増田が好きだ。読むのも、書くのも。
ブクマが増えることは単純に嬉しいし、読み物として面白いものも多い。
しかしその裏には、ブクマがつくと思って書いたにも関わらず、0ブクマで終わったエントリが幾つもあった。
このエントリは、2017/4/1時点で増田に現存する136万エントリを分析し、増田におけるバズを科学したものだ。
ここから先は、定量的・定性的な分析をもとに、増田におけるバズを解明していく。
少々長くなるが、お付き合いいただければ幸いである。
「はてな匿名ダイアリー」の名が示すように、書き手がわからないという点が一番の特徴だ。
匿名ゆえに固定ファンをつけることができないため、「エントリの価値のみによって評価される」という稀有な場所といえる。
2006年9月24日に始まった増田だが、近年のエントリ数は年々増えており、2016年度には23万エントリの投稿があった。
年間のエントリ数が増えているというのも特徴であるが、ブクマ数が増えている点にも注目したい。
2007年度では「0.799」だったエントリあたりのブクマ数は、2016年度には「3.726」まで向上している。
これは、増田の認知度が上がり、読み手が増えたということを示している。
また、SNSを中心に発達した「Like(ブクマ)」文化により、ブクマへの心理的障壁が減ったことも影響していると考えられる。
どちらにせよ、過去と比較するとブクマを集めやすいサービスになったといえる。
蛇足であるが、「トラックバック」は過去の遺物になりつつあることも今回の分析から明らかになった。
2008年度のエントリあたりのトラックバック数は「0.474」という数値を記録していたが、これは年々下がり、2016年度では「0.133」になっている。
トラックバックというブログ文化は過去のものとなり、SNS文化である「Like(ブクマ)」に置き換えられたとみて良いだろう。
一万分の一。これが、1,000 ブクマ以上のエントリの割合である。
140万弱のエントリに対し、たったの143件しか存在しないこれらのエントリは、バズったと呼んで差し支えないであろう。
その中でも、3,000以上のブクマを獲得した6つのエントリについては、増田における伝説だ。
本エントリでは、1,000ブクマ以上獲得可能なエントリを「バズ」と定義する。
FacebookのLike数もバズを計測する数値であるといえるが、今回の分析においてブクマ数とFacebookのLike数には相関はないということが判明した。
そのため、今回のエントリではブクマ数のみをバズの定義に利用することとした。
なお、流行語大賞となったこのエントリが49,500Likeを獲得して歴代最多のLike獲得数であるが、ブクマ数は2,300弱と少々物足りない。
また、このエントリのように、10,000Like以上も獲得しながらも300ブクマ程度にとどまっているエントリもあり、Likeを集めたからといってブクマ数が増えるわけでもなく、その逆も然りといえる事実が観測された。
これは増田ユーザとFacebookユーザは大きく異なるということを明らかにしたものといえよう。
1,000以上のブクマを獲得するエントリと、500程度で止まってしまうエントリでは何が違うのだろうか。
定量的な観点からみると、「ブクマの付くタイミング」がその違いを示していた。
ブクマ数1,000を超えるエントリの多くは、投稿後3日目以降のブクマの割合が多い傾向にある。
特に、ブクマ数3,000を超える6本エントリのうち5本は、総ブクマ数の50%以上が投稿後3日目以降に付けられたブクマであった。
中身を見ていくとSEO的に強いものが多く、特定の検索ワードにおいてGoogle検索結果の1ページ目に出てくるケースが目立った。
つまり、情報的な価値が高く、ホットエントリ入りが終わった後でもPVを伸ばすことができたエントリが、バズるエントリといえる。
(この部分については後述する)
これらに対し、ブクマ数500程度のエントリにおいて投稿後3日目以降にブクマがつくケースは稀である。
ホットエントリ入りするなどして一時的に注目を集めたものの、それ以降にPVを集めることができないのだ。
自身の経験からも、ブクマ数500程度で終わったエントリは、ホットエントリから外れた後にブクマがついたことはなかった。
このことからも、ホットエントリから外れた後にPVを集められるかという点が、増田におけるバズの重要な要素になる。
なお、ブクマ数50程度のエントリになると二極化する傾向を示す。
後者の場合は何らかのトリガーになる事象があると思われるが、基本的には例外ケースといえよう。
