2023-11-20

死にたいと思って家を出たけど帰ってきた

嫌なことがあったわけではないが、死にたい、という漠然とした悩みがあった。

正確な時間は覚えていないが、夜にその気持ちピークに達して、死にたい気持ちが頭を支配した。

本当に死んでしまったら大切な家族迷惑がかかるから死ぬ前に誰かに相談して、思いとどまろうと思った。

死んだ後もお金がかかってしまうから、というのもあるし、私と違って私の家族はいい人なので、家族力不足のせいで私が死んだとか思われるのは嫌だった。

私は、自分の内側の大切なところを声に出して話そうとすると喉が詰まってなにも言えなくなる。電話相談しても、きっとなにも話せないだろう。無言の時間が続いて、結局何も話せず切ってしまったら、相談を受けようとしてくれた人や、私が話していたせいで話せなかった私よりももっとつらい人に申し訳ない。だから文章相談できる場所を探した。

まず、前から入れていたオンラインカウンセリングアプリを開いた。オンラインカウンセリングは、どこも料金が高い。仕事をしておらず、親に面倒を見てもらっている私にとっては、すごく高い。こんなものなのだろうけど、3回のやりとりで数千円とか、何回もやりとりするなら月に二万円近く払うとかは、私にとっては高かった。このお金を払うとしたら親だ。親に迷惑をかけたくないから他の誰かに相談して解決したいのに、それをするために親に迷惑をかけていたら本末転倒だと思った。借金して未来お金を返すとしても、中学のころから週五日、あるいはそれ以下の日数で学校に通ったりバイトしたりしようとしてはすぐに通えなくなって引きこもっているこんな私に、それができる保証はない。カウンセリング成功して踏みとどまれるかもわからない。

からお金を払ってカウンセラー相談するのは一旦諦めて、無料だった、AIを使って自己分析する機能を使った。相手人間でなくても、気持ちを吐き出したら冷静になれるかもしれないと思った。スマホ代を払わせるのも申し訳ないと思いつつ、機能を使わせてもらったが、あまり落ち着けなかった。私の問題解決するにはおそらくこのAIでは力不足なんだろうと思った。

厚労省サイトから、並行して無料相談できるサービスメッセージを送った。三か所。「込み合っていて返信に時間がかかる」と返ってきて、30分経って、一日たった今も返信はない。

25:30になって、死にたさは膨れるばかりで、声が出なかったとしても、電話相談するしかいか、と思って、24電話相談する場所に二か所電話をかけたが、どちらもつながらなかった。

なんだかテンションが高くなってきていた。そもそも大して不幸な出来事があったわけではないし、いつも頑張って仕事やら勉強やら家事やらをしている優しい両親やきょうだいを持っているという幸福な現状で、働けもしないのになんとか実家の一室で生かしていただいているくせに、死んでしまいたいとか思っている自分勝手な私に、他人の手を煩わせる価値はないと言われてるみたいに感じて、そりゃそうだ!と愉快になった。

でも、やっぱりつらいものはつらいな、とも思った。

もし、私が自殺したら、過去、困った顔で「みんな大変なのは同じなんだから」って言ってきた人に、その「みんな」の中でも、もう一歩つらかったというか、死ぬくらいにはつらかったんだよって、信じてもらえかな、信じてもらいたいな、という気持ちが強くなった。愉快で元気な気持ちのまま、裸足を靴に突っ込んで死ぬために家を出てみた。

どこかで踏みとどまらなきゃ、という理性は残っていたし、まだ返信が来る可能性もあったから、スマホだけは持っていった。充電は20%で、途中で切れたらいよいよ死んでみようかと思った。死ぬ方法についてはあんまり考えていなかった。考えたら本当に死ねしまうので、考えないようにしていた。

夜風が冷たくて寒くて、空は曇っていて星が見えなかった。とりあえず、まっすぐ、行けるところまで、引き返す気が起きるところまで進もうと思った。

家のすぐそばの坂をずっと下っていけば、踏切がある。ここで立ち止まって轢かれてみたいな、いやいや、どれだけお金迷惑がかかる思ってるんだ、こまでイカれてはいない、なんてやりとりを自分の頭の中でしながら通り過ぎた。終電は終わっているから、電車が来るわけない、ということに気づいたのは、引き返し始める少し前くらいだった。24時間電車が走っていたら、自殺者はもっと多かったかもしれないなと思った。

踏切をすぎて、ずっと進むと工場地帯にさしかかった。煙突から煙がもくもく出ていて、まだ働いている人がいるのかしら、働いているなら、本当に尊敬するな、と思った。働いているすべての人がうらやましくて、ヒーローみたいに見えた。

T字路になって、ずっとまっすぐ、ができなくなったので、とりあえず左に曲がった。クラピカを思い出した。次の十字路は右に曲がった。また左に曲がったら、家の方に戻ってしまうからだ。

