https://note.com/akiko_saito/n/n9b1b3581843c
っていうnoteがバズっているので読んだんだが、「この人蜷川実花に村焼かれたんか??」と思うほどのdisり具合だったので、followesを全話一気見したうえでひとつひとつ考えてみた。
まずは上述のnoteを読んでみてほしい。
ファーストシーンだけなのにこのdisりっぷりに私も脱帽した。
私が田舎出身だからかもしれないが、未だに東京タワーは東京を象徴する一番のものな気がしている。特にこの作品は日本から世界に発信されるわけだから、わかりやすい象徴として東京タワーのカットが抜かれることには何の違和感もない。
私のこの感覚が「ダサい」「古い」なのだとしたらそれまでなんだが。
で、次。
いやあ、これ作中で別に言ってないんだよな。続く
子どもを持たない人は
女の幸せ
ってやつが手に入らないってえのかい?
に関しても、誰もそんなことは言ってない。飛躍している気がする。
中谷美紀「今は母乳の方がいいって言われてるの!できるだけ母乳を飲ませたいのよ、粉ミルクはやめて」
エッ母乳の方が愛があるみたいなやつ?!?!?!?!?!!!??!!?!はるか古代に滅びたやつ??!?!を今もってくる?!!!?!
これに関しても、作品の中では「粉ミルクの方が良いもの」も「母乳こそが素晴らしい」も描かれていないんだよね。
もう少しだけネタバレをすると、中谷美紀は母乳があんまり出ない。だから中谷美紀の子育てを手伝いに来た実母が「(そんなに完母に固執せずに)混合で育ててもいいんじゃない?」という趣旨のことを中谷美紀に言う。
つまり、完母が素晴らしい!と思い込んでいる中谷美紀に対して、「そんなにこだわらなくても大丈夫よ」と肩の荷を下ろしてあげているシーンなのだ。母乳の方が愛があるって価値観を押し付けているシーンでは決してない。
液体ミルクについてはこのシーンで言及されていないが、話がややこしくなるからわかりやすく「粉ミルク」って言っただけの話だろう。
「ざんねん〜!!MIYAVIの遺伝子が〜〜!!」
って叫ぶんですよ、、怖すぎだろ、、MIYAVIが何も知らされてなかったらほんとに訴訟もんですよ。
これについては、まあ女子会の中だったらこのぐらいの悪ふざけはあるだろう、という感じ。ただし、MIYAVIが何も知らされずに父親にさせられようとしている部分に関してはわたしも恐怖を覚えたので、同意。
やはり
ってことなのかな?
ここに関してはもう少しミリの心の中を想像したほうがいいんじゃないかなーと思った。まあ確かに精子バンクで子どもを授かる方法もあるかもしれないが、どこの誰だかまったくわからない人の遺伝子を使うのはちょっと怖いっていう気持ちもわかるよ、私はね。
「腹を痛めた子を生んでこそ女のしあわせ」っていうのが読み取れる発言も作中にはないよ。養子という選択をとらなかったのは、シンプルに自分の遺伝子を残したい、育てたい、と思っただけなんじゃないだろうか。
子どもに関する価値観はそれぞれで、誰かの遺伝子をもらうとか、養子をとるとか、里親になるとか、さまざまあっていい。そこに正しいも悪いもない。特定の価値観を、本人以外の誰かがジャッジすべきではない。
ここに関しては私はあまり映画もテレビも見ないため評価できず。見る人によると思う。
これは、池田エライザがYoutuberに出会ってすぐのころそんな認識をしているという描写があったけど、話が進むうちに認識が変わっていくサマもきちんと描かれている。
たとえば、作品をとるためにめちゃくちゃ身体を張っていること。時間をかけて企画をしていること。極めつけは、Youtubeのアナリティクスの画面を見ながら研究をしているところ。
見る人が見れば、(Youtubeを投稿したことのある若い世代であれば特に)その大変さをきちんと作品の中でも描いているというとらえ方をするはず。
という世界線になっている。
なっていない。そんなことは作中で誰も言っていない。
うーんこれも言っていないと思うよ。
池田エライザが「女優になりたい!」と言い続けていたのは、「女優の方が格上だから」ということではなくて、ただ単純にモデルという職業じゃなくて女優という職業になりたいから、ってだけだと思う。
水泳選手じゃなくて陸上選手になりたいんです!みたいなもんだと思ったけど違う?
蜷川実花が監督なのに、「モデル=楽な職業」として描かれているわけはないでしょう。
売れない歌手がバーチャルアイドルとして再デビューして見事復活みたいなことやってるんですけど、バーチャルアイドル作るのってすごいお金かかるんですけど首になった歌手がどっからその予算出したんすかね
違う違う。サヨは売れない歌手だからクビになったんじゃないんだよ…ちゃんと作品見ました?サヨはめちゃくちゃ売れてる歌手で、サヨのおかげで事務所が大きくなったといってもいいくらい稼いでる人だった。だからお金はあるんですよ…。バーチャルアイドル作るのにすごいお金がかかるのは事実なのかもしれんが、そのくらいの金はあるんじゃないの。事務所のトップシンガーだったんなら。
コムアイがレズビアンの設定で、友人である売れない女優に「あなたのことが好き」と一大決心して告白するのだが、売れない女優は「言ってくれてありがとう」とハグをしてなんか終了。彼氏のもとに戻っていく。別にコムアイの悲しみは描かれない。
このシーンは、コムアイから池田エライザへの「告白」だったわけじゃないんだなあ。愛だ恋だが絡んでいる「好きだよ」じゃなく、「あなたの演技が好きだよ」「そのままのあなたが好きだよ」という、池田エライザの存在をまるごと受け入れる受容のシーンなんだよ。だからそれに対して「私も好き!」とか「ありがとう…でもわたしは好きじゃないから付き合えない…」とはならんやろ。
ちなみに「言ってくれてありがとう」っていうそれこそ陳腐なやりとりもしてない。
この場面ではコムアイの悲しみは描かれないけど、それはすでに彼女が悲しみを乗り越えてるからなんだよね。
彼女の悲しみは、部屋に引きこもって作品(絵画)を仕上げているなかできちんと描かれてるよ。痛いくらいの悲しみの表現がされているよ。もう1回見直してくれ。
てかしなやかってなに?
「しなやか」はね、柔軟で、弾力に富んでいるサマのことだよ。「おしとやか」とは意味が違うからね。辞書を引こう。
「女の子なんだから女の子らしくしなさい」は「しなやか」ではないし、「男のひとを立てなさい」もしなやかではない。それらから解放されたサマが「しなやか」という言葉で表現されてるんだと思うが、違うか?
と、まあ事細かにいろいろあげつらったんだけど、一つ一つ否定していることにそんなに意味はなくて。
一番言いたいのは、「批判noteがバズることの危険性」についてなんだよなー。
たしかに作品を見て何を感じるかは人それぞれだし、注目度の高い作品であればあるほど賛否両論どちらも出てくるもんだとは思う。
だけど、激しい批判が独り歩きすることで(そしてそれが歪んだ認知のもとに書かれているとしたら特に)、楽しみながら作品を見られるはずだった人たちが、「最悪な作品」というバイアスのもとに鑑賞せざるを得ないということなんだよな。
私は全話通して楽しんでみたし、前評判ほど「古い」とか「化石みたい」とかは感じなかった。みんなが批判だけに踊らされて「私は見ない!」「(みんなダサいって言ってるし)ダサいに同意!」というのが起きないといいなーと思った。