2021-06-20

ニュージーランドラウンドアバウト渋滞生成器なのか

https://anond.hatelabo.jp/20210606090832

建設行政やらせてもらってる交差点オタクとしてはちょっと看過できまへんな~。ラウンドアバウト意識高い系交差点やと思って叩いてるんやろうけど、本物の意識高い系交差点を見たければ最後だけ読んだってや~。

これは日本でも渋滞解消に役立つのではと一部で試験的に導入されているが

間違い。日本では渋滞の解消を目的としておらず、もっぱら安全性に着目して導入された。ただし、交通量の多い交差点には適さないというのが正しいかは別の話で、FHWAのTechnical Summaryによれば

https://rosap.ntl.bts.gov/view/dot/42603

二車線ラウンドアバウト標準的な容量は45000台/日であり、日本で導入されている1車線ラウンドアバウトミニラウンドアバウトは15000とか25000とか書かれている。これは意外と大きな交通量なので、日本でもかなり高い割合交差点に導入することが可能であると思う。日本でも二車線ラウンドアバウトは実力のある交差点なのでドシドシ作るべきだと思う。

そしてラウンドアバウト特定タイプ渋滞を解消し得る。多分みなさんの近所にも、右折車が詰まってしまい直進車・左折車が後ろにずらっと並ぶような交差点があるはずだと思う。このような交差点ラウンドアバウトは非常に有効

右折車も直進車も左折車も同じように交差点に進入出来るという点が、ラウンドアバウト効率性が高い理由ひとつ松本伊予乱暴運転をしなくなるはず。

右折車の多い交差点機能低下しにくいというのはラウンドアバウトの大きなメリットで、270度回らなきゃいけないなんて大した問題ではない。右曲がりが最低の人間として扱われるのは日本交差点でもはてな村でも同じである。右曲がり諸君ラウンドアバウト化すれば平等で公平な扱いを受けることが出来るので、是非とも推進しよう。

次に、ブコメにあるような都心部には向いていないという考え方も誤り。都心部にも交通量の比較的少ない交差点存在するし、郊外にも交通量の大きな交差点存在する。向き不向きは完全にケースバイケース。

郊外に多いのは70年代以降の欧州90年代に入っての米国においてニュータウン建設とともに大量に新設されたのが最大の要因。だからドバイアブダビでは都心部に多くのラウンドアバウト存在する。既存交差点の改修についても、都心よりも郊外の方が様々な面で事業を行いやすいからであって、適地が存在するかどうかとは別の問題。優先するなら安い方から

ラウンドアバウトには大きな用地が必要であるというのも正しいとは言えない。ラウンドアバウトでは右折車線を付加する必要がなく全体的にコンパクトに作ることができるため、どちらが優位かは場合による。特に右折車が多い交差点では右折車線を長大にする必要があるから、そういう意味でも右折車が多い交差点に向いているということになる。

信号はないため、入ってくる車が各々のタイミングラウンドアバウトに進入する。中では何周してもいいようだ。たまにいたずらに3周くらいする車がいて危ない事この上ない。

ラウンドアバウトそれ自体侵入する車たちが呼吸を合わせるという事に依存しており、何故か交通整理の方策を立てることは絶対にしない。信号をつけるだけで渋滞は秒速で解消すると思われるが、ラウンドアバウトか進行付き交差点かの選択肢しかニュージーランドにはないようだ。

から車が来なければ進入するだけのことで、呼吸を合わせる必要などどこにもない。また、3周する車は迷惑だが危険ではない。侵入しなければメリーゴーランド眺めてるのと変わらない。

ところで「ラウンドアバウトは流れに乗るのが難しい」と主張する一部の論者にお伺いしたいのだが、あなた方は普段どうやって右折してるのだろうか?もしかして「後ろの流れが詰まってるから対向の直進車来てるけど流れを読んで無理矢理右折してやろう」とかやってないよな?

