのがベストだと思う。

ちょっと前の増田に、親の介護のために仕事を捨てて田舎に戻るか、というのがあったが、あれブコメに多数指摘があった通りで、戻ったら最後増田人生が割と酷くなるだけなんだよね。介護する子がいる要介護者は施設入所の順番が後送りになり実質的には多分入所が不可能になる。仕事もなくなる収入も減る、介護はよりより厳しくなるだけなので戻らないのがリアリズムの正解なんだよね…。

リアリズム面を書き始めたら長くなりすぎたし、楽しい話が全然できなくなった。しょうがないよな…。家族自分老いも、逃げても逃げられない「生の頚」のようなものだな、と思うときもある。

記事への反応 -
  • 追記した→https://anond.hatelabo.jp/20230409121152 以下本編****************************************************** 両親を比較的早く亡くして色々その後の始末をした体験から。また、人の親の終活のサポート...

    • 遺産とか、どうせないだろうけど、自宅含めあるとしても全部弟たちにやるからいいわって感じなんだよなあ。でも整理はしないとなあ。嫌だ嫌だ。

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