(事実関係)
○最高裁判事の枠や各団体(裁判所・弁護士・検察官)からの一名を推薦し、内閣はそれに従うという慣例が成立したのはここ50年ほどで、法的根拠はない。
○慣例ができるまでは内閣も最高裁も各団体も枠にとらわれず、内閣の任命権は実質的なものであった。
○現行の慣行については賛否がある。(利権ではないか/バランスが取れている)
(所感)
○そもそも最高裁判事の任命権は三権分立の趣旨からすると内閣から最高裁への牽制機能であり、それが形骸化していることは制度の趣旨に反するのではないか。
以下の記事のブコメにおいて、「最高裁判事の任命を慣例に従って日弁連の推薦の通りとしなかったのは間違っている」という前提のブコメが大半を占める。
安倍内閣が崩した最高裁判事選びの「慣例」 6年経て「元通り」に:朝日新聞デジタル
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.asahi.com/articles/ASRC65HZXRC2UTIL03S.html
○このレベルのことが6年かかる。公文書改ざん、不誠実な答弁などのモラル崩壊や倫理欠如が「彼」以前のレベルに戻るまでどのくらいかかるのか
○本当に本当に酷い政権だった。「無能による社会の衰退」より更にタチの悪い「卑劣さによる社会の破壊」が続いた。まだ与党内にその残滓は残っている。
○法学的な顕著な実績もない加計学園学園関係の弁護士が最高裁の裁判官になったり、安部政権はめちゃくちゃだったよね。亡くなって本当によかった https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%BE%A4%E5%85%8B%E4%B9%8B 典型的お友達人事
○今でもできないはずなのだが、ペナルティがないのが問題。政治が司法に干渉できる余地が絶対ないように、干渉が犯罪化できるように法律を整備しなおすべき。
○幼稚で未熟な政権がおよそ10年続いた事を考えれば司法の失われた10年はあまりにも長かった訳だ。
○どこが元通りなんだ。何の反省も改善もない。つぎはぎを当てただけ。また別の悪が現れたらすぐ崩される。
○「人事によって政権の意に沿う方向に物事を動かすのは安倍・菅義偉政権の特徴だった」司法だけでなく、教育機関や公共放送・日銀・内閣法制局など、独立性が重視される機関で尽くやった。
だが、それは果たして正しいのだろうか。条文を見ていこう。
(日本国憲法)
第六条(略)
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
(略)
なるほど、6条2項からは、最高裁の長官の指名は内閣に権限があり、天皇の任命権は形式的なものと理解できる。
そして、79条1項から最高裁裁判官の任命権は内閣にあることが一目瞭然だが、この任命権が6条2項の天皇による任命権のように形式的なものなのか、それとも指名権まで含む実質的なものなのかは実はどこにも規定されていない。
最高裁裁判官は、現在概ね裁判官出身者6名、弁護士出身者4名、学識経験者(学者や行政官など。検察官もここに入る。)5名で構成されている。
そして、退任者が出た場合、退任者と同じ出身母体(裁判官/日弁連/検察庁)が自分の枠に誰を当てはめるかを内閣に推薦する。
内閣は最高裁長官の意見を聴取した上で決定するとされているが、出身母体からの推薦は一名であり、最高裁はその推薦を尊重し、内閣はその通りに任命している。
1970年代はじめ頃までは推薦された者について内閣と最高裁で議論が交わされ、内閣が最高裁に従わないこともあった。
更に、検察庁と日弁連両方から別の者が推薦され、内閣で判断することすらあった(例えば日弁連から4名、検察庁から2名の推薦があり、内閣で1名を決定するなど)。
それ以降は、各団体は枠を意識して推薦するようになり、内閣は各団体からの推薦のとおりに任命するようになっていった。
実はこれは一切根拠がない。元々戦後5:5:5でスタートし、その後5:4:6となったり4:5:6となったり5:3:7となったり様々だ(前述の通り複数の枠からそれぞれ推薦されることもあったので、内閣の判断で枠が動くこともあった)。
しかし、概ね1970年代はじめから、ある枠の後任者は当然にその出身母体から推薦するという慣例が取られるようになった。また、推薦される者が一名に限定されたのもこのころで、内閣の任命権が形骸化されたと言って良いだろう。
そして、この枠については二通りの評価がある。なお、これらの意見は安倍内閣による任命への評価を避けるために00年代以前のものとしている。
「最高裁長官の意見を聞くかは内閣の自由だが、この習慣は是非続けて欲しい」(最高裁長官 裁判官出身 矢口洪一)
「既得権益。秘密裡に行われ、少数の人のみによって進められる。」(朝日新聞記者 野村二郎)
以下は私見だが、宮川判事の「特殊日本的な状況」という意見が非常に興味深い。宮川判事は肯定的な意見としてこれを述べているが、「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合い(実に日本的だ!)だろうから、今となっては肯定的に受けとるのは難しいのではないかと思う。