滋賀園児の列に突っ込んだ事故がどうやって起きたのか考えれば、ラウンドアバウトがどれだけ安全ものか分かりそうだが。下手すりゃ当局にも流れ論者が結構いるから仕方ないのだが、こういう流れ論者が過激化すると「あのクルマ空気読めないか制裁してやる」とかいって煽り運転を始めるのだからタチが悪い。今のうちに免許返上しとけ。

ちなみにラウンドアバウト信号機を設置することで流入量をバランスさせることは理論的に可能だが、信号付けても制御は複雑で面倒、間違いなく事故が増えるから普通はそうしない。無信号で止まるか信号で止まるかという理由が変わるだけで、渋滞も解消しないと思う。

内部は、すぐに止まれる速度で走ることというルールがあるが、実質有名無実ルールになっており、たまにドリフトで駆け抜ける車もいて非常に危ない。

ドリフトで駆け抜ける車がいても安全だと考えるのが工学的。普通交差点ドリフトで駆け抜けるバカよりもラウンドアバウトドリフトで駆け抜けるバカの方が安全やばい車がいたら進入しなけりゃいいんだからラウンドアバウト安全性は半世紀近くもの長い間、理論的にも統計的にも実証され続けている。反ラウンドアバウトは反ワクチンみたいなもんだな。なんだったら長期的な結果も出てるから、新型コロナワクチンよりは安全性が高いと思うよ。知らんけど。

ほんでこの話、結論言うたら「個別の事案には回答できません」なんやけど、ラウンドアバウトが原因とみる理由がよくわかりまへんわな。急激な都市化の進行で交通量が急増してるのが原因やろ。それでは普通信号交差点でも同じこと起きまっせ。

最後に、冗談か本気か区別がつかないので書いておくが、Citiesのラウンドアバウトを本気にしてはいけない。ブコメにあるからCitiesのラウンドアバウトがどんなもんか見たら環道内で加速してる有様のもので、設計思想レベルで間違っている。ラウンドアバウトは車速を低下させる機能安全性の一部を担保している。特にミニラウンドアバウトは車速を低下させることのみを目的として設置されることすらある。非常に交通量の少ない住宅地等で、近接・連続して小さいラウンドアバウトが設置されている場合はこのパターンだとみておくとよい。ゲームでは不要だが。

意識高い系交差点

そんなことより、おいらっちオススメイカしたCFIを見ておくれよ~ということで紹介したい。あんまり語ると長くなるから簡潔に書いとく。

CFIはDDIと並んで第二世代勝手定義)のAIなんだけれども、DIの改修というピンポイントニーズ対応したDDIとは違って、他のAIとの組み合わせという可能性も秘めていて拡張性が高いという強みがある。ああ、AIってのはAlternative Intersectionのことね。

まずは米国ユタ州にあるこれ。

https://www.youtube.com/watch?v=By-clFzyHO4

https://goo.gl/maps/XUm6yeXSPWdmFtz4A

ショッピングセンター大学インターチェンジ・超多叉路という極悪条件を平面で解消するために設計された、CFIとラウンドアバウトを融合させた交差点ラウンドアバウト交通量が多いところでは使えないとか言ってる輩息しとるかー?なんでも使い方やで?

わざわざ現地まで行って10回くらい意味もなく通過したが、余りにも最高だった。米国では単にCFIを設置して満足する時代はもう終わった(出羽守

次はバージニアのCFIとMUTの組み合わせ。

https://www.youtube.com/watch?v=yUViI-wPH0U

https://goo.gl/maps/K3XyBSQFohn1Z1YH7

4叉のCFI化ではなく2叉のCFIとMUTを組み合わせるというファインプレーによってコストの削減を可能にした。供用は開始されているはずだけど、googlemapでは反映されていない。こんど行きたい。

MUTについてはこの動画が分かりやすいで~

https://www.youtube.com/watch?v=TgL47KAkXPI

最後オーストラリアメルボルン

https://www.youtube.com/watch?v=kOtq2IWrN58

https://goo.gl/maps/oRrB8DuK7TMZm3Bk9

元々は対症療法的にMUTが用いられていたようだけれども、アプローチの短いCFIを1叉で採用することで改善したという凄い交差点。高架下ってとこも含めてポイント高いわ。おいらっちも海外交通コンサルになってこういう交差点作りたいんよな~

  • MUTって何ぞ?っておもったけど、あぁあの信号とは無関係に左折できる奴のことか。日本でもたまにあるね。 たしかに信号とは無関係に方向転換できる意味でラウンドアバウトの親戚で...

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