左、右、と交互に曲がりながら進んでいたら、川にたどり着いた。広い河川敷に降りてみた。下流に進むと人が多い場所についてしまうな、と思って、左の、上流のほうに進んだ。

川を歩くころには、今引き返したら、家族が起きる前に家にたどり着いて、家を出た事実をなかったことにできるな、とか思うようになっていた。引き返した方がいいのはわかっていたけど、進んだ距離自分の辛さの証明になる気がして、歩けるまで歩いてみようと歩き続けた。

筋肉痛と靴擦れで足が痛くなって、河川敷から上がってベンチに座った。

そのころには、もう帰ろう、という気持ちになっていた。もし自分が外にいる間に家の人が起きてしまったら心配をかけてしまう。そのときもし私が死んでいたらすごく悲しくなるだろうし、周りの人に何を言われるかわからない。死んでいなかったとしても、家を出たことを知ったら迎えにこようとしてくれるだろう。どう転んでも申し訳いから、もう帰って、家を出たことすらも最初からなかったことにしてしまおう。

ようやくスマホを開いて時間を見たけど、一時間くらいしか経っていなかった。歩いた距離も、直線にすれば、最寄駅の次の次、二駅先まで来た、くらいの距離だ。

自分の辛さなんて、二駅歩いたら小さくなる程度なんだ、本当に大したことないな、と少し面白く、少し残念に思った。自殺を試みる人にはきっと到底かなわない。

ところで、「みんな辛いんだから、比べるものじゃない」と言葉は、比べるな、と言いながら目の前の人とみんなを比べているよな、ということは、行く道で何度か考えたことだ。

その日はほとんどなにも食べていなかったから、お腹がすいていた。駅の近くに行って、コンビニにでも寄って、なにか食べて、線路に沿って帰ろうと思った。

24時間コンビニには、年配の男性店員と、若い男性店員がいて、客も順番に数人入ってきていた。店員さんはもちろん、この時間コンビニに買い物に来ている人も、みんな偉いな、と思った。

商品を選んでるとき、年配の店員さんが、レジでうとうとしていて、深夜3:00になっていたし、そりゃ眠いよな、体大事にしてほしいな、と思った。

甘いものでも食べようかと思ったが、なんとなく贅沢してはいけない気がして、焼きそばおにぎりが入った250円くらいの弁当と、爽健美茶を買った。お金は、申し訳ないことにもらっていたお小遣いと、かつて一瞬バイトしていたときお金を貯めた銀行口座のものを使った。2万円くらいしか入っていないので、カウンセリングを満足いくまで続けるにはちょっと足りないけど、コンビニで安い弁当を買うくらいなら十分だ。スマホバーコード決済をしてからレジ袋が必要だと言い忘れていたことに気づいて、もう一度5円のレジ袋を買うためにバーコードを当ててもらって、申し訳なかった。嫌そうな顔をされなかったのは、店員さんが私に興味がないからか、私が泣き続けていて顔を腫れさせていたからかどっちかな、とか自意識過剰なことを思った。

駅のベンチで冷たい弁当を食べた。ヤマザキパントラックコンビニの前に止まって商品おろしていた。働いているすべての人に敬意を感じているので、やはり尊敬した。

コシの片鱗もないぷつぷつ切れる焼きそばと、鮭フレークと青菜おにぎりと、ケチャップがかかったコロッケ。どれも誰かが作ってくださっているもので、とても美味しかった。寒い外で冷たい弁当を食べたので寒かった。

爽健美茶ちょっと飲んで、ゴミを持って、線路に沿って帰った。

帰り着いたのは午前四時すぎだった。Twitter(今はX)を開いたら、偶然起きている人がいて、私の数時間前のツイートエアリプしていたので、エアリプで一時間くらい元気に会話した。創作で繋がった人だ。創作と、好きな漫画の話をした。漫画は、タイトルを挙げようかと思ったけど、こんな人間推しているのが申し訳ないので伏せる。(さっきクラピカ名前を出してしまったけど、そっちはミームからいいとする。)きっと相手はついさっきまで会話している相手死ぬために家を飛び出していたとかは思いもしないだろうな、と思った。インターネットの、そういうところが好きだ。

5:00くらいにその人が寝たので、靴擦れで血が出ていたが放置して寝た。

13:30くらいに起きて、親と会ったけど、深夜に家を出た話はできなかった。

Twitterおすすめ欄に、はてな匿名ダイアリーが流れてきた。なんとなく調べてみて、匿名日記が描ける場所なのだと知った。

なんでこの話を書こうと思ったかは忘れたけど、書いたことでなにかいい影響が私にもたらされてくれていたらいいなと思う。

  • 結構おもしろいというか読ませる文章してるからnoteとかで続けて書いてみてほしいと思った

  • 自分も、生まれてきてごめん、申し訳無い、生まれて来なければよかったのにという感覚はずーっとありつつズルズル生きて仕事もしてるから、あなたの興味のあること、死にたさを忘...

  • 頼れる人を見つけて その人を頼ってみてね

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