別の論点として、三権分立の制度趣旨としてこの任命権がどういうものか見ておきたい。
三権分立の説明において、最高裁から内閣への牽制機能として違法性の審査があり、内閣から最高裁への牽制機能として最高裁長官の指名と最高裁判事の任命がある。
ここからは再度私見となるが、最高裁判事の任命権が形式的なものであるならば牽制機能としては意味がない(小学校のときに習った三権分立の図が誤り!)ため、制度上は(天皇による各種任命権と違って)実質的なものととらえるべきだと考える。
また、上述の矢口長官も「最高裁長官の意見を聞くかは内閣の自由」と述べているように、少なくとも当時の関係者は既得権益などではなく単なる慣例であり、実質的な任命権は内閣にあると考えていたようだ。
従って、最高裁判事の任命権は実質的にも内閣にあり、安倍内閣の行った慣例破りが正しいかどうかはその人選が適切であったかどうかで判断されるべきではないだろうか。
弁護士枠の判事は、まず日弁連が候補者の推薦リストをまとめ、最高裁がその中から数人を選んだ上で、最終決定権を持つ内閣が決めるのが近年の慣例だった。
安倍がやったからとりあえず悪ってしてる人が多いのが面白い
ほんとこれ
三権分立って国民⇒立法、国民⇒司法は選挙があるけど、国民⇒行政は選挙がないの欠陥だよな
議院内閣制だから総選挙よね。地方自治にはリコールあって草津町でしっかり機能した。
護憲や権力の分立に肯定的な人ほど安倍を誉めなきゃだよなぁ 党派性に毒されすぎてできないんだろうけど
共産党にしろ立憲民主党にしろ日本の護憲派って9条以外はどうでもいいと思ってそう
それはおまえの願望にすぎない
憲法を尊重したいなら安倍の慣例破りには賛同すべきだったよね…共産党も立憲民主党も反対してた気がするけど
元々既得権益と批判していた朝日新聞が今回手のひら返したのが興味深い
記者の質が落ちた。読者の質に合わせた結果なんだろうが
<< 弁護士枠の判事は、まず日弁連が候補者の推薦リストをまとめ、最高裁がその中から数人を選んだ上で、最終決定権を持つ内閣が決めるのが近年の慣例だった。 朝日の記事には...
追記しました、ご指摘の通りその点は朝日新聞が正しいです。 論旨には変更ありません
うーん、選ばれる側に推薦リスト作ってもらってその中から選ぶ、というのは古今東西広く行われているものなので。 慣例破りで推薦リスト外から任命するのが悪いとは言えないのと同...
推薦はあっていいと思うよ 内閣はそれに従う義務がないってだけで
学術会議も同じ構造。選挙の洗礼を受けていない者の推薦を無条件で飲むのは有権者のコントロール下にないことを意味する
「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合い(実に日本的だ!)だろうから ちげーよバーカ
ならなんでかそれを説明しろよアホ
宮川元判事における弁護士任官の位置付けは、ブコメでも紹介されているインタビューに現れている。 ── 弁護士出身の最高裁判事として,どのような思いで職務にあたられましたか...
それは特殊日本的な状況じゃねーだろ なら他の国がそんなの無視している、無視すべきと考えているとでも言うのかよ
増田はまず 「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合いであると推測できるような根拠 を挙げてみてはいかがか。 いまのところツッコ...
まあそもそも団体ごとに枠を用意するって別に日本に独特のものでもないと思うけどな。 典型的なところではレバノンの宗教別権力とかあるし、部族者会ならポストは部族ごとの利権だ...
確かに法曹と法律研究者って宗教団体の部会と考えば枠も納得だな 関係者に目配せして利権調整した枠がなきゃケンカになるしね
これじゃなんも説明できてないぞ 今の配分が適切だって何も説明できてない 弁護士から4人が適切で5人じゃダメな理由がわからん 元増田にある批判意見のとおり「より適任者を選ぶべ...
「より適任者」なるものの判断基準の恣意性が警戒されるべきときに、形式基準を導入するのは合理的だろ。
それが当初の5-5-5じゃなくて5-4-6な理由は? 当時のパワーバランス以上に合理的な説明できるの?
これはさすがにシーライオニングやろ
推薦のほうがむしろ恣意性高いだろ。しかも選挙の洗礼受けてない有権者のコントロール外で行われる恣意的行為だ
っていうかさぁ、最高裁判事を務めるような人間が「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせない」みたいなものに価値を見出すと思ってる時点で、なんつーか、志の高い人と話をした...
最高裁判事を務めるような人間が「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせない」 このような読み方しかできないのは流石にレベルが低いというよりなんだろうな・・・
字下げが書いたかと思った