2021-07-19

ケモとショタ電脳ライブ

竜とそばかすの姫の感想です。

ネタバレと他の人の感想先入観を持ちたくなかったのでなるべく早く見ようと土曜日の朝一に行きました。

一応細田守監督映画作品はほぼ見ています

(未来のミライTV放送視聴、お祭り男爵は未見)

一番好きな作品ぼくらのウォーゲーム次点時かけ、その次がサマーウォーズ

サマーウォーズは昨日の金曜ロードショーで久しぶりに見たのですが、12年前というだけあって今見ると結構キツイ部分もあって少ししょんぼりしました。

好きなシーンはいっぱいあるんですけどね。

典型的細田監督脚本を手がけるようになってから作品があまり好きではない人間です。

おおかみこどもで「う〜ん」となり、バケモノの子で盛大にがっかりしました。

それはわたし作品ターゲットから外れてしまったということなので、それ以降は少し寂しく思いながら劇場に見に行くことはありませんでした。

それなのに何故、今回劇場に足を運んだか。

一つは、描きたいと思っている作品の題材被る可能性があり、それがないかチェックしたいと思ったこと。

もう一つは、主人公アバターであるベルデザインディズニージン・キムが手がけたという情報を目にしたからです。

細田作品でよく言われている「ヒロインへの興味の無さ」が、一部他者に委ねることで、もしかしたら今回は解消されて好きになれるかもしれないと期待したのです。

それ以外は流れてくるCMくらいで、ほぼ事前情報なしで見に行きました。

前置きが長くなりましたが、決してアンチがアラを探しに行った訳ではなく、むしろおもしろかった!」と思いたい気持ちで見に行きました。

がっつりネタバレしていくのでご注意ください。

冒頭のUの世界へと向かうシーン、ライブは素敵でした。

今までの作品を周到した演出物語への期待感が上がります

仮想空間という3Dと相性のよい舞台設定もあり、2D3D違和感も少ないです。

映画の一つの見どころでもある竜の正体探しなんですが、これは細田作品今まで見てきた人はすぐわかっちゃうんじゃないでしょうか。

わたしも早々にわかってしまって、もうちょい誰なんだろうって楽しみたかったのが正直なところです。

あん細田監督好みのショタいたらそりゃあバレますよ。

それはさておき、主人公すずのAs名前ベルからも分かる通り竜そば美女と野獣オマージュが多く登場します。

城、薔薇、顔が見えなくなった肖像画ダンスシーン……。

オマージュ自体別にいいのですが、ただ単に竜と女の子の二人が美女と野獣っぽいから表層的になぞっただけいう印象を受けました。

同じ美女と野獣オマージュしたシェイプ・オブ・ウォーターは、野獣がハンサム王子にはならず最後まで野獣のまま二人が結ばれ、本家踏襲した上で独自ストーリーになっていました。

ですが、竜そばはそれが出来ていません。

そもそも竜が作中で醜いと言われてますけどかっこよくないですか?

いかもしれないけど醜くはないでしょう……。

人間だらけの中なら浮くかもしれないですけどUの世界みんな色んな格好ですし。

竜の野獣である要素が薄く、本家でも言われているルッキズム助長がむしろ強化されてしまっているようにも感じられました。

Uならまったく別の人生を生きることができると謳っているのに、アバターは生体情報から自動生成で自分意思では自由に出来ない。

そして見た目で差別を受ける。

仮想空間理想の世界ではなく現実の地続きで、ある意味リアリティはあるのかもしれません。

でも、自動生成である意味は?

竜のあざやベルそばかす現実リンクし、すずに竜の正体を気にさせ、探せるようにするために必要だっただけではないでしょうか。

細田監督はこういったシーンを描きたい!といったところからストーリーを膨らませていくタイプに見えます

その手法全然アリだと思うんですが、キャラクターストーリーがそれを実現するための駒に収まってしまっています

からキャラクター人間味が薄く感情移入がとてもしづらい。

特に脇役はひどいです。

ルカちゃんはすずとベルとのギャップが際立つよう、現実での立ち位置を対比で表すため。

ヒロちゃんはすずをUの世界スムーズ活躍させるための便利屋

しのぶくんに手を握られて学校中の女子から叩かれ炎上する際のゲームのような演出も力が入っていましたが、あまり必要性を感じずやりたかっただけのように見えました。

敵役の魅力も乏しいです。

明らかな噛ませ犬だと竜の強さが伝わらず、バトルシーンにも緊張感が生まれません。

自警団とのバトルはストーリーの本筋ではないですが、アンベイルという重要能力を持っています

そんなキャラクターの作りが蔑ろなのはマイナスしかありません。

何故Uの管理者でもない彼らが、キックブロックや削除ではなくAsオリジンを暴く能力を持っているのか。

権威がある印象をつけるためスポンサーが多数いる描写がありましたが、それでは説明になっていません。

おそらくストーリーが進めるため、ベルがすずになって歌うシーンを作るために作られたのだと思います

それでも説得力のある設定を付随してあげればいいのですが、それがなされていません。

そばはこういったものが多すぎます

描きたいシーンとシーンの間をとりあえず大きな齟齬が出ないように埋めているだけのストーリー

とりあえずでは見せ場に行く前に気持ちが躓き、せっかく力を入れて描かれたシーンが空虚に感じられてしまます

インストリーであるはずのすずの成長はこれでもかと言うほど分かりやすく描かれています

母が死んで歌えなくなった

Uの世界なら歌えるようになった

ありのまま自分でも歌えるようになった

母のように他者を救えるようになった

他者との関わりから閉ざされていた心が開いていく王道ストーリー美女と野獣オマージュし、今までやってきた得意なものを詰め込んだ今回の作品

新しい試みは何かあったのでしょうか?

技術進化した分はあったと思います

でもそれ以外は既視感のあるものほとんどで驚きがありませんでした。

唯一あるとすれば音楽へのこだわりでしょうか。

それもライブシーンに至るまでのストーリーで白けてしまうのがあまりにも勿体ない。

今の技術で、得意な分野で、わざわざ新しく作った意味は。

細田監督は何を伝えたかったのか。

わたしにはケモとショタクジラ電脳世界でのライブが描きたかたこしかからなかったです。

結論としては前置きで書いたものと変わらず、細田監督脚本他者に任せるか、共同にした方がいいと言うものになってしまいました。

残念ながら今回もやはりわたしターゲットにはなれなかったようです。

あくまわたしのものさしがストーリーに重きを置くのでこういった評価になってしまうだけで、他の評価軸で見れば全然楽しめる作品であると思います

まだ他の方の感想を読んでないので、どれくらい自分との感じ方どれくらい差があるのかちょっと楽しみです。

似た意見があっても嬉しいし、全然違う意見を読むのも面白い

書き慣れていないので読みづらかったかと思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございます

  • なるほど、キャラが多すぎる気がしたのは描きたいシーンが先にあってそれに合わせてキャラを無際限に増やしていったからなのか。 腑に落ちた。

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