2024-01-30

アニメスナックバス江」から見る映像化の難しさについて

アニメ放送以降、アニメスナックバス江」監督によるX(旧twitter)の投稿でそこそこの焚火が燃えているが、最近起こったドラマ原作者自殺に絡めた投稿でまた一ボヤ起こっている。

 

そもスナックバス江とは北海道札幌北24条辺りにある架空スナック舞台としたギャグマンガで、スナック従業員女性たちと様々な客(常連から異世界から紛れ込んだ一見さんまで)たちとの掛け合いを軸としている。

テンポのいい掛け合いや踏み込んだ突っ込み、ルビ芸のワードセンスが特徴の漫画で、ネットでは否定的意見を見たことがないほどだった。

作中メタネタ的にアニメ化したら~とか自分声優はこうだ~とかキャラ自身が出すことがあったのだが、昨年本当にアニメ化という話が出た。

個人的にはすごいよマサルさんギャグマンガ日和シリーズ的な感じのギャグアニメがようやく来るなととても楽しみにしていた。(+チック姉さんはまだあきらめていない。)

とても楽しみにしていたのだが、待望の放送を視聴したところ困惑するような出来だった。

 

会話のテンポがすこぶる悪い

1話放映後、噴出した意見

Xでも指摘している人は少なくないがバス江で求められているのは強みであるギャグを引き立てる軽快な掛け合いだった。

しかアニメでは現実でもありそうな場末スナックでのうだつの上がらないおっさんがする間延びしたトークテンポで、現実スナックを描いた作品だったらあり得る会話劇だがギャグマンガにおいては致命傷にもなりうる遅さ。もともと内容がある話ではないので、アニメスナックバス江」のかみしめる様な会話の遅さだと全部素材が死んてしまう、というか死んだ。

個人的には3話まで見てから評価するようにしているのだが、待望の3話でバズった小ネタが出てきたが演出のせいで不発に終わりだめだこりゃと悟った。

 

話の順番の改変

スナックバス江の第一話はスナック行ったことがない真面目そうなスーツ姿のサラリーマンスナックへ入るところから始まる。

そわそわしつつ入店して目に入るのはチーママママを酒瓶で殴りつけた直後と思われる流血沙汰の現場で、リーマンとチーママは目を合わせるもののそこに一切の会話がない。

面白無視で読者までガツンと殴りつけるような導入だったのが、アニメ第一話導入ではカラオケboxで歌っている途中店員が入ってきたら気まずいという毒にも薬にもならないあるあるネタ

カラオケネタ前後の話があったり登場人物関係性が出来上がっていたからこそ、そこそこ面白かったのだが導入としては正直弱すぎる。

最初の指摘と合わさって監督バス江についてどの程度理解しているのかが露呈してしまった。

 

スナック文化偏重

監督はXでの投稿を見るとスナックテンポ雰囲気大事にしたい様子だ。確かに漫画では背景はほとんどなくキャラが酒をあおるシーンやカラオケするシーンは会話のアクセントでたまーに入るくらいだったがアニメ版は違う。

背景はスナック感マシマシでちょいちょいグラスの氷の音や酒をあおるシーンが出てくる。おまけにムーディなBGMが流れしっとりとした雰囲気が出ている。

酒を飲みながら視聴したらさながら自分スナックにいるような雰囲気を味わえそうだ。

しか原作ファンが求めていたものはそれではないのだ。

 

都会で評判のいいチャーシューメンマスタンダードと思われる具材が乗った大衆ラーメンを食べに行ったつもりが小皿スープと麺がこじんまりと乗ってジャズだかクラシックが店内で流れている意識高い系ラーメンをお出しされた感覚だった。

実際好きなギャグマンガ原作アニメではなくよくわかんない長尺FlashアニメとしてならBGM代わりにできた。

好きな原作だしということで食べたら食べたでまあまずくはないけど、求めているのとはまったく違う。もんじゃ焼きとゲボぐらい違う。

 

Xの指摘の傾向と自分感想とどの程度近いかいかはさておき、バス映像化について監督

「あえての表現

「わからない奴はわからんでもいい」

スナックの良さを引き出している」

といった感じの主張をした結果ボヤ騒ぎ。個人的に主張はわかるんだがそれをバス江を使ってやらんでくれと思った。

そして序文の話。

どうやら今は投稿が消えているみたいだがドラマ原作者非難した視聴者原作者自殺に追いやってしまったとし、視聴者たちを非難する投稿をしたようだ。

趣旨としてはクリエイターもっと大事しろというように受け取ったが、これは監督バッシングということがあってということなのだろうか。

いずれにしても独り相撲クリエイターSNS自己弁護たらこうなるという好例をみることができた。

 

原作ファンの求めているもの」と「監督が出したいとするもの」が違う事例は良くも悪くもほかの作品にも言えることで、特に監督の力が強そうな実写化では顕著に出ていると思う。

成功した感じなのはデスノートとかるろうに剣心とかカイジアニメも)とか、逆に上手くいかなかったのは進撃の巨人とかデビルマンとかだろう。

特殊なのは庵野氏によるリバイバル作品で、ゴジラウルトラマン仮面ライダーを見たいというよりは庵野解釈のそれを見たいということでおもしろいかまらいかはさておき原作レ〇プみたいな話にはならないのだろう。

そういう意味では映像化するにあたり見せたい相手監督ファンなのか、原作ファンなのか、その辺りをわきまえているかどうかがカギになると思う。

スナックバス江についてはほかの監督リバイバルされるか、原作者による供養(映像クリエイターが本編に登場する回)をしてもらうことを期待したい。

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