増田は平日に書かれることが多く、土日は相対的にエントリ数が少ない傾向を見せた。
年度によっても異なるが、土日の投稿数は平日の10%減くらいとなっていた。
これは推測であるが、仕事のストレス発散の道具として増田が使われているため、平日の投稿が多いのであろう。
その反面、1件以上のブクマがつく確率は平日「12%」程度、土日は「13%」程度と明らかな差異を見せた。
また、午前4時台が他の時間帯と比べて圧倒的にブクマが付きやすいという結果が出た。
1ブクマ以上つく確率は「15.8%」と高く(最低は14時台の「10.0%」)、平均ブクマ数も「3.83」(最低は16時台の「2.11」)と他の時間帯よりも高い数値を見せた。
人が寝る時間に書かれたエントリは埋もれにくく(4時台の投稿数は全体の「1.14%」とかなり少ない)、朝の情報収集タイムで読まれるため伸びやすいのであろう。
これらを考慮すると、「土日の早朝4時ごろ」に投稿することが、バズを生む上では重要そうであるといえる。
なお、平日18時〜19時に書かれたものは、埋もれやすい、ブクマされにくい、平均ブクマも少ないの三重苦であるためオススメはしない。
ここにはわかりやすい相関が見られた。
つまり、呟きのような短文ではなく「きちんとした文章」の方がブクマされる率が高いのである。
これらは、1,000ブクマを超えるものの中に「呟き」のみのエントリが含まれない点にも現れている。
反対に、8,000文字を超えていてもブクマ数を伸ばしているエントリも多くみられた。
この点から見ると、「読ませる文章」さえ書けていれば、文字数の長さとブクマ数に影響しないといえる。
ブクマ1,000以上、500以上、50以上のタイトルの平均文字数は20文字程度と、大きな差異はみられなかった。
上述のような定量的な分析だけでなく、ブクマ数ごとにランダムに抽出した500件のエントリを読み、定性的な分析も行った。
予断を避けるため、ブクマ数については事前に確認せず、自分の初見の感覚(といっても、知っている記事も勿論含まれていたが)に従って下記の評価を行った。
また、一般的な大卒程度の文章力があれば十分であり、プロのライター程度の文章力は不要であるという結論となった。
とはいえ、文章力が高いからといってバズるわけではないという点は心に留めておく必要がある。
釣りタイトルも含めれば、バズらなかったエントリの中にも良いタイトルは多数あった。
しかし、タイトルが良かったからといってブクマ数が伸びるわけではなく、内容の方が重視されていた。
このことは無タイトルのエントリがバズるケースがあることからも明らかである。
とはいえ、バズるエントリの多くはキャッチーなタイトルを兼ね備えており、注目を集めるためにもタイトルにこだわった方が良いと思われる。
文章力やテーマ選定、ジャンルではなく、「情報の希少性が高い」ものにブクマが集まる傾向がみられた。
例えば、通常生きていると関わることのない「中の人が語る」系のエントリはバズる傾向が高かった。
また、「〜〜50選」や「〜する方法」などのエントリもバズる傾向にはあったが、これらの場合はその情報の希少性および信憑性に左右されていた。
とはいえ、特殊な経験を必要としないため、狙ってバズらせる場合はこのパターンが一番近道に思える。
テーマを絞り、希少性の高い意味のあるエントリを書けば良いだけだ。
なお、マイナーすぎるテーマの場合は一切バズっておらず、「一定数以上の人間が興味を持つテーマにおける希少性の高い情報の提示」が重要であるといえる。
私が行った各エントリの総合評価とブクマ数には一定の相関が認められた。
1,000以上のブクマを獲得したエントリの多くに4or5の評価をつけており、0ブクマや50程度のブクマのものには1や2の評価をつけていた。
多少の偏りはあるとはいえ、500件のエントリを客観的に評価した結果、大衆値であるブクマ数と相関が見られたのは驚きの事実であった。
上述の分析結果をもとに、増田ユーザのペルソナを検討してみると意外な結果となった。
普段は批判ばかりしているように見えるが、「良いものは良い」とちゃんと評価できる人たちであった。
これまでの分析結果をまとめると、下記を満たすことができればバズを作ることができると考えられる。
なにやら当たり前の結果になってしまったが、多分そういうことなのだろう。
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そんなんせんでもオレは男女分断煽りで数百ブクマ稼いだことあるぞ! オレの勝ち~~!
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