2018-09-16

ゾーニング勘違いしてないか

気軽にゾーニングすればいいだけだろと多くの人が言ってるけど、

なにか勘違いしてないだろうか。ゾーニングはそんな単純な話じゃない。

長くなってしまったが、エロからってすぐゾーニングしろという話がおかしいことや、

BLゾーニングできない理由などの話を書いた。

流し読みだけでもしてもらえるとありがたい。


レーティング

ゲームとか映画とかの話題が出てるからレーティング勘違いしてる人が多いのかも。

一緒の意味で使う場合もあるけど、物理区分の話と年齢などで購入制限する話は別。


レーティングするにしても、専門の審査団体必要になるので気軽にできるものではない。

日本販売される書籍海外翻訳も含む)を審査し、全てにレーティングを施さなければいけないのだ。

適当に「エロ指定するだけなら簡単だろ」ぐらいのイメージかもしれないけど、

そういうものでは全くない。



緩いゾーニング

売り場がジャンルごとに分かれていることは、緩いゾーニングとして機能する。

意味がないと思ってる人もいるかも知れないが、少女漫画コーナーに男性が行きにくいことを想像してもらえればいい。

子供時代に入りにくいコーナーもあったと思うが、その程度には有効なのだ

だが今回の件では、みんなAVや成人漫画のような意味でのソーニングを望んでるように思える。



エロ描写=成人コンテンツという考えは間違い

エロ描写があるとすぐ短絡的に

成人コンテンツ指定しろゾーニングしろと言う人がいるが、待って欲しい。

世の中に存在するエロ描写はむしろほとんどがゾーニングされていないのだ。


例えば、エロ描写のある書籍は、

漫画でいえば青年漫画少女漫画、TL、レディコミ、BLなどの単行本、および掲載されている雑誌がある。

それだけでも膨大な数だが、

小説でも文学一般文芸ラノベ官能小説ロマンス小説美少女小説などが、雑誌単行本文庫と大量に存在するし、

水着ヌード写真などもそうだ。男性向けの雑誌写真集の他、

話題になったananセックス特集など、女性向けの雑誌も含まれる。


このように書籍にはエロ作品が大量に存在するし、

表紙がエロティックな書籍変態性欲をメインに扱う書籍だって山ほどあるが、

レーティングはされずにそのほとんどが全年齢向けだ。

エロゾーニングされないことは、何も特別なことではない。



ゲーム映画ソフトレーティング

ゲーム映画ソフトAVを除く)の場合には、

レーティングR-18作品があるが、18歳以上が作品対象という表示の意味しかなく、

レンタル販売制限店舗側の対応に過ぎない。

AVエロマンガのように、

そもそも未成年者へのレンタル販売禁止されていたり、

暖簾で仕切るような区分陳列が求められているわけではないのだ。

(一部都道府県では必要


以上のように、エロであっても全年齢向けのままか、

レーティングがあっても一般と同じ売り場で流通する方が、普通なのだ。

(もちろん、先に書いた「緩いゾーニング」として棚が分かれるなどの対応はされているが)

AVや成人漫画ものすごく特殊ものなのだ

そんな中で、売り場から隔離必要な成人コンテンツ化を急に言い出す人は、

ものをよく知らないのか、何らかの意図がある。




ラノベゾーニング

そういうことを踏まえて今回のラノベ

AVや成人漫画と同じようなゾーニング必要かと言えば、当然答えはNOだろう。

先ほど例に挙げたように、ラノベよりエロに特化した全年齢向けの書籍は、ラノベの何倍も存在する。

それに文字主体表現である書籍レーティングがされるなんてことは、現状ではほぼあり得ない。

(表紙や挿絵イラスト程度だと表現主体とは見なされない)

そもそも作品内の一部の要素だけを取り上げて、

作品のものジャンル自体糾弾したり、ゾーニングを望むことが性急過ぎる。


また、性表現が行き過ぎているのであれば、

都道府県による有害指定を受けていないのもおかしな話だ。

出版業界が野放しのように思えるかも知れないが、締め付け役としての存在ちゃんとある


表現のものより、性の扱い方が問題なのだという話もあったが、

女性が虐げられる暴力描写などは他の書籍でも見られるし、そういうストレートな表紙の小説存在する。

これも、今回の件だけを選んで騒ぎ立てる方が特殊なように感じる。

ラノベコーナーに子供が立ち入るのと同じ程度には、小説文庫コーナーにも子供は行くと思うが。



ラノベ表紙の問題

表紙の差し替えなどの話はありだと思う。

ただ、繰り返しになるが、ananセックス特集全裸で絡む男女の写真が表紙で、

ラノベの何倍も目立つ場所に陳列されていたのである

雑誌書店の正面入り口付近に置かれることが多く、人気特集でもあるので、当然誰もが目にする場所に配置される)

女医が教えるセックスかい全裸で喘ぐ女性イラストが表紙の本も、入り口の目立つところに置かれていたのをよく見た。

これなどはネットで多少問題になった気もするが、実際にはゾーニングに至っていないし、

当然、有害指定も受けていない。

もっと視野を広く持って、他の物と比較して総合的に判断して欲しい。



これがダメならあれもダメ不毛

togetterのまとめが話題になったことで、

ラノベダメなら、BLはどうなんだ」という意見に「どっちもダメに決まってるだろ」というコメントが寄せられたが、

これがおかしいこともわかってもらえるだろう。

子供女性問題大事なのもわかるが、

こういう風に基準を厳しくして「あれもダメ、これもダメ」をやっていくと、

例に挙げた書籍は全てゾーニングされるだろうし、そうしたら児童書くらいしか残らなくなる。



BLゾーニングできないわけ

前述のBL話題が出た際、

女性BLゾーニングを望んでる」という意見があった。これ自体は昔から言われていることだ。

二次創作検索よけと混同して、BLゾーニングがしっかりしていると勘違いしてる人もいたが全然別の話)


だが、長年望まれていて、しかも今や男性作品より有害指定が多いという苦しい状況なのに、

なぜ未だにゾーニングが実現しないだろうか。

答えは簡単で、業界破綻するレベルで売上げが落ちるからだ。

男性と違って成人コンテンツが少ない女性にはそういう習慣や文化がなく、

成長する見込みも薄いと推測されているのだ。

(すでに販路がある男性向けでも、あの規模を一斉にゾーニングしたら大変だと思うが)


BLでは成人向けの同人が盛んだと思うかも知れないが、商業BL市場を支えられるほどの規模ではい

また、商業の客層には未成年者がそれだけ多いということでもあるのだろう。

何度か成人化を試みて失敗した上で、

商業の成人化は難しいというのが、BL業界判断なのだ

から、都条例指定を受けながらも、全年齢で作品を出し続けている。

もし可能ならとっくに成人コンテンツ化している。


ゾーニング自分たち表現を守るための物」という言葉には正しい部分もあるが、

現実を見れば詭弁でもあるのだ。


今回の件では、なぜか女性から男性向け作品業界揶揄するような発言もあった。

しかしはっきり言って、成人市場がある男性より、

女性向け界隈の方がよっぽどグレーな状態なのだということは理解して欲しい。



おわりに

このように、多くのエロ関係作品は全年齢向けで売られているし、

売り場も隔離されていないし、

ゾーニング業界に大ダメージを与えかねないものなのだ

長々と書いてきたが、要するに「気に喰わないからといって簡単ゾーニング」などと

気軽に言うのが如何におかしいか、という話。

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